この記事の概要 ・不動産査定の流れ |
不動産の売却を考えているものの、適正価格や売り方がわからず不安を感じていませんか。
実は売却価格は、査定や不動産会社の選び方で大きく変わる可能性があります。
本記事では不動産査定の基礎知識から信頼できる不動産会社を見極めるポイント、さらに高値で売るためのコツまでわかりやすく解説します。
不動産査定がどのようなものなのか把握して、スムーズに不動産売却を行いましょう。
この記事の目次
不動産査定とは?
不動産査定とは、売却予定の不動産の価値を不動産会社などの専門家が客観的に評価することをいいます。
不動産の適正価格を把握するために欠かせない重要なステップですので、査定を行うことは、売却のスタートラインに立ったと言えるでしょう。
不動産査定の種類と評価基準
不動産査定には、AI査定、簡易査定、訪問査定、不動産鑑定士による査定の4種類があります。
それぞれの特徴や選び方、査定価格の決定方法について、表を交えながら分かりやすく解説します。
4種類の不動産査定方法の特徴
先述した通り、不動産の査定方法には次の4種類があります。
査定方法 | 特徴 | 最適な活用タイミング |
---|---|---|
AI査定 | ・インターネット上に物件情報を入力するだけでAIが自動的に査定する ・最短1分で査定結果が得られる ・対象不動産の個別要因は考慮されないため精度は低い |
不動産の売却を検討し始めた初期段階 |
簡易査定 | ・不動産会社が過去のデータや市場動向をもとに査定する ・最短即日、長くて5日程度で査定結果が得られる ・訪問査定より精度が低い |
売却までに時間がある場合 |
訪問査定 | ・不動産会社の担当者が実際に現地調査をして査定する ・結果が得られるまで約1~2週間程度かかる ・AI査定や簡易査定よりも精度が高い |
具体的な売却計画がある時や詳細な市場価値を確認したい時 |
不動産鑑定士による査定 | ・鑑定評価基準(※)に基づいた査定が行われる ・鑑定結果は法的に有効な書類として利用が可能 ・結果が得られるまで約1~2週間程度かかる |
法人の不動産売買を実施する時や相続による遺産分割や離婚による財産分与を行う時 |
※鑑定評価基準とは、不動産鑑定士が不動産の鑑定評価を実施する際に適正な金額を求めるための基準のこと。
近年はインターネットの普及により、簡単に査定の申し込みができるAI査定や簡易査定が一般的です。
特にAI査定は、物件の所在地や面積、築年数などの基本情報を入力するだけで、AIが自動的に周辺相場などのデータを分析し、査定価格を即時に算出します。
また、より正確な査定額を知りたい場合は、不動産会社による訪問査定がおすすめです。
不動産会社の担当者が実際に物件を調査し、立地条件や建物の状態、設備の劣化状況などを細かくチェックした上で、より詳細な査定額を算出します。
一般的な不動産売却では、まずAI査定や簡易査定で概算相場を確認し、売却を具体的に検討する段階で訪問査定を依頼するという流れがスムーズでしょう。
このようにAI査定や簡易査定を依頼した後に訪問査定を依頼するなどと組み合わせることで、市場価値の正確な把握と、より細かい売却計画を立てることが可能になります。
不動産の査定価格の決まり方と評価の要因
不動産の査定価格は、複数の要素を組み合わせて算出されます。
ここでは訪問査定を依頼した場合の基本となる評価の要因と、査定価格の決まり方について詳しく見ていきましょう。
訪問査定を依頼した際の評価の要因については以下の通りです。
一般的要因 | 自然的要因 | 土地の地盤や位置関係など | |
---|---|---|---|
社会的要因 | 家族構成や公共施設の整備状態など | ||
経済的要因 | 税金、貯蓄、金融の状態など | ||
行政的要因 | 土地の利用や防災に関する規制の状態など | ||
地域要因 | 街路の幅員、商店街の場所、都心へのアクセスなど | ||
個別的要因 | 築年数、構造、建物の維持管理、地積、接道など |
これらの要素に加え、周辺相場や実際の取引事例データを分析し、最終的な査定価格が決定されます。
査定価格を高めるためには、これらの評価ポイントを意識して物件を管理したり、改修したりすると良いでしょう。
中でも設備の状態や建物の管理状況は、比較的容易に改善できる要素ですので、査定前に不動産の状態をチェックし、改善することをおすすめします。
以下の記事では、マンションや戸建ての査定で見られるポイントについてより詳しく紹介しています。
こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。
不動産を査定して売却するまでの流れ
ここからは、不動産を査定して売却するまでの全体的な流れについてご説明します。
不動産の売却は、完了までに通常3~6ヶ月程度かかる傾向があります。
また、不動産の売却時には、仲介手数料や登記費用、印紙代などの費用が必要となる場合もあります。
不動産を査定して売却するまでの詳しい流れや費用については、以下の記事でも紹介しているのでこちらもぜひ参考にしてみてください。
