住宅用家屋証明申請書って何のことかご存知ですか?住宅を新築したり、購入したりしたことのある方ならわかるかもしれません。現在所有している不動産を売却後、また新たな住宅の所有を検討している方にとってはメリットがあるので、知っておいたほうが良いと言えます。

住宅用家屋証明申請書について、今まで全く聞いたことがないという方にもわかりやすいように、取得方法や要件などについて詳しくお伝えします。

住宅用家屋証明申請書とは?

たとえば、自分が住むという目的で住宅を新築で建てたり分譲マンションや建売住宅を購入したりするとします。

その際に、住宅の所有権の保存登記・移転登記や抵当権設定登記などを行う必要がありますが、その際に登録免許税が発生します。そして、このとき根拠法令下での一定の要件を満たしている場合、登録免許税の税率軽減措置を受けることができます。

住宅購入や建築した際の登録免許税の税率軽減措置を受けることができる

この「一定の要件を満たしている」ということを証明するものが、市区町村が発行する住宅用家屋証明です。住宅用家屋証明申請書とは、私たちが役所で申請するために必要となる様式のことです。

住宅用家屋証明を取得するメリットとは?

住宅用家屋証明があることで、租税特別措置法に基づいて不動産の保存登記などにかかる登録免許税の減免を受けることができます。

所有権の保存登記にかかる登録免許税
通常=0.4

■減免後
◇一般住宅=0.15%
◇特定長期優良住宅=同様
◇認定低炭素住宅=同様
「所有権の移転にかかる登録免許税」
通常=2.0%

■減免後
◇一般住宅=0.3%
◇特定長期優良住宅=0.1%

そのうち
◇一戸建て=0.2%
◇認定炭素住宅=0.1%
◇特定の増改築が行われた住宅=0.1%

ただし、特定長期優良住宅と認定低炭素住宅の場合は、建築後使用されたことがあるものは減免措置の適用外とされているので注意が必要です。

さらに、抵当権の設定にかかる登録免許税は通常0.4%ですが、減免後は一般住宅、特定長期優良住宅、認定低炭素住宅、特定の増改築が行われた住宅のすべてで0.1%の税率となります。

所有権の移転や抵当権の設定にかかる登録免許税の減免率は高いので、これらの登記が必要である場合は住宅用家屋証明の取得を検討したほうが良いでしょう。

住宅用家屋証明を取得するための要件ってあるの?

 住宅用家屋証明は無条件に取得できるものではありません。以下、住宅用家屋証明を取得するための要件を挙げます。

  1. 新築の住宅の場合は新築後1年以内、建築後未使用の住宅(建売住宅・分譲マンション)または建築後使用されたことのある住宅(中古住宅)の場合は取得後1年以内に登記している
  2. 新築、または取得した住宅は自身が居住するために建てたものである
  3. 登記事項証明書に記載されている床面積が50平方メートル以上である
  4. マンションなどの区分所有物の場合、建築基準法で定める耐火建築物、または準耐火建築物に該当する
  5. 事務所や店舗などとの併用住宅の場合、居住部分が90%を超えるものである
  6. 所有権の移転登記については、当該住宅の建築後の年数が木造及び軽量鉄骨造の場合は20年以内、鉄筋コンクリート・鉄骨・鉄骨鉄筋コンクリート造などの場合は25年以内である(ただし、新耐震基準を満たしている場合はこの限りではない)、または当該住宅の取得原因が売買または競落によるものである

住宅用家屋証明の取得のための要件は、それぞれの市区町村によって表記の仕方が異なっていてもおおむね内容は同じです。

これらのほか、住宅の取得日が申請日以降となる場合には証明ができないので、申請は住宅の取得日以降に行う必要があります。

自分の住宅が要件を満たしているかよくわからないという場合は、市区町村の担当部署の窓口で尋ねてみるとよいでしょう。

住宅用家屋証明はどこでどのように取得するの?

 住宅用家屋証明は、当該住宅のある各市区町村の役所で取得することができます。

担当する部署は建築課や市民税課などまちまちなので、どの部署が窓口になるのかをあらかじめHPなどで調べておく必要があります。

また、市役所でも本庁が窓口となる場合もあれば、各地域の支所が窓口になっている場合もありますので間違えないよう気を付けましょう。

多くの市区町村のHPには住宅用家屋証明の概要の説明や要件、必要書類などの説明があったり、申請書類などの様式がダウンロードできるようになっていたりするのでチェックしてみましょう。

