「両親が高齢になり、実家の相続が現実味を帯びてきた」「突然の入院などをきっかけに、実家の名義をどうすべきか気になり始めた」という方は非常に多いです。
特に、ご自身はすでに別の場所にマイホームを持っており、将来的に住む予定のない実家を相続する場合、誰の名義にしてどのように手続きを進めるべきか、多くの疑問や不安が生じることでしょう。

不動産の相続手続きは、単に書類を提出して名義を変えるだけの手続きではありません。
名義人の選択を誤ると、将来的に不動産を売却できなくなったり、親族間で深刻なトラブルに発展したり、思わぬ税金負担が発生したりすることがあります。

この記事では、不動産の相続における名義人の基礎知識から、手続きの手順、必要書類、費用の目安、そして将来にわたって損をしないための最適な解決策までを解説します。

この記事の目次

相続の名義人とは?まず確認すべきこと

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不動産を相続することになったとき、最初に行うべきことは「現在の正しい名義人が誰であるか」を正確に把握することです。
日常的に生活している実家であっても、登記簿上の名義人が現在の居住者や亡くなった親とは異なるケースは珍しくありません。
ここでは、相続における名義人の定義と確認方法を解説します。

名義人=登記上の所有者

不動産における「名義人」とは、法務局が管理している不動産登記簿に、その土地や建物の所有者として登録されている人のことを指します。

日本国内のすべての土地と建物は、一筆・一棟ごとに法務局の登記簿で管理されており、所有者の氏名や住所が記載されています。
この登記簿に記載されている名義人だけが、その不動産の正当な所有者として法律上で認められます。
そのため、名義人以外の人が不動産を勝手に売却したり、他人に貸し出したり、銀行から融資を受ける際の共同担保として提供したりすることは原則として認められません。

相続人と名義人は同じとは限らない

実家で長年暮らしていた親が亡くなったとき、その実家の名義人が必ずしもその親になっているとは限りません。

相続が発生した際、実家の名義人が「すでに他界している祖父や祖母」のまま何十年も放置されていたというケースが多発しています。
法律上、人が亡くなっても不動産の登記が自動的に書き換わることはありません。
そのため、過去の相続が発生したときに適切な名義変更手続きを行っていないと、名義人と実際の相続人が一致しない状態が続いてしまいます。
この場合、現在の相続人が自分の名義に変更するためには、過去の相続までさかのぼって何代分もの手続きを行わなければならなくなります。

亡くなった親の家・土地の名義を確認する方法

亡くなった親が所有していた不動産の名義人を確認するためには、以下の方法で情報を収集し、登記簿の内容を確かめる必要があります。

まずは、毎年4月頃に自宅に送付される固定資産税の納税通知書や課税明細書を確認してください。
そこには、課税対象となっている不動産の所在地や評価額が記載されています。
その後、正確な名義人を確認するために、以下の手順で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得します。

・不動産の所在地を管轄する法務局の窓口で、登記事項証明書の交付を請求する

・法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を利用して、オンラインで請求して郵送で受け取る、または最寄りの法務局で受け取る

・2026年2月2日から開始された「所有不動産記録証明制度」を利用し、被相続人が所有者として登録されている全国の不動産を一覧にした「所有不動産記録証明書」を法務局に請求する

特に「所有不動産記録証明制度」は、2026年2月に新設された最新の制度です。
被相続人名義の不動産を一覧でリスト化して抽出することができるため、確認漏れを防ぐための非常に有効な手段となります。

名義変更(相続登記)を放置するとどうなる?

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これまでは、不動産を相続した際の名義変更手続き(相続登記)は任意とされており、手続きをせずに放置していても法律上の罰則はありませんでした。
しかし、この制度が大きく改められ、放置することによる不利益やペナルティが非常に明確化されました。

2024年4月から相続登記が義務化

2024年4月1日より、不動産の相続登記が法律によって完全に義務化されました。

この法改正は、所有者がわからない「所有者不明土地」が全国で増加し、公共事業や災害復興の妨げになるなどの社会問題が発生したことを背景に行われました。
義務化の対象となるのは、法改正以降に発生した相続だけではありません。
2024年4月1日より前に発生していた過去の相続についても一律で義務化の対象となっています。
過去の相続分については、原則として2027年3月31日までに手続きを完了させる必要があります。

