不動産運用を始めてみたいと思っても、「ちゃんと利益が出るのか」「失敗したらどうしよう」と不安でなかなか行動に移せないという人もいるでしょう。
不動産運用は、メリットとリスクを理解したうえで始めることが大切です。本記事ではメリットとリスクはもちろん、不動産運用が向いている人の特徴や始めるときの流れ、おさえておきたいポイントなどを、初心者にもわかりやすく解説します。
この記事の目次
不動産運用とは
不動産運用とは資産運用のひとつで、不動産を運用して利益を生み出し、資産を増やしていくことをいいます。大きく分けると、不動産を「貸す」と「売る」の2種類の方法があります。
「貸す」とは、保有する不動産を賃貸に出し、家賃収入として利益を得る方法です。対して「売る」とは、保有する不動産が購入価格よりも高く売れるタイミングで売却して利益を得る方法です。
不動産運用が注目されているのは、「ミドルリスク・ミドルリターン」な資産運用であることが理由のひとつとして挙げられます。不動産は価格の変動が穏やかであるため、株やFXのように短期間で大きな利益を得るのは難しいものの、銀行預金などに比べると長期的に利益が見込める運用方法といえます。
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不動産運用のメリット
不動産運用の主なメリットは、次の3つです。
- メリット①賃貸なら長期に渡って安定的に収入を得られる
- メリット②売却ならまとまった現金収入を得られる
- メリット③節税効果が期待できる
それぞれについて解説していきます。
メリット①賃貸なら長期にわたって安定的に収入を得られる
不動産を賃貸にすると、長期にわたって安定的な収入を見込めるのが大きなメリットといえます。賃貸は一定の入居率を維持できれば、継続的な家賃収入を得られます。たとえば会社員のうちに副業として賃貸による不動産運用をスタートしておけば、定年退職後の私的年金代わりにすることも可能です。
居住用物件はとくに契約期間が長いのが一般的で、一度入居してもらえれば長期的な家賃収入を見込めます。管理業務を管理会社に委託する方法もあるため、うまくいけば不労所得といえる状態も目指せます。
メリット②売却ならまとまった現金収入を得られる
不動産を売却するメリットは、まとまった現金収入を得られる点です。賃貸と違って継続的な収入は得られないものの、家賃滞納や空室状態による収入減少のリスクがなく、売却後は管理の手間もかかりません。
値上がりが見込まれる土地を購入して地価が上昇したタイミングで売却したり、更地を購入して建物を建てることで付加価値を高めて売却したりと、利益を得るためにはさまざまな方法があります。
また、物件を購入する際にローンを組んだ場合は、購入価格よりも高く売却できればローンを完済できます。さらに、残った資金でより収益性の高い物件に投資することも可能です。
メリット③節税効果が期待できる
不動産運用は、株式や債券などの運用よりも節税効果が期待できます。賃貸の家賃収入は「不動産所得」に該当し、収入から必要経費を差し引いて算出します。必要経費には減価償却費や融資の利息分なども算入できるため、最終的に赤字になったとしても、賃貸事業で生じた赤字はほかの所得から差し引く「損益通算」が可能です。
全体の所得が少なくなれば、会社員などの給与所得者が源泉徴収されている所得税は確定申告によって還付でき、住民税も減額されます。また、小規模住宅用地の特例が適用されれば、固定資産税も減税されます。
不動産運用のリスク
不動産運用のリスクは、主に次の2つです。
- リスク①賃貸では空室が多いと利益が出ない
- リスク②売却価格は仲介の依頼先に左右されやすい
それぞれについて解説していきます。
リスク①賃貸では空室が多いと利益が出ない
賃貸の場合は、空室が多いと利益が出ないというリスクがあります。入居者がいない期間は家賃収入がない状態になってしまうため、なるべく空室がない状態にするのが賃貸による不動産運用では重要なポイントです。
賃貸による不動産運用では、「利回り」を考える必要があります。利回りとは投資額に対しての利益を数値化しもので、たとえば3,000万円の物件の年間家賃収入が300万円の場合、利回りは10%となります。
