不動産仲介業とは売主や貸主から依頼を受けて、買主や借主を探し、契約締結までサポートする仕事です。

不動産の売買や賃貸をしようと考えている人には、なくてはならない存在の不動産仲介業ですが、どのような仕事なのか、利用するメリットやデメリットはあるのか理解したうえで不動産売買や賃貸を依頼しましょう。

本記事では不動産仲介業とは何か、利用するメリットやデメリットを解説します。

不動産売買や賃貸をしようと考えている人はぜひ最後までご覧ください。

不動産仲介業とは

不動産仲介業者のイメージ

不動産仲介業とは、売主もしくは貸主と買主もしくは借主を結び付けて、売買契約の成立をサポートする業種です。

契約までをサポートするのが不動産仲介業のメイン業務ですが、その他にも内覧や引き渡しなどさまざまな業務を行っています。

なぜなら、不動産の取引は契約だけではなく、契約するのに必要な業務まで行う必要があるからです。

また、不動産の取引には専門知識が必要であり、知識や経験のない人がトラブルなく進めるのは困難です。

不動産仲介業者がサポートすることで、スムーズな不動産取引が実現できるのです。

不動産仲介業者が行う仕事内容としては、例えば、

  • 不動産取引を仲介する
  • 売却活動
  • 市場に出す物件確認や調査
  • 契約に必要な書類の準備

などがあります。

この仕事内容から分かる様に、不動産の専門知識が必要だったり、面倒な手続きが必要だったりします。

不動産仲介業者は、これらの、手続きや契約のサポートをする代わりに、当事者から仲介手数料を受け取ります。

宅地建物取引業の免許が必要

不動産仲介業は、先ほどの仕事内容から分かる様に、誰もが出来る訳ではなく、業務を行うにあたって、「宅地建物取引業」の免許が必要になります。

宅地建物取引業の免許を受けるには、「宅地建物取引士の設置」が必要です。

一つの事務所で、5人のうち1人が宅地建物取引士である必要があります。

この宅地建物取引士が行う業務には、

  • 物件の詳細についての説明
  • 契約の重要事項について書かれた「重要事項説明書」の説明、記名押印
  • 契約書への記名押印

などがあります。

不動産仲介業者が行う売買・賃貸の仕事内容

不動産仲介業者の仕事内容のイメージ

ここからは、もう少し詳しく、不動産仲介業者が行う仕事内容についてご紹介していきます。

不動産仲介業者が行う仕事内容は売買も賃貸もほぼ同じです。

不動産仲介業者の主な仕事内容は、次のとおりです。

業務名           業務内容
査定 売却・賃貸する不動産の価値を所有者に提示する
売買はおおよそ3ヶ月以内に売れる金額を算出する
賃貸は敷金や礼金の設定金額のアドバイスを行う
 売却活動

集客のためにインターネットやチラシを用いて販売活動を行う
既存の顧客に物件情報を提供する
なかなか売れない・貸せないときには売却金額や家賃の調整のアドバイスを行う

内覧 集客して問い合わせがあったら不動産を案内する
交渉

買い手・借り手から申し込みが入ったら申込内容を売主・貸主と調整する

契約 売買契約書・賃貸借契約書を作成し締結のサポートを行う
重要事項説明書の作成や説明を行う
引き渡し(決済)

鍵を買主・借主に渡す
売買では不動産の所有権移転を行う

表のように不動産仲介業は売買も賃貸もほぼ同じ流れ、同じ業務を行います。

不動産仲介業は、多くの業務をサポートし不動産取引をスムーズに進めていきます。

不動産仲介業者を利用するメリットとデメリット

不動産仲介業者のメリット・デメリットのイメージ

不動産仲介業者の利用には、メリットとデメリットがあります。

メリットとデメリットの両方を理解すれば、よりよい不動産取引が実現できます。

ここでは、不動産仲介業者を利用するメリットとデメリットを解説しますので、不動産取引しようと考えている人は記事を参考に手続きを進めていきましょう。

参照:不動産仲介業者を利用するメリット・デメリットとは?必要性を解説

不動産仲介業者を利用するメリット

不動産仲介業者を利用するメリットは、次のとおりです。

  • 適正な売買・賃貸相場がわかる
  • 正確な不動産知識でアドバイスしてくれる
  • 書類作成を行ってくれる
  • 折衝業務を行ってくれる
  • 売却・賃貸物件の情報を広く告知してくれる など
     

