この記事の概要
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売り出している戸建てがなかなか売れず、売却活動が難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。
また、これから戸建ての購入を検討している方で将来的に売却することも視野に入れており、その時に売却できるか不安な方もいるかと思います。
こちらの記事では、戸建ての売却にかかる期間や、戸建ての売却が難しいと言われる理由、売却が難しい戸建ての特徴や対策についてもご紹介していきます。
ぜひ参考にして、解決策を見つけてくださいね。
この記事の目次
戸建ての売却にかかる期間
実際に戸建ての売却には、平均的にどれくらいの期間がかかっているのか気になりますよね。
こちらは、東日本不動産流通機構による「首都圏不動産流通市場の動向(2023年)」に掲載されている調査データになります。
以下の表は、成約に至る日数を表したものです。
出典:REINS TOWER
中古戸建住宅の2023年欄を見てみると、成約に至る平均日数が「83. 3日」になっているのが分かります。
このように、不動産流通機構が運営している不動産物件情報交換システムへの登録された物件は、平均3カ月程度で成約まで至っている計算になります。
また、戸建ての売却が完了するまでには、売却準備や売却活動などの手順がありその分の期間がかかります。
戸建ての売却における流れは以下のようになります。
手順 | かかる期間の目安 |
---|---|
情報収集などの下準備 | 1週間 |
査定依頼 | 1週間 |
不動産会社との媒介契約 | 1週間 |
売却活動開始~内見対応 | 3ヶ月 |
売買契約の締結 | 1ヶ月 |
このような点から、一般的に戸建ての売却にかかる期間は3〜6ヶ月ほどと言われています。
しかし、売却が難しい問題を抱えている戸建ての場合は、購入希望者がなかなか現れず売却活動が長引く傾向にあります。
そういった物件の場合は、売却に至るまでに半年以上の期間がかかることも想定しておいた方が良いでしょう。
戸建ての売却が難しいと言われる理由
そもそも中古の戸建ては、中古マンションに比べると売却が難しいと言われています。
なぜなら、戸建てはマンションに比べると価値が下がるのが早い傾向にあるからです。
法定耐用年数が、鉄筋コンクリート造マンションは47年なのに比べて、木造の建物は22年と短く、耐用年数を迎えるとその建物の価値がなくなってしまいます。
また、戸建ては都心部よりも郊外の方が多く建てられています。
都心部に比べて人口の少ない郊外での売却となるため、購入希望者が現れづらく、利便性や交通の便でも不利となります。
以上の点から、戸建ての売却は難しいと言われています。
売却が難しい戸建ての特徴
実際に売り出す際、売却が成功するのが難しくなってしまう戸建てにはどのような特徴があるのでしょうか。
こちらでは、売却が難しい戸建ての特徴についてご紹介していきます。
売却が難しい戸建ての特徴は、以下のものが挙げられます。
- 築年数が古い物件
- 立地が悪い物件
- 土地の形状が特殊な物件
- 再建築が不可能な物件
- メンテナンスに不備がある物件
- 販売価格が高すぎる物件
- 注文住宅などこだわりの強い物件
築年数が古い物件
こちらは、国土交通省の調査による中古住宅の市場価格を表したグラフになります。
出典:「中古住宅流通、リフォーム 市場 の現状」(国土交通省)
このグラフからわかるように、木造戸建住宅は築年数が経つにつれ市場価値が下がり、築20年を過ぎると物件の価値はほぼなくなってしまいます。
また、木造の戸建てにおいては、法定耐用年数が22年と定められているため、耐久性が低くなっている可能性があり買い手がつきにくい原因となります。
立地が悪い物件
戸建てを購入してからの生活を考慮すると、立地の条件は戸建ての売却に大きな影響を与える要因となります。
戸建ての購入希望者は、主にファミリー世帯が多く、子供のために治安の良さやスーパーが近くにあるか、駅までの近さや都心に出やすいかなどが考慮される点になりやすいです。
また、日当たりの良さや騒音、自然災害のリスクがないかも重要なポイントとなります。