3年以内に申請しないと過料の可能性

相続登記の義務化に伴い、明確な申請期限と、それを怠った場合のペナルティが設けられました。

相続人は、不動産の相続を開始したこと、および自分がその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。
正当な理由がないにもかかわらず、この3年の期限内に名義変更の手続きを行わずに放置した場合は、10万円以下の過料が科されます。
なお、住所や氏名が変更になった場合の登記も、2026年4月1日から義務化されており、変更から2年以内に申請しない場合は5万円以下の過料の対象となるため注意が必要です。

売却できない・担保にできない

相続登記をしないまま放置することの最も大きな実務上のデメリットは、その不動産を売却することも、融資の担保に提供することもできなくなる点です。

不動産を売却して現金化するためには、登記簿上の名義人が契約の当事者(売主)でなければなりません。
名義人が亡くなった親のままになっている不動産は、買主に対して所有権を移転する登記ができないため、不動産会社を介した通常の売却活動を行うことが一切できません。
また、自宅の建て替え費用やリフォーム資金、あるいは子供の教育資金などのために不動産を担保にして融資を受けることも、名義変更が終わっていなければ認められません。

相続人が増えて手続きが複雑になる

名義変更の手続きを先延ばしにしている間に、本来の相続人の一人が亡くなってしまうと、その配偶者や子供などの次の世代の人物が新たな相続人として加わることになります。

このようにして相続登記を何年も放置すると、時間の経過とともに相続人がねずみ算式に増え、権利関係が極めて複雑になります。
当初は兄弟2人だけの話し合いで済むはずだったものが、数年後には面識のないいとこやその配偶者など、何十人もの同意を得なければ手続きが進まない状態に陥ります。
全員の署名・押印や、印鑑証明書を集めることが実質的に不可能になり、不動産が一切処分できない「塩漬け状態」になってしまうリスクがあります。

【ポイント】間に合わないときは「相続人申告登記」を検討

「相続人の数が多すぎて連絡がつかない」「遺産の分け方をめぐって話し合いがまとまらない」などの理由で、3年の期限までに相続登記を申請することが難しい場合もあります。

そのような場合の救済策として、「相続人申告登記制度」が用意されています。
これは、自分が相続人であることを法務局に申し出ることで、ひとまず相続登記の申請義務を履行したとみなされる制度です。
特定の相続人が単独で申請することができ、他の相続人の同意や戸籍の収集なども必要ありません。
ただし、この制度はあくまで「義務違反による過料を避けるための仮の手続き」であり、所有者の名義が確定するものではありません。
将来的に不動産を売却する際には、改めて遺産分割を行い、正式な相続登記を行う必要があります。

相続名義変更の流れ【5ステップ】

相続名義変更の流れのイメージ

実際に不動産の名義変更手続きを進める際、何から手を付ければよいのかわからないという方も多いです。
手続きは法律で定められた手順に沿って正確に行う必要があります。
ここでは、最短で手続きを完了させるための5つのステップを順に解説します。

戸籍を集める

最初に行うのは、被相続人(亡くなった親)の出生から死亡までの連続したすべての戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本を収集することです。

誰が法律上の相続人であるかを確定させるために、この収集作業は不可欠です。
本籍地が遠方にある場合は、郵送での請求、もしくは2024年3月から開始された「戸籍証明書等の広域交付制度(※)」を利用し、最寄りの市区町村役場の窓口でまとめて請求して取得します。
あわせて、相続人全員の現在の戸籍謄本も取得します。

※参考:「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」-法務省

遺産分割協議を行う

次に、取得した戸籍をもとに確定した相続人全員が集まり、誰がどの不動産をどのような割合で引き継ぐかを話し合う「遺産分割協議」を行います。

必ずしも法律で定められた目安の割合通りに分ける必要はなく、相続人全員の合意があれば、配偶者の一人占めや、子供一人の単独名義にすることも自由に決めることができます。
ただし、全員の合意が必須であり、一人でも反対している、または連絡がつかない場合は協議を成立させることができません。

遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議で合意した内容を公的に証明するために、「遺産分割協議書」を作成します。

協議書には、どの不動産を誰が引き継ぐのかを正確に特定するための情報(登記簿に記載されている所在、地番、家屋番号など)を明記します。
その上で、相続人全員が署名を行い、それぞれ実印で押印をします。
この書類は、法務局へ登記申請を行う際の重要な添付書類となります。