利回りの理想は新築物件で3〜10%、中古物件で5.5〜15%です。利回りが低くなると修繕費用などが確保できず運用が難しくなってしまうため、利回りを考慮して空室対策をする必要があります。
リスク②売却価格は仲介の依頼先に左右されやすい
不動産の売却では、仲介を依頼する不動産会社によって売却価格に差が出てしまうことがあります。不動産会社によっては相場よりも安い価格で売りに出されてしまうこともあるため、利益を見込めなくなる恐れもあります。
売却ではタイミングの見極めが重要になるため、より高値で売却するためには実績が豊富で信頼できる不動産会社に仲介を依頼することが重要です。納得できる価格で売却するためには、不動産一括査定サービスを利用し、複数の不動産会社を比較して選ぶようにしましょう。
不動産運用が向いている人の特徴
不動産運用が向いている人の特徴は、主に次の3つです。
- 節税しながら資産を運用したい人
- インフレ対策を考えている人
- 公的年金だけでは不安な人
それぞれについて解説していきます。
節税しながら資産を運用したい人
不動産運用では、固定資産に対して発生する税金を節約できるため、節税対策につながります。とくに運用がうまくいかず赤字になったり、利益が少なく必要経費を差し引いて赤字になったりした場合に、損益通算によって所得税や住民税を節税できるのは大きなメリットです。
また、相続の際の節税対策にも有効です。株式や預金などは時価で相続税が決まるのに対して、不動産による資産運用では70〜80%で評価されることが多いため、その分相続税も少なくなります。節税しながら資産を運用したい人にとっては、不動産運用はとくに向いている運用方法といえるでしょう。
インフレ対策を考えている人
インフレによって物価が上昇した際、不動産を売却したり家賃を上げて対応したりすることで利益を得られる可能性があります。インフレになると保有している現金の価値は減ってしまいますが、物価とともに土地の価格も上がるため、不動産を売却することで利益を得られるでしょう。
また、物価の上昇に伴い家賃の設定金額を上げることで、月々の家賃収入を増やせる可能性もあります。現金を不動産に換えて運用すれば経済状況の変化にも対応しやすくなる可能性があるため、インフレ対策として有効な手段であるといえるでしょう。
公的年金だけでは不安な人
公的年金だけでは収入が少なく将来の生活に不安がある人には、不動産運用も有益な選択肢のひとつとなります。賃貸として不動産を運用すれば、うまくいけば毎月安定した収入を得ることが可能です。老後を迎える前にローンを完済しておけば、家賃収入は大きな収入源となります。
また、まとまった資金が必要な場合は売却も可能です。生活状況や経済状況に応じて意思決定できるため、公的年金だけでは不安な人は老後を見据えて不動産運用を検討してもよいでしょう。
不動産運用を始めるときの流れ
不動産運用を始めたい場合は、次のような流れで進めるのが一般的です。
- 目的や目標を明確にする
- 情報収集をする
- 資金計画を立てる
- 内覧へ行く
- 契約を締結し、決済をする
それぞれの手順について解説していきます。
①目的や目標を明確にする
不動産運用では目的や目標によって購入する物件が変わってくるため、まずはなぜ不動産運用をしたいのかを明確にしましょう。自分に合った不動産運用を始めるには、「老後の生活のため」「節税のため」などの目的を明確にし、どのくらいの利益を目標にしたいのかを設定しておくことが大切です。
目的や目標が明確になったら、「自己資金がどのくらいあるのか」「ローンの限度額はどのくらいか」などを把握し、具体的に計画を立てていきます。
②情報収集をする
自分の不動産運用の目的に合う物件の条件や希望するエリア、投資できる金額などを整理したら、情報収集を始めましょう。インターネットやチラシなどで情報を集めたり、不動産会社へ問い合わせたりして、物件情報を調べていきます。
初心者の場合は、不動産運用に関するセミナーに参加するのも方法のひとつです。不動産運用に関する基本的な知識を得られたり、疑問や悩みに対して具体的な回答を得られたりするでしょう。また、人脈作りにもつながります。
③資金計画を立てる
購入したい物件の目星がついたら、おおまかな資金計画を立ててみましょう。「家賃収入はどの程度見込めるのか」「必要経費はどのくらいかかるのか」「ローンの組み方はどうするのか」などの基本的な収支はもちろん、空室や金利変動などのさまざまなリスクもふまえて考える必要があります。
