中古住宅や中古マンションなどを扱う物件情報誌や広告には、「築浅物件」と記載されていることがあります。築年数が浅いときれいな状態の物件が多いため、人気の傾向です。
ところで、実際には建物ができてからどれくらいまでの状態を築浅というのでしょうか。そこで、築浅とは築何年までを指すのか、築浅物件を売買する際のポイントについて解説します。
築浅物件とは?
「築浅物件」とは、建築されてからまだ日が浅い物件を指す言葉です。
築浅物件という表現は不動産会社の物件案内で使われることが多いですが、築何年までを築浅とするのか具体的な定義はありません。ですから、単に築浅といっても、とらえ方には個人差が生じることになります。
そこで、「不動産情報サイト事業者連絡協議会」が2012年の4月に実施したアンケート調査を見ていきましょう。アンケートの対象者は、学生を除いた20歳以上の男女2070人の一般消費者です。調査は、賃貸物件と購入物件の両方を対象にしており、駅からの徒歩圏内や築浅物件など、感じ方に個人差がある内容に対して調査されています。
このアンケート調査によれば
5年 以内 |
3年 以内 |
10年 まで |
2年 まで |
11年 以上 |
45.8 % |
27.1 % |
14.8 % |
8.8 % |
3 % |
このアンケート調査をもとにすると、築年数5年までを「築浅物件」と考えるのが一般的だと言えるでしょう。
新築物件とは?
不動産情報誌や広告でよく使われている言葉には、築浅物件の他に「新築物件」があります。築浅物件との違いは、新築には定義があることです。
新築の定義について書かれているのは「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で、略して「品確法」という呼び方もあります。「住宅の品質確保の促進等に関する法律」によると
竣工後1年未満であり未使用であること
を条件としている。
そのため、未入居の場合であっても、竣工から1年を超えている場合には新築物件としては扱われません。また、たとえ3カ月しか経過していない物件でも、すでに入居者がいる場合には新築の定義から外れるということです。
つまり、竣工後1年経っていない物件であっても、入居の事実があれば、不動産会社では「中古物件」として扱われることになります。
経過日数を起算する竣工日とは、行政による建築確認手続きの検査が終了して発行される、検査済み証の記載日を指します。検査済み証に書かれている日付をもとに、ここから1年経過していないこと、そして、誰も入居していない物件だけを新築物件として記載することができるのです。
築浅物件のメリット
築浅物件のメリットは、建築してからの経過年数が少ないため、全体的にキレイなことです。
中古物件の場合、築年数が経過するほど価格が下がる傾向がありますが、その一方でリフォームに費用がかかりやすいという難点があります。築10年を超えてくると、不具合が生じやすいのは水回りです。
全体の見た目にはキレイな物件であっても、使用に何らかの問題が出ることは多く、部分的に交換が必要になることは考えておくほうがいいでしょう。築20年を超えてくると、外壁や給排水管などの老朽化も目立ってきます。また、間取りが古いなど、動線にも問題が出ることも多くなります。
しかし、築浅物件の場合は購入直後のリフォームの必要性は低く、費用を抑えられるのがメリットです。特に機能面のリフォームは少なく、例えリフォームが必要であっても、低予算で済ませられます。
家族構成や使い方に合った物件を選んでおけば、大きなリフォームをしなくても、長期間の使用が期待できるでしょう。リフォームの必要性が少ないうえに物件の購入費用も新築物件より抑えられ、その分、家具の購入費などに充当することもできます。
築浅物件のデメリット
築年数が浅いのに売却される物件には、さまざまな理由があります。
例えば、夫婦世帯で予定していたにも関わらず子どもができ、学区を考慮する必要性が出た場合や、仕事や実家の事情で急遽引越しが必要になった、などはポジティブな事情として判断できます。
しかし、築年数が5年に満たない状態で手放す場合、その背景にはネガティブな理由が多いことも否定できません。
例をあげると、離婚や住宅ローンの返済がむずかしくなったなどがあります。他には、ご近所トラブル、住居の瑕疵などもネガティブな理由です。まれなものでは、事故があったなど心理的瑕疵に値する場合もあるでしょう。ただし、理由や状況によっては、必ずしも売主が購入者に告知する義務があるわけではありません。
瑕疵についての告知にも、条件がともないます。仮に、告知を必要とする瑕疵の説明がなかった場合には「瑕疵担保責任」が問われ、わかった時点で売主に対して損害賠償や契約解除の請求を求めることは可能です。
しかし、契約解除の場合は物件を探すところから始めなければなりませんし、手続きや時間を要することも出てきます。
また、築浅物件の場合、購入後の値下がり幅が大きいことが多く、これもデメリットと言えます。諸費用を含めると新築物件と同程度の総額になることもあるので、物件の価値を優先したい人にとっては気になる部分かもしれません。
数字だけでは判断できない築浅物件
築浅物件と聞くと、新しくてキレイという印象を持つ人は多いかもしれません。実際に内覧しても、キレイと感じる場合は多いでしょう。しかし、同じ築5年の建物であっても、設計や使い方、立地によって条件はさまざまに違ってしまいます。
築浅物件で失敗しやすいもの
■プライベート空間の目隠し
■使い勝手
◇特に注文住宅の場合、施主がこだわりぬいた設計と施工である物件が多く、それが問題になることも少なくない
※例えば 広くて開放的なリビング⇒思った以上の光熱費がかかる
天井付近までの窓⇒掃除や開閉に手間
使い勝手が理由で売却した場合は簡単なリフォームで済むことは期待しないほうがいい
他にも
■汚れや傷みがひどい場合
■普段のメンテナンス
◇使い方次第で、感じる築年数にも違いがでる
失敗が少ない築浅物件を購入するためには、数字だけで判断してはいけません。実際に内覧し、各部屋をきちんと見ること、不明な点は質問すること、ドアやコンセントの位置はどうか、また、動線は使いやすいかなどを確認しましょう。
ポイントは、築年数と見た目のキレイさだけで判断しないことです。
築浅物件を売却する際のポイント
築浅物件は、リフォームの必要性が低くキレイでありながら、手頃な価格帯で購入しやすいのが魅力です。しかし、その一方で「どうして手放してしまうのだろう」と不安に思われてしまう側面もあります。
この問題を解決するには、売却の理由をきちんと伝えることです。
実際には、仕事上の事情や親の介護、または家業を急遽継ぐことになったなどの理由で、購入後間もなく手放す人もいます。特に告知義務がない理由であっても、知らせるほうが両者にとってよいことなのです。また、家やマンションの売却を検討しているなら、一括査定を利用するといいでしょう。
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