必要書類をそろえる

遺産分割協議書の作成と並行して、名義変更の登記申請に必要なその他の公的書類をすべてそろえます。

役所で取得する書類には有効期限が設けられている場合があるため、遺産分割協議が成立した後に最新のものをそろえるのが確実です。
必要となる主な書類は、相続人全員の印鑑証明書や、新しく名義人となる人の住民票、不動産の固定資産評価証明書などです。
詳しい書類一覧は、【相続名義変更に必要な書類】にてご紹介します。

法務局へ相続登記を申請する

すべての書類がそろったら、「登記申請書」を作成し、不動産の所在地を管轄する法務局へ提出します。

提出方法には、以下の3つの申請方法がございます。

・管轄の法務局の窓口へ直接持参して提出する

・管轄の法務局へ簡易書留などの書留郵便で郵送して提出する

・オンライン申請システムを利用してインターネット経由で申請する

申請の際には、登録免許税という税金を納付する必要があります。
申請後、通常1週間から2週間程度で法務局での審査が完了し、新しい名義人に「登記識別情報(従来の権利証に代わるもの)」が発行されます。

相続名義変更に必要な書類

相続名義変更に必要な書類のイメージ

相続の名義変更手続きを進めるためには、数多くの公的書類が必要となります。
不動産の相続だけでなく、銀行口座や生命保険などの手続きも並行して行うことが多いため、何が何通必要なのかを整理しておくことが効率的な手続きのポイントです。

不動産(土地・家・マンション)の必要書類

遺産分割協議によって不動産の名義を変更する場合に必要となる書類を整理しました。以下の表をご活用ください。

書類名 取得先・入手方法
被相続人の戸籍謄本
(出生から死亡まで)
本籍地の市区町村役場(広域交付も可)
相続人全員の戸籍謄本 各相続人の本籍地の市区町村役場
被相続人の住民票の除票 被相続人の住所地の市区町村役場
新名義人の住民票 新名義人の住所地の市区町村役場
相続人全員の印鑑証明書 各相続人の住所地の市区町村役場
固定資産税納税通知書 不動産所在地の市区町村役場から毎年4~5月頃に送付される
遺産分割協議書 相続人全員で協議して作成
登記申請書 法務局ホームページからダウンロード
相続関係説明図 自分で作成
収入印紙 郵便局や法務局

【あわせてチェック】預貯金・生命保険の名義変更に必要な書類リスト

不動産の名義変更と同時に、亡くなった親の預貯金口座や生命保険の手続きを進める必要があります。
銀行口座の解約や保険金の請求手続きは、各金融機関によって細かな必要書類が異なりますが、一般的には以下の書類をそろえておくことでスムーズに対応可能です。

預貯金・生命保険の名義変更に必要な書類のチェックリスト

これらの手続きは、放置すると長期間にわたり資産が凍結された状態が続いてしまうため、不動産の名義変更と並行して速やかに行うことをおすすめします。

相続名義変更にかかる費用

相続名義変更にかかる費用のイメージ

不動産の名義変更手続きには、一定の費用が発生します。
費用は大きく分けて「国に納める税金や実費」と「手続きを専門家に依頼した場合の報酬」の2種類があります。
自分で行う場合と専門家に依頼する場合の費用の違いを理解し、どちらが適しているかを検討してください。

自分で行う場合の費用

自分ですべての手続きを完了させる場合、必要となる費用は実費のみとなり、最も安く抑えることができます。

主な費用は、登録免許税と、役所で取得する各種証明書の発行手数料です。
戸籍謄本や住民票、固定資産評価証明書などの公的書類の取得費用は、相続人の人数や不動産の数によって異なりますが、一般的なケースであれば合計で数千円から数万円程度に収まります。
法務局への往復交通費や、書類を郵送する場合の郵送料などを合わせても、数万円程度で手続きを終えることが可能です。

司法書士に依頼する場合の費用相場

不動産の名義変更手続きを、司法書士に依頼する場合、前述の実費に加えて「司法書士への報酬」が別途発生します。

司法書士への報酬の一般的な相場は、およそ6万円から10万円程度です。
この金額は、手続きの複雑さ(相続人の人数、不動産の個数、遠方の役所からの書類取り寄せの有無など)によって変動します。
また、遺産分割協議書の作成や、戸籍謄本などの収集代行をあわせて依頼する場合は、追加で数万円の費用がかかることがあります。
費用は高くなりますが、平日日中に役所や法務局へ行く手間を省き、書類の不備による出し直しのリスクをゼロにできるため、忙しい方にとっては非常にコストパフォーマンスの良い選択肢といえるでしょう。

