この記事で分かる事 ・登記簿謄本には4つの種類があるということ ・登記簿謄本をオンラインで取得する方法について ・登記簿謄本の情報をオンラインで閲覧する方法について |
登記簿謄本が必要だけれど、
「そもそもどうやって取得すればいいのか?」
「時間がないので、出来ればオンラインで取得したい」
そう考えている方も多いのではないでしょうか?
実は、登記簿謄本はオンラインで取得する事が可能です。
この記事では、不動産の登記簿謄本をオンラインで取得する手順や、オンラインで取得するにあたってのメリット・デメリットについて解説します。
この記事の目次
登記簿謄本とは?
土地や建物、会社などの登記情報を記録した公的な書類のことを「登記簿謄本」といいます。
簡単にいえば「この不動産や会社の正式な情報はこうなっています」と証明する役割を持つ書類です。
登記内容が記載されている原本の帳簿は「登記簿」と呼ばれ、この登記簿をもとに発行された写し(コピー)が「登記簿謄本」です。
登記簿には、大きく分けて下記の3種類があり、それぞれの対象に応じて内容が異なります。
・不動産登記
・商業登記
・法人登記
不動産登記に記載される主な情報
土地の記載内容 |
建物の記載内容 |
土地・建物共通の記載内容 |
---|---|---|
・地番 ・地目 ・面積 |
・家屋番号 ・種類 ・構造 ・床面積 |
・所在地 ・所有者の住所や氏名 ・所有権の取得方法 ・抵当権の有無 |
不動産登記には土地や建物に関するさまざまな情報が記載されています。
これは、所有権の保護や取引の安全性を確保するために欠かせない制度です。
土地と建物は、それぞれ独立した不動産として取り扱われるため、登記も別々に行われます。
そのため、ある土地とその上に建つ建物の情報を正確に把握するには、土地用と建物用それぞれの登記簿謄本を取得する必要があります。
商業登記・法人登記に記載される情報
【商業登記・法人登記に記載される内容】
・会社名(商合)や名称(法人名) ・所在地 ・代表者や役員の氏名 |
商業登記とは、株式会社や合同会社など、営利を目的とする会社に関する登記を指します。
一方、法人登記は、一般社団法人やNPO法人、学校法人など、会社以外の法人に関する登記を意味します。
どちらの登記も、登記簿を通じて法人の存在や代表者などの基本情報を公に証明する役割を持っています。
登記事項証明書との違い
「登記簿謄本」とよく似た言葉に「登記事項証明書」というものがあります。
「登記事項証明書」とは、登記情報を電子データとして管理し、このデータを印刷したものです。
一方で、以前は紙の登記簿を手作業で写し取っており、その相称を「登記簿謄本」といいます。
つまり、データ処理されていないものを「登記簿謄本」データ処理されたものを「登記事項証明書」といい、この2つは出力の仕方が異なるだけで、同じ内容を証明するものになります。
どちらも証明する内容は同じであり、「登記情報を証明する公的書類」としての効力に違いはありません。
・登記簿謄本=旧来の呼び方(写し) ・登記事項証明書=現在の正式な呼び方(データ出力) |
登記簿謄本はどんな時に必要となる?
