マンションを売却する際、必ずしも物事がスムーズに運ぶことばかりではありません。売り方を誤ると、場合によっては費用や手間、時間が膨大にかかる可能性もあります。
そこで、できるだけスムーズにマンションの売却をするために、押さえておきたい注意点を解説していきます。
査定額は一括査定で複数業者を比較
マンションを売却する際にまず行っておきたいのは、マンションの価値を知ることです。適切な価格で売却しないと、いつまでたっても購入者が現れなかったり、逆に二束三文で買い叩かれたりしてしまうでしょう。適正価格は見た目だけで判断することはできず、取引事例や築年数、原価、路線価などさまざまな情報から割り出すのが一般的です。査定額を知るために便利なのが一括査定です。
一括査定をする場合、複数の業者から査定の見積もりを取り、比較することでより適正価格に近い額を見極められます。また、一括査定なら基本的に無料で複数の業者を比較できるため便利です。確実な査定額は訪問査定を行わないとわからないことが多いですが、はじめに一括査定を行い依頼する仲介業者をある程度絞った方が効率的といえます。
媒介契約は一般媒介契約がおすすめ
仲介業者に売却を依頼するとき、一般的には媒介契約というものを結びます。媒介契約には「一般媒介契約」「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」の3種類に大別されます。
一般媒介契約とは、複数の業者に仲介を依頼するやり方です。自分で買い手を見つけた場合には、仲介業者の仲介を入れなくて良いのが特徴です。
専属専任媒介契約では、業者との仲介契約は1社のみに絞られます。売主が自分で買い手を見つけた場合でも、業者に仲介してもらわなければなりません。もしも自分で見つけた相手と直接契約したり、他の業者を媒介したりした場合には違約金を支払う必要があります。専任媒介契約でも仲介契約は1社のみですが、売り手が自分で買い手を見つけてきた場合には仲介なしで販売できる方法です。
ただし、自分で見つけた相手と契約する際には、仲介を依頼した業者に対して媒介契約を履行するために使用した費用を支払います。媒介の契約方法は、一般媒介契約がおすすめです。一般媒介契約が売主にとって一番自由に売却活動ができる方法であり、複数業者と契約することで売却がより早く行える可能性が高くなるからです。
ただし、一般媒介契約にも注意点があります。この方法では複数業者と契約するため、やりとりなどが大変に感じられることもあるのです。特定の業者を信頼しているなどの理由があるのなら、専任媒介契約や専属専任媒介契約にしても問題ないでしょう。
マンション売却はあらかじめ銀行に連絡しておく
マンションをスムーズに売却したいのなら、あらかじめ銀行へ連絡しておくことが重要です。住宅ローンを組んでマンションを購入している場合でまだ返済が完了していないのなら、売却と同時に残債を一括返済する必要が出てきます。
ローンの契約内容によっては借入期間が短くなったことによるペナルティが発生する可能性もあるので、査定が終わった時点で銀行に連絡を入れておくのがベストです。
内覧対応は女性が望ましい
マンションの購入希望者向けに内覧を行う際、対応は女性のほうが望ましいといわれています。その理由は、一般的に働いている男性よりも女性の方が自宅で過ごす時間が長いと考えられるからです。マンションのことや周辺環境についてなどを購入希望者に質問されたときに、女性の方が答えやすいことでしょう。質問されても回答が曖昧だと、相手がマンションに対して好印象を持つことが難しくなります。
また、内覧前には購入希望者の質問や要望を事前にシミュレートしておきましょう。どのようなことにでもハキハキと答えられるよう備えておくことも、印象を上げるために大切なことです。
室内の生活感は極力取り去りたい
あまりにも生活感があると、内覧で好感を持ってもらうのは難しいため注意してください。キッチンや洗面所などの水回りは、生活感が出やすい場所なのでとりわけキレイに掃除をしましょう。歯ブラシやソープ類も奥のほうにしまっておいてください。また、インテリアを配置することでも生活感が出ないような雰囲気作りが行えます。
購入希望者が住むために買うにせよ、前住人の生活感が漂っているマンションには魅力は感じにくいことを注意点として心得ておくと良いでしょう。
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瑕疵担保責任と危険負担の内容を理解する
マンション売却時に知っておきたいものに、瑕疵担保責任と危険負担があります。瑕疵担保責任は、買主が入居後に物件の隠れた瑕疵を発見した場合に、売主がその損害を負うことです。瑕疵担保責任は、買主が瑕疵があることを知ったときから1年以内なら売主に対して賠償請求ができます。瑕疵の程度によって契約解除をすることも可能です。
しかし、中古物件の場合は契約内容によっては免責とすることもあります。瑕疵担保責任では売主が瑕疵について知らなくても問題とされないので注意してください。一方の危険負担は、契約後から引っ越し前までの間に天変地異などによって物件が滅失あるいは毀損された場合に、修繕費を売主が負担したり契約自体を解除できたりする方法です。
民法534条第1項では買主負担としているのですが、実際物件を取引する際には売主負担で修繕して買主に渡すといった特約を結ぶのが一般的です。瑕疵担保責任と危険負担のどちらも修繕費用がかかりますし、契約が解除になってしまうこともあります。トラブルに巻き込まれたときにはどう対応すべきかをあらかじめよく理解しておきたいものです。
内覧の写真はプロに依頼して
マンションの購入者希望者がまず興味を持つのは、多くの場合、部屋の内外を写した写真です。人でも建物でも第一印象はとても重要となります。パッと見の印象が良くないと素通りされてしまう恐れがあるので、内覧の写真はプロに依頼するのがベストでしょう。
プロのカメラマンは優れたレンズをたくさん持っており、狭い室内を広く見せることもできます。少々暗めの部屋を明るく見せられる技術も持っているため、マンションをより魅力的に演出してくれます。
もちろん、写真は売主や仲介業者でも撮影可能です。しかし、素人が頑張って写真を撮るよりも、プロのカメラマンに任せたほうが購入希望者に好印象を与えられる可能性は高くなるでしょう。よりスムーズにマンションを売却するためには、多くの人の関心を惹きつけるための工夫が必要となります。
マンション売却は計画性を持って
マンション売却は行き当たりばったりではなく、計画性を持って行うことが重要です。マンションは買主が現れるか否かで、売却時期がだいぶ変わってしまいます。計画性のない売却活動では売却時期を遅らせるだけでなく、その分損をすることも往々にしてあります。売れないと値引きを余儀なくされてしまい、最終的な赤字にもなりかねません。
また、売主がいつまでにマンションを売却したいかなどの事情も考慮する必要があります。仲介業者との打ち合わせは綿密に行い、きちんとした売却計画性を持っておくことが望ましいです。
まとめ
マンションを適正価格で売却したいなら、注意点をきちんと押さえておくことが重要です。マンションは長い間売れずに残っていると、価格を下げざるをえなくなる場合があります。ローンが残っているならなおさら適正価格での売却が望まれるため、細かいところにも工夫をしてより早く売却ができるように努めましょう。
マンション売却時のポイントには、仲介業者の選び方から内覧のやり方までさまざまあります。できるだけ多くの方法を実践し、売却をスムーズに行っていきましょう。