査定前に要チェック!信頼できる不動産会社を見極めるポイント
不動産売却を成功させるには、査定を依頼する際に信頼できる不動産会社を見極めることが重要です。
ここではさまざまな観点から優良企業を見極めるポイントをご紹介します。
売主の立場で確認すべきチェック項目を押さえることで、後悔のない不動産会社選びが実現できます。
地域密着度や取扱実績、提案力など、総合的な視点から最適なパートナーを見つけましょう。
不動産会社の実績と評判を確認する
不動産会社を選ぶ際は、その企業の実績や評判を重視しましょう。
優良な不動産会社は、具体的な数値やデータで実力を証明できる特徴を備えています。
例えば、年間の売買仲介件数や成約率、地域内シェア率を公表している不動産会社は信頼しやすいでしょう。
また、宅建士や不動産コンサルティングマスターなどの資格を取得している担当者がどれくらい在籍しているか確認することも重要です。
さらにこれらの情報を参考にするだけでなく、第三者の評価も判断する際の材料として有効です。
不動産情報サイトの口コミや顧客満足度調査の結果などから、サービスの質を客観的に把握しましょう。
これらの情報から総合的に評価し、自身のニーズに合った不動産会社を選定することで、スムーズな売却活動が実現できます。
複数社の査定結果を比較する
不動産売却では1社だけに査定を依頼するのではなく、最低でも3社以上の不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。
各社の査定価格や提案内容、不動産会社の担当者の対応を比較することで、より適切な売却価格と信頼できるパートナーを見つけることができるでしょう。
不動産会社に査定を依頼する際は、以下のチェックポイントを参考にして査定結果を比較してみましょう。
査定価格の高さだけで判断するのは危険です。
初めから高すぎる査定額を提示する会社は、契約後に値下げを要求してくる可能性があります。
また、営業担当者と会話をする際は、説明の分かりやすさや提案の具体性、コミュニケーション力なども重視しましょう。
不動産の売却活動は数ヶ月に及ぶため、信頼関係を築ける担当者かどうかもしっかり判断するようにしてくださいね。
当サイトが提供する不動産一括査定サービス「イエイ」では、物件情報等を一度入力するだけで簡単に複数社に査定依頼を申し込むことができます。
効率良く査定を依頼したいと考えている方は、ぜひ活用してみてくださいね。
不動産会社の担当者との面談を通じて判断する
信頼できる不動産会社を選ぶためには、複数社との面談を通じて比較検討することが重要です。
面談では以下のポイントを参考にして、担当者の対応や提案内容を詳しく確認しましょう。
面談の際には、売却期間の目安や、売却時に想定される課題への対処方法など、具体的な質問を準備しておくことをおすすめします。
また、実際の面談を受けてみて、担当者の説明が曖昧だったり、過度な期待を煽るような発言があった場合は注意が必要です。
信頼できる不動産会社か判断する際は、物件価値を最大化するための具体的な提案があるか着目することが大切です。
例えば、取引情報や販売戦略について聞いてみて、具体的な事例を数字で説明したり、売却する物件の特徴に合った説明をしてくれる不動産会社は信頼できると言えるでしょう。
最終的にはこうした提案内容の具体性と合わせ、担当者の誠実さを総合的に評価すると良いでしょう。
不動産を高く売りたい方必見!査定価格アップのコツ6選
不動産を高値で売却するには、物件価値を最大限に引き出す工夫をするのが重要です。
修繕履歴のアピール、室内の演出、必要書類の準備など、事前に具体的な対策を講じることで査定価格を上げることが期待できます。
ここでは不動産の価値を高めるための6つのポイントをご紹介します。
1.修繕履歴や管理状態をアピールする
物件の修繕履歴や管理状態をアピールすることで、査定価格に大きな影響を与える可能性があります。
修繕や点検の記録は、物件の状態を客観的に証明する重要な資料となります。
特に築年数が経過した物件では、定期的なメンテナンスの実施が高評価につながる可能性が高いです。
物件の修繕履歴をアピールする際は、以下の資料を事前に用意しておくと良いでしょう。
・保守点検報告書 ・修理伝票 ・工事写真 ・工事の見積書 ・請負契約書 ・領収書 など |
これらの資料は時系列で整理し、必要に応じて写真やメーカー保証書も添付すると、より説得力のある資料となります。
用意した資料をもとに水回りや空調設備など、生活に直結する設備の管理状態を重点的にアピールしましょう。
2.室内の演出を工夫する
物件の魅力を最大限に引き出すために、室内の演出を工夫することも大切です。
室内の演出を工夫すると、希望の売却価格よりも6%以上高く売れたり、売却時間を短縮できたりする可能性が高まります。
室内の演出をする際は、まず徹底的に清掃を行いましょう。
例えば、窓ガラスの汚れを落とし、床面のワックスがけを行い、水回りの黒ずみを除去するだけでも清潔感のある空間を生み出すことができます。
同時に不要な家具や私物を整理して、広さを確保しましょう。