登記簿謄本は、法人・不動産のいずれの場合も、権利関係や所有者の情報を証明するために重要な書類として、さまざまな場面で必要とされます。
【法人の場合】
法人に関する登記簿謄本は、企業の存在や信用力を客観的に証明する役割があり、以下のようなシーンで活用されます。
・取引先企業の信用調査
・新規取引や業務提携の判断材料
・融資や補助金の申請時
・法人口座の開設手続き時
【不動産の場合】
不動産に関する登記簿謄本は、物件の所有者情報や権利関係を確認するために不可欠です。特に以下の場面で求められることが多いです。
・不動産の売買(購入・売却)時
・住宅ローンの申請時(金融機関による担保評価)
・住宅ローン控除を受ける際の初年度の確定申告
・相続や贈与に関する登記変更手続き時
登記簿謄本には4つの種類がある
登記簿謄本には、記載される内容に応じて以下の4種類に分類されます。
ここでは、それぞれどのような内容が記載されているのかご紹介していきます。
【登記簿謄本の4つの種類】
・全部事項証明書
・一部事項証明書
・現在事項証明書
・閉鎖事項証明書
全部事項証明書
登記記録に記載されたすべての事項が網羅されている証明書です。
所有権の移転や抵当権の設定・抹消など、過去から現在に至るまでのすべての事柄が確認できます。
官公庁や金融機関などに登記内容の証明を求められた場合には、この全部事項証明書を提出しておけば安心です。
一部事項証明書
登記記録のうち、特定の一部のみを抜粋して記載した証明書です。
たとえば、大規模な分譲マンションや広大な土地のように、権利者が多数存在する不動産では、全部事項証明書では情報が多すぎて確認が困難になることがあります。
そのような場合に、自分の所有部分だけを確認したいときは、一部事項証明書の取得が適しています。
現在事項証明書
現在の所有者や抵当権など、最新の登記事項のみを記載した証明書です。
過去の権利変動やすでに抹消された情報は含まれていません。
不動産の現状のみを把握したい場合に利用されることが多く、特に現所有者を確認したいシーンで役立ちます。
閉鎖事項証明書
すでに登記簿が閉鎖された不動産に関する情報を記載した証明書です。
たとえば、合筆※によって他の土地に統合された場合や、建物が取り壊された場合などが該当します。
閉鎖された登記記録であっても、過去の権利関係を調べたい場合に取得することができます。
【※合筆とは?】
複数の土地を一つにまとめること。
登記簿謄本には3つの取得方法がある
登記簿謄本を取得する場合には、主に下記の3つの方法があります。
ここでは、それぞれの取得方法についてご紹介します。
【登記簿謄本を取得する3つの方法】
・窓口で申請する方法
・郵送で申請する方法
・オンラインで申請する方法
窓口で申請する方法
法務局や登記所の窓口で申請する方法です。
【申請方法】
①最寄りの法務局や登記所に行く
②受付にある請求書に必要事項を記入
③手数料分の収入印紙を用意し、請求書に貼付
④完成した書類を窓口へ提出
手数料:600円
申請から交付:30分〜1時間程度
メリット デメリット |
【※データ化されていない登記簿とは?】
登記簿は原則として電子化されており、全国どこの法務局でも取得できる仕組みになっています。
しかし、地方の古い不動産などの中には、まだ紙ベースでしか管理されていない登記簿が存在します。
こういったケースでは、その登記簿を保管している管轄の法務局でしか取得できないため、事前に確認しておくと安心です。
郵送で申請する方法
申請書を郵送で法務局に送付する方法です。
【申請方法】
①請求書をダウンロード※する
②請求書に600円分の収入印紙を貼付
③返送先の記入をし、切手を貼った返信用封筒を準備する
④請求書と返信用封筒を同封し、管轄の法務局※に郵送する
手数料:600円+輸送料
申請から交付:数日
【※請求書のダウンロード】
請求書は法務局のサイトからダウンロードすることが可能です。
参考:法務局|登記事項証明書 登記簿謄本・抄本 交付請求書 [PDF]
【※管轄の法務局とは?】
郵送で申請する場合、最寄りの法務局ではなく、請求したい不動産が位置する管轄法務局が郵送先となります。
管轄の法務局は、下記のサイトから確認できます。
参照:法務局|管轄のご案内
メリット デメリット |
オンラインで申請する方法
