不動産を売却する際、「一体いくら税金を払うことになるのか」と不安に思う方は多いでしょう。
しかし、正しい知識さえあれば、不動産売却でかかる税金は「0円」にできる可能性があります。
結論から申し上げますと不動産売却で税金がかからないケースは大きく2つあります。
1つは「売却益(利益)が出なかった場合」、もう1つは「国の特例を活用した場合」です。
この記事では、最も高額になりやすい「譲渡所得税」はもちろん、契約時にかかる「印紙税」などの諸税についても、具体的な節税テクニックを解説します。
「税金で損をしたくない」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の目次
不動産売却でかかる税金の全体像

まず理解しておきたいのは、不動産売却に関連する税金は1つではないということです。
大きく分けると、下記の3つに分類されます。
・譲渡所得税(所得税・住民税)
不動産を売って出た利益に対してかかる税金です。
税率が約20~40%と高く、対策次第で数百万円単位の差が出るため、最も重要視すべき税金です。
・印紙税
売買契約書(書面)にかかる税金です。
契約金額によりますが数万円になることもあります。
後述しますが、近年は「電子契約」を活用することで、0円に抑えることが可能になりました。
・登録免許税
登記の手続き(抵当権抹消など)にかかる税金です。
不動産の売却時に住宅ローンを完済している場合は必須となる費用です。
1件あたり1,000円と少額であり、基本的には節税が難しい税金になります。
この記事では、これらの税金について「かからないケース」や「節税のコツ」を網羅していきます。
不動産売却で最も高い「譲渡所得税」がかからない3つのパターン

不動産を売却した際に、最も金額が大きくなる「譲渡所得税(所得税・住民税)」がかからないパターンは大きく分けて3つあります。
これらのケースに当てはまるかどうかを判断するには、まず「売却して利益が出たのか」を確認することが第一歩となります。
ここでは、税金が発生しない基本的な条件を解説します。
1.売却して利益が出なかった
不動産を売却した金額が、その不動産を購入した代金や諸経費を下回っている場合、税金はかかりません。
そもそも譲渡所得税とは、不動産を売って得た「利益(譲渡所得)」に対して課せられる税金です。
そのため、計算の結果、利益がゼロまたはマイナス(譲渡損失)になったのであれば、課税対象が存在しないため、所得税も住民税も発生しません。
特に、数十年前に建てたマイホームを売却する場合などは、建物の価値が下がっているため、購入価格よりも高く売れるケースは少なく、このパターンに該当することが多いといえます。
2.「3,000万円特別控除」などの特例を使った
売却によって利益(譲渡所得)が出たとしても、国が定めている「特別控除」を適用することで、税金をゼロにできる場合があります。
最も代表的なものが、マイホームを売った際に受けられる「3,000万円特別控除」です。
これは、売却益から最大3,000万円を差し引くことができる制度です。
つまり、売却益が3,000万円以下であれば、この特例を利用することで税金は一切かからなくなります。
利益が出たからといってすぐに課税されるわけではなく、まずは自分が使える特例がないかを確認することがとても重要です。
3.譲渡所得が20万円以下の給与所得者
会社員などの給与所得者で、不動産売却による利益が20万円以下の場合は、所得税の確定申告が不要となるルールがあります。
通常、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告の義務が生じますが、それを下回る少額の利益であれば、申告しなくても良いとされています。
ただし、この「20万円以下」という条件はあくまで所得税の話であり、住民税に関しては金額に関わらず申告が必要な点には注意してください。
また、特例を利用して税金をゼロにする場合は、たとえ利益が20万円以下であっても確定申告が必要になります。
【ケース別】譲渡所得税を節税するための代表的な特例

