不動産を売却する時には、税金をはじめ様々な費用がかかります。中でも特に金額が大きいのが不動産会社への「仲介手数料」です。不動産売却時に発生する費用をできるだけ安く抑えたい場合、不動産会社をどのように選べばいいでしょうか。
この記事の目次
そもそも不動産売却の仲介手数料とは?
不動産売却の仲介手数料とは、不動産を売買するにあたって不動産会社に仲介してもらう場合に発生します。
不動産の売買を行った際にかかる仲介手数料は、「売却価格×3%+6万円」です。この3%+6万円というのは法律で定められている上限ですので、3%+6万円以上の仲介手数料を取るということは違法にあたります。
上限額は売却価格から計算され、金額に応じて下記の計算式となります。
売買代金の税込金額が200万円以下 | 5%+消費税 |
売買代金の税込金額が201万以上~400万以下 | 4%+2万円+消費税 |
売買代金の税込金額が401万円以上 | 3%+6万円+消費税 |
※宅地建物取引業法
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000266.html
https://www.mlit.go.jp/common/001307055.pdf
https://www.mlit.go.jp/common/001307056.pdf
※2018年1月の法令改正により、400万円以下の空家等の土地または建物を売却する場合は、仲介手数料が最大18万円+消費税に変更となっています。
この3%+6万円は即算式であり、
例えば、売却価格1,000万円だった場合、
200万円までが、5%で計算され、仲介手数料10万円
201万円から400万円までの200万円分が4%で計算され、仲介手数料8万円
401万円から1,000万円までの600万円が3%で計算され、仲介手数料18万円
になり、合計すると36万円となります。
これは1,000万円×3%+6万円でも同様に36万円となるため、結果的に3%+6万円が即算式として利用されています。
この仲介手数料については、宅地建物取引業法第46条で定められており、またその上限額については国土交通省の報酬に関する告示により定められています。
法令などでは上限が設定されていますが、それを超えない範囲内で不動産会社が自由に決められます。2%や1%、極端に言えば0%も法律的には可能です。最近では仲介手数料率0%=無料の不動産会社も増えてきました。
不動産会社が売却の仲介手数料を半額や無料にできる仕組みとは?
不動産の売却仲介における不動産会社の収入は仲介手数料になるので、仲介手数料を「半額」「無料」で実施している不動産会社では、以下のような企業努力をしています。
1.広告費の大幅な削減
ご家庭には、よく土地やマンションなどのチラシ広告が投函されていると思いますが、そのような広告費だけでも相当な金額になります。広告掲載媒体をインターネット広告に特化することによって広告費の削減を実施している不動産会社も少なくありません。
2.業務の見直し
営業スタイルの見直し、適正な人員配置、AIを代表するテクノロジーの活用により人件費を削減するなど不動産売却にかかる業務のスリム化を図り経費を削減することで、仲介手数料を引き下げても収益がでる構造にしています。
3.両手取引で片側からのみ仲介手数料をもらっている
不動産を売りたいと思っている売り手と不動産を買いたいと思っている買い手、この両者の間を取り持ち仲介するのが不動産会社の役割です。不動産会社が不動産売買を仲介する場合、不動産を売りたい「売り手(売主)」と不動産を買いたい「買い手(買主)」の両方の依頼を受けることがあり、双方の仲介をすることを「両手取引」といいます。
「両手取引」の場合、不動産会社は買い手と売り手からそれぞれ仲介手数料を受け取れますが、例えば買い手側の仲介手数料を「無料」にすることで、買い手の候補を集め、積極的に不動産を購入してもらいます。また買い手がスムーズに見つかることで、売り手の満足度もあがり結果、不動産会社の評価が高まります。
こうした買い手側の仲介手数料を無料とした場合でも、売り手側から仲介手数料をしっかり貰うことによって不動産会社は収入を得ているのです。「仲介手数料無料」を謳っている不動産会社は、買主側の手数料無料が中心であり、売主からはしっかりと手数料を貰っているということを覚えておくと良いでしょう。
