「不動産を親からもらうと国に税金を払わなければならない」 「不動産の名義を家族に変更するにはお金がいる」 そんな話を聞いたことあると思います。 今日、日本国内ではそのような仕組みになっています。それはどのような仕組みになっているのでしょうか?
例を見て詳しく知っていきましょう。
贈与税のしくみ
そもそも贈与税とは
上記のように、売買あるいは相続以外で、不動産の名義変更があったときに国に納める税金、これを贈与税といいます。 贈与税とは、不動産に限らず、生きている人から財産という大きなプレゼント(年間総額110万円相当以上)を受け取ったときに払う必要がある税金です。
その名から、贈与(プレゼント)をする側が払う税だと思われがちですが、贈与(プレゼント)をもらったほうに納税義務が発生します。「もらったものにも税金がかかるの?!」 と思われるかもしれませんが、これには理由があります。
贈与税は、遺産相続時に納付義務がある相続税を補完する目的で制定されました。分かりやすく表現すると、相続税の脱税防止機能として贈与税があります。 どういうことかと言いますと、例えば
一方、Bさんは対策をする前に亡くなってしまったので、不動産は自分の名義のままでした。 結果、Bさんの子どもには不動産の相続税が発生したのですが、Aさんの子どもは相続税が0円でした。
さて、これを見てどう思いましたか?不公平に感じませんか?
そこで、金銭のやり取りをすることなく土地やマンションなどの不動産の所有権を渡したときは、贈与税という税を課税することになっているのです。上記の場合ですと、Aさんの子どもに贈与税の納付義務が発生します。
贈与税は、上記のように、相続税を払う人と払わない人という不公平を防止する目的もあって存在している税金なのです。なお、前述したように、贈与税の対象は不動産に限らず、年間110万円以上(つまりは不動産贈与も年間110万円以下なら無税)で発生します。
親に乗用車(主に高級車など)を買ってもらった場合など、親子間での金銭のやりとりも課税対象になりますから注意してくださいね。 具体的な贈与税の税率の話をしますと年間110万円以上の財産を受け取ったときに「(受け取った金額−110万円)×累進化税率」と納税義務が発生します。
贈与税の累進課税率
例えば、2,000万円相当の不動産を無償で譲り受けた場合、 (2,000万円−110万円)×50%−225万円=720万円 の贈与税の納付義務が発生する計算になります。ちなみに、「じゃあ、110万円で不動産売買をすればいいのか」ということになりますが、そうはいきません。
親子などの親族の場合、路線価(予想される不動産売買価格のおよそ8割に設定された国税庁の尺度)以下で売買された場合は、贈与とみなされるのです。※親族以外、無関係な他人同士の売買は、時価の半値を割ると贈与とみなされることが多い。
贈与税以外の税金
また、贈与税以外に、不動産贈与に付随して発生する税金ということで以下のようなものがあります。
ちなみに、相続の場合は登録免許税は0.4%(1,000分の4)、不動産取得税は非課税になります。相続税の脱税を防ぐために作られたという目的もあり、贈与税はかなり割高になっています。
特例もあり
そうはいっても、長年連れ添った夫婦で、旦那様から奥様へ感謝の気持ちをプレゼントできないとすると、ちょっと変ですよね? そのため、「おしどり特例」という、贈与税の配偶者控除の特例があります。
おしどり特例では、一定の条件を満たせば、マイホームあるいはマイホームの購入資金のうち2,000万円(+基礎控除110万円)までは、非課税で贈与を受けることができるのです。
その条件とは、
- 婚姻期間が20年以上(正式に入籍して以降)→内縁関係は含まれません。
- 自宅用不動産か自宅用不動産を取得のための金銭→マイホーム、あるいはマイホームの購入資金のいずれか。
- 翌年3月15日までに住み、その後も住み続けること→贈与を受けた翌年の3月15日までに居住を開始し、その後も住み続ける必要がある
- 一生に一度の適用 この特例は(ひとりの配偶者につき)一生に一度しか使えません。
- 申告が必要→贈与税の控除範囲内でも、贈与税の申告が必要。
以上、不動産の贈与税についてでした。
まとめ
贈与税、相続税とそれぞれのタイミングや条件によってどちらのほうがいいのかということは変わってきます。きちんと調べてから、大切な人のためにも有効に残せる方法を見つけておきましょう。