マイホームの計画を立て、住宅ローンを検討している人なら、住宅金融支援機構の名を聞いたことがあるという人も多いでしょう。ただ、実際、住宅金融支援機構がどんなところなのか、どのような業務を行っているのかは知らないという人もいるはずです。

そこで、今回は住宅金融支援機構について詳しく説明します。

住宅金融支援機構の成り立ちと概要

住宅金融支援機構は2007年4月1日に国土交通省住宅局と財務省管轄のもと発足した機構です。

かつては1950年設立の住宅金融公庫が住宅資金融資や証券化支援事業を行っており、戦後に建設された住宅のうち約3割が住宅金融公庫の融資によって建設されたという実績を持っています。

2007年3月31日に住宅金融公庫が廃止されたことを受け、住宅金融支援機構が業務を継承しました。住宅金融支援機構は東京都文京区に本店があり、全国8カ所に支店を展開しています。

2017年度末時点で全額政府出資の資本金が7014億7542万円、2018年4月1日の全従業員数が896人という規模です。

住宅金融支援機構の行っている業務は?

住宅金融支援機構が行う証券化支援業務

住宅金融支援機構の前身である旧住宅金融金庫の時代は、住宅資金の直接貸し付けを行っていました。しかし、民間の金融機関でできることは民間に任せ政府機関としてはサポートをするという方向性に変わり、住宅金融支援機構では一部を除いて直接融資を行っていません。

そこで、新たに発足した住宅金融支援機構の業務の主力として位置づけられているのが証券化支援業務です。具体的な証券化支援業務として広く知られているものとして「フラット35」があります。

証券化支援業務では、安心して民間金融機関が長期固定金利でフラット35の提供を行うことができるよう債権である住宅ローンを証券化し、投資家に投資してもらいやすいようにしています。

つまり、住宅金融支援機構という公的機関が証券化しているという信用があることで、投資家も安心して投資ができるということです。なお、住宅金融支援機構では買取型と保証型という2種類の方法で証券化支援業務を行っています。

実際にフラット35などの住宅ローンを利用する際は、取り扱いのある民間の金融機関で申し込みを行います。

災害に強い街づくりに貢献

住宅金融支援機構は一般の住宅建設の際、基本的には直接融資を行っていません。しかし、大災害が発生したときには直接融資を行うことがあります。

実際に、東日本大震災後の復興においては被災住宅の再建やマンションの建て替えから市街地再開発事業まで、直接融資を行うことで支援しました。また、耐震改修工事や防災機能の向上に関する事業、高齢者や子育て世代に対する賃貸住宅の供給促進など災害関連の直接融資は、多岐にわたっています。

被災したことで家計の収支が悪化し、そのままでは住宅ローンの返済が難しい状況に陥ってしまった場合は返済方法の変更にも対応しています。

住宅金融支援機構では災害が起こった後の対応だけではなく、発生前から災害に備える取り組みにも力を入れているのが特徴的です。災害に強い住まいづくりとしては、耐震工事などのリフォーム融資のほか宅地防災工事資金の融資や地すべり等関連住宅に対する融資など、地方公共団体から勧告や改善命令が出ているケースに対して融資を実行しています。

ただ、災害予防としては個人の住宅に対してだけではありません。防災街区整備事業や再開発事業など、事業者や組合員向けの事業資金ローンにもまちづくり融資として対応しています。

また、地方公共団体とは災害発生時に早期復興に向けた協力ができるよう災害協定を結んでおり、2017年3月31日時点ですでに46都道府県、19政令市等65団体と協定を締結しています。

住宅金融支援機構のその他の業務

ほかにも、住宅金融支援機構では住宅融資保険業務や団体信用生命保険等業務、債権管理業務などを行うとともに金融市場に関しての調査や研究にも力を尽くしています。

フラット35の利用者をはじめ、民間の住宅ローンの実態調査や金融機関の貸出実績などをアンケートで調査し、集計しているのもそのひとつです。また、住宅市場動向やフラット35住宅仕様実態調査報告・住宅取得に係る消費実態調査も行い調査結果を公開しています。

住宅金融支援機構が証券化業務を行うフラット35とは!?

フラット35は最長35年借り入れが可能な全期間固定金利の住宅ローンです。

金利が低い時代は変動金利の方が返済の負担を少なくできるというメリットがありますが、30年を超えるような長いスパンで考えるといつ金利が上昇するかわからないリスクがあります。

低い金利のときの感覚を持ち続けたまま、万が一バブル時代のように高い金利に上がってしまうことがあると生活が破綻してしまうかもしれません。

フラット35とは?