自分だけで考えるのが難しい場合は、不動産会社などプロに相談するとよいでしょう。
④内覧へ行く
おおまかな資金計画を立てて問題がなさそうなら、気になる物件の内覧へ行きましょう。室内の状態はもちろん、建物全体の状態や設備、周辺環境まで、細かくチェックすることが大切です。修繕が必要な箇所があるかも確認しておきましょう。
また、実際に物件の周辺を確認し、治安はどうか、駅までのアクセスはどうかなど、住む人の立場になって利便性をチェックすることも大切です。
⑤契約を締結し、決済をする
購入したい物件が決まったら、不動産会社を通して売主へ「買付申込書」を提出します。無事に購入権を得られたら、次は売買契約を締結する手続きを行います。
売買契約の締結後に決済を行い、物件が引き渡されたら手続き完了です。物件が自分のものとなり、いよいよ運用が始まります。
不動産運用で失敗しないためにおさえておくべき5つのポイント
不動産運用で失敗しないためにおさえておきたいポイントは、主に次の5つです。
- 社会情勢や経済の動向をチェックする
- リスクに備えて分散投資をする
- 長期的な視点をもつ
- 不動産運用の正しい知識を身につける
- 信頼できる不動産会社を探し、パートナーにする
それぞれについて解説していきます。
①社会情勢や経済の動向をチェックする
不動産の価格は社会情勢や経済の状況に左右されるため、常に動向をチェックしておくことが大切です。経済新聞や経済ニュースのネット記事、経済や資産運用を学べるサイトなどを活用し、意識的に新しい情報を得るようにしましょう。
社会情勢の動向を知らなかったり経済の知識が乏しかったりすると、不動産会社や第三者の意見に左右されやすくなってしまいます。自分自身で適切な判断ができるよう、日頃から情報収集をする習慣をつけておきましょう。
②リスクに備えて分散投資をする
ひとつの物件に依存していると失敗した際のリスクが大きくなるため、いくつかの物件に資産を分配して運用することが大切です。不動産運用に限らず、どんな資産運用でも分散投資はリスク管理において重要な考え方です。
不動産運用においては、周辺環境の変化による価格低下や空室リスクなど、さまざまな要因によって損をしてしまうこともあります。資産を分散して運用していれば、赤字を他の物件でカバーできます。いくら利回りがよさそうな物件があったとしても、リスクに備えて複数の物件に分散して運用したほうがよいでしょう。
③長期的な視点をもつ
不動産運用は短絡的な視点ではうまくいかないため、安定した運用を目指すのであれば、長期的な視点で運用していきましょう。不動産運用では、「複利」を活用する考え方が大切です。複利とは、一定期間ごとに発生した利息を元金に入れて増やし、さらに利息を増やしていく方法です。
不動産運用でも複利での運用を活用することで、長期にわたって安定した運用ができるようになっていきます。
④不動産運用の正しい知識を身につける
不動産運用の正しい知識を身につけるために、セミナーやインターネットスクールを活用するのもよいでしょう。初心者向けの不動産運用セミナーも多く、運用の目的に応じてセミナーを選ぶのがおすすめです。
また、不動産会社の代表や公認会計士、ファイナンシャルプランナー、税理士などさまざまな立場の講師がいるため、学びたい内容に応じて選ぶようにしましょう。
セミナーよりも気軽に学びたい場合は、インターネットスクールもおすすめです。自分の都合に合わせて動画などで学べる場合が多いため、忙しい人でも活用しやすいでしょう。
⑤信頼できる不動産会社を探し、パートナーにする
不動産運用の初心者であれば、信頼できる不動産会社をパートナーにして、質問をしたり、アドバイスをもらったりできると安心です。物件の選び方や資金計画の立て方、契約方法など、疑問や悩みを相談できるのは心強いものです。
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不動産運用の特徴を理解して、正しい知識のもとに運用を始めよう
不動産運用はさまざまな知識が必要になるため、信頼できる不動産会社に売却や購入の相談ができるとよいでしょう。
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