働かずに稼ぐ手段のひとつとして注目されている不動産投資。物件の住人が払う家賃がそのまま利益になるので、自身は何もせずとも収入を得ることができます。さらに、自己資金以上の予算で不動産投資を行える銀行融資を上手に利用すればより大きく利益を出すことができます。
以下では銀行融資の特徴や具体的な手続き、注意点を網羅的に解説します。不動産投資における銀行融資に関する皆さんの理解を深める一助となれば幸いです。
自己資金のみで行う場合と比べて銀行融資を受ける場合はどんな点で優れている?
不動産投資をしようと決めたらまずはともあれ用意しなくてはならないのはお金です。極端に言ってしまえばお金さえあれば不動産投資を始めることは可能なのです。しかし、不動産を買うとなると普段の出費とは比べものにならないほどのまとまった大きな金額が必要になります。
自己資金だけでは投資用の物件を購入することができない人は銀行からお金を借りる必要があります。借金をするということは自分が持っている以上に大きなお金を動かすことができる反面、精神的なプレッシャーはとても大きいです。
普段から大きな出費を経験しない人にとっては、不動産投資による精神的負担は余計に大きいものとなるでしょう。想定される精神的負担を少しでも和らげるためにも、銀行で融資を受けて不動産投資を行うことのメリットやリスクは事前に把握しておく必要があります。
銀行から融資を受けて不動産投資を受けるメリットは「レバレッジをかけられる」ことです。レバレッジの意味は「てこ」、つまり小さな力で大きなものを動かすことを意味します。
少ない自己資金だけではそれ相応の物件しか購入することができずに投資物件の候補も絞られてしまいますが、銀行から融資を受けることで自己資金に加えて借り入れた資金でより高額の物件を購入できたり、自己資金のみの場合と比べると投資物件の選択肢が多くなったりします。
不動産投資における命は物件の利回りに尽きるのですが、選択肢が少ないと利回りが低い物件で妥協せざるを得ない場合もあるかもしれません。収益性の高い物件を見つけるためにも、不動産投資用物件の候補はたくさんあるに越したことはないのです。
リスクとしては、もしも不動産投資がうまくいかずに赤字になったときにローンの返済に追われてしまうことです。自己資金のみで投資する場合は失敗したとしても自身の貯金が減るだけで済むので総資産がマイナスになることはありませんが、融資を受ける場合は利益を出すどころか借金を抱えてしまう危険も伴います。
不動産投資において金融機関から融資を受けるときは、慎重に綿密な返済プランを立てていきましょう。
銀行融資を受けるのに年収はどれくらい必要?
年収によって融資を受けられる可能性が高い金融機関が異なります。年収が高いほど金融機関の選択肢が多くなりますが、年収が低いと融資をしてくれる金融機関が限られます。だからと言って収入が低ければ融資が受けられないということはありません。
年収が低くても、安定した収入源があって返済の見込みがあると判断されれば融資を受けることができます。融資を受けられるかどうかにより関わってくるのは雇用形態です。
自営業やフリーランスの人は収入が不安定であると判断されがちであり、年収が高くても社会的信用が低く本人の社会的実績や投資物件の収益性といった他の観点での好条件を提示しなければなりません。一方でサラリーマンであれば年収が低くても安定した収入源があるとみなされるので、年収が低くても融資を受けられることが多いです。
次に、年収ごとにおすすめできる不動産投資における融資を行っている主な銀行を紹介します。
年収500万円以下の場合は、銀行に絞れば選択肢としては地方銀行が挙げられます。地方銀行の場合、金利が1%以下である都市銀行に比べて2%~3.5%と高く、またその多くが対象エリア内に物件があることが融資を受けるための条件となります。年収が500万円以下の人にとって最も有力な候補となる金融機関は銀行ではなく、日本政策金融公庫です。
政府系の金融機関で対象エリアが広いことが特徴です。
年収500万円~1,000万円の人は、年収500万円未満の人と比べると選べる金融機関の候補が多彩で融資条件によるものの、ほとんどの銀行で融資を受けることができます。
年収1,000万円を超える人は社会的信用度が高いので、さらにメガバンクや信託銀行でも融資を受けることが可能になります。メガバンクは1%以下という低金利で借りることができ、さらに「メガバンクでローンが組むことができる程の高属性」という事実が広まることでほかの金融機関からの信用もより高めることができます。
銀行融資による不動産投資ローンの金利の種類は?