登録免許税の計算方法

登録免許税は、名義変更の手続きを行う際に国へ必ず納めなければならない税金であり、自分で行う場合でも司法書士に依頼する場合でも、金額は変わりません。

登録免許税の額は、不動産の「固定資産税評価額」をもとに、以下の計算式で算出します。

登録免許税=固定資産税評価額×0.4%

例えば、土地と建物の評価額の合計が2,000万円の場合、登録免許税は8万円となります。
なお、市街地などで評価額が1,000円未満の端数がある場合は切り捨てて計算し、算出された登録免許税額に100円未満の端数がある場合も切り捨てて納付します。

土地の評価額が100万円以下の場合は、2027年3月31日まで登録免許税が非課税となる免税措置が設けられています。
この免税措置の適用を受ける場合は、登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税」と記載する必要があります。
記載漏れのないよう、必ず確認するようにしましょう。

相続登記は誰の名義にすべき?

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実家の相続手続きを進めるにあたり、不動産の名義を誰にするかという判断は、将来の親族関係や、税金面などの経済的負担を左右する重要なポイントです。
目先の安心感だけで安易に決定せず、それぞれの選択肢が持つメリットとデメリットを正しく比較検討しましょう。

配偶者名義にする場合

亡くなった父親の自宅を、現在もそこに暮らしている母親(配偶者)の名義にするケースは、非常に一般的な選択肢です。

【メリット】
長年住み慣れた自宅を「自分のもの」として所有できるため、母親自身が老後を安心して暮らせるという大きな精神的安定につながります。
また、税制上の優遇措置が非常に強力で、「配偶者の税額軽減」を利用すれば、1億6,000万円または法定相続分までの取得であれば相続税が一切かかりません。
さらに、土地の評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」も、配偶者であれば同居の有無を問わず無条件で適用できます。

【デメリット】
将来的に母親が亡くなった際の「二次相続」において、子供たちが自宅を相続することになり、相続登記の手続き(登録免許税や司法書士費用)が再度発生するため、費用の二重払いになります。
さらに、二次相続の際は相続人の数が減る(父と母が他界しているため)ことで相続税の基礎控除額が小さくなり、かつ配偶者控除も使えないため、子供世代に高額な相続税がのしかかるリスクがあります。
また、母親が認知症などで判断能力を失った場合、不動産が凍結されるおそれがあり、将来的に老人ホームの入居資金にあてるために自宅を売却することが困難になるというリスクがあります。

子名義にする場合

将来の二次相続を見越して、一次相続(父親が亡くなった段階)の時点で最初から子供の名義に直接変更しておく方法です。

【メリット】
将来の二次相続の際の名義変更手続きが不要となり、登記費用を節約できます。
また、不動産の所有権を若い子供世代が持っているため、親が将来的に認知症などで判断能力を失ったとしても、子供自身の判断で自宅を売却・管理することが可能になり、資産が凍結されるリスクを防ぐことができます。

【デメリット】
母親にとっては「息子の所有する家に住まわせてもらっている」という状態になるため、親子関係に問題がなくても精神的に落ち着かなくなる可能性があります。
また、子供自身が実家に同居していない場合、小規模宅地等の特例を適用するためには「家なき子特例(過去3年間、自身や配偶者の所有する家に住んでいないことなどの要件)」を満たさなくてはなりません。
これを満たせない場合は土地の相続税評価額が下がらず、相続税が高額になることがあります。

共有名義を避けるべき理由

「兄弟で平等に分けよう」「話し合いがまとまらないから、一旦法定相続分通りに子供全員の共有名義にしよう」という選択肢もあります。
この選択肢は、一見公平で円満な解決策に見えますが、専門家の間では最も避けるべき方法とされています。

共有名義の不動産は、その後の売却、大規模なリフォーム、他人に貸し出すなどの重要な意思決定を行う際、共有者全員の同意が必要となります。
一人でも反対する、あるいは連絡が取れなくなると、その不動産は一切活用できない状態になってしまいます。

