この記事でわかること ・土地の名義変更が必要なケースや変更しないと生じるリスク |
相続や生前贈与、離婚などをきっかけに土地の名義変更を考えているものの、手続きの仕方がわからなくて悩んではいませんか?
また、土地の名義変更をする際にはどんな書類が必要なのか、費用がどれくらいかかるのか、事前に知っておきたいところですよね。
本記事では、土地の名義変更の手続きや必要書類、費用を分かりやすく解説します。
さらに、自分で手続きを行う場合と専門家に依頼する場合のメリット・デメリット、注意点についても詳しく紹介します。
失敗せず安心して変更手続きを進めるためにも、ぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事の目次
土地の名義変更とは?
土地の名義変更とは、登記簿上の所有者を別の人に変更する手続きのことです。
例えば、親から子へ土地を引き継いだ場合や、離婚で財産分与をする場合などに行われます。
名義変更をせず放っておくと、将来的に売却や相続の際にトラブルが起きる可能性があるため、状況に応じて速やかに手続きすることが大切です。
手続きの仕方や必要な書類は、相続や贈与、売買など土地を引き継ぐ理由によって異なりますので、まずはその基本的な流れを知っておくことが大切です。
土地の名義変更が必要なケース
土地の名義変更が必要なケースには、主に以下の4つの場面が挙げられます。
① 相続
② 生前贈与
③ 離婚に伴う財産分与
④ 不動産の売買
これらの場面で具体的にどのようなケースで名義変更が必要なのか、説明していきます。
土地の名義変更が必要なケース① 相続
親や配偶者などが亡くなった場合、その方が所有していた土地を相続する際に名義変更が必要となります。
相続による土地の名義変更は、2024年4月から義務化され、相続人は不動産を相続してから3年以内に名義変更を行わなくてはなりません。(相続登記の義務化)
正当な理由なく手続きを怠ってしまうと、10万円以下の罰金が科される可能性があるため、土地を相続した際は早めに名義変更をするようにしましょう。
土地の名義変更が必要なケース② 生前贈与
存命中に配偶者や子供などの親族へ無償で不動産を譲り渡すことを「生前贈与」といいます。
この場合も土地の名義変更が必要です。
生前贈与を行う際は、土地を譲る者(贈与者)と受け取る者(受贈者)の間で「贈与契約書」を作成し、署名捺印をした後、名義変更の手続きを実施します。
土地の名義変更が必要なケース③ 離婚に伴う財産分与
離婚する際には、現金や預貯金、不動産など、夫婦で築いた財産を公平に分け合う「財産分与」が行われます。
財産分与をする際も、土地の名義変更が必要です。
財産分与の場合は、離婚前に必要書類を準備し、離婚後に名義変更の手続きを進める流れが一般的です。
離婚後に書類を準備することもできますが、相手と連絡が取れなくなるリスクがあるため、離婚前に準備を済ませておくと安心でしょう。
土地の名義変更が必要なケース④ 不動産の売買
土地を売買する際も、名義変更が必要です。
不動産の売買における名義変更は、売買契約が成立し、決済や引渡しのタイミングで、売主と買主が共同で行うことが一般的です。
名義変更は自分で進めることも可能ですが、不動産会社に仲介してもらった場合は、司法書士を紹介してもらえることがあります。
土地の名義変更をしないとどうなる?リスクをご紹介
土地の名義変更をしたいけど、手続きが複雑だと感じて後回しにしてしまう方もいるかもしれません。
しかし、名義変更をしないままでいると、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
・相続登記をしないことで10万円以下の罰金が科される ・権利関係が複雑化し、手続きがさらにややこしくなる ・土地の売却や活用ができなくなる |
現時点では土地を売却する予定がなくても、こうしたリスクを避けるために、土地を取得したら早めに名義変更をすることをおすすめします。
以下の記事では、土地の名義変更の必要性についてさらに詳しく解説しています。
こちらもご参考ください。
土地の名義変更の流れと必要書類を徹底解説
土地の名義変更を行う際は、事前に全体の流れやどんな書類が必要かを確認することが重要です。
なぜなら、名義変更には準備することが多くあり、事前に知っておかないと、手続きがスムーズに進まない可能性があるからです。
円滑な手続きを進めるために、ここからは土地の名義変更の流れや必要な書類について詳しく解説します。
これから土地の名義変更を始める方は、ぜひ参考にしてくださいね。
【ケース別】土地の名義変更を行う流れ
土地の名義変更を行う際は、先述したケース次第で手続きの仕方が異なります。