また、売り出し中の物件の室内を家具やインテリアでコーディネートして、モデルルームのように演出する「ホームステージング」を利用してみるのもおすすめです。
ホームステージングについては、以下の記事で詳しく紹介しているので、こちらの記事もぜひ参考にしてみてくださいね。
3.物件に関する書類を準備する
物件に関する書類を事前に準備しておくことも査定価格に影響を与えます。
不動産取引において信頼性を高め、物件の価値を適正に評価してもらうためにも、必要書類は漏れなく整理しておきましょう。
査定時に必要な書類は、以下の通りです。
AI・簡易査定に必要な書類
・住所 ・物件の種類 ・面積 ・間取り ・築年数 などの基本情報がわかる資料 例:登記簿謄本や売買契約書など |
これらの書類は、必須という訳ではありませんが、不動産会社に正確な情報を伝えやすくするためにも事前に用意しておくことをおすすめします。
訪問査定に必要な書類
必要書類 | ・登記事項証明書(登記簿謄本) ・登記済証(権利証)または登記識別情報 ・土地の測量図や建物の図面 ・公図 |
---|---|
あるとよい書類 | ・購入時の不動産売買契約書 ・建築確認済証または検査済証 ・建築設計図書または工事記録書 ・境界確認書 ・住宅性能評価書 ・耐震診断報告書 ・インスペクションの結果報告書 ・瑕疵担保保険の付保証明書 ・リフォームの契約書 ・購入時のパンフレット |
書類はいつでも提示できる状態に保管しておきましょう。
また、書類の提示とともに、不動産会社との商談時にスムーズな説明ができれば物件への信頼度が高まり、査定価格の向上につながります。
それぞれの書類の詳しい内容については、以下の記事でも紹介しているのでこちらも参考にしてみてください。
4.地域の情報をリサーチする
先述した通り、商業施設などの建設や交通整備などの地域要因も、不動産の査定に影響を与えます。
こうした地域の情報をリサーチし、査定時に伝えることで、物件の価値を高めることが期待できます。
具体的には、以下の情報を把握しておきましょう。
・駅前再開発や新駅の建設予定があるか ・大型商業施設や病院などの建設予定があるか ・道路の拡張など交通の整備されているか など |
また、現在は開発の予定がない場合でも、将来都市計画や交通整備計画が進む可能性もあります。
その場合は、開発が進み、需要が高くなったタイミングで査定をすると良いでしょう。
そうすることでさらに高い金額で売却できる可能性があります。
5.固定資産税評価額をもとにして相場価格を調べる
固定資産税評価額とは、固定資産税を決める際に基準となる評価額のことで、公示地価(※)の約70%程度が目安とされています。
この評価額を基準にすることで、不動産のおおよその相場価格を求めることができます。
不動産の種類 | 計算式 |
---|---|
土地 | 固定資産税評価額÷0.7×1.1 |
戸建て | 固定資産税評価額×140% |
マンション | 固定資産税評価額×140% |
固定資産税評価額は、年に一度所有者宛てに送られる「固定資産税納税通知書」に記載のある「固定資産税課税証明書」を確認することで把握できます。
これらの計算式を利用してある程度の相場を確認しておくことで、不動産会社が提示する査定額が妥当であるか判断しやすくなるでしょう。
※:公示地価とは? 適正な地価の形成に役立てるために、国土交通省が毎年3月に公表している標準地の価格のこと。 詳しくはこちらの記事をご確認ください。 |
6.市場を分析し売却のタイミングを見極める
不動産の売却を成功させるには、不動産市場を分析し売却するタイミングを見極めることが重要です。
不動産の需要は、以下のグラフの通り入学シーズンや転勤が重なる3月に高まる傾向にあります。
出典:「月例速報 Market Watch サマリーレポート 2025年1月度」-REINS TOWER
※首都圏中古戸建て住宅件数の2024年1月~2024年12月までの成約件数をもとに作成
また、売却時期を検討するのとあわせて、以下の市場動向をチェックすることもおすすめします。
・地域の商業施設の開発状況やインフラ整備の状況
・住宅ローン金利の動向
・景気など経済の動向
・政府の住宅対策
不動産の市場は、一定の周期があり、10年から20年の単位で繰り返す傾向があります。
そのため市場を分析する際は、長期的な動向を理解することが重要です。
そうすることで、自分が不動産を売却する最適なタイミングを見計らいやすくなり、高値での売却も実現しやすくなるでしょう。
不動産査定の知識を活用し最適な売却戦略を立てよう
不動産査定の基礎知識と査定価格アップのコツについて解説しました。
納得できる売却活動を進めるためには、適切な査定方法の選択と準備、不動産会社の見極め方、売却のタイミング、物件価値を高める工夫をするのが重要です。
これらの知識を活用し、ご自身の状況に合わせた最適な売却戦略を立てることで、納得のいく取引が実現できるはずです。
また、不安な点があれば不動産会社の担当者に相談して、慎重に進めていきましょう。
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