そのため、治安が悪い地域の物件やアクセスの悪い物件、日当たりや騒音に問題がある、自然災害のリスクがあるといった立地の悪い物件は買い手が見つかりにくいでしょう。
土地の形状が特殊な物件
土地が狭すぎたり、旗竿地のような形状が特殊な土地は、購入後の使いにくさを懸念し避けられる傾向にあります。
また、戸建ての建つ土地が接する道路(接面道路)が狭すぎる場合も、車の出し入れがしにくかったり、見た目が窮屈に感じるなどの原因で買い手がつきにくくなります。
再建築が不可能な物件
一度現在の建物を取り壊すと、新たな建築が行えなくなってしまう物件を「再建築不可物件」といいます。
物件は本来、安全条例等によって定められた条件を満たして建てられています。
この条例等ができる前から建っている物件については、遵法性を満たした物件として取扱われるため、そのまま利用する分には問題ありませんが、一度取り壊してしまうと、条例等の内容が反映されることとなるため、新たに建物を建てられなくなってしまいます。
メンテナンスに不備がある物件
庭に無造作に雑草が生えていたり、設備が故障している、室内に目立つ傷があるなどメンテナンスに不備がある物件は買い手がつきにくくなります。
内見を行っていてもなかなか買い手がつかない場合は、こういった点も原因の一つとなっているでしょう。
売却を成功させるためには、クリーニングや故障の修理も必要となります。
販売価格が高すぎる物件
物件の条件と販売価格が見合っていない物件は、買い手がつきにくくなってしまいます。
そのため、あまり高すぎる販売価格に設定すると、売れ残ってしまう可能性があります。
売却したい戸建ての適正価格を知るためには、相場を調べるのがおすすめです。
相場を調べるには、「REINS TOWER」や「不動産情報ライブラリ」で不動産取引価格情報検索を使い、過去の類似物件の価格を調べると良いでしょう。
注文住宅などこだわりの強い物件
こだわりがつまった注文住宅は、買い手の好みとマッチしにくく、売却が難しい傾向にあります。
物件が築浅の場合は、リフォームをせずにそのまま住むことを想定する人が多いため、個性的な外観や間取りの物件は敬遠されがちです。
対して建売住宅は誰にでも合うように設計されているので、注文住宅に比べて購入されやすいでしょう。
戸建ての売却が難しいときの対策
戸建ての売却がうまくいかない場合、どう対策すれば成功するのか気になりますよね。
こちらでは戸建ての売却が難しいときの対策についてアドバイスしていきます。
事前に対策を把握し実践することで、戸建ての売却成功へと繋げましょう。
ホームインスペクションを受ける
築年数の古い戸建ては、買い手が見つかりにくい傾向があります。
それは、古い家は欠陥があると思われているためです。
そこで、おすすめなのがホームインスペクションです。
ホームインスペクションとは、住宅診断士や建築士が住宅の劣化状況を診断してくれる制度になります。
プロの診断により安全性をアピールすることができれば、買い手も見つかりやすくなります。
既存住宅売買瑕疵保険に加入する
戸建てを売却する際、売主は買主に対して「契約不適合責任」を負う義務があります。
そのため、万が一引き渡し後に欠陥が発覚するなどの不適合が見つかれば買主から補修の請求や損害賠償請求を受ける可能性が出てしまいます。
特に築年数の古い戸建ては、劣化が進んでおり契約不適合責任に該当する可能性が高いです。
そこで、「既存住宅売買瑕疵保険」に加入することで対策をとることができます。
既存住宅売買瑕疵保険とは、建物の引き渡し後に構造耐力上主要な部分に関して欠陥や不具合などの瑕疵が見つかった際に、売主が買主に対して負う責任を保証する契約です。
既存住宅売買瑕疵保険に加入していれば責任を免れることができるので、安全性をアピールすることができます。
売り出すタイミングを見計らう
不動産の需要はシーズンによって異なります。
一般的には、新生活が始まる前の2〜3月と人事異動や転勤などが行われる前の9月のほうが買い手を見つけやすくなります。
売却が難しい問題を抱えている戸建ての場合、売却に至るまでに半年以上の期間がかかることもあるため、スケジュールに余裕を持ち、売り出すタイミングを見計らうと良いでしょう。
アピールポイントを具体的に洗い出しておく
