不動産売買では普段聞きなれない用語が多数出てくるため、それぞれの用語の意味を知っておかないと、あとからトラブルが生じる可能性があります。言葉の意味や内容を理解し、スムーズに売買できるよう準備しておきましょう。今回は「開発許可」について説明していきます。

開発許可とは?

開発許可とは都市計画法第29条で定められている、宅地造成などを行う場合に必要な許可のことです。

都市計画法とは1968年に制定された法律で、都市整備を計画的に行うための基本的な仕組みが定められています。開発行為を許可制にすることで、都市が健全で秩序ある発展を遂げるようにするのが目的です。

市街化区域や市街化調整区域内のうち、都市計画が定められている区域内で一定以上の面積で開発行為を行う際に許可が必要になります。

特定工作物はゴルフコースなど

開発行為とは、建築物の建築や特定工作物の建設目的で行われる土地の区画形質の変更のことをいいます。特定工作物にはゴルフコースやコンクリートプラントなどがあります。

開発行為を行う人は、開発行為を始める前に知事や市長に申請して許可を受けなければいけません。許可が必要な面積は、原則として1,000平方メートル以上とされています。ただし、三大都市圏の一部地域では500平方メートル以上というところもあります。さらに、都道府県が決めた区域に限って300平方メートルまで、別に定めることが可能です。

開発許可を与える基準は全般的許可基準と、市街化調整区域内の基準があります。

全般的許可基準とは?

全般的許可基準は技術的基準ともいわれ、都市計画法第33条で定められている全国どの地域でも適用されている基準です。たとえば、建築予定の建築物の用途が用途地域や特別用途地区、特定用途制限地域などに合っているかを確認します。

用途地域
用途の混在を防ぐ目的で、市街地の土地利用を定めた地域のこと
特別用途地区
用途地域内の特定の地区で、環境保護や地区の特性にふさわしい土地利用を進めることを目的に定められた地区をさす
特定用途制限地域
用途地区が定められていない地区で、良好な環境を維持するために特定の建築物などの用途を定めている地域のこと

また、その地区にふさわしいまちづくりを実現するための地区計画が定められているときも、

◇施設の規模や配置は適切かチェックされる
◇公共施設や公益的施設と建築予定物の配分が適切かどうかも基準になる
◇排水施設や土地に対する安全措置も許可基準のひとつ
※溢水などの被害が起きないようきちんと排水施設が整備されているか
※地盤が弱い土地やがけ崩れの心配がある土地なら地盤の改良や擁壁の設置がされているか

がポイント

それから、用途が自己居住用の住宅以外の場合は、ほかにも基準があります。また、開発行為を行う区域内の土地や建築物の権利者の同意も必要です。

◇水道や給水施設が想定されている需要に対応できるか
◇災害危険区域、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域などが含まれていないか(ただし、支障がない場合は含んでも良い)
◇道路や公園、公共空地が環境保全の面などで、支障がない規模・構造で配置されているかなども含まれる
◇開発許可を申請する人に、その開発許可を行うために必要な資産や信用があることも基準になる
◇工事施工者が工事を完成するための能力があることも必要

市街化調整区域内の許可基準とは?

全般的許可基準が全国どの地域でも適用される基準なのに対して、市街化調整区域内の許可基準は市街化調整区域内でのみ適用されます。

市街化調整区域内の許可基準は非常に厳しいものとなっていて、特別な事情がない限り宅地造成は許可されません。市街化調整区域内の基準では、次の8つの開発行為のみ許可されます。

8つの開発行為

日常生活に必要な物品の販売
食品や日用品など生活するうえで必要な物品の販売や、加工・修理を行う店舗や事業場
農林漁業用の建築物
市街化調整区域内で生産されている農林水産物を保存したり加工したりするのに必要な建築物が許可される
鉱物資源・観光資源の利用施設
◇すでに市街化調整区域内に存在していて、鉱物資源や観光資源を有効に利用するため必要なものは許可される

◇また、市街化区域内での建築が困難な鉱物資源・観光資源利用施設も許可の対象
市街化区域内で建設することが困難・不適正なもの
たとえば、ガソリンスタンドや道路管理施設、休憩所などが対象となっている
条例で認められたもの
◇市街化区域内での建築が困難・著しく不適切な開発行為は、条例で定められた区域と用途を守れば開発行為が認められる

◇ただし、周辺の市街化を促進する恐れがないものとされている
既存住宅
◇都市計画で市街化調整区域が定められた際、自己居住用の住宅や自己業務用の建築物などを建築する目的で土地や土地の権利を所有していた場合

◇市街化調整区域が決定されてから6カ月以内に知事に届けを出し、市街化調整区域の決定から5年以内の建築であれば開発行為が可能になる
地区計画などの地域
地区計画や集落地区計画の区域内で、計画に即した開発であれば許可される
開発審査会で議決を得たもの
◇20万平方メートル以上の大規模な面積があり、区域内の計画的市街化に支障がないと議決されれば開発許可となる

◇たとえば、市街化調整区域内にある企業のための社宅や、農家の分家住宅などがこれにあたる

市街化区域と市街化調整区域の違いは?