さらに、共有者の一人が亡くなると、その持分はさらにその人の配偶者や子供たちへと相続されます。
時間が経つにつれて関係者がねずみ算式に増加し、最終的には面識のない親戚同士で1つの不動産を共有する状態になり、権利関係が完全に収拾のつかないものとなります。
共有名義は、問題を先送りしているに過ぎないため、推奨されません。

【ポイント】売却予定なら「換価分割」が有利なケース

相続人がすでに自分の住まいを持っており、実家に誰も住む予定がない場合は、不動産を売却して現金化し、そのお金を分ける「換価分割」という方法が非常に有利です。

不動産をそのままの形で均等に分けることは困難ですが、現金にしてしまえば1円単位まで平等に分けることができるため、相続人間での不公平感が生まれず、トラブルを未然に防ぐことができます。
換価分割を行う際は、実務をスムーズにするために「代表者1人の単独名義」にして相続登記を行います。

代表者1人の名義で売却手続きを行い、売却で得た代金を相続人全員に分配します。
この際、遺産分割協議書に「換価分割のために便宜上、代表者○○の名義にする。売却代金は以下の通り分配する」という旨を明確に記載しておくことが重要です。
この記載がない場合、代表者から他の親族への分配金が単なる「個人間の贈与」とみなされ、贈与税が課される恐れがあります。

【要注意】使わない実家を「国に返す」と数百万円の大赤字?

使わない実家を「国に返す」と数百万円の大赤字?のイメージ

「誰も住まないし、管理するのも面倒だから、国に引き取ってもらいたい」と考える方も非常に多いです。
政府広報などでも紹介されている「相続土地国庫帰属制度」は、使い道のない土地を手放すための魅力的な選択肢に見えますが、現実には厳しい条件と多額の費用負担が存在します。

相続土地国庫帰属制度とは

相続土地国庫帰属制度は、相続または遺贈によって土地の所有権を取得した人が、一定の要件を満たした上で、その土地の所有権を国に引き渡すことができる制度です。

引き渡しが承認されれば、毎年の固定資産税の支払いや、草刈りなどの維持管理の手間から将来にわたって解放されるというメリットがあります。
しかし、すべての土地を引き取ってもらえるわけではありません。
国が管理するにあたって支障がないと判断された「管理しやすい土地」だけが対象となります。

制度の詳しい概要や、国が引き取ることができない土地の要件については、以下の記事で解説しているので、こちらをご参照ください。

解体費や負担金がかかるケース

この制度を利用して土地を国に帰属させるためには、非常に高いハードルをクリアしなければならず、結果として多額の持ち出し費用が発生します。

まず、土地の上に建物が建っている場合は引き取りが認められません。
そのため、実家を取り壊して更地にするための建物解体費用を、申請者が事前にすべて支払わなければなりません。
また、土地の境界が明確でない場合や、土壌汚染がある場合、担保権が設定されている場合なども却下されます。

さらに、申請時に1筆の土地あたり14,000円の手数料、審査通過後に「10年分の土地管理費用相当額」となる負担金を国に納付する必要があります。
この土地管理費用相当額の負担金は、一般的に約20万円から、面積や地目によってはそれ以上となります。

売却できるなら国庫帰属より有利な場合が多い

国に土地を引き取ってもらう制度は、解体費や負担金が発生するため、実質的に「数百万円を自腹で支払って処分する大赤字の選択肢」となります。

これに対して、もし市場でその不動産を売却することができれば、建物が古くてもそのままの状態で買い取ってくれる不動産会社やリフォーム業者を見つけられる可能性があります。
この場合、高額な解体費用を支払う必要がないだけでなく、売却代金が手元に入るため、名義変更の手続き費用や固定資産税をすべて相殺した上で、大きな黒字として実家を手放すことができます。
国庫帰属を検討する前に、まずは民間市場での「売却の可能性」を徹底的に調べることが、最も賢い選択肢といえるでしょう。

相続した実家を一番賢く手放す!黒字の売却戦略

相続した実家を一番賢く手放す!黒字の売却戦略のイメージ

実家を相続し、将来的に住む予定がないことが確定している場合は、早い段階で民間での売却活動を視野に入れた戦略を立てることが、経済的な損失を防ぐための鉄則です。
手続きを開始する前の動き方が、結果を大きく左右します。

