不動産の売却は、多くの方が人生の中で1度や2度しか行わないもの。わからないことがあって当然です。
しかし“わからない“からといって、失敗は許されません。不動産は非常に高額なものなので、少しの失敗が大きな後悔にもつながってしまうからです。
そこで本記事では、これから不動産売却する人が必ず知っておくべきコツをまとめました。
伝授するコツは、全部で3つ。どれも大事なことなので、ぜひチェックしてみてくださいね。
この記事の目次
不動産売却のコツ1.売却の流れを知る
まず1つ目のコツは、不動産売却の流れを知ること。なぜこれが大事なのかというと、まず不安がなくなるからです。
「このあとはなにが待ち受けているんだろう?」という状態と、「媒介契約を締結したら売却活動が開始されるのね!」という心持ち。右も左もわからない不動産売却において、この後の工程がわかっている方が安心できます。
また不動産売却の流れがわかっていると、自分がすべきことも見えてきます。
「この後の内覧に備えて家を綺麗にしておこう!」
「売買契約が終わったらすぐに引っ越し準備をしないと」
このように、この後を予測した行動をとることができるのです。
流れを知ることは、スムーズに不動産取引を行う上で大事なことであり、心の余裕にもつながります。
それでは、不動産売却の5つのステップを見ていきましょう。
STEP.1不動産査定
不動産を売却するには、まずはその不動産にどれくらいの価値があるのかを知らなければなりません。価値を知ることで、いくらで売り出すのが適切なのかがわかります。
また不動産の価値を知るためにおこなう査定は、不動産会社を見極めるための場でもあります。
査定額も大事ですが、「どうしてその査定額になったのか」「どこが付加価値となるのか、逆にどこがマイナスポイントとなるのか」などを丁寧に教えてくれる不動産会社を選ぶようにしましょう。
STEP.2媒介契約
不動産査定を経て、売却を依頼する不動産会社が決まったら、次のステップは媒介契約です。
媒介契約とは、不動産会社と売主との契約。媒介契約期間と売り出し価格を記載して、双方が署名・捺印します。
媒介契約には、次の3つの種類があります。
|
一般媒介契約 |
専任媒介契約 |
専属専任媒介契約 |
複数社との契約 |
〇 |
× |
× |
自己発見取引 |
〇 |
〇 |
× |
レインズ登録 |
義務なし |
7日以内 |
5日以内 |
定期連絡 |
義務なし |
2週に1度以上 |
1週に1度以上 |
契約期間 |
定めなし(3か月以内が奨励) |
3か月以内 |
3か月以内 |
媒介契約を締結する上で一番に考えるべきポイントは、複数社に依頼するのか1社に限定して依頼するのか。つまり、一般媒介にするのか、その他2つのいずれかの媒介契約にするのかということです。
一見すると、複数社に依頼できる一般媒介契約が売主にとって最も有利な契約にも思えるでしょう。しかし専任媒介や専属専任媒介は、不動産会社からすれば独占物件となるので、やる気を出してもらいやすい媒介契約だといえます。
物件や売主の意向によっても、向き不向きの媒介契約があります。媒介契約の特徴については、コチラの記事をご覧ください。
STEP.3売り出し開始
媒介契約の締結をもって、不動産の売り出し開始となります。
不動産会社は業者専門サイトであるレインズや、SUUMOやHOME’Sといった不動産ポータルサイトに物件を登録したり、チラシを作成したりして、買い手からの問い合わせを待ちます。
物件に興味を持った買い手は購入前に必ず内覧をしますので、売却期間中は常に家の中を綺麗にしておくことを心がけましょう。更地の場合も草木の剪定などをして綺麗に見せることが、早期売却のためのポイントにもなります。
STEP.4売買契約
内覧後、購入を決めてくれた人から「購入申込書」や「買い付け証明書」という書類が提出されます。以後、売主と買主で価格面やその他の条件で合意に至り、買主が住宅ローンを組む場合には仮審査が通過次第、売買契約の運びとなります。
売買契約では、物件価格の5~10%ほどの手付金を受領します。
STEP.5物件引き渡し・残代金決済
売買契約からおよそ1ヶ月後に、物件引き渡しと残代金の決済が執り行われます。
この日までに、売主は引っ越しやライフラインの解約等を済ませる必要があります。
媒介契約~物件引き渡しまでには、6カ月ほどかかるのが一般的です。
不動産売却のコツ2.売却にかかる手数料と税金、確定申告のことを知る
不動産を売却するとなると、「売却金額を受け取れるだけ」と思っている方が多いのではないでしょうか?