ここでは、それぞれのケース別の流れを図解と共に解説します。
流れを理解したうえで、手続きを進めていきましょう。
相続の場合の名義変更
相続の場合の土地の名義変更は、以下のステップで行われます。
相続による土地の名義変更を進める際は、まず相続の対象となる土地の登記簿を調べます。
この作業は、書類作成をする際に必要な情報を集めるうえでも不可欠ですので、必ず確認するようにしましょう。
次に、法定相続人を確認するために相続人調査を行います。
相続による土地の名義変更は、法定相続人全員が関与しますので、戸籍謄本などを確認して法定相続人を確定させましょう。
そして、戸籍謄本以外の必要書類も集め、法定相続人間で遺産分割協議を行います。
協議内容を遺産分割協議書にまとめ、相続人全員の署名押印をした後、必要書類とともに法務局に提出し、名義変更を申請するという流れで進めていきます。
生前贈与の場合の名義変更
生前贈与の場合の土地の名義変更は、以下のステップで行われます。
生前贈与による名義変更を行う際は、まず贈与者と受贈者がそれぞれ必要書類を収集し、その後、贈与契約書を作成し、両者間で贈与契約を締結します。
贈与契約は口頭でも成立しますが、将来的なトラブルを避けるためにも書面での契約をおすすめします。
そして、両者が集めた必要書類とともに、法務局へ申請するという流れで進めます。
申請する際は、贈与者と受贈者が揃って出向く必要がありますが、難しい場合は司法書士などの資格者に代理を依頼しましょう。
財産分与の場合の名義変更
離婚に伴う財産分与の場合の土地の名義変更は、以下のステップで行われます。
財産分与で土地の名義変更を行う際は、まず夫婦間で婚姻中に築いた財産をどう分け合うか取り決めます。
その後、名義変更に必要な書類を集め、登記申請書を作成します。
登記申請書を作成したら、集めた書類とともに法務局へ提出し、申請します。
また、土地の名義変更をする際の申請は、原則として夫婦共同で申請しなくてはなりません。
しかし、状況によっては、元配偶者と顔を合わせたくないということもあるでしょう。
そのような場合は、弁護士に依頼して手続きを進めることも有効です。
不動産売買の場合の名義変更
不動産を売買した場合の土地の名義変更は、以下のステップで行われます。
不動産売買における土地の名義変更は、売主と買主が売買契約を締結した後に行います。
契約を締結したら、双方で必要書類を準備し、その後、土地の引き渡しと決済を完了させてから、法務局へ申請を行います。
名義変更の申請は、売主と買主が共同で行うのが一般的です。
また、不動産会社に仲介を依頼した場合、司法書士を紹介してくれることが多く、手続きのサポートを受けられます。
司法書士に依頼する際のメリット・デメリットについては、後述で詳しく解説しますので、あわせて確認してみてください。
土地の名義変更に必要な書類
土地の名義変更に必要な書類は、ケースごとに異なります。
詳しくは、以下の表をご確認ください。
ケース | 必要書類 |
---|---|
相続の場合 | ・亡くなった人(被相続人)の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本 ・亡くなった人の住民票除票または戸籍の附票 ・相続人全員の戸籍謄本 ・土地を相続する人の住民票 ・固定資産評価証明書 ・相続関係説明図 ・遺産分割協議書 ・印鑑証明書 |
生前贈与の場合 | ・贈与契約書 ・贈与者の印鑑証明書 ・受贈者の住民票 ・固定資産評価証明書 ・登記識別情報または登記済権利証 |
財産分与の場合 | ・財産分与契約書や離婚協議書 ・財産分与する人の印鑑証明書 ・財産分与を受ける人の住民票 ・離婚したことがわかる戸籍謄本 ・固定資産評価証明書 ・登記識別情報または登記済権利証 |
不動産売買の場合 | ・売買契約書 ・売主の印鑑証明書 ・買主の住民票 ・固定資産評価証明書 ・登記識別情報または登記済権利証 |
土地の名義変更にかかる費用はいくら?税金や手数料
土地の名義変更には、状況に応じて税金や手数料などさまざまな費用がかかります。
安心して手続きを進めるためにも、費用がどれくらいかかるのか事前に把握しておきましょう。
具体的には以下の費用が発生します。
費用 | 概要 | 費用の目安 |
---|---|---|
登録免許税 | 不動産を登記した際に発生する税金のこと。 |
●相続 ●生前贈与・財産分与 ●不動産売買 |
贈与税 ※生前贈与した際に発生 |
評価額が110万円を超える不動産を贈与した際にかかる税金のこと。 | 贈与金額に応じて10~55% |
不動産取得税 ※生前贈与・不動産売買した際に発生 |
売買や贈与で不動産を取得した際に課される税金のこと。 | 不動産の価格×3~4% |
