マイナス金利は、不動産の売却にとって有利な条件だといわれています。マイナス金利と不動産売却には、どのような関係があるのでしょうか。今回は、マイナス金利と不動産の関係について説明し、不動産売却のポイントを解説します。ポイントをおさえ、効果的に不動産売却を行いましょう。

マイナス金利とは

民間の金融機関は、中央銀行である日本銀行にお金を預けています。「マイナス金利政策」とは、これに対してかける金利をマイナスにすることです。

民間の金融機関からお金を預かる日本銀行

この場合、お金を預けている民間の金融機関には金利を支払う義務が発生します。そうなると民間の金融機関は、中央銀行にお金を預けておくよりも企業などへお金を貸し出したり、投資にお金をまわしたりするほうがよいと判断します。

中央銀行の目的は、民間の金融機関がこのような考えに基づいて行動することにより、経済を活性化させることです。具体的には、物価を2%上昇させることが目標とされています。

ただし、マイナス金利は民間の金融機関が中央銀行に預けているすべてのお金に対して適用されるわけではありません。マイナス金利政策の対象となるのは、一部の当座預金に限られています。

現在の日本のマイナス金利政策は、2016年1月から導入されました。なお、世界では、スイス・スウェーデン・デンマークの中央銀行などがマイナス金利政策を行っています。

マイナス金利と不動産売却の関係

マイナス金利と不動産売却にはどのような関係があるのでしょうか。マイナス金利下で不動産売却を行うのが有利である理由について見ていきましょう。

マイナス金利の効果

マイナス金利の実施により、民間の金融機関は、中央銀行に預けていたお金を市場で運用し始めます。このときの金融機関は「お金をたくさん貸したい」という状態です。

銀行は、お金を借りる人を少しでも多く確保する方法を考えるようになります。そうなると、銀行はお金を貸し出す際の金利を下げるという手段を取ります。

この動きによって、不動産投資に関わるローンの金利も低くなることが期待できるでしょう。そうなると、不動産を購入したいという意欲をもつ人が多くなります。

マイナス金利で不動産が売れる理由

銀行から借りることができるローンには、変動型と固定型があります。これはローンを組む際に決定し、基本的にあとから変更することはありません。

  • 変動型・・・市場の相場に合わせて随時金利の見直しを行うというものです
  • 固定型・・・ローンを組んだ際の金利が、ローンを払い終わるまで適用されます。

つまり、金利が低いときに固定型でローンを組めば、その後、ローンの金利相場が上ってもその影響を受けることはなく、低い金利のままローンの返済を続けることができるということです。このような理由から、ローンの金利が下がると不動産の人気が高まります。

マイナス金利は、有利に不動産投資を進めるための起爆剤となります。ただし、不動産を投資目的で購入する場合は、固定型でローンを組むのは難しいのが現実です。そのため、不動産投資家がローンを組むときは、変動型での返済シミュレーションを綿密に行う必要があります。実際に不動産を購入できるのは、将来的に安定して返済できる状況にある人のみです。

不動産の人気が高まると、不動産の価格は少し高めに設定されるようになりますが、こういった背景を持つ不動産投資家であれば、多少高値でも不動産を購入してくれる可能性が高いと言えるでしょう。

不動産売却におけるマイナス金利のメリット

不動産売却において利益となるのは、不動産売却時の売却益です。マイナス金利という状況下では、この利益を生み出しやすいというメリットがあります。具体的なメリットは以下のとおりです。

不動産売却におけるマイナス金利は不動産売却益を生み出しやすい

ローン金利の低下

すでに触れていますが、マイナス金利はローンの金利を下げるという特徴があります。

たとえば、所有する不動産にローンが残っている場合、売却を行うためにはそれらをすべて返済する必要があります。仮に変動型のローンを選んでいたとすれば、マイナス金利に伴ってローンの金利も低下するはずです。そうなれば、ローンの返済がしやすくなります。

金利が低いうちに返済を済ませ、不動産を売却すれば、より大きな利益を得ることができるでしょう。

購入希望者がローンの審査に通りやすい

マイナス金利政策によってローンの金利が低くなるのは、金融機関が「積極的にローンを組みたい」という姿勢になっていることが大きな要因です。

ローンを組む際は、不動産購入者の収入や返済能力、購入予定物件の収益性などが細かく審査されます。不動産投資ローンの審査はとくに厳しいと言われており、場合によっては審査に通らないこともあります。しかし、ローンの金利が低く、金融機関が融資に積極的な状況では、比較的ローンの審査にも通りやすいです。そのため、自分の不動産の購入希望者がローンを組み、不動産を購入してくれる可能性も高くなります。

不動産の売主にとっては、不動産の売買がよりスムーズに進むようになるはずです。

不動産価値の上昇

マイナス金利により不動産投資の人気が高まると、不動産の需要も増加します。そうなると、市場に出回っている不動産の相場も上昇しやすいです。

多くの人が不動産を欲しがっている状況下では、より高値で不動産を売ることが比較的容易になります。高値で不動産を売却することで、より多くの利益を得ることが可能になります。

不動産投資におけるマイナス金利のデメリット

マイナス金利は、不動産売却にメリットをもたらすだけではありません。場合によってはマイナス金利によってデメリットが発生する場合もあるため、十分注意しましょう。具体的なデメリットは以下のとおりです。

不動産投資におけるマイナス金利のデメリットは?