譲渡所得税を抑えるためには、自分がどのケースに当てはまるかを把握し、最適な特例を選択する必要があります。
不動産の種類や、売却後の予定によって、利用できる制度は異なります。
ここでは、多くの方が利用する代表的な特例をケース別に紹介します。
マイホームを売るなら「3,000万円特別控除」
自身の居住用不動産を売却する際、もっとも強力な節税手段となるのが「3,000万円特別控除」です。
この特例は、所有期間の長さに関わらず、譲渡所得から最高3,000万円までを控除できるというものです。
適用するための主な要件は下記のとおりです。
・現在、自分が住んでいる家を売却すること(または住まなくなってから3年目の12月31日までに売ること)
・売主と買主が、親子や夫婦など特別な関係ではないこと
・前年、前々年にこの特例の適用を受けていないこと
この制度を使えば、大抵のマイホーム売却において税負担をゼロ、あるいは最小限に抑えることが可能です。
相続した空き家を売るなら「空き家特例」
親から相続した古い実家などを売却する際に活用したいのが、通称「空き家特例」と呼ばれる「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」という制度です。
この制度では相続した空き家を一定の条件で売却した場合に、譲渡所得から3,000万円を控除できます。
主な条件は下記のとおりです。
・昭和56年5月31日以前に建築された(旧耐震基準の)戸建てであること
・相続開始直前まで、被相続人(亡くなった方)が一人で住んでいたこと
・不動産の売却代金が1億円以下であること
・一定の耐震改修を行うか、建物を取り壊して更地にして不動産を売却すること
相続物件は物件取得費がわからない場合が多く、税金が高額になりがちですが、この特例を適用できれば大幅な節税が期待できます。
10年以上住んだ家を売ったなら「軽減税率の特例」
売却したマイホームの所有期間が、売却した年の1月1日時点で10年を超えている場合は、通常よりも低い税率が適用される「軽減税率の特例」を利用できます。
この特例は「3,000万円特別控除」と併用できる点が最大の特徴です。
3,000万円を引いてもなお残った利益に対して、下記のとおり低い税率で計算されます。
・譲渡所得6,000万円以下の部分:14.21%(通常は約20%)
・譲渡所得6,000万円超の部分:20.315%(通常通り)
長く住み続けた自宅を高く売却できた場合に、手残りを増やすための非常に有効な手段となります。
買い換えなら税金を先送りにできる「買換え特例」
今の家を売って、新しくマイホームを購入する「住み替え」を検討している場合に便利なのが、「特定の居住用財産の買換え特例」です。
この制度は、一定の要件を満たす住み替えを行った場合、売却益に対する課税を「次に買い換えた物件を売るとき」まで先送りにできるというものです。
あくまで税金の支払いを「先送り」にするものであり、非課税になるわけではありません。
しかし、新居の購入資金を少しでも多く確保したいという方にとっては、キャッシュフローを助ける大きなメリットとなります。
税金がかからなくても確定申告が必要な理由

不動産を売却し、計算の結果「税金が0円になった」という方でも、安心するのはまだ早いです。
実は、税金がかからないケースの多くで、「確定申告をすること」が非課税になるための絶対条件となっているからです。
ここでは、なぜ確定申告が必要なのか、そして確定申告をしないとどのようなリスクがあるのかをわかりやすく解説します。
特例を受けるためには申告が必須
「3,000万円特別控除」や「空き家特例」などの魅力的な節税制度は、自動的に適用されるわけではありません。
これらは「確定申告の手続きを行い、特例を適用することを届け出た場合」のみに認められる制度です。
もし控除があるからと確定申告を放置してしまうと、税務署からは単に「利益が出たのに納税していない人」とみなされます。
その結果、後から本来の税金に加え、無申告加算税や延滞税といった重いペナルティが課せられる恐れがあるのです。
売却損が出たときは税金の還付が受けられる
逆に、不動産を売って損失が出た場合、法律上の申告義務はありません。
しかし、この場合こそ確定申告を強くおすすめします。
「損益通算」というルールを使えば、不動産売却で出たマイナスを、その年の給与所得など他のプラスの所得から差し引くことができるからです。
これにより、すでに源泉徴収などで支払った所得税が戻ってきたり、翌年の住民税が安くなったりするメリットがあります。
損をしたときこそ、確定申告によって手残りを守る意識が大切です。
手元に残るお金を最大化する!5つの節税テクニック

