ライフスタイルの変化で住み替たい！住み替えローンで知っておくべきこと

転勤や子どもの進学などによって引越しをしなければならないときに、年をとった両親の介護のために実家の近くに移り住むときなど、今住んでいる自宅を住み替えるのにはお金がかかります。そんなときに知っておくと便利なのが「住み替えローン」です。

ここでは、住み替えローンとは何か、住み替えローンのメリットやデメリットなどについてご紹介します。

住み替えローンとは？使えるローンは人によって違う

今住んでいる自宅から住み替える必要が出てきたとき、まずは住んでいる自宅を売却する必要があります。ローンの返済が終わっている場合はいいのですが、まだローンが残っている場合には一般的に自宅を売却したお金をローンの返済に充てます。

しかし、自宅の売却額がローンの返済残額よりも少なかった場合、いわゆる「担保割れ」のケースではどうしたらいいのでしょうか。そんなときに利用できるのが「住み替えローン」です。住み替えローンはローン返済の残額に加え、新しい家の購入資金も一緒に借り入れることができるサービスを指します。

金融機関によっては「買い替えローン」とも呼ばれます。住み替えローンを利用できるのは、あくまで担保割れをした場合のみです。もし自宅の売却額でローンが完済できたら、住み替えローンを利用することはできません。また、担保割れをした場合でも、貯金や両親からの援助などでローンを返済できるケースでは、あえて住み替えローンを利用せずに新規の住宅ローンを組み直すことも可能です。

今後数年のあいだに大きな出費がある予定の人や、病気やケガなどの急な出費に備えて手元に貯金を残しておきたいという人は、住み替えローンを利用することができますし、できるだけ借入金は少なくしたいという人は、自己資金でローンを返済するのもいいでしょう。それぞれの自己資金額や人生設計に合わせて組むローンを決める必要があります。

住み替えローンを利用する場合の流れ

まずは今住んでいる自宅の売却査定を行います。できるだけ複数の不動産会社に査定依頼をしてもらいましょう。インターネットでは数社同時に査定依頼を出すことができるので、一軒ずつ問い合わせるよりも時短になります。
似たような物件の売却実績があるか、査定結果の理由を詳しく説明してくれたかなどを見て、依頼する不動産会社を決めると安心です。

不動産会社が決まったら住み替えローンを利用したい旨を伝えておきましょう。不動産会社は金融機関と密接につながっているところが多いので、もしかしたら金利の安い金融機関を紹介してもらえるかもしれません。

希望売り出し価格を決めて、内覧会への対応などを行い、成約価格の目処がついたら改めて新居の購入計画を立てることができます。希望の立地や条件、価格を擦り合わせて物件探しをしましょう。
自宅の売却契約が成立したら、新居の申し込みと住み替えローンの事前審査に申し込みをします。晴れて新居の売買契約が成立した時点で、住み替えローンの正式な申し込みをすることになります。

そのあとは、現在残っている自宅ローンの残債抹消や新居購入の決済、旧居抵当権抹消、所有権移転登記などの手続きを行います。また、新居の所有権移転登記や抵当権設定登記なども必要になります。

とても複雑そうな手続きに思えますが、担当の不動産会社から細かな指示がもらえます。

最大のメリットは自己資金を使わずに家の買い換えができること

一般的に住宅ローンを利用して自宅を購入した場合、ローンを完済しなければ自宅を売却することはできません。金融機関の抵当権を外れるためには、ローンの残債を一括で返済する必要があるのです。

一般的には貯金などの自己資金や両親からの援助などで一括返済をするケースが多く見られますが、これらの手段が使えない人は、もし現状の自宅の評価額が目減りしすぎていた場合、売るに売れないという状況に陥ってしまいます。そんな人たちを救済するサービスとして住み替えローンは利用されています。

住み替えローンでは、ローンの返済が残っている人でも新たにローンを組むことができ、新居を購入するチャンスを得ることができます。また、貯金などの現金を手元に残しておきたいという人にとっても、ローン残額を返済することができる住み替えローンの存在はとても助かります。

また一般的な住宅ローンと比較すると、ローン返済額と新居購入費を見越した金額が借り入れできるので、通常の2倍から3倍程度のローンが借りられるという点もメリットです。

デメリットは売買のスケジュールが厳しくなること

売買のスケジュールが厳しくなる

住み替えローンで気をつけなければいけないのが自宅売却と新居購入の決済日を揃える必要があることです。

このことを「売り先行」と呼びますが、売却が決まらないと新居の購入予算が決まらないので売買スケジュールがとても厳しくなる傾向があります。住宅探しは縁とタイミングとも言いますが、いい物件が見つかってもちょっとの差で購入タイミングがずれてしまうと、ほかの人の手に渡ってしまうこともあります。

また、住み替えローンは通常の住宅ローンに比べて審査が厳しい傾向にあることも要注意です。通常の住宅ローンでは物件の担保価値の範囲内で融資額が決定されますが、住み替えローンでは新居物件の担保価値の1.5倍から2倍、金融機関によっては3倍もの融資額を受けることが可能になるため、審査が厳しくなるのは当然と言えるでしょう。

勤続年数や年収など今後きちんと返済していくことができるのかを厳しくチェックされます。さらに、売却する自宅の引き渡し日と新居の引き渡し日に差があった場合には仮住まいのリスクも出てきます。

たとえば、今まで住んでいた自宅を6月1日に引き渡す必要があり、新居の引き渡し日が8月1日の場合、約2カ月のあいだ別に住む場所を確保しなければなりません。そのあいだの賃貸契約費用や引っ越し費用など余分な出費がかかるケースもあります。

住み替えローンは借りすぎに注意！

借りすぎに注意

ローンの残債があっても申し込みができる住み替えローンは大変便利ですが、利用する際には借り入れ過ぎに注意しましょう。住み替えローンでは審査が通れば、本来の新居の価値以上の金額を借り入れることが可能です。

しかし、借りられる金額と現実的に返せる金額は別物です。急病で仕事ができなくなった、親の介護で出費が必要になったなど、人生には予測不可能な出来事が起こる可能性があります。何らかの理由で新居を売却したいと思ったときに、予想外に売却価格が低くなっていることもあるでしょう。

そのようなケースでは何とかローンを返済できたとしても、そのあとの生活にゆとりを持って送れない可能性も出てきます。多く借りればそれだけ多く返済しなければなりません。住み替えローンでは審査を通ったからといって、むやみに返済期間を引き伸ばしたり、毎月の返済額を増やしたりせず、最初にきちんと返済計画を立てることが必要です。

「ボーナスが入ったら全額ローンの返済に充てるから大丈夫」などと楽観的に考えず、現実的に毎月の返済計画を長期的に立てましょう。