不動産の売買を考えるときには、いろいろな書類を集めたり、作成したりしなければなりません。売買の際には、これらの書類がすべて揃っていることはもちろんですが、書類と実際の建物に差異がないことがポイントになります。

この確認で特にポイントになるのが建築確認、中間と完了に行われる検査合格証です。

建築確認とは?

建築確認とは、建築基準法に基づいて建物の建築計画が建築基準法令や建築基準関係規定に適合しているかどうかを、着工前に審査することを指しています。検査が終わると建築確認番号が発行されます。では建築確認とはいったいどのようなチェックをするのでしょうか。

建築確認の目的は、今から建てようとしている建物が建築基準法などの法令や基準に合っているかどうかを審査し、安全な建築物をつくるための指針を示すことにあります。

特に都市部ではほとんどの地域は都市計画区域内になるため、通常建築する一般建築物のほぼすべてが、建物の着工前に建築確認を受けなければなりません。この建築確認は都市計画区域以外でも一部適用されます。

建築確認事務は建築主事が行います。建築主事は、特定行政庁と呼ばれる役所に所属します。

特定行政庁

建築確認の確認申請を行う行政機関を特定行政庁と呼んでいます。

特定行政庁は、建築主事がいる行政機関のことです。市町村の規模によって建築主事を置くかどうかが決まり、市町村の建築の課に建築主事がいればその市町村は特定行政庁であるということになります。建築主事がいない場合は、都道府県の関係事務所が特定行政庁になります。

1998年の建築基準法の改正によって建築確認事務の民間委託が許可されましたので、必ずしも役所とは限りません。

建築基準法に基づいて建物の着工前に審査するのが建築確認

建築主事

建築主事は、実際に建築確認に関する事務を行います。

建築確認は、建築主事が行うのはもちろんですが区域ごとに審査する担当者もいて実務をこなしています。建築主事は、申請されたすべての物件のチェックを行いますが、まずは区域ごとの担当者が一つひとつ細かくチェックを行い建築主事は最終チェックを行うというのが作業の流れになっています。しかし、最終的に審査内容の責任を負うのは建築主事になります。

建築主事を置く基準は、地方自治体の大きさになります。政令で指定する人口25万人以上の市に建築主事を置かなければなりません。それ以下の規模の場合は任意になっていて、判断は地方自治体に任せられています。

建築確認に関しては、市町村ごとの特定行政庁または担当する窓口、あるいは委託された民間企業に申請します。建築主事自身が行った確認はもちろんですが、民間の指定確認検査機関が行った確認であっても公の事務として確認の責任を持っています。

建物の建築を行うときには設計図書に基づいてまず建築確認を取得し、そのあと工事着工・中間検査・工事完了検査を得て、検査済証の取得という流れになります。

新築物件を販売する場合は、この建築確認を得て初めて物件の広告を打つことができ販売を開始することができます。建築条件付土地売買の場合は、先に土地の売買契約を結んでそのあとに買主のプランにあわせて建築確認申請を出します。そのため、建築工事着工後に設計変更した場合は、改めて変更に基づいた申請を出すことになります。

建築確認は、新築の建物だけとは限りません。大規模な増改築や一定の用途変更に関しても事前の建築確認が必要です。

建築基準法とは?

建築確認を義務付けている建築基準法とは何でしょう。建築基準法には、国民の生命・健康・財産を守るために、自然災害からの安全性・建物の安全性・建物に対する敷地環境などの基準を決めている法律です。

生命・健康・財産を守るためあらゆる面の安全性や環境基準を定めているのが建築基準法

耐火
火災による延焼や倒壊の防止、避難施設の設置等、火災時の安全性の基準などが決められている
衛生
部屋への採光、換気、給排水設備、衛生設備等の環境衛生に関する基準が決められている
接道
市街地の安全や環境を確保するための基準、市街地の良好な環境を確保するための基準が決められている
建築物
建築物の容積率、建ぺい率の制限、高さの制限、日影規制等に関する基準が決められている

それ以外にも都市計画において定められた建築物に関する基準も盛り込まれています。

建築確認が必要な建築物とは?

建築確認が必要な建築物とはどのようなものでしょうか。

まず、現在建物がない場所に建物を建てる場合です。この場合は、どのような建物であっても必ず建築確認申請が必要になります。ではすでに住宅が建っている建物の増築や改築、移転の場合はどうでしょうか。この場合は床面積が10平方メートルを超える場合に限り必要となります。建築物によっては条件が異なります。

特殊建築物
(映画館、病院、共同住宅、学校、店舗、倉庫、車庫、農業用倉庫など) 床面積が100平方メートルを超えるものに必要
木造建築物
3階以上または延べ面積が500平方メートルを超えるもの、あるいは高さが13mまたは軒の高さが9メートルを超えるものに必要
木造以外
2階以上または延べ面積が200平方メートルを超えるものが対象

建築基準法の建築物には、屋根と柱もしくは壁があるものはすべて含まれますので自転車置き場や物置も含まれます。これ以外にもエレベーターなどの設備や高架水槽・鉄柱といったさまざまな工作物の対象となっている場合がありますので、細かく確認した建築確認を行っています。

特に一般の住宅の場合は、建築確認は売買の際の重要書類にですからきちんと行いましょう。

建築確認をもとに行われる完了検査、中間検査とは?

