競争入札は、一般的には国や自治体が実施する業者の選定方法のことを指しています。ただし、不動産売却におけるオークション方式のことも、競争入札と呼ばれることがあります。今回は、国や地方自治体が実施する競争入札と、不動産売却における競争入札の違いを明らかにし、不動産売却の競争入札について説明します。
この記事の目次
競争入札とは
競争入札とは、一般的には、国や地方自治体が公共事業の工事などを発注する業者を選定するための方法のことです。競争入札では、まず公共事業や契約の内容が示されます。それをもとに複数の業者がそれぞれ条件を出していきます。
そのなかで、最も良い条件を提示した業者が落札者となり、実際に公共事業を請け負うことが可能です。
そして、この競争入札は、国や地方自治体が土地を売却する際にも行われることがあります。競争入札による不動産の売却は、オークションをイメージすれば分かりやすいでしょう。国や地方自治体が実施する競争入札には、個人も参加することが可能です。
さらに、国や地方自治体以外でも、不動産を競争入札で売却することができます。入札のシステムを持っている不動産会社に依頼すれば、競争入札によるオークション方式で不動産を売却することが可能です。
競争入札の種類
一般的に国や地方自治体が実施する競争入札には、複数の種類があります。競争入札といえば、国や地方自治体が実施する競争入札が基本です。競争入札による不動産の売却方法について確認する前に、予備知識としてこれらについて見ておきましょう。
一般競争契約
一般競争契約は、3つにわかれます。
一般競争入札
◇有利な条件を示した業者が、その公共事業を落札
◇公平性を担保するため、入札では一般競争入札が行われることが多い
公募型競争入札
◇参加する企業は、参加表明書を提出する必要がある
◇審査が終わると、入札に参加することが認められた企業に指名通知書が送られる
実際の入札を行う前に業者が絞られるため、入札に参加できる時点で、落札できる可能性が高いのが特徴
見積もり(オープンカウンター)
見積もりは、一般競争入札などに比べて予算額が低い物品購入や印刷物の発注の際に行われる
■見積書の提出方法
◇窓口に直接持参
◇webから提示したりするなどさまざま
見積もりでは、一般競争入札などとは違い、説明会の開催はないため、案件が示されてから落札までの期間がとても短い
※ただし、見積もり(オープンカウンター)では、業者の本店や営業所がその自治体内に存在することが条件となっていることもある
指名競争契約
指名競争契約は、2つにわかれます。
指名競争入札
◇入札は一般競争入札で行うのが基本ですが、案件の内容によってはこういった例外が設けられている
たとえば、そもそも入札に参加できる条件を満たしている業者が少ない場合、契約の予定価格が少額である場合、専門性が高いために一般競争入札で取り扱うことが不適切である場合などがある
希望制指名競争入札
公募型指名競争入札と呼ばれることもある
◇参加を希望する業者は、技術力などを示す資料を提出しなければならない ◇資料を提出しても入札に参加できない可能性があるため、業者にとっては手間がかかる入札方法
※ただし、技術に自信がある場合は、入札に参加できたり、落札できたりする可能性が非常に高い入札方法
競争入札で不動産を売却する流れ
不動産を競争入札で売却する際は、まず仲介を行う不動産会社と打ち合わせを行う必要があります。そこでは、主に不動産の売り出し価格について検討を行います。たとえば、入札価格が売り出し価格よりも低かった場合は取引は成立しません。
ただし、売り出し価格が高すぎると、入札希望者が現れない可能性もあります。そのため、売り出し価格を設定するのは、意外と難しいです。プロの意見をしっかり聞いたうえで判断を行う必要があると言えるでしょう。
売り出し価格が決まったら、仲介業者が入札参加者を募ります。一定期間が経過したのち、基本的には入札者のなかで最も高い金額を提示した人が落札を行います。実際には、契約までの間に売却価格の交渉が行われることが多いです。
売り出し価格よりも大幅に高値で落札となった場合は、交渉に応じて値下げを行うと契約が滞りなく進みます。
競争入札による不動産売却の仕組み
競争入札による不動産売却には、細かい仕組みがあります。競争入札をスムーズに進めるためには、これらをしっかり理解しておくことが大切です。
落札者の決定方法
競争入札で不動産を売却する流れでは、一番高値をつけた人が落札すると説明しました。しかし、実際の競争入札では、入札された価格だけが判断基準となるわけではありません。不動産の落札者を決定するときは、総合評価を行うのが一般的です。