不動産仲介業者を利用するメリットは多くあり、深い専門知識が必要な作業をサポートしてくれます。

不動産の専門的な知識のある不動産仲介業者を利用すれば、トラブルの発生を防止できスムーズに不動産取引ができます。

不動産仲介業者を利用するデメリット

不動産仲介業者を利用するデメリットは、次のとおりです。

  • 仲介手数料がかかる
  • 周囲にバレやすい
     

不動産仲介業者を利用する大きなデメリットは、仲介手数料が必要になることです。

仲介手数料は不動産取引する不動産の価格や家賃によって決まり、高額になりやすい費用です。

しかし、専門性の高い不動産取引をサポートするために必要な費用であり、仲介手数料を払ってトラブルを防止できると考えれば完全なるデメリットとはいえません。

また、売買・賃貸ともに集客の際に複数の不動産情報サイトへの掲載を行うため、売りに出していることや貸し出していることが周囲にバレてしまいます。

反面、広告の効果で条件の良い買い手・借り手が見つかる可能性も上がるため、この点についても完全なるデメリットとは言い切れません。

【売買】不動産仲介業者に依頼するときに押さえておくべきポイント

不動産仲介業者に依頼するときのポイント

不動産売買時、不動産仲介業者に依頼するときに押さえておくべきポイントは、次のとおりです。

  • 仲介手数料の金額と支払うタイミング
  • 売却するときに締結する3つの媒介契約の違い
  • 不動産売買するときに必要な費用

不動産売買をするときには、上記のポイントを押さえてから不動産仲介業者に売却を依頼しましょう。

仲介手数料の金額と支払うタイミング

不動産売買時には、仲介手数料の金額と支払うタイミングを押さえておきましょう。

仲介手数料は、売買する不動産の金額によって次の表のように計算します。

計算式 計算式の利用条件
仲介手数料 = 売買金額 × 3% + 6万円 売買金額が400万円を超える場合
仲介手数料 = 売買金額 × 4% + 2万円 売買金額が200万円を超え400万円以下の場合
仲介手数料 = 売買金額 × 5%

売買金額が200万円以下の場合

たとえば、売買代金5,000万円だった場合の仲介手数料は、次のように計算します。
5,000万円 × 3% + 6万円 = 156万円(仲介手数料・消費税抜き)

計算結果のように売買時の仲介手数料が高額になりがちであるため、あらかじめ計算方法を理解しておくことが大切です。

また、仲介手数料の支払い時期は、依頼する不動産仲介業者によって異なります。
契約時に50%・引き渡し時50%という不動産仲介業者もあれば、引き渡し時に100%という業者もいます。

参照:仲介手数料とは?意味や仕組みを簡単に解説!

売却するときに締結する3つの媒介契約の違い

不動産売却時には、不動産仲介業者と媒介契約を締結しなければいけません。

媒介契約には次の3種類の契約方式があり、それぞれの内容が表のように異なります。

 