売却が難しい戸建てであっても、アピールポイントを洗い出しておけば戦略を立てやすくなります。
例えば、「築年数が古い物件でもしっかりメンテナンスがしてある」「狭い土地に建っている物件でも日当たりが良好である」などは優位なアピールポイントとなります。
そういったアピールポイントを洗い出しておき、売却活動に活かしましょう。
売却が難しい戸建てを早く高く売るコツ
戸建ての売却は難しいと言われていますが、少しでも早く売却をしたいですよね。
また、なかなか購入希望者が現れない状況になると、売却価格を下げるべきか悩まれる方も多いかと思います。
しかし、安易に価格を下げてしまうと利益が少なくなってしまいます。
なるべく高い金額で売却するためにも、早めに買い手を見つけることが得策です。
こちらでは、戸建てを早く高く売るコツをご紹介していきます。
ぜひ、これから売却を検討している方も、現在売却活動を行っていて難しいと感じている方も参考にしてください。
家を清掃しきれいにする
購入希望者が内見に来た際に、家が汚かったり、散らかっているとマイナスの印象を与えてしまいます。
また、所有者に対してもルーズな印象を持ち、物件にほかの不備があるのではと不安になってしまうかもしれません。
マイナスな印象を持たれるとなかなか買い手がつかず、売れ残る原因になってしまいます。
少しでも早く売却するためには、購入希望者が内見に来た際に「住みたい」と思ってもらえるように、内見前には家の中を隅々まで綺麗にしておきましょう。
戸建ての売買が得意な不動産会社に依頼する
マンションに比べて、戸建ては個別性が高く、物件それぞれの事情に合った戦略を立てる必要があります。
そのため、売りたい物件のあるエリア内でも戸建ての売買を得意とする不動産会社を探して依頼することが重要です。
そういった不動産会社を見つけるには、不動産会社のホームページで売買実績を確認したり、口コミを参考にすると良いでしょう。
媒介契約の選択に力を入れる
不動産会社に仲介を依頼し、売却活動を行う際は必ず「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つの中から契約しなければいけません。
それぞれに以下のような違いがあります。
複数の不動産会社との同時契約 | 自分で見つけた相手との取引 | 契約の有効期間 | 販売活動状況の報告 | |
一般媒介契約 | 〇 | 〇 | 指定なし | なし |
専任媒介契約 | ✕ | 〇 | 3ヶ月以内 | 14日に1度以上 |
専属専任媒介契約 | ✕ | ✕ | 3ヶ月以内 | 7日に1度以上 |
一般媒介契約は、売却活動の自由度が高いというメリットがありますが、専任媒介契約や専属専任媒介契約に比べると不動産会社からのサポートが手薄になりやすいというデメリットもあります。
一般媒介契約は、複数の会社への依頼ができ、売主自身でも買い手を見つけられるため、不動産会社にとってはどうしても販売活動の優先度が低くなってしまう傾向があるからです。
対して、専任媒介契約や専属専任媒介契約は、どちらも1社のみとの契約となるため、不動産会社からのサポートが手厚くなりやすくなります。
あらかじめ信頼と実績のある不動産会社を探し、1社専任で依頼するのも有効な手段となります。
不動産会社を変更する
不動産会社の対応が悪く、売却活動がなかなか思うよう進まない場合は変更することをおすすめします。
「専属専任媒介」や「専任媒介」を契約している場合は、契約期間が3か月のため、3か月目終了時点で更新せず、不動産会社を変えるいいタイミングとなります。
物件が売れないにもかかわらず、売り手が不動産会社を変更しない場合、その会社に「あまり力を入れていなくても契約が切れない」と本気で販売活動をしてもらえない可能性もあります。
また、媒介契約時に期限を伝えるのも有効な方法となります。
「3か月経っても売れない場合は別の不動産会社に変更する」などの旨を伝えて販売活動に力を入れてもらえるよう対策しておくと良いでしょう。
戸建ての売却が難しい時の注意点
なかなか戸建てが売却できず、焦ってしまう方もいるでしょう。
そんな時、安易に行動してしまうとかえってデメリットになってしまう可能性もあります。
こちらでは、事前に知っておきたい戸建ての売却が難しい時の注意点について解説していきます。