しかし、不動産売却には諸費用がかかることを忘れてはいけません。また、売却金額によっては税金が課税されることもあります。
どれくらいの諸費用や税金がかかるかは、査定額から目安を算出することができます。
手元にいくら残るのか、買い替えの場合は予算がどれくらいになるのかを把握するために、事前に諸費用がや税金がいくらかかるのかチェックしておきましょう。
不動産売却にかかる手数料と諸費用
不動産売却に必ずかかる費用は、仲介手数料と印紙税。売却と同時に住宅ローンを完済する場合には、完済手数料と抵当権抹消費用がかかります。
仲介手数料
仲介手数料は、売却金額×3%+6万円(税別)が不動産会社の請求できる上限額となっています。不動産会社の多くは、上限額で請求してくるのが一般的です。
仲介手数料の上限額 早見表 | |
不動産売却金額 |
仲介手数料(税抜) |
500万円 |
210,000円 |
1000万円 |
360,000円 |
2000万円 |
660,000円 |
3000万円 |
960,000円 |
4000万円 |
1,260,000円 |
5000万円 |
1,560,000円 |
6000万円 |
1,860,000円 |
7000万円 |
2,160,000円 |
8000万円 |
2,460,000円 |
9000万円 |
2,760,000円 |
1億円 |
3,060,000円 |
印紙税
印紙税は、売買金額に応じて以下の通りです。
売却金額 |
本則税率 |
軽減税率 |
10万円超50万円以下 |
400円 |
200円 |
50万円超100万円以下 |
1000円 |
500円 |
100万円超500万円以下 |
2000円 |
1000円 |
500万円超1000万円以下 |
1万円 |
5000円 |
1000万円超5000万円以下 |
2万円 |
1万円 |
5000万円超1億円以下 |
6万円 |
3万円 |
1億円超5億円以下 |
10万円 |
6万円 |
※2020年3月31日までに作成される売買契約書は、表左の軽減税率が適用となります。
印紙税は、売買契約書に収入印紙を貼付することで納税します。収入印紙は、不動産会社側が用意してくれることが多いです。
住宅ローン残債がある場合
売却と同時に住宅ローンを完済する場合は、借入れしている金融機関に手数料を支払う必要があります。完済手数料は金融機関によって異なりますが、1~3万円ほどです。
また物件にかかる抵当権を抹消するための費用として、2万円前後の費用がかかります。(司法書士報酬含む)
不動産売却では必ず税金が課税されるわけではない
不動産売却でかかる可能性がある税金は、住民税と所得税です。とはいえ、全ての取引で課税されるわけではありません。
課税対象となるのは、売却益にあたる部分。つまり、利益がでなかった売却については、課税対象とならないということです。
ただこの「利益」は、2,000万円で買った不動産を3,000万円で売ったときの差額1,000万円を指すわけではありません。
不動産売却における利益のことを専門用語で「譲渡所得」といい、課税対象となる譲渡所得は次の計算式でもとめます。
課税譲渡所得金額=収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
少し難しい計算式ですので、こちらの記事をご覧いただくと理解を深めていただけます。
算出された課税譲渡所得金額に所得税や住民税が課税されるわけですが、その税率は不動産を所有していた期間によって異なります。
所有期間 |
所得税 |
住民税 |
復興特別所得税 |
合計 |
5年以下 |
30% |
9% |
0.63% |
39.63% |
5年超 |
15% |
5% |
0.315% |
20.315% |
※所有期間は、売却した年の1月1日時点で考えます。
さて、上記の計算式には「特別控除額」とありますが、要件を満たしたマイホーム売却は次の3つの控除特例が適用できます。
- 3,000万円特別控除
- 所有期間が10年超の場合の軽減税率
- 買換えの特例
適用要件を満たしたマイホームは、「3,000万円特別控除」により譲渡所得から最大3,000万円が控除。そのため余程の利益が出ない限り、所得税や住民税は課税されないと認識しておいて問題ありません。
ただし控除特例は自動的に適用になるものではありませんので、不動産を売却した翌年の確定申告は忘れないようにしましょう。
売却益が出なくても確定申告するべし
所得税や住民税が課税されるのは、譲渡所得が出た場合だけでしたね。では売却損(譲渡損失)が出た場合には、確定申告の必要はないのでしょうか?
