マンション売却では、希望通りの売値で取引できるのがベストです。ただし、あまりにも買主の要望からかけ離れた売値をつけてしまうと、マンションはなかなか売れません。この記事では、マンションの売値を決めるコツや値引き交渉への対応などについて解説していきます。

マンションの売値を決める要素とは

マンション売却では、「査定」によって売値をつけるところから始まります。


売値は査定によってつけられる

査定のポイントはさまざまであり、同じマンションでも部屋によってまったく売値が異なることもありえます。

査定のポイント

  • 築年数・・・まず、大きなポイントになるのは「築年数」です。不動産物件は原則として、新しければ新しいほど売値が高くなります。築年数がそれほど経過していないマンションは、査定で良い評価を得られるでしょう。ただし、築年数をカバーできる要素もあります。たとえば、築年数は経っていなくても使用状況が悪いマンションは、築年数が経っていてもきれいなマンションよりも査定価格が安くなりがちです。
  • マンションのレベル・・・マンションのレベルも査定価格には大きく影響します。設備が充実しており、人気があるマンションは需要も多くなるため、高く売却が可能です。
  • 周辺環境・駅などのアクセス・・・繁華街から遠かったり、治安の悪い土地に建てられていたりするマンションは買主がつきにくいからです。
  • セキュリティの充実・・・オートロックなどのセキュリティ機能が多彩で、なおかつ最新の技術を取り入れているマンションは、売値が高くても買主が名乗りを挙げてくれます。

査定では、不動産仲介業者がこれらの要素を分析して適正価格を算出します。

売値は相場価格を参考にして決めよう

査定が終わったら、マンションの売値を決めます。

市場の相場を踏まえた売値設定が大事

不動産取引は自由度が高いため、売値も売主の要望に合わせてつけられます。売主としては、当然できるだけ高く売値を設定したいところです。しかし、売値を高くするには、そのぶんマンションに付加価値がなくてはいけません。魅力が少ない物件に高値がついていたとしても、買主は現れないでしょう。マンション売却では、市場の相場を踏まえて売値を決める必要があります。

そこで、利用したいのが無料一括査定サイトです。無料一括査定サイトにマンションの情報を入力すると、しばらくすれば複数の不動産仲介業者から返答がきます。いくつかの査定価格を比較検討できるため、価格の相場を知るためにはぴったりのシステムです。返事をくれたなかに気になる業者があれば、コンタクトを取って契約を結ぶのもおすすめです。ただし、一括査定サイトはあくまで入力情報だけに基づき、価格を算出しています。後日、業者に物件を見せて「訪問査定」を依頼するのが無難です。

また、一括査定サイトでは、つい高値を出した業者が気になってしまう傾向があります。売主自身でも相場を調べて、甘い結果に惑わされないようにしましょう。国土交通省のデータベースを閲覧すれば、一般人でも全国の地価を確かめられます。

国土交通省 不動産取引価格情報検索
http://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet

マンションを高く売るにはリフォームをしないこと

マンションを少しでも高く売却するには、使用状況を美しく保つことが必須です。

  • 破れている壁紙は貼りかえるようにしましょう
  • 窓ガラスなども、汚れやヒビがあるなら交換しておくのが無難です
  • 扉や窓の建付けにも気を配り、必要があれば細かく修繕します

「そんなことをしていると掃除や修繕だけでコストがかかってしまう」と考える売主もいます。しかし、修繕を怠って業者からの査定価格が低くなるほうが、結果的に損をするでしょう。

リフォームされたマンションは敬遠されがち

また、買主候補はほぼ確実に内覧を希望してきます。内覧では、マンションの隅々まで使用状況をチェックされるため、わずかな瑕疵すらも見逃されません。たとえ売値を高くしていても、内覧時点で修繕が徹底していなければ買主を逃してしまうのです。修繕に費用がかかったとしても、それで売値が上がるなら売主にとってメリットがあります。

ちなみに、買主は修繕が行き届いたマンションを好みますが、リフォームを経たマンションは敬遠しがちです。リフォームとは、「生活空間を元の持主にとって住み心地よくする」ための方法です。つまり、持主が変わればリフォーム内容にしっくりこない恐れがあります。マンションをリフォームするときは、将来売りに出す可能性を考えましょう。

「本当に必要なリフォームかどうか」を検討し、他の持主が歓迎しそうにないリフォームは止めておくことをおすすめします。

【売却前にやっておこう!マンションのハウスクリーニング】

買主の要望はできる限り受け入れよう


買主の要望はできる限り受け入れましょう

不動産仲介業者を利用していると、買主との交渉も業者が率先して引き受けてくれます。そのため、売主は「買主に選んでもらう立場」だという事実を忘れがちです。しかし、実際には買主が「お客さま」にあたる立場であり、売主は丁寧に買主へと対応しなければいけません。どんなに条件が良いマンションでも、売主の人間性が問題になれば買主を逃がしてしまいます。買主には謙虚に接するよう心がけましょう。

たとえば、内覧の申込があったら歓迎する姿勢が大切です。確かに、内覧に対応していると時間が取られますし、いろいろな質問に答えるのも面倒です。内覧がある度にマンションを掃除しなくてはいけないのも大変だといえます。しかし、買主が購入したいマンションを下見したいと考えるのは当然の権利です。もしも内覧で適当な対応をされたり、そもそも内乱を拒否されたりしたら、多くの買主が不快に思うでしょう。

また、内覧の都合をできる限り買主に合わせるのが無難です。買主によっては、前日や当日に内覧の申込をしてくることもありえます。内心、「失礼な人だ」と思ってしまう売主もいるでしょう。しかし、それも「買主はお客さま」だと理解していればなんとかやり過ごせます。むしろ、いつ内覧の申込があってもあわてないよう、常日ごろからマンションを清潔に保っておきましょう。

買主から好印象を持たれると、値下げをしなくてもマンションが売れる確率が高まります。

【マンションを売る!内覧で気をつけたいポイントは?】

値下げ交渉の正しい対応とは?

マンションを高く売るためには、値下げ交渉への対応も準備しておきましょう。

多くの買主は値下げ交渉を行い、できるだけ安くマンションを購入しようとします。大前提として、不当な値下げ交渉に応じる必要はありません。値下げをすれば確かにマンションはスムーズに売れますが、それで売主の不利益になるなら本末転倒です。「絶対にこれ以上は下げない」という最低ラインを設定して値下げ交渉には挑みましょう。

値下げ交渉への対策としては、「最初から交渉の余地を残して売値を決める」ことです。相場よりやや高く売値を設定し、交渉を申し込まれたところで売値を下げます。もちろん、交渉なしに売価できれば理想的な取引です。

また、値下げ交渉が始まったときには、「売主からも条件を出す」ことが重要です。買主が「1,500万円は高いから1,000万円にしてほしい」と言うなら、「では、1,300万円ではどうか」と返します。買主の提示額をそのまま受け入れないようにしましょう。値下げ交渉でも買主へ敬意を払う意識は大切ですが、だからといって下手に出すぎなくても大丈夫です。買主の要望があまりにも理不尽だと感じたら「納得していただけないならこの話はなかったことに」と、見切りをつける勇気も大切です。

買主候補は、目の前の1人だけとは限らないので売主の満足できる取引相手を妥協せずに探しましょう。

売主の工夫次第でマンションは高く売れる

マンション売却で売値を高くするのは、売主の工夫次第です。

築年数が古いマンションも、清掃を頑張れば査定価格が高くなります。また、買主との交渉を有利に運び、希望の売値を押し通す方法もあります。相場価格を踏まえたうえで、売主の納得できる売値を貫く努力を徹底しましょう。