税金をゼロにする、あるいは最小限に抑えるためには、制度を知っているだけでなく使いこなす必要があります。
ここからは、譲渡所得税だけでなく印紙税なども含め、トータルで支出を抑えるテクニックをご紹介します。
取得費・譲渡費用を1円も漏らさず計上する
税金の対象となる「利益」を減らすためには、不動産の購入にかかった「取得費」と、不動産の売却にかかった「譲渡費用」を漏れなく計上することが基本です。
特に下記の費用は計上漏れが多いため、領収書を再確認しましょう。
・取得費
購入時の仲介手数料、登録免許税、不動産取得税、リフォーム代金
・譲渡費用
不動産売却時の仲介手数料、印紙代、立退料、測量費、建物取り壊し費用
取得費が不明なときの「5%計算」を回避する
古い実家などで「いくらで買ったかわからない」場合、税法上は不動産売却価格の5%を取得費とする(例:3,000万円で売れたら取得費はわずか150万円)という厳しいルールがあります。
これでは税金が跳ね上がってしまいます。
しかし、諦めるのはまだ早いです。
当時の売買契約書がなかった場合でも、下記の資料を組み合わせることで、5%以上の取得費を認めてもらえる可能性があります。
・当時の通帳の引き出し記録や住宅ローンの金消契約書(きんしょうけいやくしょ)
・同じマンションの当時のパンフレットや価格表
・住宅金融支援機構などの融資記録
また、こうした相談に強い不動産会社を味方につけることも、数百万円単位の節税に直結します。
売却のタイミングを変える
不動産売却の税率は、所有期間によって劇的に変わります。
・5年以下(短期譲渡所得):約39%
・5年超(長期譲渡所得):約20%
・10年超(軽減税率の特例適用時):約14%(利益6,000万円以下の部分)
「5年」のカウントは、売却した年の1月1日時点で判定されるため、カレンダー上の5年とはズレが生じる点に注意してください。
わずか数ヵ月売却を待つだけで、税金が半分になるケースもあります。
電子契約を活用して印紙税をゼロにする
譲渡所得税だけでなく、手続きにかかる税金である「印紙税」も節税可能です。
近年では、不動産売買でも「電子契約」が一般的になっています。
紙の契約書には数万円の収入印紙を貼る必要がありますが、電子契約であれば印紙税は非課税(0円)です。
これだけで手軽に数万円のコストカットが可能です。
ふるさと納税で実質的な税負担を減らす
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た年は、住民税の納税額が増えるため、比例して「ふるさと納税の寄付限度額」も大幅にアップします。
特例を使っても税金が発生する場合、ふるさと納税を併用することで、実質2,000円の負担で豪華な返礼品を大量に受け取ることができ、トータルの家計で見れば大きなプラスになります。
税金以外の諸費用も把握しておこう

不動産売却で出ていくお金は税金だけではありません。
後から「こんなはずじゃなかった」とならないよう、諸費用の相場を把握しておきましょう。
・仲介手数料
売却価格の「3%+6万円+消費税」が上限です。
3,000万円の物件なら約100万円かかります。
・司法書士への報酬
抵当権の抹消手続きなどで、1万~1.5万円程度が目安です。
・建物解体費
家を解体する場合に必要な費用です。
構造や立地によって変動しますが、100万~300万円程度が相場です。
・測量費
隣地との境界を確定する測量を行う場合に必要な費用です。
35万~45万円程度が相場です。
・引っ越し代
時期や距離、家族構成などによって変動します。
これらを合わせると、売却価格の約5~7%程度が諸費用として消えていく計算になります。
税金で損をしない!賢く不動産売却を進める2つのポイント

税金や諸費用を差し引いた後の手元に残るお金を最大化させるためには、最初のステップが肝心です。
ここでは、税金で損をせず、賢く不動産売却を進めるためにやっておきたい2つのポイントをご紹介します。
まずは一括査定で正確な利益を把握する
「税金がかかるかどうか」を悩む前に、まずは「いくらで売れるか」の現実的な数字を手に入れましょう。
査定価格がわかれば、逆算して適用できる特例や、払うべき税金の目安が明確になります。
当サイトが提供する不動産一括査定サービス「イエイ」なら、1,700社以上の提携会社から最大6社を比較できるため、最高値で売ってくれる会社を簡単に見つけられます。
売却前に活用し、事前に正確な利益を把握しましょう。
税理士と連携している不動産会社を選ぶ
税金について心配事がある方は、税理士と連携している不動産会社を選びましょう。
複雑な税金の問題を、自分一人で解決するのは困難です。
優良な不動産会社の中には、提携税理士による無料相談を行っているところも多くあります。
「取得費がわからない」「ローン控除とどっちが得か」といった悩みも、プロの知見を借りることで、自信を持って売却に進むことができます。
まとめ|税金の仕組みを知れば手元に残るお金は増やせる

不動産売却の税金は、仕組みを知って正しく対策すれば「0円」にできるケースが非常に多いです。
最後に、損をしないための重要ポイントをおさらいしましょう。
・利益が出なければ譲渡所得税はかからない
・「3,000万円特別控除」などの特例を活用する
・税金が0円でも、特例を受けるなら「確定申告」を忘れない
・電子契約を選んで「印紙税」も賢く節約する
「税金が不安で売却を迷っている」という時間はもったいありません。
まずは「自分の不動産がいくらで売れるのか」を知ることで、正確な手取り額が見えてきます。
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