大切な不動産を売却するなら、「なるべく高く売りたい」「絶対に失敗したくない」と思いますよね。しかし、いざ売却するとなると、どの売却方法を選択したらいいか迷う人も多いのではないでしょうか。
本記事では、不動産の売却方法のひとつである「不動産買取」について、メリットやデメリットを含めて解説します。高く売るコツやスムーズな売却に向けた失敗しないためのポイントも紹介するので、ぜひ売却方法を検討する際の参考にしてみてください。
この記事の目次
不動産買取とは
不動産の主な売却方法には、「不動産買取」と「不動産仲介」の2つがあります。不動産買取とは、不動産会社に直接、不動産を買い取ってもらう方法です。買い取られた不動産は、リフォームやリノベーション等が施されたのち、再販売されます。不動産買取は不動産会社と価格などの条件が成立すればすぐに買い取ってもらえるため、スピーディーに売却を完了できるのが大きな特徴です。
一方で、不動産仲介とは、売主と買主の間に不動産会社が入って不動産の売買を進める方法です。
不動産仲介との違い
不動産買取と不動産仲介の違いは、次の通りです。
不動産買取 | 不動産仲介 | |
---|---|---|
買主 | 不動産会社 | 個人の場合が多い |
売却価格 | 相場価格より2~3割低い | 相場価格に近い |
売却までの期間 | 約1週間~1ヶ月 |
数ヶ月から半年程度が目安 |
仲介手数料 | なし | あり |
内覧対応 |
なし ※査定の際に内覧がある場合も |
あり |
不動産買取は不動産会社に不動産を直接買い取ってもらうため、短期間で売却が完了します。売却価格は相場より安くなってしまうものの、仲介手数料がかからず内覧の対応も不要のため、安くても手間をかけずに早く売却したい人におすすめの方法です。
対して不動産仲介は、売主と買主の間に不動産会社が入って不動産売買を進めるため、売却完了までに数ヶ月から半年程度かかる場合が多いです。購入希望者が現れない場合は、希望する期間内に売却が完了しないこともあります。内覧対応をはじめとする売却活動に時間と手間がかかりますが、相場価格に近い価格で売却できる傾向にあるため、時間がかかってもできる限り高い価格で売却したい人におすすめの方法です。
関連記事:マンション買取とは?仲介との違い、買取の流れやメリットを解説 - イエイ
不動産買取の2つの方法
不動産買取には「即時買取」と「買取保証」の2つの方法があります。それぞれの方法の概要を紹介します。
①即時買取
即時買取とは、不動産会社に不動産をすぐに買い取ってもらう方法です。依頼から査定、契約、引き渡しまでスピーディーに進むため、早ければ1週間、遅くても1ヶ月程度で売却が完了します。
即時買取に対応した不動産会社であれば依頼後、すぐに査定及び価格・買取条件提示をおこなってくれるため、とにかく早く売りたい人におすすめです。
②買取保証
買取保証とは、一定期間「不動産仲介」の方法で売却活動を行い、期間内に購入希望が現れなければ、その不動産仲介会社が直接、不動産を買い取る方法です。
売却の期限が決まっている、または、早く売りたいといった人でも、まずは高く売却できるか試してみたいのであれば買取保証がおすすめです。
不動産会社が確実に買い取ってくれる安心感がメリットですが、仲介で売れなかった場合には、仲介で提示されていた価格よりも価格が下がってしまうデメリットもあるので、しっかり検討したいですよね。
買取保証において損をしないポイントを知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
即時買取との違いを踏まえて検討してみましょう。
マンションの買取保証と即時買取の違いは?損しないためのポイントは?