【大前提】登記名義の変更前に不動産売却はできない

大前提として、亡くなった親(被相続人)の名義のままになっている実家を、第三者に売却することはできません。

売買契約を結び、買主へ所有権を移転させる登記を行うためには、売主が登記簿上の名義人でなければならないというルールがあるためです。
したがって、実家を売却するためには、必ず「一度、相続人の名義へ変更する登記(相続登記)」を完了させる必要があります。
通常は、前述した換価分割の手続きに沿って、代表者となる相続人の単独名義に変更した上で、売却手続きを進めることになります。

名義変更する前に実家がいくらで売れるか査定すべき理由

多くの人が「まず名義変更をすべて終わらせてから、その実家をどうするかを考えよう」と考えがちですが、これは手順としておすすめできません。

名義変更の手続きを進める前に、その実家が市場で実際にいくらで売れるのかを調べるべきです。
市場価値がわからない状態では、以下の問題が生じる恐れがあります。

・二次相続における税金対策のシミュレーションができない

・そもそも相続税がかかるのか、基礎控除を超えるのかが判断できない

・登録免許税や司法書士費用をかけてまで名義変更を行う価値のある物件なのかがわからない

最初から正しい市場価値を知っておくことで、無駄な手続きや予期せぬ費用負担を完全に避けることができます。

遺産分割協議で揉めないための武器は「客観的な査定額」

実家が1つしかない相続において、親族間で最も揉めやすいのが「実家の価値」をめぐる意見の食い違いです。

「実家には1,500万円ほどの価値があるはずだから、その分を現金で分けてほしい」と主張する相続人がいる一方で、「実際は古くて500万円でも買い手がつかないだろう」と考える相続人がいるなど、主観による予想金額のずれがトラブルを引き起こします。
こうした感情的な言い合いを防ぐために、不動産会社による「客観的な査定価格」が必要です。

売却の相場や具体的な査定書を全員で共有しておくことで、親族全員が金額の現実に納得し、遺産分割協議を極めて円滑かつ円満に成立させることができます。

「イエイ」の複数社査定で適正価格を確認しよう

忙しい毎日を送る中で、複数の不動産会社を1軒ずつ探して査定の依頼を出すのは、時間的にも精神的にも大きな負担となります。

そうしたときに非常に便利なサービスが、不動産一括査定サイトの「イエイ」です。

イエイを利用すれば、パソコンやスマートフォンからわずか数分の入力で、全国の優良な提携不動産会社の中から、最大7社まで同時に査定を依頼することができます。

「イエイ」が誇る主な強みは以下のとおりです。

・完全無料で複数社の比較ができる
各社が提示する査定額を比較することで、実家の「最高売却額」と「適正な相場」が一目でわかります。

・独自の厳しい審査基準
悪質な不動産会社は排除されており、初めての方でも安心して信頼できるパートナーを見つけることができます。

・「お断り代行サービス」の導入
万が一、不動産会社からの連絡がしつこいと感じた場合は、イエイのサポート窓口に伝えることで、代わりに断りの連絡を入れてもらうことができます。

実家が「今いくらで売れるのか」という確かな事実を、一切の手間をかけずに手に入れる最初のステップとして、イエイの一括査定は欠かせないツールです。

まとめ|相続名義人の変更は「売却価値の確認」から始めよう

相続名義人の変更は「売却価値の確認」から始めようのイメージ

不動産の相続登記義務化が始まり、住所変更の義務化や新制度の整備など、不動産を所有することの管理責任やルールは近年きわめて厳しくなっています。

実家を相続する際、誰の名義にするかを安易に決めたり、手続きを先延ばしにしたりすることは、将来の子供世代に大きな負債とトラブルを遺す原因となります。
実家に誰も住む予定がないのであれば、代表者1人に名義をまとめ、市場で売却して現金で均等に分け合う「換価分割」が、最もトラブルが少ない理想的な解決策です。

そして、すべての話し合いや名義変更手続きを始めるための最初のステップこそが、その不動産が「今、いくらで売れるのか」という正確な価値を把握することです。

市場価値という正しい情報があって初めて、相続人全員が納得できる円満な話し合いができ、税金の無駄な支払いや大赤字になりやすい国庫帰属を回避する道筋が見えてきます。

まずは「イエイ」の一括査定を利用し、実家のリアルな価値を確かめることから、賢い相続対策をスタートさせてください。