法務局の「登記・供託オンライン申請システム」を利用して、オンライン申請して受け取る方法です。
オンライン申請の方法やメリットデメリットは下記で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
手数料
郵送受け取り:500円
窓口受け取り:480円
【登記・供託オンライン申請システムとは?】
申請や請求をインターネットやLGWAN・政府共通ネットワークを利用して行うシステムのことで、平成23年2月14日から、法務局が運用を開始しています。
主に下記の手続きを行う事が可能です。
・不動産登記
・商業・法人登記
・電子公証手続き
・動産譲渡の登記手続き
・債権譲渡の登記手続き
・供託手続き
・成年後見登記の手続き
オンライン申請に必要なものや準備
オンライン申請を行いたい場合、事前に必要なものや準備をしておくと、申請がスムーズにできます。
ここでは、オンライン申請に必要なものや準備しておくといいことを解説します。
【オンライン申請に必要なものや準備】
・「申請者情報登録」を行う
・支払い方法の準備
「申請者情報登録」を行う
【登記・供託オンライン申請システム】では、初回のみ申請者情報の登録を行う必要があります。
申請の前に済ませておくことで、スムーズに手続きできますよ。
【申請者情報登録の方法】
①【登記・供託オンライン申請システム】の【申請者情報登録】をクリック
②利用規約を読み、同意して【登録へ進む】をクリック
③申請者情報を入力する
(任意のID・パスワード/氏名/郵便番号/住所/電話番号/メールアドレスなどを入力)
④③で入力した内容を確認し【仮登録へ】をクリック
➄仮登録の完了画面が表示されるので【発行へ】をクリック
⑥登録したメールアドレス宛に認証情報の記載メールが届く
⑦認証情報入力画面で、受信したメールに記載されている認証情報を入力
⑧申請者情報登録完了
こちらの登録がすべて完了すると、③で入力した申請者IDとパスワードを使用することができます。
このIDとパスワードはログインする際に必要となりますので、忘れないようにしましょう。
支払い方法の準備
オンラインで申請を行う場合、手数料はインターネットバンキングかPay-easy対応のATMから納付する必要があります。
【インターネットバンキングを利用する場合】
アクセス方法は主に2つあります。
詳しくは下記を参照してください。
【Pay-easy対応のATMから納付する場合】
Pay-easyマークの表示があるATMから利用することが可能です。
操作方法は各金融機関ごとに異なります。
下記にはイメージ画像による説明がありますので、ぜひ参照ください。
登記簿謄本をオンラインで取得する方法
①【登記・供託オンライン申請システム】へアクセス
②「かんたん証明書請求」をクリック
③「登記事項証明書(土地・建物)/地図・図面証明書」を選択
④請求情報を入力
➄手数料を納付
⑥郵送または窓口で受け取る
オンライン申請では、受け取り方法として「郵送」または「法務局窓口での受け取り」のいずれかを選択できます。
郵送での受け取り:請求後、1週間程度で指定の住所に届きます。時間に余裕のある方におすすめです。
窓口での受け取り:法務局側で電子納付が確認され次第、最寄りの法務局で当日に受け取ることも可能です。急ぎで必要な場合に便利です。
オンラインで取得するメリット・デメリット
ここからは、登記簿謄本をオンラインで取得するメリットとデメリットをご紹介します。
オンラインで取得しようと考えている方は、どんなメリットとデメリットがあるのか、チェックしてみてくださいね。
【メリット】
・法務局に行かず自宅から申請できる
・手数料が安い
・平日なら21時まで申請が可能
【デメリット】
・正確な情報が必要になる
・郵送の交付だと時間がかかる
・土日や祝日の申請は不可
メリット
・法務局に行かず自宅から申請できる
・手数料が安い
・平日なら21時まで申請が可能
オンラインで申請する最大のメリットは、自宅にいながら手続きを完了できる点です。
仕事や家庭の事情で法務局へ足を運ぶ時間が取れない方にとっては、大変便利な方法といえます。
さらに、窓口や郵送での申請と比較して、オンライン申請は手数料が最も安く抑えられます。
また、法務局の窓口対応時間が平日の9時~17時までであるのに対して、オンライン申請は平日の8時30分から21時まで受付可能です。
デメリット