譲渡所得税(所得税・住民税) ※不動産売買した際に発生 |
不動産を売却して利益が出た場合に課される税金のこと。 |
●短期譲渡所得(所有期間が5年以下) ●長期譲渡所得(所有期間が5年超) |
相続税 ※相続した際に発生 |
相続した土地の価格が基礎控除額を超えている際に課される税金のこと。 |
相続税額=(相続税評価額-基礎控除額)×税額-控除額 詳しくはこちらの記事で解説しています。 |
司法書士への報酬 | 不動産の名義変更を司法書士に依頼した際にかかる費用のこと。 | 5万~15万円 ※依頼する司法書士や依頼内容によって変動。 |
住民票や印鑑証明書の取得費用 | 名義変更に必要な書類を発行する際にかかる費用のこと。 | 取得する書類によって異なる。 |
自分でやる?司法書士に依頼する?メリット・デメリット比較
土地の名義変更は、自分で行うことも、司法書士に依頼して進めることも可能です。
しかし、どちらの方法を選ぶべきか、迷われている方も多いでしょう。
ここでは、名義変更を自分で行う場合と、司法書士に依頼する場合のメリット・デメリットを比較してご紹介します。
どちらの手段で名義変更を行うか迷われている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
土地の名義変更を自分で行う場合
土地の名義変更は、自分で手続きを進めることも可能です。
費用を抑えられる反面、手続きには専門的な知識や手間が伴います。
ここでは、自分で名義変更を行う際のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。
自分で行うメリット
土地の名義変更を自分で行うメリットは以下の通りです。
・費用を抑えることができる
司法書士に報酬を支払う必要がないため、手続きの費用を安く抑えられます。
・手続きの流れを理解できる
手続きを自分で行うことで、相続や登記の知識が身に付きます。
・司法書士とやり取りをする必要がない
司法書士に依頼する場合、事務所などで打ち合わせする必要がありますが、その手間を省いて手続きを進めることができます。
自分で行うデメリット
土地の名義変更を自分で行うデメリットは以下の通りです。
・手間がかかる
必要書類の取得は平日の日中に行わなければならないため、手間がかかります。
・書類不備や記入ミスがあった場合、再申請が必要になる
名義変更の手続きは複雑に感じることもあります。ミスをしてしまうとスムーズに進められず、予定日までに手続きが終わらないリスクがあります。
・数次相続の手続きは自分で行うのが手続きが難しい
数次相続とは、名義変更されていない不動産を相続することです。必要書類を集めにくいため、自分で進めるのは難しいでしょう。
土地の名義変更を司法書士に依頼する場合
土地の名義変更を確実かつスムーズに進めたい場合は、司法書士に依頼するのも一つの選択肢です。
専門家に任せる安心感がある一方で、費用も発生します。
ここからは、司法書士に依頼する際のメリット・デメリットを確認しておきましょう。
司法書士に依頼するメリット
司法書士に依頼するメリットは以下の通りです。
・確実で安心して手続きを進められる
司法書士は登記の専門家ですので、難しい手続きであっても安心して任せられます。
・手間がかからない
ほとんどの手続きを司法書士が代行してくれるので、手間がかからず、時間を節約することもできます。
・法的な知識が必要な場合や特殊なケースでも対応が可能
数次相続など複雑なケースでも、司法書士ならスムーズに手続きを進めてくれます。
司法書士に依頼するデメリット
司法書士に依頼するデメリットは以下の通りです。
・費用がかかる
手続きを代行してもらうため、司法書士報酬が発生します。
・相続人間で揉めた場合は対応できない
紛争については司法書士は関与できません。弁護士の領域となるため、司法書士とは別に弁護士を依頼する必要があります。
土地の名義変更で失敗しないための注意点
土地の名義変更を滞りなく進めるためには、注意すべき点を把握しておく必要があります。
ここからは、土地の名義変更で失敗しないための注意点を3つご紹介します。
注意点をしっかりと把握し、スムーズに名義変更を行いましょう。
名義変更は当事者が協力して申請する必要がある
先述の通り、土地の名義変更は単独で進められるものではなく、基本的に売主と買主、贈与者と受贈者など、当事者同士が協力して申請を行う必要があります。
例えば、不動産売買の場合は、売主が印鑑証明書を用意し、買主は住民票を提出するといったように、それぞれが必要な書類を準備しなければなりません。
もし一方の当事者が協力を拒んだり、必要書類を用意できなかったりすると、名義変更自体ができなくなるケースもあります。