専属専任媒介契約

専任媒介契約 一般媒介契約
有効期間 3か月 3か月

法律による期間の定めはなし

依頼可能な会社数

1社

1社 何社にも依頼可能
売却活動内容の報告義務

1週間に1回以上

2週間に1回以上 なし
レインズへの登録義務

媒介契約締結から
5営業日以内

媒介契約締結から
7営業日以内
なし
自己発見取引 禁止 可能 可能

表のように3種の媒介契約の内容は異なり、自分にあった媒介契約を締結しないといけません。

媒介契約の種類によっては、売却にかかる期間や金額が変わってくることもあります。

どの媒介契約を締結すればいいかは下記の記事にて詳しく解説していますので、記事の内容をご覧いただき自分にあった媒介契約を選択してください。

参照:どれがいい?3種類の媒介契約をプロが徹底解説

不動産売買するときに必要な費用

不動産売買をするときには多くの費用がかかり、売主と買主では費用の内容が異なります。

売却・購入共通でかかる費用、売却にかかる費用、購入にかかる費用は、次のとおりです。

【売却・購入共通でかかる費用】

1.仲介手数料
仲介手数料は売買金額により変動します。

計算式 計算式の利用条件
仲介手数料 = 売買金額 × 3% + 6万円

売買金額が400万円を超える場合

仲介手数料 = 売買金額 × 4% + 2万円 売買金額が200万円を超え400万円以下の場合
仲介手数料 = 売買金額 × 5%

売買金額が200万円以下の場合

2.印紙税
印紙税は、印紙税法による課税文章である売買契約を作成したときに課税される税金です。

印紙税は売買金額により変動します。

売買金額 印紙税額

500万円を超え1,000万円以下

5,000円

1,000万円を超え5,000万円以下 1万円
5,000万円を超え1億円以下 3万円

出典:国税庁「印紙税額

※500万円以下、1億超えの場合にも印紙税額は変わります。表は抜粋です。
※2024年3月31日までに売買契約書を作成するときに適用される金額です。

【売却にかかる費用】

1.登録免許税
登録免許税は登記をする際に課税される税金です。

抵当権抹消登記1件ごとに1,000円かかります。

2.譲渡所得税
譲渡所得税は、売却時に譲渡所得が発生すると課税される税金です。

譲渡所得税の計算式は、次のとおりです。

譲渡所得 = 譲渡金額 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額
譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率

※計算は複雑で減税措置が多くあるため、正確な税額は不動産仲介業者に要確認。

3.司法書士への報酬
売渡証書作成費用は1万5,000円程度で、抵当権抹消登記に必要な費用も、1万円5,000円程度です。

【購入にかかる費用】

1.不動産取得税
不動産を取得したときに課税される税金です。

不動産取得税の計算式は、次のとおりです。

不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 税率

※減税措置が多くあるため、正確な税額は不動産仲介業者に要確認。

2.住宅ローン関係手数料
金融機関に支払う保証料や事務手数料です。

金額は金融機関により異なり、2.2%の割合制や31,500円の固定制などがあります。

3.登録免許税
登記するときに課税される税金です。

所有権移転登記や抵当権設定登記の際に課税されます。

登録免許税の計算式は、次のとおりです。

登録免許税 = 固定資産税評価額 × 税率

※減税措置が多くあるため、正確な税額は不動産仲介業者に要確認。

3.司法書士への報酬
所有権移転登記や抵当権設定登記の際に支払う費用です。

司法書士によって異なりますが3万円~5万円程度かかります。

参照:不動産売却にかかる諸費用・必要経費一覧!

【賃貸】不動産仲介業者に依頼するときに押さえておくべきポイント

仲介業者に依頼するときのポイントのイメージ

賃貸の場合にも、不動産仲介業者に依頼するときの押さえておくべきポイントがあります。

賃貸時、不動産仲介業者に依頼するときに押さえておくべきポイントは、次のとおりです。

  • 仲介手数料の金額と支払うタイミング
  • 不動産仲介業と不動産管理業との違い
  • 不動産賃貸のときに必要な費用

売買時と同じポイントもあれば、違うポイントもあります。

賃貸時にどのようなポイントを押さえればよいのか確認し、賃貸の依頼をしていきましょう。

仲介手数料の金額と支払うタイミング

賃貸の場合、仲介手数料の上限は、貸主と借主合計で家賃1ヶ月分です。

片方から家賃1ヶ月分相当の仲介手数料を受領してしまうと、もう片方からは仲介手数料を受領できません。

貸主・借主が支払う仲介手数料の割合は賃貸物件ごとにより異なるため、入居申込をするときや媒介契約を締結するときに不動産仲介業者に確認しておきましょう。

なお、賃貸時の仲介手数料は賃貸借契約締結直後に支払います。

ただし、不動産仲介業者によって支払いのタイミングは異なります。

不動産仲介業と不動産管理業との違い

不動産仲介業と不動産管理業は違う業種であるため、それぞれの業務内容を押さえておかなければいけません。

不動産仲介業は、貸主の依頼を受けてから借主の探索を行った後の契約締結を目的としており、不動産管理業は賃貸物件の管理を目的とした業者です。

両社は全く違う業務を目的としていますが、不動産仲介業者も不動産管理業も同時に行っている不動産会社が多くあるため、両業務内容を混同しがちです。

不動産仲介業と不動産管理業の違いを理解し、依頼先を間違えないようにしましょう。

不動産賃貸のときに必要な費用

不動産賃貸のときに必要な費用は、次のとおりです。

【貸す場合】
1.仲介手数料
最大家賃の1ヶ月分

【借りる場合】

費用 金額の目安 備考
仲介手数料

最大家賃1ヶ月分

不動産仲介業者に支払う報酬

敷金

家賃1ヶ月程度 原状回復費用に充てられる預入金
礼金 家賃1ヶ月程度 貸主へのお礼として渡す金銭
前家賃 家賃1ヶ月程度 入居する月の家賃を賃貸借契約書時に支払う
火災保険料 1.5万円~2万円程度 火災や水漏れ事故などに備えるための費用

 

不動産仲介業に関してよくある質問

不動産仲介業者に関するよくある質問のイメージ

不動産仲介業を利用する方は多く、利用する方の中には不動産仲介業に関して疑問を持っている方もいます。

不動産仲介業についてよくある質問は、次のとおりです。

  • 不動産会社と仲介会社の違いは何ですか?
  • 不動産仲介業者の手数料が無料になるときがあるのはなぜですか?
  • よい不動産仲介業者を探す方法はありますか?
  • 大手と地域密着型の不動産仲介会社どちらを選ぶべきでしょうか?