売却価格の相場がつかみにくい

不動産投資の人気が高まると、市場に出回っている不動産の価格が高騰します。そうなると、本来ならもっと安い価格で販売されるような物件も、高額で取引されるようになります。そうなると、たとえば不動産の売却が終わったあとで「もっと高値で売れたかもしれない」と後悔をする可能性がないとは言えません。

競合が増加する

市場に出回る不動産が増えるということは、ライバルが多くなるということです。

似たような条件の不動産があった場合、ライバルの物件に少しでも魅力的な要素あれば、不動産購入希望者はそちらと契約を結ぼうとするでしょう。不動産の人気が高まっているときであれば、それほど焦らなくてもほかの購入希望者が現れます。

しかし、ライバルの物件が売れたことによって焦ってしまい、価格を下げ過ぎるといった失敗をしないように注意する必要があります。

マイナス金利下で不動産売却を成功させるポイント

デメリットにさえ注意すれば、マイナス金利は不動産売却を成功させるチャンスです。気をつけるべきポイントをおさえ、不動産売却の成功を目指しましょう。マイナス金利下で不動産売却を成功させるポイントとしては、主に以下の3つを挙げることができます。

マイナス金利下で不動産売却を成功させるポイントは3つ

市場に出回っている不動産を観察する

不動産の売却を考え始めたら、まずは市場に出回っている不動産の状況についてよく観察するとよいでしょう。一度だけでなく、ある程度の期間をかけて経過をみることが必要です。

たとえば、どのような物件がいくらで売られているのか、売りに出すとどの程度の期間で売れるのかといった視点で見てみるとよいです。その結果をもとにして、自分の所有する不動産はいくらで売れそうか、どのくらいの期間で購入希望者が現れそうかなどを考えてみましょう。

特に、ローンが残っている場合は、不動産を売却する前にローンの全額を返済しなければならないという課題があります。

ローンを無理に返済してでも不動産を売却するメリットがあるのか、よく観察したうえで判断する必要があります。

競合となる物件の状況を把握する

実際に不動産を売却することになったら、競合となる物件の状況を把握しましょう。同じ条件の物件であれば、当然に価格が安いほうが売れやすくなります。

不動産が売れやすい状況下では、無理に価格を下げる必要はあまりありません。ただし、似た条件の不動産が多い場合やはやく売却したいという場合は、売却で得た代金の使い道に影響が出ない範囲で価格を下げるというのもひとつの手です。

また、ちょっとした設備の違いでも、購入者にとっては決め手となることもあります。余裕があれば、競合物件の内部の様子などを把握し、少しの手間で不動産の魅力を増すことができないか検討してみましょう。

なお、物件の売却時には、意外なほど清潔感が重要です。購入希望者が見学する際は、そういった細かいところに影響を受けます。こまめに掃除をし、ほこりなどがたまらないよう注意すべきです。

売却のタイミングを見計らう

不動産の売却では、そのタイミングも大切です。ただし、市場の流れを読むのは、不動産の専門家にとっても簡単なことではありません。競合物件が少ないときを狙うことも重要ですが、それ以上に自分にとって売却しやすいタイミングをしっかり見計らうことを意識しましょう。

具体的にはローンの支払い状況を考慮し、金銭的な体力が十分に備わっているかを把握することが必要です。

不動産の売却は、まわりの状況に流されず、自分に適したタイミングで行うようにしましょう。

不動産売却はマイナス金利の仕組みを理解して慎重に行おう

 マイナス金利は、不動産売却に対する有利な条件を生み出す起爆剤となります。不動産売却を行う際は、その仕組みをしっかり理解したうえで取り組むことが重要です。

たとえば、マイナス金利下で不動産の需要が高まっているとはいえ、不動産を売りに出せば必ず売れるという保証があるわけではありません。条件によっては、不動産がいつまでも

売れない可能性もあります。無理にローンを返済して不動産の売却益をあてにしていた場合、不動産が売れなければ大変なことになるでしょう。そのため、不動産を売却する際は、不動産はすぐに売れるのか、売れなかったらどうするのかといったところまで視野に入れておくのが望ましいです。安易に不動産を売却すると、失敗する可能性も十分にあります。

不動産を売却するなら、金銭的な条件をシビアに見つめ、本当に売却すべきか慎重に判断することが大切です。そしてその判断に的確なアドバイスや信頼し相談できる、不動産のプロを見つけておくことも大切です。

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