不動産買取の5つのメリット
不動産買取を選択すると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは不動産買取の主なメリットを5つ紹介します。
- 早く確実に売却できる
- 周囲の人に知られずに売却できる
- 仲介手数料がかからない
- 内覧が不要になる
- 契約不適合責任が免責される
①早く確実に売却できる
不動産買取は、買取をしてくれる不動産会社を探す手間はかかりますが、不動産会社との売買契約が成立すれば、すぐに売却できます。
一方で不動産仲介の場合は売却までに数ヶ月〜半年程度かかることが多く、購入希望者が現れなければ売却できないこともあります。
不動産買取は、不動産仲介に比べ早く確実に売れるため、早く現金化したい場合や確実に売却したい場合におすすめです。
②周囲の人に知られずに売却できる
不動産買取は不動産会社とのやりとりで完結するため、売却しようとしている事実が近隣の人に知られる心配はないでしょう。不動産仲介は購入希望者を見つけるために、周辺エリアにチラシを配布したり、Webサイトに物件情報を掲載したり、現地での見学会を開催したりすることもあり、周囲の人にも売却中であることが知られてしまう可能性は高いです。
もちろん不動産仲介の場合でも、不動産会社に要望を伝えることでチラシの配布エリアを限定したり、現地での見学会を開催せずに売却活動をしたりすることは可能です。しかし限定的な売却活動は、購入希望者を見つけるチャンスを減らしてしまいます。
周囲の人に知られずに売却したい場合は、不動産会社とのやり取りで完結する不動産買取を選択するのがおすすめです。
③仲介手数料がかからない
不動産買取の場合は、仲介手数料は不要です。仲介手数料とは、売主と買主の間に入って不動産売買を進める不動産会社に対し、売買における仲介業務の対価として、支払うものです。不動産仲介で不動産を売却した場合は、物件価格が400万円以上の場合は最大で「(売買価格×3%+6万円)+消費税」の仲介手数料がかかります。
対して不動産買取は、売却活動や買主との交渉、契約媒介などの仲介業務を行わないため、仲介手数料は発生しません。
不動産買取における手数料については、こちらの記事の「仲介手数料0円の場合」の項目でも解説しています。その他、仲介手数料が必要な場合や安く抑える方法についても紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
不動産・土地売買の仲介手数料はいくらかかる?安く抑える方法も解説
④内覧が不要になる
不動産買取は、不動産会社を相手に売却するため、内覧の手間がかかりません。対して、不動産仲介で買主を探す際は、物件購入希望者のために内覧を行う必要があります。内覧対応のためにスケジュールを調整したり、少しでもいい印象をもってもらえるよう事前に片付けや掃除をしたりと、内覧に対応するには手間と時間がかかります。
不動産買取では不動産会社が室内を確認するだけで済みますので、手間も時間もかかりません。
⑤契約不適合責任が免責される
不動産買取では、売却後に欠陥が見つかった場合でも、契約不適合責任が免責されます。契約不適合責任とは、契約書に記載されていない欠陥が見つかった場合に売主が債務不履行の責任を負うものです。
たとえば、給排水管の故障や雨漏り、シロアリ被害などの欠陥が契約書に記載されていない場合、売却後に買主から補修や損害賠償を求められることがあります。しかし、不動産買取の場合は不動産会社が買主であるため、契約不適合責任の免除条項がある契約が多く、売却後の責任を免責となることも可能です。
不動産買取の2つのデメリット
不動産買取を検討する際は、メリットだけではなく、デメリットもしっかり理解しておきましょう。ここでは不動産買取のデメリットを2つ紹介します。
- 仲介と比べて売却価格が安い
- 買取を断られるケースもある
①仲介と比べて売却価格が安い
不動産買取は、不動産仲介と比べると売却価格が安くなってしまいます。不動産買取では、不動産会社は買い取った不動産を、リフォームやリノベーション等を施し付加価値をつけたうえで再販売することを前提としています。そのため、リフォームやリノベーション等の費用を差し引いた価格設定で買い取られるのが一般的です。
不動産会社は、再販売の際にも利益を出すことを見込んでいるため、買取時点の売却価格は通常の売却相場の7割~8割程度の価格になってしまうケースが多いです。
②買取を断られるケースもある
不動産仲介でなかなか買主が見つからないような場合でも、不動産買取では売却できるケースが多いようですが、場合によっては買取を断られるケースもあるようです。買取を断られるケースとしては、次のような場合が挙げられます。
- 極端に需要が少ないエリアにある
- 修繕ができないほど老朽化している
- 再建築不可物件である
- 再販売が難しい、見込めない
不動産会社も再販売によって利益を見込んでいるため、場合によっては取り扱ってくれないケースもあることを理解しておきましょう。
「買取」と「仲介」の選び方
不動産を売却する際は、何を重視するかによって適する売却方法も異なってきます。ここでは買取と仲介のどちらを選んだらよいのか、それぞれに向いているケースを紹介します。
不動産買取が向いているケース
不動産買取が向いているケースは次の通りです。
- とにかく早く売却したい
- すぐにまとまった現金が必要
- 手間や費用をかけずに売却したい