むやみなリフォームに注意
築年数が古い物件だと、リフォームして少しでも見栄えを良くしたいと考える方もいるかと思います。
しかし、安易なリフォームはデメリットになる可能性もあります。
なぜなら、リフォームの費用を売却代金に上乗せすることは難しいケースがほとんどであり、リフォーム工事を行う数か月間は売却活動が行えなくなってしまうからです。
そのため、費用面でも得策ではなく、今でも長くなってしまっている売却期間がさらに長引く原因にもなります。
また、築年数が古い物件の購入を希望する人のなかには、物件を安く購入し、自由にリフォームやリノベーションをしたいというケースもあります。
リフォームをした方がいいか迷ったときは、まず不動産会社に相談してみると良いでしょう。
むやみに解体しない
戸建てがなかなか売却に至らない際に、焦って建物を解体するのはおすすめできません。
確かに、解体を行い更地にし、土地のみで販売した方が売れやすくなるケースも少なくありません。
しかし、建物を取り壊してしまうとそれまで適用になっていた「固定資産税の軽減特例」が、翌年以降受けられなくなってしまいます。
結果として、翌年以降に3〜6倍程度の固定資産税が発生してしまいます。
こちらは、毎年1月1日時点の状態に基づいて判断されるため、更地にするのであればタイミングに注意したほうが良いでしょう。
また、木造住宅の場合1坪あたり4万円から5万円ほどの解体費用もかかってしまいます。
むやみに解体を行わず「古家付き土地」として販売する選択肢もあるので、解体を行うべきかはきちんと検討してからにしましょう。
むやみに空き家にしない
買い手がつかないことを想定して、居住中の売却物件から仮住まいに引越しをする方もいるでしょう。
しかし、想定していた期間よりも長い間買い手が見つからないケースも起こりえます。
そのため、仮住まいの費用がかさんでしまう結果になってしまいます。
また、空き家の状態にしていると建物の劣化も早くなりやすいです。
仮住まいへの引越しを検討している方は、慎重に検討してから決断したほうが良いでしょう。
空き家バンクの利用には注意
空き家バンクとは、自治体を通じて空き家が欲しい人と空き家の所有者をマッチングさせてくれる仕組みのことです。
空き家バンクは、費用がかからず利用できるというメリットがあります。
しかし、交渉や契約書作成の際に専門家が携わってくれるわけではありません。
また、購入希望者の対応も自分で行わなければならないというデメリットもあります。
そのため、大きなトラブルに繋がる可能性や、時間や労力の負担も考えなければなりません。
空き家バンクを利用する際は、事前に調べてから判断するようにしましょう。
どうしても戸建ての売却が難しい時の対処法
どうしての買い手が見つからず、売却が難しい場合は「買取」を検討するのも一つの方法です。
買取とは、不動産会社が物件を直接買い取ってくれる売却手段になります。
不動産会社を通して購入希望者を探す「仲介」とは違って、仲介手数料も発生しません。
また、契約不適合責任(瑕疵担保責任)も免除されるため、売却する戸建てに万が一不具合があったとしても補償の義務はなく、トラブル発生のリスクを回避できます。
いっぽうで、売却価格が仲介に比べて7〜8割程度に下がってしまうというデメリットもあります。
しかし、売りたい物件をスピーディーに現金化できるので、売却が難しい戸建てを早く手放したい方には有効な手段となります。
もし、買取を検討する際は不動産会社によっても買取価格が異なってくるため複数社に査定を依頼するのがおすすめです。
株式会社じげんが運営する「イエイ」では、安心して取引できる複数の不動産会社から一括査定を受けられます。
複数の不動産会社から選ぶには一括査定を利用するのが便利なので、ぜひご活用ください。
戸建ての売却はゆとりを持って行おう
マンションなどに比べて、戸建ての売却は時間がかかってしまうケースも多いためゆとりを持ったスケジュールで計画を立てることが大切です。
また、なかなか売却に至らないからといって焦って行動するのは禁物です。
戸建ての売却が難しいときの対策や早く高く売るコツについてご紹介してきたので、ぜひ参考にしてくださいね。
戸建ての売却が難しい原因を把握し、対策をとることで売却を成功させることへと繋げていきましょう。