一般的には、仲介手数料無料は買い手側のケースが多いため、売却の際には、売り手側の仲介手数料を謳っている不動産会社を探すことになります。もしくは仲介手数料の値引き交渉を活用することになります。
法律で定められている仲介手数料は、あくまで限度額(上限)なので、話し合いによって仲介手数料を引き下げることは可能です。しかし、不動産会社としては、売却にあたっての不動産サイトに掲載する広告宣伝や物件調査の人件費などコストを負担しているため、できることなら仲介手数料を多くもらえる方がモチベーションも上がり、結果、売却も順調に進みます。
仲介手数料を強引に値引きしてもらうことで不動産会のモチベーションが下がり、物件が売れなくなってしまっては元も子もありません。
仲介手数料無料の不動産会社に売却依頼するメリット
不動産売却にかかる費用が抑えられるため、建物の解体やリフォームが必要な場合の費用や、新たにマンションや家を買いたい場合の費用に充てることが可能となります。
仲介手数料無料の不動産会社を選ぶことにより、自己資金を増やすことができるメリットにつながります。
仲介手数料無料の不動産会社に売却依頼するデメリット
まず売り手側の仲介手数料無料を実施している不動産会社は少ないので、根気よく不動産会社を探す必要があります。
また売り手の仲介手数料が無料となる時は、買い手から仲介手数料を受け取る必要があるので、自社で仲介手数料を支払ってくれる買い手を見つける必要があります。
もし他の不動産会社から購入希望者を紹介されても、自社には仲介手数料は入ってこないので断ってしまうということが起こる可能性があり、そうなるとなかなか購入希望者を見つけられず、売り出し価格を下げることに繋がりかねません。
仲介手数料が無料であることを優先した結果、最終的に売却までの期間が伸びる可能性があるということは注意が必要です。
仲介ではなく買い取ってもらった場合
また、不動産会社が直接買い取りをする場合であれば、仲介手数料はかかりません。しかし、やはりこの場合でもメリットとデメリットがあります。
不動産会社に買い取ってもらうメリット
◇早期に現金化が出来ること
◇周囲に知られずに不動産売却を行えること
◇仲介での取引とは違い、売却後の瑕疵担保責任が免除になり手離れがよいこと
◇内見をせずに買い取れるので、何度も内見のために時間を空けなくてよいこと
などが挙げられます。不動産売却を急いでいる場合やスムーズに売却を行いたい時にお勧めの売却方法です。
仲介による不動産売却とは違い不動産会社に直接売却する方法では、最短、数日から数週間で売却し現金化することも可能です。
不動産会社に直接買い取ってもらうため、仲介手数料が無料になることや売却後にトラブルが起こらないことがほとんどですので、順調に早く売却を行えることは想像しやすいかと思います。
不動産会社に買い取ってもらうデメリット
買取の場合は仲介とは違い、基本的に不動産会社による仕入れ・転売することが目的ですので仲介手数料は不要ですが、売却希望額より低くなってしまう可能性もあります。一般的には、直接買い取ってもらう場合の買取価格の相場は市場で出回っている価格の60%~70%と言われています。
例えば市場価格が1,800万円程度の物件の場合、不動産会社は1,080万円~1,260万円の価格で直接買い取ることになります。 人気エリア物件の売却を考えている場合は、少し高めの価格交渉をしてみるのもいいかもしれません。
仲介手数料無料より大事な業者選びのポイント
仲介手数料が安くなったり無料になることは、誰でも嬉しいものです。しかし仲介手数料を下げることばかりにこだわってしまうと、本来の目的の不動産売却で満足のいく結果が果たせない可能性があります。そうならないためにも仲介手数料を払ってでも誠実かつ確実に仕事をしてくれる不動産会社を選ぶことが重要です。
媒介契約を結ぶ不動産会社を選ぶ際には必ず複数会社に相談して、各社の条件や担当者を比較してみることが大切です。その中から、気になったことなど何でも相談できるような信頼関係を築ける不動産会社を選びましょう。