- 周囲に売却を知られたくない
- 事故物件などのワケあり物件を売却したい
不動産買取は、不動産仲介のように売却活動をする必要がないため、約1週間〜1ヶ月程度で売却できます。売却価格が相場より低くても、売却を急ぎたい人や、まとまった現金がすぐ必要な人、手間や費用をかけられない人にとってはメリットが大きいでしょう。
不動産会社とのやりとりのみで売却できるため、さまざまな事情から売却することを周囲に知られたくない場合もおすすめです。
また、不動産仲介ではなかなか売れないような不動産でも、不動産買取では買い取ってもらえる可能性があります。人気のないエリアにある不動産や築年数が古い物件、事故物件などの場合だったとしても、買取できないか、不動産会社へまずは、ヒアリングしてみましょう。
不動産仲介が向いているケース
不動産仲介が向いているケースは次の通りです。
- なるべく高く売却したい
- 売却を急いでいない
- 築浅物件を売却したい
- 立地条件のよい不動産を売却したい
不動産仲介は買い手を見つけるための売却活動に時間と手間がかかるものの、不動産買取よりも高い価格で売却できる可能性が高いため、時間に余裕がある場合におすすめです。
また、築浅物件や立地条件のよい不動産など、人気が集まる条件を備えた不動産であれば買い手が見つかりやすく、高値で売却できる可能性が高まります。
不動産買取と不動産仲介のメリット・デメリットを比較しよう
上記で不動産買取におけるメリットとデメリットを解説しました。不動産仲介には不動産買取よりも高い価格で売却できるメリットがある反面、売却には数ヶ月から半年程度の期間がかかるという点で早く売りたい方にとってはデメリットになるかもしれません。
自身のケースに合わせて「買取」か「仲介」かを判断したい方には、以下の記事も合わせて参考にすることをおすすめします。
不動産売却の買取と仲介はどっちがお得?メリット・デメリットを解説
不動産を高く売るための2つのコツ
大切な不動産を手放すのであれば、できるだけ高く売却したいと思いますよね。ここでは不動産をなるべく高く売るためのコツを2つ紹介します。
- 不動産会社の査定額を開示して競わせる
- 買取保証を利用してまずは仲介で売ってみる
①不動産会社の査定額を開示して競わせる
複数の不動産会社に査定をしてもらうことは大切ですが、ただ査定をしてもらうだけでは買取価格は高くなりません。いくつかの不動産会社に査定をしてもらったら、「他社ではこの価格でした」と他社に開示することで、オークションのように買取価格を上げられる可能性があります。
また、不動産会社側から他社の買取価格を尋ねてくる場合もあります。不動産会社はなるべく安く買って利益を出したいものの、他社に取られてしまっては元も子もないので、他社の状況に応じて査定価格を見直すこともあるため、聞かれた場合はぜひ伝えてみてください。
再販売で必ず売れる見込みがある不動産であるほど、多少無理してでも高く買い取ってくれるでしょう。
また、不動産会社より提示された査定価格というのはあくまで相対的な数値でしかないため、複数の不動産会社に依頼をして相場を把握するというのも大切になります。
不動産会社より提示された査定価格を信用しても良いのか悩んでいる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
②買取保証を利用してまずは仲介で売ってみる
売却完了の期限があるもののできるだけ高く売りたい場合は、買取保証を利用して、まずは不動産仲介の方法で売却してみるのがおすすめです。売却活動中に買主が見つかれば買取保証よりも高値で売却でき、期限までに売却できなければ不動産会社が買い取ってくれるため、挑戦してみる価値はあるでしょう。
買取保証は不動産買取と不動産仲介のメリットをかけ合わせた方法でもあるため、売却完了の期限までに余裕があれば、買取保証を取り扱う不動産会社に相談してみてください。
不動産買取の流れ
不動産買取で不動産を売却することを決めたら、次のような流れで進めていきます。
- 査定を依頼する
- 不動産会社を決める
- 買取の条件を確認する
- 不動産売買契約を締結する
- 決済と引き渡しを行う
- 確定申告を行う
まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、査定結果を比較しながら依頼する不動産会社を決めましょう。
複数の不動産会社に不動産の査定を依頼することによって、どの不動産会社に依頼するか検討をつけたり、価格の相場を把握することができます。
不動産の査定については、こちらの記事でも詳しく解説していますので参考にしてみてください。
不動産査定にはどんな例がある?損をしない売却の方法
依頼する不動産会社が決まったら、後からトラブルにならないよう、スケジュールや必要書類の確認を丁寧に行うことが大切です。買取の条件を確認できたら、いよいよ不動産売買契約の締結です。
不動産会社との間で決済と引き渡し、所有権移転登記を行い、売却にかかる手続きは完了です。
売却で譲渡益が出た場合は、翌年の2〜3月に忘れずに確定申告をしましょう。譲渡損失が出た場合でも軽減措置を受けられるケースがあるため、事前に税務署などで確認してみてください。
不動産売却の流れについて詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。
不動産売却の流れとは?売買契約の手順や査定前のポイントを解説!
