一般的に不動産の売却はそう何度も経験することではありませんし、動くお金の額も大きいため、しっかりと準備をしてから臨むのが賢明です。そこで、実際の売却に移る前に、不動産がどういったプロセスを経て売却されるのか、流れをきちんと理解しておきましょう。  

最初に不動産売却の流れを知る!売却理由を整理して期限と価格を設定

最初に不動産売却の流れについて、全体像をざっと頭に入れることが重要です。基本的には、売却計画を立てて不動産業者に仲介を依頼し、購入者が見つかったら売却というのが一連の流れになります。また、不動産を売却したいと思い立った理由を整理し、本当に適切な判断かどうか、熟考して確認することも大切です。

「子どもが生まれたので、将来的なことを考えて広い家に住み替えたい」「転職を機に、生活環境を変えたい」などといった動機を明らかにして、いつまでに売却を行えばいいのか、価格設定はどうするのかなどの点を具体的にまとめていきます。 

子供が生まれて住み替えたい

さらに、現在住んでいる物件を売って新居に引っ越そうと考えている場合、どんな新居がいいのか、新居は購入するのか賃貸するのかという売却後のこともイメージしておきましょう。

【不動産売却の理由を尋ねられたら?伝え方のポイントなどを紹介!】

いきなり業者に依頼はナンセンス!相場を知っておこう

自分が所有する不動産の価値をまったく知らないまま、不動産業者に仲介を依頼するのは避けたほうが無難です。無知の状態では、仮に悪徳業者に騙されていたとしても、気づけないことがあります。

悪徳業者の被害に遭わないため、そして少しでも良い条件で売却を進めるためには、所有する不動産の価値について、自ら情報を収集することが大事になります。とりわけ重要なのは、不動産売却額の相場を知ることです。

自分が所有する不動産と似たような間取りや築年数の物件が、どんな地域で、どれくらいの額で取引されているのか情報を集めましょう。情報を収集するうち、自分の不動産の価値について、だいたいの相場が見えてきます。 

住宅情報誌やチラシで情報収集

情報収集の手段としては、インターネットの不動産情報サイトや、住宅情報誌やチラシなどがあります。不動産情報を取り扱うサイトによっては、無料の簡易査定サービスを行っている場合もあるので、利用してみるのも良いでしょう。複数のサイトの簡易査定サービスを受けることで、相場に関する情報の精度が上がります。

不動産売却には信頼できる不動産業者が必須

次に信頼できるビジネスパートナーを見つけるため、不動産業者の情報を収集します。高額での取引が行われ、複雑な法律や税金が関わってくる不動産売却では、頼れるプロの力が必要になります。まずは不動産業者の検索サービスを利用して、近隣の不動産業者をピックアップしましょう。

続いて各業者のホームページをチェックし、信頼できそうな業者をいくつか絞り込みます。絞り込みが済んだら、不動産業者に出向いて不動産売却の相談をもちかけます。親身になって話を聞いてくれるか、どんな提案をしてくるか、などのポイントを見定め、信頼できそうな数社を選びます。

プロの目で見てもらう!物件価格の査定を依頼しよう

選び抜いた数社に依頼して、不動産の物件価格を査定してもらいましょう。ここでの査定は数字上の条件で見積もる簡易査定ではなく、現地調査を行って正確な見積もり額を算出する訪問査定のことを言います。

条件面だけで判断して見積もった簡易査定と、プロが自分の目で見て見積もる訪問査定では、査定額に大きな差が出ることがあります。事前に調べた相場よりも査定額があまりに低い、もしくはあまりに高いような場合は、その理由をしっかりと業者に確認しましょう。

査定方法は不動産業者によってそれぞれで違いますから、複数の業者に査定を依頼して物件価格の評価を比較してみることが重要です。

これで行くと決めたら!媒介契約を結ぶ

物件価格の査定を終えたら、不動産売却に関する媒介契約に移ります。どの不動産業者と契約するかを決めるとき、ひとつの判断基準となるのは、提示された物件の査定額です。自分が希望する売却額に近いか、上回る額を提示した業者が候補となるでしょう。

加えて、査定額算出の根拠を明確に説明してくれたか、担当者の印象や対応に問題はなかったかなどといった点も考慮しなければいけません。不動産売却という重大な取引の仲介を任せるわけですから、専門知識やコミュニケーション能力に長けた人物を選ぶことが大切です。

また、業者の担当者とは不動産が売却されるまで長い付き合いになるので、明るさや誠実さといった人柄にも目を向けましょう。

良い不動産会社をみつけたら媒介契約を結びましょう

そして、不動産業者と媒介契約を結ぶ際には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」という3つの種類のなかから選択しなければいけません。特定の1社のみと契約を結ぶのか、数社に依頼するのかなどによって選ぶべき媒介契約の種類が異なるため、よく考えてから決断する必要があります。

いよいよ売り出し!購入希望者が見つかったら

媒介契約が締結されたら、購入希望者を見つけるための売却活動が始まります。契約業者のホームページや不動産ポータルサイトへの情報掲載、新聞広告やチラシや住宅情報誌への情報掲載、契約業者の顧客や提携各社への紹介など、売却活動は多岐にわたります。

不動産流通機構が運営するコンピュータ・ネットワークシステムであるレインズへの登録や、オープンハウスや現地案内会の開催といった宣伝活動も行います。売却希望者はこうした売却活動の内容や結果に関する報告を、契約業者から受けることができます。

もしも購入希望者が見つかった場合は、売却物件の見学が行われます。見学で購入希望者になるべく好印象を持ってもらえるよう、物件の清掃や整理整頓を徹底しておくよう心がけましょう。

売買契約の締結!互いに折り合いがついたら

購入希望者が物件を気に入ってくれたら、続いて売却条件の交渉を開始します。購入希望者に不動産購入の申し込み手続きを行ってもらい、希望購入価格や物件の引き渡し日、代金の支払い方法などについて、具体的に交渉を進めていきます。
売り手と買い手、双方が納得できる契約条件を目指します。

そして、お互いに合意に達した時点で、不動産売買契約の手続きが始まります。重要事項説明書の準備や、売買契約を結ぶ場所や日程の調整を進めましょう。重要な取り決めがすべて済んだら契約締結に臨み、売買契約書を取り交わすことで不動産売買契約が成立します。

そのあとで、売り手側は買い手側から手付金を受け取ります。

不動産の引き渡し

売買契約成立後は不動産の引き渡し手続きに移ります。固定資産税納付書や権利証や印鑑証明書などを準備し、残代金の受領とともに、抵当権の抹消や所有権の移転などといった登記申請を行いましょう。住宅ローンなどに残金があるなら返済も必要です。

最後に買い手に鍵の引き渡しをして、物件の管理規約や建物付帯設備の取り扱い説明書などがあれば合わせて渡します。これにて、売買契約はすべて完了となります。

なお、不動産の売却によって売却益が生じる場合、所得税や住民税などを納めなければなりません。確定申告によって売却益を明らかにして、しっかりと納税しましょう。

まとめ

不動産の売却には専門知識が必要で、知識のない人が自分の力だけで取引を進めるのは困難です。そのため、信頼できる不動産業者を見つけられるか否かは、不動産の売却においてとても重要なポイントとなります。

有能な不動産業者と担当者に巡り会うことができれば、高品質な売却活動や条件交渉などが期待できるので、納得できる価格での不動産売却を行える可能性も高まるでしょう。

しかし、不動産業者に任せきりにせず、売却希望者が自ら専門知識を学ぶことも大切です。少なくとも不動産売却の流れを把握し、自分が何をすべきか理解しておいたほうが賢明だと言えます。