不動産会社の仲介を利用してマンションを売却するときに必要なのが仲介手数料です。仲介手数料は不動産仲介業者にとって主な収益源であるため、できるだけ高額な手数料を取ろうとします。仲介手数料に関する知識を知らないと損をしてしまうかもしれません。
そこで、今回は仲介手数料の適正価格を知りたい人向けに、仲介手数料の豆知識を紹介します。
不動産仲介手数料はなぜ支払う必要があるの?
不動産仲介手数料は、不動産仲介会社に支払う成功報酬型の手数料です。マンションを売却する場合、オーナーは買主を見つけてこなければいけません。ここで、売主と買主を繋げる役目をするのが不動産仲介会社です。不動産仲介会社は人目につく場所に店舗を構え、物件情報を提示したりテレビやチラシで広告を打ちます。
こうした集まった買主に対して売却依頼のある物件を紹介するかわりに、仲介手数料をもらう仕組みです。
したがって、自分のコネやツテでマンションを売却するならば仲介手数料を支払う必要はありません。不動産仲介会社を利用する限り、仲介手数料は支払う必要があります。もっとも、この仲介手数料は成功報酬型です。つまり、売買契約が成立しなければ支払う必要はありません。また、契約成立後、何らかの事情で契約を解除する場合もあります。売主が手付を倍返して解除する場合は仲介手数料を支払うのが一般的です。
しかし、買主のローン審査が通らずローン特約で解除する場合は仲介手数料を支払う必要はありません。
知っていて損はない仲介手数料の計算方法
仲介手数料は宅地建物取引業法によって上限額が決まっています。仲介手数料上限は【売買価格×3%+6万3000円】です。
この計算式を細かく説明すると、売却する物件が2000万円の場合、200万円以下の部分は200万円×5.25%=10万5000円です。200~400万円の部分は200万円×4.20%=8万4000円になります。400万円以上は1600万円×3%=50万4000円です。これらをすべて足すと、10万5000円+8万4000円+50万4000円=69万3000円となり、これが仲介手数料になります。
これを最初に紹介した計算式で計算すると、2000万円×3%+6万3000円=69万3000円となり、計算が合います。この計算は消費税を抜いた額で計算するのが基本です。物件価格が税込の場合、金額が大きく変わってくるので気を付けましょう。また、この上限額は法律によって規定されているものです。上限額以上の仲介手数料を不動産会社が請求するのは法律違反になります。
もし、契約に際して不動産会社が理由をつけて上限額以上を請求してくる場合には注意しましょう。そういった不動産仲介会社とは契約を結ばないのが無難です。
不動産仲介手数料の値引きは可能?交渉の余地はある?
上記で紹介した上限額はあくまでも仲介手数料の上限です。不動産仲介業者に対して仲介手数料を値引き交渉することは可能です。交渉するのであれば、仲介契約を交わす前に値引き交渉をしておきましょう。もっとも、不動産仲介の業界において仲介手数料は上限額一杯で支払うというのが当たり前になっています。
これは、不動産仲介会社の主な収益源である仲介手数料が減ってしまえば、経営に直接影響してくるからです。
業者によっては「上限額を取るのが当たり前」という風に説明してくるところもあるので注意してください。ただし、中には健全な経営努力によって仲介手数料を半額にしたり無料にしている会社もあります。もともと、仲介手数料の上限は昭和45年に当時の建設省が告示した内容に基づいています。当時は現代のようにパソコンやネットの環境が整備されていませんでした。したがって、不動産の売主と買主をつなげるにはそれ相応のコストがかかりました。
しかし、インターネットやパソコンが普及した現代では、昔とは比べものにならないほどコストが削減されています。数十年前に決められた上限額でいまだに取引されていること自体がおかしいともいえるでしょう。こうした古い慣習を打破し、人件費、広告費を抑えてその分仲介手数料を下げる努力をしているような不動産会社を選ぶのがポイントです。
いつ?不動産仲介手数料の支払時期
仲介手数料の支払いは物件引き渡し時に一括で支払いをするか、契約時と引き渡し時に半額ずつ支払うかの2種類です。もちろん、契約時に仲介手数料の全額を支払うことも可能です。しかし、何らかの事情で物件が引き渡されないことも想定されます。そこで、契約時と引き渡し時に半額ずつ支払うのが一般的です。
契約時に仲介手数料の全額の支払いを要求してくる不動産業者も中にはいます。会社の営業担当からすれば、確実に仲介手数料を支払ってもらいたいからです。しかし、このような要求に応じる必要はありません。仲介手数料は成果報酬型なので、契約が成立し物件が引き渡されたときに不動産仲介業者側に請求権が発生します。
さらに厳密にいうと、登記簿上の「所有権移転登記が完了したとき」が取引成立時点なので、登記簿上の名義が変更されるまでは支払う義務はありません。
不動産仲介手数料で業者の善し悪しを見極める!
不動産仲介手数料は「法律が定める上限」であって「支払わなければいけない額」ではありません。業者の中には「仲介手数料は法律で決まっているので」と説明するところもあります。仲介手数料は売主と不動産会社の間で自由に取り決めすることができるものです。したがって、こういった案内をする業者には注意しましょう。
また、手数料以外にも費用が別途かかるといってくる業者もいます。基本的に、不動産の仲介をするにあたって発生する経費は売主に請求することはできません。広告や人件費、事務費用などの経費は仲介手数料に含まれているからです。不動産仲介会社が売主に手数料以外の費用を請求できるのは「売主が特別な依頼をした場合」のみになります。通常行わない広告や遠隔地の相手との契約にかかる出張費用などの「実費」は別途、売主に対して請求することが可能です。
もっとも、実費の請求をする場合でも
- 売主の依頼に基づくもの
- 通常の業務では発生しない経費
- 実費であること
のこの3つの要件が必要になります。もし、こうしたもの以外の費用を請求された場合には「なぜその費用がかかるのか」「なぜその額なのか」をしっかりと聞きくことが大切です。
仲介手数料を払う前に確認しておくこととは?
不動産仲介会社の中には、必要以上に仲介手数料の安さをアピールしてくる業者がいます。
仲介手数料を半額にしたり無料にできるのは、両手取引をしているからです。両手取引とは、売主と買主の両方を仲介することで手数料を2倍とれる取引形態です。この両手取引では売り出した物件が、法律で禁止されている「囲い込み」や「当て物件」とされてしまう可能性もあります。
安さを売りにしている業者には十分気をつけましょう。
また、会社に仲介実績があるか・社内に活気があるか・社員1人ひとりが明るい顔をしているかなども確認しておくべきです。売上が立たず経営が厳しい会社は社内の雰囲気もよくありません。そういった会社は営業マンが利益優先で行動し、お客様目線で対応してくれない可能性があります。こういった点にも注目しておけば、しっかりと仕事をしてくれる会社を選ぶことができるでしょう。
まとめ
取引する物件の金額が大きくなればなるほど、仲介手数料は高くなります。数千万円の物件であれば仲介手数料だけで数百万にもなるので、決して安い額ではありません。仲介手数料の適正価格や上限価格はしっかりと頭に入れておくことが大切です。業者によっては、依頼者に知識がないと判断すると足元を見て高い手数料を請求してくる場合もあります。
ポイントをきちんと押さえて、損をしないように契約をしましょう。