不動産買取業者の選び方
不動産を売却するには、よりよい不動産買取業者を選ぶことが大切になります。
しかし、具体的にどのような点に注意して選べば良いか分からない人も多いと思います。
以下のようなポイントを意識して不動産買取業者を見極めると良いでしょう。
- 売却実績が豊富か
- 連絡をした際に返信が早いか
- 売主の要望に真摯に向き合ってくれるか
- 価格の根拠が合理的か
- 約束や期限を守っているか
信頼できる不動産買取業者の選び方についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。ぜひ参考にしてください。
不動産買取の相場を調べる方法
不動産買取において、相場を把握しておくことが大切です。より自身の希望する売却価格を検討することができたり、売却価格を低く見積もられてしまった際に損をする心配がなくなるからです。
相場を調べる基本的な方法としては、以下の2点が挙げられます。
- 周辺エリアの取引事例を確認する
- 公的機関が公表している価格を参考にする
その他の自分で相場を調べる方法などもこちらの記事でご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
不動産買取で失敗しないためのポイント
大切な不動産を売却する際、後になって失敗したと思ったり、トラブルが発生したりしては困りますよね。ここでは不動産買取で失敗しないためのポイントを3つ紹介します。
- 住宅ローンの残債を確認しておく
- 不動産買取で起こり得るトラブルを知っておく
- 実績豊富で信頼できる会社を選ぶ
住宅ローンの残債を確認しておく
住宅ローンの残債がある場合は、売却を検討する前にどのくらい残っているのかを必ず確認しておきましょう。不動産を売却するためには住宅ローンを完済しなければならないため、売却時に住宅ローンを完済できない場合はそもそも売却が難しいでしょう。
買取価格が住宅ローンの残債を上回る金額であれば、売却代金で完済できるため問題ないでしょう。また、住宅ローンの残債を下回る買取価格の場合でも、売却代金と自己資金を合わせて完済できれば売却できるでしょう。
売却代金と自己資金を合わせても住宅ローンが完済できない場合、まずは借り入れをしている金融機関に、どのような方法が取り得るのか相談してみましょう。
不動産買取で起こり得るトラブルを知っておく
不動産買取で失敗しないためには、よくあるトラブルについて事前に知っておくことが重要です。不動産買取は不動産会社が不動産を直接買い取る売却方法のため、売主と不動産会社との間で次のようなトラブルが起こりやすいようです。
- 相場より大幅に低い買取価格で契約させられた
- 不動産売買契約書に記載された売買価格が査定価格より低かった
- 想定外の費用や高額な手数料を請求された
上記のようなトラブルを回避するためにも、不動産会社は慎重に選ぶ必要があります。複数社に査定を依頼して比較をしたり、査定の根拠を聞いたりして、信頼できる不動産会社を見極めましょう。
実績豊富で信頼できる会社を選ぶ
不動産買取でスムーズな売却を目指すには、実績が豊富で信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。不動産買取の実績が豊富か、得意とする不動産は何かなど、事前にしっかりと情報収集をしておきましょう。
たくさんの不動産会社から安心して買取を任せられる不動産会社を選ぶには、当サイトの不動産売却一括査定サービスを利用するのがおすすめです。
当サイトの不動産売却一括査定サービスでは、60秒の入力で全国1,700社の不動産会社の中から最大6社にあなたの物件の見積もりを依頼できます。査定価格はもちろん、価格設定の根拠や販売計画なども比較しながら、不動産買取を依頼する会社を選びましょう。
不動産買取の正しい知識を身につけて、スムーズな売却を目指そう
不動産買取は、正しい知識をもってトラブルを回避しつつ、高く売却できるように行動することが大切です。不動産買取の実績が豊富で信頼できる不動産会社を選び、大切な不動産を納得のいく形で売却できるようにしましょう。
「ここなら信頼できる」という一社を選定するためにも、当サイトが提供する不動産売却一括査定サービスをぜひご利用ください。