「不動産投資に失敗したくない」とは思っていても、具体的なデメリットを把握し必要な備えをしないと第一歩は踏み出せません。
本記事では、不動産投資のデメリットやリスク、注意点、よくある疑問点を解説します。
不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンな投資方法ですが、対処法を知り実践すると、より多くのリターンが生まれる可能性もあります。
本記事を参考に不動産投資の基本と応用を理解し、自分に合った投資法なのか判断しましょう。
不動産投資のデメリット
不動産投資で起こり得るデメリットは次の通りです。
- 不動産管理におけるリスクがある
- 売却したいときに希望価格で売却できるとは限らない
- 固定資産税を納める必要がある
- 金利が上昇するリスクがある
不動産投資とは、投資用物件を購入して賃貸として第三者に貸し出す投資方法です。
利益は家賃収入が主であり、対象となる不動産には次の種類があります。
- 戸建て
- マンション・アパート(一棟)
- 区分マンション(部屋のみ)
投資の規模の違いから、はじめやすさや利回りなどが異なります。
まずは、不動産投資のデメリットを詳しく把握しましょう。
不動産管理におけるリスクがある
不動産管理におけるリスクは次の通りです。
- 空室リスク
- 家賃の滞納リスク
- 修繕リスク
不動産投資では空き室が多いほど利益は出ません。
ローン状況によっては、利益よりも返済額のほうが多くなるケースも起こり得るでしょう。
入居者がいても家賃を滞納していれば利益は生まれないほか、トラブルを抱えると精神的な苦痛が生じます。
建物の経年劣化で必要な修繕だけではなく、地震などの自然災害による損傷も修繕リスクのひとつです。
自然災害に関しては火災保険などを活用してまかなえますが、経年劣化による修繕は計画的に積み立てておく必要があります。
売却したいときに希望価格で売却できるとは限らない
いざ不動産を売却しようとしても、すぐに買い手があらわれるとは限りません。
とくに資金確保のための売却においては、売却期限を定める必要があります。
買い手が見つからないと、売却価格を下げるなどの対応が必要になる恐れもあります。
投資をはじめる際は、売却時期と売却価格とのバランスにも注意しましょう。
固定資産税を納める必要がある
投資用物件を所有している方は、固定資産税を納める必要があります。
固定資産税とは、不動産を所有している期間中、一年に一回課される税金です。
建物の適正な時価と土地それぞれに算出した評価額をもとに、原則、税率1.4%を乗じて算出します。
不動産が市街化区域内にあるケースでは、都市計画税として原則0.3%加算した額を納税する義務があります。
参照: 固定資産税評価額とは?計算方法や調べ方までわかりやすく解説
金利が上昇するリスクがある
金融機関でローンを組んで不動産投資をはじめる場合は、金利上昇のリスクを考慮する必要があります。
金利が上昇すると、返済負担が増大するからです。
返済額が安定しているのは長期固定金利ですが、売却時に違約金のかかる恐れがあります。
長期保有でなければ5年以下の固定金利、もしくは変動金利の選択をおすすめします。
返済額変動のリスクはあるものの、現在の低金利時代を考慮した返済計画を立てるとよいでしょう。
不動産投資のメリット
不動産投資のメリットは次の通りです。
- 副収入が入る
- 生命保険の代わりになる
- 所得税・住民税の節税効果がある
- 相続税の節税効果がある
- 管理に手間がかからない
- 資金計画の見通しを立てやすい
- ミドルリスクで投資効果を得られる
- レバレッジ効果で利益を生み出せる可能性がある
- インフレに動じない
それぞれの詳しい内容について解説します。
副収入が入る
不動産投資は「不労収入」とも言われ、働かなくても毎月家賃収入が得られます。
本業が忙しいけれど、投資で副収入を得たい方におすすめの投資方法です。
不動産購入時にローンを組んだとしても、家賃収入からローン返済と経費を差し引き、キャッシュフローが残せる仕組みを構築可能です。
生命保険の代わりになる
不動産投資ローンで物件を購入するときに加入する団体信用生命保険は、生命保険変わりになると言えます。
契約者が死亡、または高度障害が起こるとローン返済の義務がなくなるためです。
相続時には、資産価値のある不動産を保有しながら、家賃収入が続きます。
不動産を保有し続けるのではなく売却を選んだ場合でも、まとまった資金が受け取れます。
所得税・住民税の節税効果がある
不動産投資は会計上の利益を減らせる仕組みがあるため、所得税・住民税の節税が可能です。
不動産は資産を数年かけて計上していく仕組み「減価償却」であり、実際の支出を伴わない経費「減価償却費」として利益を減らして計上できるからです。
減価償却費を大きく赤字で計上すれば、本業との損益通算で所得税・住民税の還付を受けられます。
高収入で多くの所得税を支払う方にとっては、大きな節税効果があると言えるでしょう。