不動産仲介業についてよくある質問の内容を確認して、不動産仲介業を利用するときには疑問がでないように知識を得ておきましょう。

不動産会社と仲介会社の違いは何ですか?

不動産会社は不動産を取り扱う会社のことで、仲介会社は不動産会社の中で不動産流通部門を担う会社です。

不動産会社には、次のような会社があります。

  • 不動産仲介会社
  • 建設会社
  • ハウスメーカー・工務店
  • 不動産買取会社 など

上記のように、不動産会社は不動産を取り扱う会社の総称となります。

不動産仲介業者の手数料が無料になるときがあるのはなぜですか?

不動産仲介業者が売主や貸主から、仲介手数料をもらっているからです。

仲介手数料には上限金額しか決まっておらず、上限金額以内でいくら受領するかは不動産仲介業者が決めます。

そのため、売主や貸主から仲介手数料を得ていた場合、買主や借主から仲介手数料を得ないと決めるのも不動産仲介業者の自由です。

買主・借主から仲介手数料を無料にしても売主・貸主から受領しているため、不動産仲介業者はタダ働きとはなりません。

よい不動産仲介業者を探す方法はありますか?

よい不動産仲介業者を探すには、次の方法を利用し判断していきましょう。

  • インターネットサイトの口コミを確認する
  • 宅地建物取引業の免許の更新回数を確認する

インターネットサイトの口コミは完全に信用できるものではありません。

しかし、口コミに一定の傾向が出ている場合、不動産仲介業者の実態を示している恐れもあります。

また、長く営業している不動産仲介業者は消費者から信用を得ているといえるため、免許番号を見てどのくらい営業しているのか確認するとよいでしょう。

大手と地域密着型の不動産仲介会社どちらを選ぶべきでしょうか?

不動産仲介会社はたくさんありますが、一般的には、CMなどで誰もが知っている大手の会社と、全国的に有名ではないけれど、地元では知られている会社の2通りがあると思います。

それぞれの特徴として、

大手の不動産会社の場合

  • 店舗や人員、物件の情報や顧客リストが豊富
  • 広告予算もあるので、販促活動も安心して任せる事が出来る

地域で有名な不動産の場合

  • 地元の情報や歴史に詳しい
  • 大手の不動産よりも長く勤務している、知識が豊富な社員がいる

などの特徴があります。

どちらの不動産を選ぶか迷った場合は、まずは、ネットなどでその会社や店舗が、地域の物件情報をどのくらい取り扱っているのかなども確認してみましょう。

情報を多く持っている程、販促活動が有利になります。

また、例えば、都心から離れた田舎の方だと住んでいる年齢層も高齢の方が多いので、ネットより、その地元の不動産会社にしかない情報を取り扱っており、地元顧客に強い不動産会社などもあります。

さらに、エリアがはっきりと決まっているのなら、そのエリアにある店舗の不動産会社の方がおすすめです。

なぜなら、実店舗がある方が確実に情報をたくさん持っているからです。

また、物件の特徴に合わせて選ぶという方法もあります。

広い市場が狙えそうであるなら、大手がおすすめですし、エリアが限定されている場合は、地元で有名な不動産会社で選ぶのもおすすめです。

不動産仲介業は不動産取引になくてはならない存在

不動産仲介業者が重要な存在であることのイメージ

不動産仲介業は、不動産取引になくてはならない存在です。

不動産取引には多くの専門的知識が必要であり、一般の人がトラブルなく取引を終えるのは相当難しい分野です。

難しい取引をサポートするのが不動産仲介業であり、契約の締結だけでなく集客から引き渡しまでサポートしてくれます。

不動産取引はトラブルになると損害賠償が発生したり、調停になったりする恐れもあるため、個人間での取引は避けて不動産仲介会社にサポートを受けながら進めていきましょう。

当サイト「イエイ」では、大手の不動産会社だけでなく、地元の不動産会社も探せるサイトです。

「イエイ」のサイトで自分にぴったり合う不動産会社を見つける事が出来ると思うので、ぜひ利用してみて下さいね!