住宅の種類によっては、建築士などの専門家によって作成された書面の提出を求められることがあるので、書類の準備は余裕を持って行う必要があります。

あらかじめ用意しておいた住宅用家屋証明を受けるための必要書類を窓口に提出したら、原則的には証明書は即日交付されます。ただ、一度に数件の申請をした場合には日数を要することも考えられるので、早めに入手したい場合には事前に窓口に相談してみましょう。

必要書類の提出手段は、郵送でも受け付けている自治体はありますが、多くの自治体では窓口に直接提出することが求められています。

また、住宅用家屋証明は弁護士や司法書士などの代理人を立てて申請することもできますが、名義は登記を受ける個人であることに注意が必要です。

代理人による申請の場合は、自治体によって代理人の職印や申請者からの委任状が必要になる場合がありますので、これも事前にHPなどで情報を確認しておくと安心です。

住宅用家屋証明を取得するために必要なものは何?

住宅用家屋証明を受けるために必要となるのは、各必要書類と申請にかかる手数料です。申請料は1件につき1,000~1,300円前後と自治体によって額が異なります。必要書類については大体以降に挙げるものが必要とされますが、これも自治体によって異なりますので詳しくはHPなどで確認しましょう。

  1. 住宅用家屋証明申請書
  2. 住宅の所有者の住民票の写しまたは印鑑証明書
  3. 登記事項証明書(新築で未使用または既使用の場合)
  4. 建築確認済証または検査済証(新築で未使用の場合)
  5. 家屋未使用証明書(未使用の場合)
  6. 売買契約書または譲渡証明書、または登記原因証明情報(未使用、既使用の場合)

そのほか、既使用で区分建物に分類される住宅の場合は、耐火建築物または準耐火建築物であることが分かる書類が必要とされたり、長期優良住宅の場合は長期優良住宅認定申請書副本及び認定通知書の原本が必要とされたりするなど、住宅の種類によってそれぞれ必要になる書類が異なっています。

また、登記内容の種類(保存登記、移転登記など)によっても必要書類は変わってきます。さらに、入居が登記後となる場合には「申請書」ではなく、「申立書」という様式で書面の提出を求める自治体もあるので注意が必要です。

そのほかの添付書類については、現在の住民票の写しや申立にかかわる書類などの提出を求められます。申立にかかわる書類とは、現住居の処分方法がわかる書類のことです。

たとえば、現住居を売却する場合には売買契約書や媒介契約書など、賃貸する場合は賃貸借契約書や媒介契約書などとなります。

市区町村によっては、現住居の処分方法が未定の場合の添付書類まで丁寧にHPに掲載しているところもあるのでよく目を通してみましょう。

自分の住宅がどのような要件を満たし、どの登記を行うのかを見極めてから申請を行う必要があります。また、提出した書類は返却しないとしている自治体もあるので、必要に応じてあらかじめコピーをとっておきましょう。

住宅用家屋証明を取得して節税対策をしよう!

住宅用家屋証明申請書は、住宅用家屋証明の取得に必要となる書類のひとつです。住宅用家屋証明の取得のためには、まずその要件を満たしているかのチェックを行うことと必要書類をきちんと揃える必要があります。

住宅の所在する市区町村の窓口またはHPで情報を確認し、内容を理解しておきましょう。また、取得のための要件や必要書類などについて、何か不明な点がある場合は窓口の担当者に問い合わせてみましょう。

納税は国民の義務なので、原則法律で定められている満額を納めなければいけません。ただし、ある条件を満たせば、本件のように法律でその税率の軽減が適用される場合があります。

このような情報は、各自治体が発行している広報紙やHPなどで紹介されていることがあるので、普段からチェックして情報収集に努めましょう。マイホームを入手する予定のある人は、事前に自分の住む自治体がどのような制度を用意しているのかということをあらかじめ調べてまとめておくと良いでしょう。

また、住宅用家屋証明書は取得したらコピーをとっておくと後々安心です。住宅の登記にかかる登録免許税の減免のための手続きのみならず、不動産取得税の手続きや確定申告などで住宅用家屋証明書が必要となるからです。

特に、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅を取得した場合、所得税の住宅ローン控除の手続きの際にも住宅用家屋証明書が必要であることに留意しておきましょう。住宅用家屋証明書は再発行ができないので、万が一紛失した場合は再度申請手続きを行わなければなりません。くれぐれも紛失したり、うっかり破棄したりすることがないよう気を付けましょう。

現在の不動産を売却したあとで、新たにマイホームを入手する予定があるのであれば、少しでも節税するためにも住宅用家屋証明の取得を検討してみてはいかがでしょうか。手続きを自分で行うのは難しいと感じるなら、行政書士や司法書士などの専門家に相談してみるのもひとつの手です。