たとえば、不動産を購入する目的、購入にあたっての条件などが評価に加えられます。提示された金額とこれらを合わせて総合的な評価を行い、最終的な落札者を決定します。
「競り上がり方式」と「フリービット方式」
不動産の競争入札の入札方法は主に2つです。
競り上がり方式
高値を更新する場合に限って何度でも入札ができる
フリービット方式
期限内に一度だけしか入札できない
いずれの入札方法が取られていても、売り出し価格を超える入札がなければ落札はされません。
競争入札で不動産を売却するメリット
競争入札で不動産を売却すると、さまざまなメリットを得られます。「オークションは難しそう」というイメージがあるかもしれません。とはいえ、不動産の場合は専門の仲介業者が主導してくれるため、無理なく安心して売却することができます。
売り出し価格以上でなければ落札されない
競争入札では、売り出し価格以下で落札されることはありません。そのため、納得のいかない金額で買い叩かれるということは少ないので安心です。タイミングがよければ、一般に不動産を売り出すよりも高値で売却できる可能性もあります。
落札されたら確実に売却できる
競争入札に参加しているのは、大半が不動産関連の業者です。一般的な不動産売買では、買主が契約と同時にローンの審査を受けます。そのため、契約が進んでも審査に落ちてしまえば、実際に不動産を買い取ってもらうことはできなくなってしまいます。
しかし、競争入札の結果、不動産業者と契約を結ぶことになれば、個人の買主にありがちな事情による契約の撤回は起きません。
計画的に不動産の売却を進めたいのであれば、競争入札による売却は非常に有効です。
納得できる価格で売却できる
競争入札では、多数の人から「この金額なら購入したい」という入札金額が提示されます。そのため、不動産の売却価格に納得しやすいです。一般的な不動産の売却では、先に申し込んだ人と契約を結ばなければなりません。
しかし、競争入札では、売却する相手をある程度、比較しながら選出することができます。
競争入札で不動産を売却するデメリット
競争入札にはメリットがある一方、さまざまなデメリットも存在します。デメリットを考慮して、それでも競争入札を選ぶべきかを考えてみましょう。
売却できない場合もある
競争入札では、入札者が売り出し価格よりも高値をつけた場合に落札することが可能です。そのため、入札者がいない場合は、当然に落札者を決定することができません。そうなると、せっかく不動産を競争入札にかけた意味もなくなってしまいます。
需要が低い不動産を売りに出す場合は、競争入札よりも一般的な不動産の売却方法を選んだほうが良いと言えるでしょう。
相場より安くなる可能性がある
競争入札では、入札が集まりやすくなるように、売り出し価格を相場より安く設定するのが基本です。そのため、入札者が少なかったり、高値をつける人がいなかったりすれば、相場よりも安い価格で売却しなければならないこともあります。
競争入札で不動産を売却する際は、売り出し価格に気をつけ、その価格で売却することになったとしても問題ないか、慎重に判断すべきです。
競争入札を利用して不動産を賢く売却しよう
競争入札は、一般的には国や地方自治体の公共工事などで利用される契約者の選定方法です。不動産の売却を行う際も、競争入札を利用すれば効率よく好条件で不動産を売却できる可能性があります。
ただし競争入札で不動産を売却するときは、売り出し価格に注意しなければなりません。
一度競争入札を始めると、自分の意思で売却を止めることができなくなるため注意が必要です。
なお競争入札は、不動産のなかでも土地の売却に向いているといわれています。山林や農地などは、一般向けに販売してもなかなか買い手が付かないことが多いです。一方、競争入札を利用すれば、より多くの人に土地の売却情報を伝えることができます。そうなれば、山林や農地といった土地の購入希望者に出会える可能性も高くなるでしょう。
競争入札を利用する際は、自分にとって一般的な売却方法よりも利点があるかどうか見極める必要があります。競争入札の利用方法や注意点をしっかり理解し、賢く不動産の売却を行いましょう。そして不動産の売却は、プロの不動産会社にお願いしましょう。
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自身に合う不動産会社を選ぶこともまた、賢い不動産売却には必要なのです。