その点、全期間固定金利のフラット35は借り入れ当初から返済を終えるまで金利が変わることがないため、将来にわたっての資金計画が立てやすいというのがメリットのひとつです。

フラット35で借り入れを行う際、保証人を立てる必要がなく保証料も必要ありません。返済途中で返済方法を変更する場合や繰り上げ返済をする場合、手数料が必要な金融機関も多いですがフラット35では手数料がかからないというのもメリットです。

万が一の場合に備えて、死亡時と身体障害を負った場合に対応できる「新機構団信」や3大疾病保障と介護保障を加えた「新3大疾病付機構団信」に加入することもできます。

質の高い住宅を建てるならフラット35S

フラット35を利用する場合、質の高い住宅を建設するときは金利が一定期間引き下げられるフラット35Sというプランもあります。フラット35Sは当初10年間の金利が0.25%引き下げられる金利Aプランと、当初5年間引き下げられる金利Bプランの2種類です。

住宅技術レベルに応じてフラット35Sを利用することができ、金利Aプランの方がより高い技術レベルで建てられた住宅が対象になります。具体的には省エネルギー性やバリアフリー性・耐震性・耐久性および可変性という4分野の住宅性能が評価の対象です。

フラット35Sを利用するためには住宅金融支援機構が定める基準をクリアする必要があり、そのためには第三者の検査機関による検査を受けなければなりません。フラット35Sの適用を受けるためにはいくつか手順がありますが、質の高い住宅を建てようと検討しているならメリットの多いプランだといえます。

子育て支援型・地域活性型のフラット35とは?

子育て支援型・地域活性型フラット35のメリット

地方公共団体のなかには子育て支援や地域活性に力を注いでいるところも多く、条件に合えば補助金を受けることができます。

住宅金融支援機構ではそうした子育て支援や地域活性に関する取り組みを行っている地方公共団体と提携し、子育て世代や地域の活性に役立つ住宅購入をしようとしている人に特典の多いプランを用意しているのです。

いろいろな種類のフラット35

子育て支援型・地域活性型のフラット35は、住宅を建てようとしている場所のある地方公共団体が住宅金融支援機構と提携していなければ利用することができません。ただ、利用できる条件が整っていれば当初5年間の金利が0.25%引き下げられます。

さらに、地方公共団体が実施している住宅購入に関する補助金制度と併用することができるという点がメリットのひとつです。

子育て支援型と地域活性型はお互いに併用することはできませんが、質の高い住宅を建設する際に利用できるフラット35Sとの併用はできます。そのため、子育て支援型や地域活性型とフラット35Sの併用ができれば当初5年の金利が最大0.5%引き下げられるということです。

子育て支援型フラット35の概要

子育て支援型のフラット35では子の年齢などが地方公共団体で定められていますが、条件に合えばフラット35の金利引き下げというメリットと地方公共団体からの財政支援の両方を受けて住宅を建てることが可能になります。

しかし、それだけではなく若年の子育て世代が親世代と同居したり近居したりするケースでも適用されるという点が特徴的です。

地域活性型フラット35の概要

地域活性型では出身地に戻って住宅を建てるUターン、出身地以外の場所に住宅を構えるIターンに加え出身地に近いエリアに住宅を建てるJターンにも対応しています。また、地域によっては歩いて暮らすことができるような都市機能の集約されたコンパクトシティ形成に力を入れている地方公共団体があります。

居住誘導区域の設定がされている地方公共団体で、区域外から区域内に移住するために住宅を建設するときにも地域活性型のフラット35を利用することが可能です。

さらに、国内各地で空き家が問題となっていることから地域活性型のフラット35は空き家活用を促進するという点でも期待されています。そのため、空き家バンクに登録されている住宅を購入する際にも地域活性型のフラット35を利用して住宅ローンを組むことが可能です。

フラット35(リフォーム一体型)とフラット35リノベとは?