ここで、開発許可の基準に関わる市街化区域と市街化調整区域の違いについて説明しておきます。

市街化区域
都市計画区域のひとつで、すでに市街地ができあがっている区域や、10年以内の市街化を計画している区域のこと

都市計画区域のなかで、都道府県知事が区分を決定します。市街化区域のなかでは、必ず用途地域が定められています。また、都市機能として道路や公園、下水道の整備が最低限求められるため、重点的に整備されます。

市街化調整区域

市街化区域で開発行為を行う際は、はじめに説明したように1,000平方メートル以上の開発行為で開発許可が必要ですが、一定の区域では許可が必要な面積が異なります。たとえば、都市計画区域のなかでも市街化区域と市街化調整区域の区分がされていない、非線引き区域では3,000平方メートル以上で許可が必要です。

準都市計画区域という市街化の進行が見込まれる区域でも、許可が必要な面積は3,000平方メートル以上です。また、都市計画区域、準都市計画区域の外で開発行為をする場合は、1万平方メートル以上の面積なら許可が必要になります。

市街化調整区域
■市街化を抑制するべき地域のこと
こちらも都市計画区域内で都道府県知事が区分を決定する

原則として用途地域を定めることはなく、仮に整備されたとしても積極的には行いません。そのため、市街化調整区域内の開発許可基準では、新たな宅地造成は認められず基準も厳しいものになっているのです。

市街化調整区域内でも住宅が建てられることがある!?

市街化調整区域内では原則として新たな宅地造成が認められていませんが、市街化調整区域内の許可基準8つ目で紹介した開発審査会によって許可されるケースもあります。

ちなみに、都道府県によっては5万平方メートル以上20万平方メートル未満で許可基準の面積が定められていることがあります。ただし、開発審査会で許可される場合は建築物の用途や容積率、建ぺい率が指定されたり、地区計画・用途地域が定められたりすることが多いです。

また、市街化調整区域内の更地でも、条件をクリアすれば住宅を建てられることがあります。

改正都市計画法では「市街化区域に隣接しているか近接している区域で、自然的・社会的諸条件から市街化区域と日常生活圏が一体化している構成ということが認められる地域」で、なおかつ「市街化区域内のものを含む、おおむね50以上の建築物が建ち並んでいる地域」の場合は開発行為が認められることになっています。とはいえ、そのほかの基準は自治体の条例で定められるため、全国で統一されているわけではありません。条例によっては敷地の面積や規模、公共下水との接続の状況など条件が細かく定められています。

そのため、市街化調整区域内で住宅を建てる場合は、事前に役所で詳細の確認が必要です。

市街化調整区域で住宅は条件次第で建てられる

開発許可が必要ない開発行為

開発行為のなかには、開発許可を受けなくても良いものがあります。

1.開発許可が必要になる面積よりも狭い面積での開発行為

2.市街化調整区域が定められていない都市計画区域・準都市計画区域内で、農林漁業者のための住宅や農林漁業用の建築物を建築するとき

3.農林漁業用の建築物とは工場以外の畜舎や集荷施設、貯蔵保管施設のことで、建築面積が90平方メートル以内の施設と定められている

4.公益施設のための開発行為

5.公益施設には駅舎や郵便施設、墓地やごみ処理施設なども含まれる

6.国や都道府県、特定の市町村が開発行為を行う場合や都市計画事業として開発する場合 すでに都道府県が認めているため

7.市街地再開発事業、住宅街区整備事業、土地区画整備事業の施行

8.非常災害が起きた際、応急処置として必要なこと

開発許可が必要な区域内の不動産売買で注意することは?

市街化区域は比較的、不動産売却をしやすい区域ですが、開発許可の基準が厳しい市街化調整区域の不動産売却はなかなか進まないことがあります。

とはいえ、市街化調整区域内でも都市化を進める市街地開事業の対象区域であれば住宅の建築許可が不要ですし、地方自治体によっては開発を認める区域が条例で指定されています。

市街化調整区域の不動産は売却しにくい

売却したい不動産が土地の場合、これらの区域内であれば売りやすくなるので市街地開発事業の対象区域になっているか、条例で開発が認められているかを確認してみましょう。

売却したい不動産が建物であれば、市街化調整区域の線引きがされた1970年頃より前の物件か、後の物件かによって売りやすさが変わります。線引きがされる前の物件なら一定の条件をクリアすれば建て替えや増築の許可が不要です。しかし、線引き後の物件の場合、規制がかけられることがあるのでなかなか売れない可能性があります。

また、開発許可が必要な区域内の土地を開発しないまま売却すると、開発にかかる費用を考慮されて相場金額よりも低い価格になってしまいがちです。だからといって開発してから売却すると開発にかかった費用を負担しなければなりません。そこで「開発許可条件付き売買」という方法があります。

開発許可条件付き売買
その土地の特性を活かして開発計画を検討し、行政と事前協議を行い売買することで土地に付加価値をつけることが可能になる

ただし、開発許可条件付き売買での注意点があります。

たとえば、商業施設などの事業用地として開発許可が下りることを条件に土地の売買契約を締結したにもかかわらず、開発許可が下りずに買主がほかの目的で開発を進めようとしたとします。その後、進展がないため売買契約を取り消したいとなった場合、契約を取り消すことは可能ですが手付金は返却しなければなりません。

一方、開発許可が下りることは条件とせず、商業施設用地として売買契約をしたはずなのに、ほかの目的で土地が利用される場合は買主の契約不履行となるので売買契約の解除をしても手付金の返却は必要ありません。

開発許可について区域や基準を確認しておこう

開発許可は都市計画が定められている区域内において、一定以上の面積で開発行為を行う際に必要な許可です。

開発許可の基準は、全国的に適用されている全般的許可基準と、市街化調整区域内で定められている基準の2種類があります。特に、市街化調整区域内での基準は厳しい条件となるので、不動産売買を考えるなら土地がどの区域に当てはまるのか確認しておくことが大切です。

また、市街化調整区域内での住宅の建築条件は、都道府県によって変わるので事前に役所で調べておきましょう。