・正確な情報が必要になる
・郵送の交付だと時間がかかる
・土日や祝日の申請は不可
不動産の登記簿謄本をオンラインで取得する際には、登記情報と完全に一致する情報を入力する必要があります。
具体的には、地番や家屋番号などの細かい情報まで正確に把握しておくことが重要です。
これらの情報は、権利書や固定資産税の納税通知書などに記載されていますので、事前に書類を準備し、確認しておくとスムーズに申請できます。
また、交付方法として「郵送」を選んだ場合、書類が届くまでに日数がかかる点にも注意が必要です。
タイミングによっては、申請から到着まで1週間程度かかることもあり、急ぎの場合にはあまり適していません。
オンライン申請であっても土日・祝日および利用時間外は受付が停止されます。
利用時間外は申請ページにアクセスすることもできないため、あらかじめ利用時間を確認し、計画的に手続きを進めることが大切です。
登記簿謄本の情報はオンラインで閲覧も可能
登記簿謄本(登記事項証明書)は、わざわざ原本を取得しなくても、インターネットを通じて中身だけ確認することが可能です。
「証明書としては不要だけれど、情報だけ把握したい」というときには、オンライン閲覧サービスの活用が非常に便利です。
ここでは、自宅やオフィスからでも登記情報を確認できる代表的なサービスをご紹介します。
【登記簿謄本のオンライン閲覧方法】
・登記情報提供サービスを利用する
・登記ソナーを利用する
登記情報提供サービスを利用する
「登記情報提供サービス」とは、不動産や法人の登記情報をインターネットで閲覧できる有料サービスです。
自宅や職場にいながら、必要な登記情報をPDFファイルで簡単に確認できるため、時間や手間を省いて情報収集をしたい方にとって非常に便利なツールとなっています。
利用時間 |
平日8:30~23:00 土日祝日:8:30~18:00 (地図・図面情報は平日8:30~21:00) |
料金 |
登記簿謄本:331円/1件 |
登録費用 |
個人:300円 法人:740円 |
支払い方法 |
個人:クレジットカード 法人:口座引き落とし |
【閲覧できる登記情報】
◇不動産登記情報(全部事項)
・コンピューター後の閉鎖登記簿も閲覧可
◇所有者情報
・氏名・住所・持分などの詳細
◇地図・図面情報
・地図、土地所有図、地積測量図、地役権図面
・建物図面、各階平面図など
◇商業・法人登記情報
・ 現在会社等の場合:履歴事項の全部
・ 閉鎖会社等の場合:閉鎖事項の全部
【利用するにあたっての注意点】
・利用登録には時間がかかる ・登記事項証明書と同じ効力はない |
初めて利用する際は、利用申し込み手続きが必要です。
手続きには1週間程度かかるので、余裕をもって手続きする必要があります。
また、提供される情報はあくまで閲覧専用であり、法的効力を持つ「登記事項証明書」とは異なります。
正式な証明書が必要な場合は、法務局での取得または、オンライン請求が必要です。
登記ソナーを利用する
「登記ソナー」とは、商業登記簿や不動産登記簿を手軽にダウンロードできる、便利な登記情報検察ツールです。
初期費用や月額固定費が不要で、さらに、Googleマップを利用しての検索ができるなど誰でも気軽に使える点が大きな魅力です。
料金 |
新規取得:298円/件 過去履歴:200円/件 (登記簿の検索は無料) |
初期費用・月額固定費用 |
無料 |
支払い方法 |
銀行振込 クレジットカード |
【機能や特徴】
・商業登記:法人の名所や所在地で検索が可能
・不動産登記:地番や家屋番号から検索が可能
・Googleマップから住所検索やマップ画面からの検索が可能
オンライン申請を活用して登記簿謄本をスムーズに取得しよう
物件の所有者情報や権利関係を確認するうえで、登記簿謄本は欠かせない重要な書類です。
しかし、「平日は忙しくて法務局に行けない」「今すぐ登記簿謄本が必要」という方には、オンライン申請の利用がおすすめです。
自宅にいながら申請できる点や、手数料が安く済む点は大きなメリットです。
一方で、申請前に利用者情報の登録が必要だったり、郵送で受け取る場合には到着まで時間がかかるなどの注意点もあります。
この記事では、オンライン申請に必要な準備や取得の手順を、初心者にもわかりやすく解説しました。
ぜひ、本記事を参考にして、スムーズな登記簿謄本のオンライン取得に役立ててください。