答えは、売却損が出ても確定申告はすべき。その理由は、不動産売却によって生じた売却損は給与などの所得と損益通算することができるからです。
ただし損益通算の特例においても、対象となるのはマイホームのみですのでご注意ください。
不動産売却のコツ3.適正な相場を知る
不動産売却の3つ目のコツは、適正な相場を知ることです。
不動産は、売主の好きなように値付けすることができます。しかし、1,000万円しか価値がないものに2,000万円の値をつけたとしたら、売れるものも売れません。
そこで重要になってくるのが、適正な相場観を養っておくこと。「高く売りたい」「早く売るために少し安く売りだそう」など考えるのは売主の自由ですが、適正価格がわからなければ「高い」「安い」の基準がわからないのです。
ではここからは、適正な相場を知るための方法を4つご紹介します。
1.不動産ポータルサイト
まず一番簡単なのは、SUUMOやHOME'Sなどの不動産ポータルサイトで似たような条件の物件を検索することです。
売り出し価格を平米数で割れば平米単価が割り出せるので、広さの違う物件も比較することができます。
ただ不動産ポータルサイトで相場を調べる際には、注意点も。それは、売り出し価格は必ずしも成約価格にはならないということです。
どういうことかというと、不動産売買では売値のままで買ってくれる人よりも、指値を希望する人の方が圧倒的に多いものです。
例えば3,000万円で売り出している物件に対し、素直に「3,000万円で買います!」と言ってくれる人は少なく、2,900万円や2,950万円で購入申し込みを入れてくる人が多いんですね。
そのため不動産ポータルサイトで売り出されている価格は、「相場」とは少なからず乖離している可能性が高いのです。
2.レインズ・マーケット・インフォメーション
そもそも「相場」とはなにかというと、「今売ったらこれくらいの金額で売れるのではないか」という金額です。
不動産は“生もの”だとよく言われますが、それは本当。不動産の相場価格は、社会情勢や市況に影響されて常に波のように動いています。
相場を知る上で大事なのは、直近で、類似物件がいくらで取引されているかを知ることです。
類似物件の過去の成約価格を知ることができるのが、ここから紹介する2つのサイトとなります。
1つは、レインズ・マーケット・インフォメーションです。
(出典:レインズ・マーケット・インフォメーション)
レインズ・マーケット・インフォメーションは、国土交通大臣指定の流通機構が運営するサイト。不動産ポータルサイトとは違い、実際に成約にいたった価格を調べることができます。
マンションと戸建ての成約事例のみ検索可能なので、土地については3.土地総合情報システムを活用しましょう。
3.土地総合情報システム
土地の相場価格を調べるなら、国土交通省が運営する土地総合情報システムを利用してみましょう。
(出典:土地総合情報システム)
土地総合情報システムは、実際に不動産取引をおこなった人へのアンケート結果に基づいて取引価格情報を提供しています。
4.イエイの一括査定を利用してみよう
相場価格を知るには、不動産のプロの見解を聞くのが一番確かだといえます。
ただし、不動産会社によっては査定額には差が生じるものでもあります。それは各社で査定基準が様々であり、得意としている物件も、エリアも異なるためです。
そこでおすすめなのは、自らしっかり相場観を養って、その上で複数社に査定を依頼すること。
「角部屋で上層階なので、相場より高い金額でも売れるでしょう。」
「旗竿地なので、相場より安くなってしまいます。」
査定前にある程度の相場がわかっていれば、このような不動産会社の説明や査定額に対して「あぁ、なるほど」と納得することができます。
複数社への査定には、ぜひイエイの一括査定をご活用ください。
まとめ
大きな資産である不動産の売却で、不安に思わない人はいません。でもだからこそ、事前に知っておくべきことを知ることが大切です。
- 不動産売却の流れ
- 不動産売却にかかる諸費用や税金
- 相場を知る方法
この3つのコツを知っておくことで、心に余裕が生まれ、好条件で売却できる可能性が高まります。