不動産投資ローンにおける金利の種類は大きく分けて2種類あり、変動金利と固定金利です。変動金利は名前の通り金利が変化していく仕組みで、半年に1度金利が見直され、返済額も5年に1度見直されます。固定金利は1年固定・3年固定・5年固定というように固定年数を選ぶことができ、金利が一定に固定されるので返済プランを立てやすいです。
ただし、変動金利と比べて金利は高くまた固定年数が長い程金利が高くなります。
実際のところ、不動産投資ローンの多くは変動金利型の融資を行っている金融機関が多いのであらかじめ変動金利で返済することを前提に計画を立てていくと良いです。変動金利は金利が安いですが時期によっては金利上昇も考えられるので、余裕があるときに繰上げ返済するなど金利変動に対して柔軟に対応することが重要です。
銀行融資を申し込んでから借り入れるまでの具体的な流れ
銀行へ不動産投資のために融資を受けに行く前に、まずは投資用の物件を決めてからにしましょう。物件が決まっていない状態では収益計画を立てることさえできないので、融資が可能かどうかを銀行側は判断できないからです。とはいえ、銀行融資を受けること前提で先に物件を購入してしまうと万が一融資の審査に落ちてしまったら投資計画が丸つぶれになります。
そこで、投資用物件購入の前に銀行へローン相談を受けに行くべきです。その際は購入予定の物件そのものの情報が記載されている資料か、もしくは購入物件にできるだけ近い条件の物件資料を持参すると、相談担当者から適切な回答を得られやすくなります。
ローンの相談を終えて不動産投資計画の目処が立ったら、銀行の融資担当者に連絡をしてローン審査申し込みのアポイントを取ります。日時が決まったら、審査申請時に必要となる書類を確認して準備を済ませます。必要種類は大きく分けて融資を受ける個人に関する書類と投資物件に関する資料があります。
個人に関する書類としては
- 運転免許証や健康保険証
- 住民票
- 印鑑証明書といった身分証明書
- 源泉徴収票や確定申告書などの個人の属性を審査するための書類
が必要です。
投資物件に関する資料は
- 物件概要書やレントロール(賃貸条件一覧表)
- キャッシュフロー試算表
などが必要になります。なお、融資担当者や審査員からの心象が良く審査が通りやすくなるかもしれないので、身分証明書や投資物件の資料は多めに用意しておくのが望ましいです。
申し込み当日は準備した書類を持参して、銀行でローン審査申請を行います。ローン審査対象として銀行本部に通せるかどうか融資担当者が判断するのに申請してから基本的に2週間~4週間程かかります。
担当者が本部に通せる案件であると判断した場合は、それからさらに数週間~1カ月かけて銀行本部でローン審査が行われます。審査が終わり次第合否が通知されると同時に、融資期間や返済期間・借り入れ可能な融資額などの融資条件が伝えられます。
条件に満足できる場合は融資のための手続きや契約を行った後に、晴れて融資が開始されます。
銀行融資の審査基準は?審査が通りやすいケース・通りにくいケース
銀行で融資を受けるには時間も手間もかかります。融資審査に何度も申し込んでは落ちるのを繰り返すのは面倒なので、手っ取り早く審査通過をしたいですよね。また、不動産投資で満足できる収益を上げたいのならばできるだけ良い条件で銀行融資を受けるべきです。審査に通りやすいケース・通りにくいケースを把握して有利に融資を受けましょう。
融資審査に通りやすいかどうかの判断基準には「不動産投資用物件の収益性」「融資を受ける個人の属性」の2つが大きく関わってきます。
不動産投資用に購入する物件の収益性が高いほど融資の審査は通りやすくなります。資産価値があって利回りが高い物件を選ぶことができれば、不動産投資が失敗しない可能性が高いと判断されるので融資審査が通りやすくなります。
「融資を受ける個人の属性」とは
のことです。年収や資産が多ければ多いほどお金を稼ぐ力があるとみなされ、勤務先が有名企業だと安定した収入が期待されるのでお金を貸し付けても安心できる人だと判断されやすくなります。
ただし、個人の属性が良すぎるのもこと不動産投資においては危険で不動産投資が失敗に終わる可能性が高まります。個人の属性があまりに良いと、物件の収益性に対する審査が甘くなります。
多少は物件の収益性が悪いかもしれないと思っても「これほどの高属性の人が選ぶ物件なのだから投資が失敗することはないだろう」「多少収益が悪くても返済能力があるから貸し付けても問題はないだろう」と判断されてローンが組めるケースは珍しいことではありません。ですから、個人の属性が良い人ほど自分自身で物件の良し悪しを判断できる能力を養い、劣悪な物件を掴まされないように注意する必要があると言えるでしょう。
不動産投資を成功させるために銀行融資を上手く利用しよう
不動産投資は収益を出すまでのプロセスや収益性に関わる要素が非常に多く、投資のなかでも複雑で難しい部類に入るので損失を出してしまうリスクが伴います。
自己資産だけで行うのではなく銀行からの融資を受けるのであれば、その分だけリスクが高くなるのは事実です。一方で、融資を受けることでレバレッジを効かせることは、より大きな利益を生むことにも繋がります。
銀行からの融資を受けるための手順やメリット・リスクなどを正しく把握し、不動産投資の実践に役立てましょう。