建築基準法に基づくチェックは、建築確認だけではありません。建築物が完成した時点で完了検査をうけなければなりません。中間検査が必要な建築物もあります。

完了検査や中間検査も必要

中間検査
対象となる建築物に対して、工事が完成すると隠れてしまう壁や柱などや土台の接合部分が図面どおりに施工されているのかを途中で確認する検査

対象となるのは
◇一戸建ての住宅で新設部分の床面積が50平方メートルを超えるもの
◇主要な構造部が木造の建築物で、階数は3階以上のもの
など細かく決められている

※中間検査の申請を行い、中間検査合格証の交付を受けた後でなければ、その先の施工を行うことができない

※中間検査は、対象となる工程の工事を終えた日から4日以内に申請をすることも決められている

※検査の結果、図面通りに施工されていて建築基準法の基準に適合していれば中間検査合格証が発行される
完了検査
工事が完了したあとで受ける検査

◇工事完了後に建築確認を受けた図面のとおり施工されているかなどがチェックされる
◇建築基準法の基準に適合していれば検査済証が発行される

※この検査済証は増築のときにも必要になり、売買時に売却する不動産が建築基準法に基づいて建築されていることを証明になるもであるためなくさないように保管しておく必要がある

建築確認は不動産売却に必要

不動産を売却するときには、いろいろな書類を用意しなければなりません。まず売却を決めたら仲介の不動産業者を選びます。どの業者が頼むかは、そのあとの売却がスムーズに行われるか、期待している価格で売却できるかといったことに大きく影響します。

不動産業者を決めると、次に不動産業者に対して基本的な情報の開示を行います。不動産と所有者の詳細情報として以下のものを用意します。

登録簿謄本
登記簿謄本は最寄りの法務局で手に入る
重要事項説明書
売却する不動産の重要事項が記載されている書類で、その物件を購入した際に受け取ったもの
※長い年月が経ち、すでに持っていない場合は不動産業者に相談
売買契約書
購入時に入手している
固定資産税納税通知書
不動産にかかる固定資産税の納付状況などが書かれており毎年1回発行され再発行はされない

これら以外にも、図面など開示できるものは開示してできるだけ条件の良い売買契約ができるように準備をします。

これらが揃ってはじめて不動産業者が売買の売り出しを行います。その結果、不動産売却が決まると、今度は売買契約から引き渡しまでにさらにいくつかの書類を用意することになります。

登記済権利書
売り手が不動産の所有者であることを証明するもので、最も重要なもの
売り手側の身分証
運転免許証やパスポートなど
実印の印鑑証明書
市役所に登録されている
売買代金の振込先預金通帳
住民票やローン残高証明書

などの書類を提出します。

最後に今回テーマになっている建築確認通知書と検査済証です。

建築確認通知
売却する不動産が建築基準法に基づいて設計され建築がなされたことを証明するもの

建築確認申請を行い完了すると送られてくるものですが、紛失してしまうと再発行はできない
その代わりに証明書を市役所で発行してもらう

このように、売買契約にはさらに用意しなければならない書類がありどれも必須のものになります。

住宅を建てる前の建築確認はしっかりと

住宅を新しく建てるときに必ず建築確認は行われます。住宅を設計したあと、着工する前に通る重要なステップです。建築確認を行うことで、建築基準法に基づいた条項にマッチした建築設計が行われているかどうかを細かく丁寧に確認できます。この確認が終わり検査済になるとはじめて着工することができます。

住宅のそのあとの確認はすべてこの建築確認をベースに行われます。そのため、建築確認がその不動産が建築基準法に違反していないことの証明になります。

建築確認は、特に不動産の売買では重要です。買い手は建築基準法に則った住宅を購入したいと考えるのが普通だからです。売り手は建築確認を提示することで不動産に欠陥がないことを証明できます。もし建築確認を行っていなかった場合、売買ができなかったり、余計な手間がかかったりします。購入時にしっかりと確認をしておくこと、その書面をなくさず保管しておくことは、円滑に不動産売買を行ううえでとても重要なことです。

そして先述しましたが、どの業者が頼むかでそのあとの売却や売却価格に大きく影響します。そのため、売却を決めたらまずは不動産業者をどこにするのかしっかり見極めてください。そこで不動産売却査定サイト「イエイ」を一度活用されてはいかがでしょうか。「イエイ」では、所有不動産の査定価格を1000社以上の業者のうち最大6社から比較することができ、自身の希望にあった業者選びもスムーズに行えます。

建築確認をよく知り自身に合う不動産選びをしっかりすることで、大切な不動産を賢く確実に売却できるのです。