スムーズに手続きを進めるためにも、事前にお互いの役割や必要書類を確認し、協力体制を整えておくことが重要です。
余裕を持ったスケジュールで行う
土地の名義変更は、書類を集めて申請するだけで終わると思われがちですが、実際には想定以上に時間や手間がかかります。
例えば、相続の場合、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集めるだけでも日数がかかることが少なくありません。
また、法務局の混雑状況によっては、審査に時間がかかる可能性があります。
さらに、書類に不備があれば差し戻しとなり、再申請が必要になることも考えられます。
期限が迫った状態で慌てないためにも、余裕を持ったスケジュールを立て、早めに準備を始めることが大切です。
また、少しでも手続きに不安を感じているのであれば、司法書士に依頼することも検討しましょう。
税金の計算をしておく
土地の名義変更を進める際は、税金の計算をしておくことも大切です。
先述した通り、登録免許税は土地の名義変更をする理由によって税率が異なります。
例えば、相続の場合は「固定資産税評価額×0.4%」ですが、生前贈与の場合は「固定資産税評価額×2%」と変動します。
さらに、登録免許税だけでなく、贈与税や相続税が発生することもあります。
特に贈与税は税率が高くなることがあるため、想定以上の負担になるケースも少なくありません。
これらの税金を考慮せずに名義変更を進めると、後になって高額な税負担に驚くことになりかねません。
あらかじめどのくらいの税金がかかるのか計算しておき、費用の目安を把握しておきましょう。
また、必要に応じて税理士などの専門家に相談するのも有効です。
土地の名義変更に関するFAQ
これから土地の名義変更を行うにあたって、さまざまな疑問が生じることがあるでしょう。
ここでは、上記で解説しきれなかった疑問点についてご紹介します。
疑問点を解消し、安心して土地の名義変更を進めていきましょう。
土地の名義変更にはどれくらいの期間がかかる?
土地の名義変更にかかる期間は、手続きの種類や状況によって異なります。
一般的に、必要書類の準備に1~2週間程度、法務局での審査に1~2週間程度を要し、スムーズに手続きが進んだ場合でも約1~1.5ヶ月程度かかることが多いです。
特に相続の場合、戸籍謄本などの書類が多くあるため、2~4週間程度かかることがあります。
土地の名義変更をする際は、必ず余裕を持ったスケジュールを立てて進めるようにしましょう。
土地の名義変更の期限はいつまで?
先述の通り、相続による土地の名義変更は、2024年4月1日から義務化されました。
これに伴い、相続開始から3年以内に登記を行わない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
また、2024年4月1日以前に相続が発生した不動産についても同様で、その場合は2027年3月末までに名義変更をする必要があります。
なお、不動産売買や生前贈与、財産分与による土地の名義変更には、法的な期限は設けられていません。
土地の名義変更に必要な書類の有効期限は?
相続登記に必要な戸籍謄本や印鑑証明書などの書類には、基本的に有効期限はありません。
ただし、固定資産評価証明書は最新のものを提出する必要があります。
評価額は毎年変動するため、申請時点での最新の証明書を取得することが求められます。
司法書士に依頼する場合、どのような司法書士を選べばいい?
土地の名義変更を依頼する司法書士を選ぶ際は、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。
・不動産登記の経験が豊富か
・的確なアドバイスをしてくれるか
・料金体系が明確であるか
・弁護士や税理士と連携しているか
これらの点は、無料相談などを活用することで見極めることができます。
しっかりと見極め、信頼できる司法書士に依頼するようにしましょう。
【まとめ】土地の名義変更の仕方を理解し、スムーズに進めよう
土地の名義変更は、相続や贈与、離婚、不動産売買など、さまざまな場面で必要になる重要な手続きです。
放置してしまうと、将来的な売却や相続の際にトラブルが発生したり、場合によっては罰則の対象となる可能性もあるため、早めに対応することが大切です。
手続きには必要書類の準備や費用の確認など、想像以上に手間がかかるものですが、事前に流れやポイントを理解しておけば、スムーズに進めることができます。
また、複雑な手続きに不安を感じる場合は、司法書士などの専門家に相談することで、負担を減らしながら確実に進めることも可能です。
改めて本記事の内容を参考に、自分の状況に合った方法を選び、計画的に土地の名義変更を進めていきましょう。