フラット35(リフォーム一体型)について

フラット35は家を新築するときだけではなく、中古住宅を購入する際にも利用できるプランがあります。

そのひとつがフラット35(リフォーム一体型)で、中古住宅を購入して同時にリフォーム工事を行う場合が対象となるプランです。フラット35(リフォーム一体型)では、中古住宅の購入資金とリフォーム工事の費用をひとつの借り入れとしてまとめることができます。

リフォーム工事に関しては、特に内容や規模は限定されていません。そのため、天井や壁のクロス張り替え工事でも大丈夫です。もちろん、太陽光パネルの取り付けや省エネ型エアコンの設置、節水型トイレの取り付けなど、省エネ対応のリフォーム工事もリフォーム一体型のフラット35が利用できます。

また、階段や浴室などに手すりを取り付ける工事のように、バリアフリー性に優れた住宅にするリフォーム工事も対象です。さらに、フラット35Sの技術基準を満たす工事した場合、フラット35Sの一定期間金利引き下げのメリットを同時に受けることもできます。

中古住宅購入用のフラット35もある

フラット35リノベ

同じ中古住宅を購入して工事を行う場合でも、性能向上リフォームを行うならフラット35リノベで住宅ローンを組むことができます。つまり、単に性能の落ちた箇所を修復するという意味合いのリフォームではなく、性能を一定以上に向上させ住宅の価値を上げるリノベーション工事を行うときに利用することができるということです。

また、中古住宅購入後に工事を行うときに利用できるだけではなく、すでに工事が終わって機能が向上した住宅を購入する際にも利用することが可能です。なお、フラット35リノベは住宅ストックの質向上、中古住宅市場やリフォーム工事市場の活性化などを狙った制度として、住宅金融支援機構が独自に実施しているもので、ほかにはありません。

具体的な工事としては断熱性が高く省エネルギー性に優れた住宅にする工事や、耐力壁を追加したり素材の軽い屋根に葺き替えたりするなど耐震性を上げる工事などが含まれます。

また、段差の解消やトイレの拡張工事などバリアフリー性を高める工事、防腐・防蟻措置を施すなど耐久性・可変性に優れた工事も対象です。

フラット35リノベでは金利Aプランで当初10年間、金利Bプランでも当初5年間の金利が0.5%引き下げられるため、性能の高い中古住宅を取得しながら同時に金利引き下げのメリットも受けることができます。

細かいニーズにも対応できるフラット35

住宅金融支援機構が提供している商品では、借り入れ期間が15年以上20年以下の場合に選択できるフラット20というプランもあります。

毎月の返済に余裕がある人や返済期間を短くしたい人ならば、フラット20を利用すると通常のフラット35よりも低い金利で借り入れすることが可能です。

逆に最長50年全期間固定金利のフラット50というプランは、長期優良住宅を取得する場合に利用することができます。

フラット35の借換融資や、住んでいる住宅を賃貸にし、賃料を新しい住宅を取得するときの収入として使える機構住みかえローンもあり、ローン返済中に状況が変化したときのためのプランも用意されています。

また、ローン返済中の長期優良住宅を売却する際、買主にフラット35の債務を引き継げる金利引継特約付きフラット35などもあります。

さらに、将来返済が困難になるかもしれないリスクに備え、住宅金融支援機構が提携している住宅借上機関に賃貸して賃料を返済に充てる家賃返済特約付きフラット35もあるなど、細かいプランが多彩です。

ほかにも、収入合算や親子リレー返済、元利均等返済と元金均等返済が選択可能など、利用者のニーズに合わせたプランを探せる選択肢の多様さが住宅金融支援機構の提供するフラット35の特徴でしょう。

フラット35はもちろん災害時も頼りになる住宅金融支援機構

住宅建築に縁のない生活をしていると、住宅金融支援機構についてあまり詳しく知らないということが多いかもしれません。しかし、住宅ローンを組んで家を建てた経験がある人や、これからマイホームを持とうと考えている人なら、フラット35を耳にしたことがあるという人も多いはずです。

申し込み自体は民間の金融機関で行いますが、証券化支援業務を行っているのが住宅金融支援機構という公的な機関であることから、信頼度も高い住宅ローンだといえるでしょう。もちろん、全期間固定金利でローン完済時まで金利が上昇することもないという点ではリスクも少なく、長期間返済を続けるうえでは資金計画が立てやすいプランです。

 住宅金融支援機構はフラット35の証券化支援事業だけではなく、災害予防や復興にも力を入れています。

また、金融市場や住宅市場に関連するさまざまな調査や研究も行っていることから、住宅建築や住宅ローンに関しての情報やノウハウも持っており、さまざまな局面で頼りになるのが住宅金融支援機構です。