相続税の節税効果がある
不動産は時価よりも低く資産が見積もられる「相続税評価額」で相続税を算出しており、相続税の節税効果があります。
現金で保有するよりも収益用不動産なら同じ価値の資産でも相続税が安くなるため、より多くの資産を残したい場合にもおすすめです。
管理に手間がかからない
不動産投資で実際に不動産を管理するのは不動産管理会社であるため、オーナーが不動産の管理に手間をかけることはほとんどありません。
不動産の購入時には物件の見定めや契約などに時間が必要です。
しかし、運用後は不動産管理会社からのレポートに目を通し、適宜判断を下すのみです。
本業が忙しく、投資に時間をさけない方におすすめの投資方法と言えるでしょう。
資金計画の見通しを立てやすい
不動産投資の利益となる家賃収入も、支出となる不動産投資ローンも、資金計画の見通しを立てやすく安定的な投資方法と言えます。
家賃収入は入居率によって異なりはしますが、急な変動の恐れは少ないです。
不動産投資ローンにおいて金利上昇のリスクはあるものの、毎月の返済額をある程度予測可能です。
リスクを考慮した資金計画が立てられるでしょう。
自己資金が少なくても投資をはじめられる
不動産購入価格の1〜3割の自己資金を捻出できれば、不動産投資ローンを活用して投資がはじめられます。
そのため、不動産投資は初期費用のかかりにくい投資方法であると言えます。
しかし、不動産投資ローンの審査は住宅ローンとは異なり、契約者だけではなく物件の厳しい審査が必須です。
ローンの可否やローン可能額は契約者の勤務先や収入のほか、収益性の見込める物件であるかなどによっても異なります。
あくまでも自己資金の目安と考え、実際の融資額については金融機関で審査しなければ分かりません。
ミドルリスクで投資効果を得られる
不動産投資はミドルリスクにわけられ、株式投資やFXなどに比べて緩やかに値動きする投資方法です。
空き室などのリスクはあるものの、長期的にみて安定した利益が生み出せます。
資産が0になる恐れのある投資とは異なるため、投資初心者のハードルが低いとも言えるでしょう。
レバレッジ効果で利益を生み出せる可能性がある
レバレッジ効果とは、少ない資金でも大きなリターンを期待して運用できる効果を指します。
自己資金が少なくても、金融機関からのローン借り入れにより物件価格の高い不動産に投資できるからです。
たとえば、1,000万円で運用する不動産よりも、ローンを利用して3,000万円の不動産を運用するほうが家賃収入が増えるため、収益の増大に期待できます。
参照:投資用などの不動産売却時の節税に関するポイントは特例の活用!
インフレに動じない
不動産は物価の上昇とともに資産価値が上昇するため、インフレに動じません。
インフレにより現預金は低下の一途をたどっていますが、不動産は現物資産であるためです。
物価の上昇は今後も予想されます。
現金でもっているよりも不動産として所有しているほうが、将来的な資産価値に期待できるでしょう。
不動産投資の注意点2選
不動産投資における2つの注意点は次の通りです。
- 短期間でのリターンを求めすぎない
- 物件選びは入念に調査する
不動産投資に失敗しないために把握しておくとよいでしょう。
①短期間でのリターンを求めすぎない
不動産投資では家賃収入が主な利益であるため、短期間でのリターンは求めすぎないほうが投資に失敗しません。
不動産の売買を繰り返すハイリスクな方法でないと、短期間で利益を生み出せないからです。
不動産の売却相場は土地相場によって変動します。
大きな都市開発などがない限りは、売却価格の急激な上昇も下降もみられないでしょう。
投資用不動産では5年以上の長期保有がリスクコントロールしやすく、複利効果にも期待できます。
複利とは利息にも利息がつくことを指します。
運用で得られた利益を再投資して得た利益に複利がつき、利益が膨らんでいくシステムです。
不動産投資は長期期間で安定的に利益を生み出す投資方法であるため、短期間での売買によるリターンは避けたほうが賢明です。
②物件選びは入念に調査する
不動産投資でリターンを得るために必要な物件の調査項目は、次の通りです。
- 立地
- 築年数
- 周辺の不動産相場 など
いざ不動産投資をはじめようと思い立ってはみたものの、収益性が見込める不動産をすぐに見つけ出すのは難しいでしょう。
好立地で入居率のよい物件がタイミングよくあるとは限りません。
また築年数によっても投資スタイルは異なります。
新築物件は入居率が高いものの、利回りが低くなる傾向です。
一方、築年数の経過した物件は比較的安易に運用できるものの修繕費がかかりやすく、立地によっては空き室が目立つため、家賃収入が思うように見込めない恐れもあります。
購入候補の物件をいくつかピックアップし、周辺相場や収益に期待できるかどうかを比較しましょう。
さまざまな側面から起こりうるリスクを考慮し、じっくりと検討する必要があるでしょう。
不動産投資によくある疑問を解決!
不動産投資でよくある疑問点を解説します。
投資をスタートしてから失敗したり不安になったりしないよう、あらかじめ把握しておきましょう。
サラリーマンの不動産投資は危険なのか
不労所得を得たいサラリーマンの方が、闇雲に不動産投資をはじめるのは危険です。
次の方法やローンの組み方には注意しましょう。
- 自己資金0で販売されている
- 表面利回りの記載を鵜呑みにする
- 高額のローンを組む必要がある
自己資金0でもはじめられる投資用不動産は、販売価格が相場よりも高かったり、人気物件でなく利益が見込めなかったりする恐れがあります。
また、「利回り〇%」とは満室状態が続いた表面利回りであるため、実際の収益とは異なります。
ローンはあくまでも背負っていく借金であること、また不動産投資における危険性を把握し知識を身につけるのが、サラリーマンが投資をするうえで重要と言えるでしょう。
不動産投資に向いている人とは?
不動産投資に向いている人の特徴は次の通りです。
- 安定した収入のある人
- 決断力のある人
- 副業に時間をかけられない人
不動産投資ローンを組む際に借入審査に通りやすいのは、公務員や医師、優良企業に務める正社員など、返済能力のある方です。
不動産の購入・売却のタイミングを適切な時期に決断できる力はあるが、投資にかける時間を確保できない方にもおすすめの投資方法です。
不動産の災害リスクに備える方法を知りたい
自然災害などで収入源となる不動産そのものが機能しなくなる恐れがありますが、次の方法で備えられます。
- ハザードマップを確認する
- 火災・地震保険に加入する
- 複数棟所有でリスクを抑える
市町村が公表しているハザードマップでは、過去の被害から災害リスクを想定可能です。
不動産の購入前には自然災害のリスクを加味して購入を検討し、各種保険で万一の事態にも補償を受けられるように備えましょう。
異なるエリアで複数等所有し、災害リスクを分散させるのもひとつの手です。
不動産投資におけるサブリース契約にデメリットはあるのか
サブリース会社が一括で借り上げる「サブリース契約」では、物件の管理や運営、入居者の家賃滞納などの対応を任せられますが、次のデメリットがあります。
- 家賃が減額される
- 契約が打ち切られる
オーナー側の利益は、家賃収入の80〜90%が相場です。
家賃保証の期間や周辺相場より家賃設定が高すぎないか、収益性も確認し、家賃の減額請求に備えましょう。
収益性が低下した場合に備え、中途解約の条件が不利ではないかを契約書で確認するのも重要です。
参照:サブリース契約とは?メリット・デメリットやトラブル事例を分かりやすく解説
売却しやすい流動性の高い不動産とはなにか
流動性が高い不動産とは、利益が出やすい不動産や売買しやすい不動産を指します。
人口の多い都心部は流動性が高い一方で土地価格も高いため、とくにマンションにおいては販売価格が高騰し、利回りが低いのが欠点です。
都心をのぞく首都圏や人口100万人以上の地方などで、流動性と利回りのバランスのとれた不動産が投資にはおすすめです。
不動産投資のデメリットを把握してリスクを回避しよう!
空き室などの管理リスクがあるほか、売却したいときに売れるとは限らない点などが不動産投資のデメリットです。
しかし、副収入を得ながら節税効果にも期待できるなど、多くのメリットがあります。
ミドルリスクでインフレにも強いため、サラリーマンの方が副業として検討するケースも増えています。
リターンを得るためにはリスクへの備えも考慮しながら、流動性と利回りのバランスがとれた不動産を見つけるのが重要です。