土地を売却するにあたっては、さまざまな書類を用意する必要があります。

売買契約においては、真の所有者確定や売買価格の算定根拠となる土地の位置や面積、境界線などを明確にする必要があるからです。土地売却にあたって必要となる書類のひとつに地積測量図があります。

そこで、地積測量図についてお伝えします。

土地売却に必要となる測量図は3種類

土地売却を行う場合は、価格交渉の前提となる

土地の位置や面積、境界線

を明確にする必要があります。そのためには、これらを確認できる図面を手に入れておくことが大切です。別途、実際に測量する場合もありますが、その際も図面の入手は欠かせません。

図面にはさまざまなものがありますが、土地売却時に手に入れておきたい測量図としては

確定測量図
隣接しているすべての土地と道路の所有者が立ち会って境界線を確定した図面

民間の査定を経て作成されるすべての当事者の確認が済んだうえで民間査定を行って作成する図面なため信頼性は高い
現況測量図
■境界確認が行われていないタイプ

隣地の所有者からの境界確認が行われていない

■民間査定が省略されているタイプ

民有地のみ隣地の所有者立ち合いによる境界確認を経て作成されているという特徴がある
地積測量図
一般的に売買契約書には添付しないことも多い

当事者すべての立ち合いが行われていないためもめごとを解決できないためといわれている

の3種類があげられます。

地積測量図の基礎知識

地積測量図
登記上の土地に付されている地番区域の
◇名称や方位、縮尺、地番、土地の面積が記載されているもの
◇面積を測定した方法なども記載
◇境界標の種類、境界点間の距離などもわかる図面

地積測量図に関することは、不動産登記規則75条に定められています。

地積測量図は信頼性が高い

地積測量図は、土地の登記簿に付随して法務局に備え付けられているものですが、法整備が行われる前から存在する土地などについては備え付けられていない場合もあります。

不動産登記規則によれば

地積測量図は、1筆の土地ごとに作成されるべきもので、分筆登記申請においては分筆前の土地ごとに作成する

とされています。敷地面積や隣地境界を正しく把握できるので、土地売却を行う場合における地積算定の基礎のひとつとなる図面としての役割があります。

地積測量図の取得方法

地積測量図を手に入れる方法は、登記事項証明書の取得と同じ方法です。

◇法務局の窓口で申請する方法
◇郵送による方法
◇オンライン申請による方法

の3つがあります。土地1筆につき450円の費用が必要です。費用は、収入印紙を購入して負担することになります。

地積測量図を確認する場合のポイント

地積測量図の見方を知る

地積測量図を確認する場合は、地積測量図の見方を知っておく必要があります。

見方を理解するために地籍測量図のレイアウトを知っておくことが重要

◇地積測量図の上部に、地番と土地の所在地が書かれている
◇土地売却時に使う場合は、売却対象となる土地の地番と一致しているかどうか確認が必要
◇この欄を見ることで地番区域の名称を知ることもできる
方位

方位は、地番の下あたりに記載されています。

◇方位磁石のような記号が書かれている
◇矢印が向いている方向が北
◇方位の下には土地の図面が記載されている
◇図面中に記載されている数字の一部は地番
◇枝番まで確認できるようになっている
◇土地の図面からは各境界点の距離も把握可能
求積表

地積測量図の左半分には、求積表が掲載されています。各境界点で区切られたエリアごとの面積算定根拠を知ることができるでしょう。

◇求積表の下には地積が記載されている
◇小数点以下の細かい数値まで確認できる点が特徴
◇さらにその下には、測量年月日が記載されている
◇左下にある作成者欄は測量を行った土地家屋調査士の氏名・押印を確認する場所
◇右下には地積測量図を申請した人の氏名が記載されることになっている
公図

登記簿には公図も付随しています。公図と地積測量図の違いは正確性です。

◇土地の所有に対して国税が課税されていた時代に作成されたもの
◇公図の現地復元能力は低い
◇ほぼすべての土地に付されているという点がメリット
◇地積測量図がない土地の売買においては、公図と合わせて測量を行い地積や境界線を確定するのが一般的だといわれている

※市町村に課税権が移行されるようになってからは、課税目的で公図を使用する必要がなくなり、そのため法務局に公図が渡ったというのが経緯

土地売却時の境界線確認と確定

土地の売却にあたっては、土地の位置と面積だけでなく境界線を確認することが大切です。境界線が確定していなければ正確な面積を算出することができません。また、隣接している土地所有者と境界線について認識の違いがあると、トラブルに発展する可能性が高いです。

土地売却に際しては、これらについてクリアしておくことが重要になります。

地積測量図では、正確な面積や境界線は確認できます。しかし、あくまで土地所有者の認識に基づく境界線が、その根拠となります。そのため、土地売却にあたっては境界線の確定を行うために、土地境界確定測量を行うことも多いです。土地売却を行う場合は、地積測量図に関する知識だけでなく、境界線確認と確定の流れなどについても理解しておくことが、大切になるでしょう。

手順

資料の調査
◇公図や登記簿、地積測量図などを取り寄せる
◇過去に近隣で行われた境界線確定資料が入手できる場合はれも入手

隣接地所有者
◇測量前に作業を行う趣旨などを隣人に説明する
◇近所から怪しまれないためにも必要な手順

実際の測量作業
◇このタイミングで、測量と並行して境界確定協議を行うため関係者との立ち合い日程確認などを行っておく

◇早めに日程調整を行うことによって、一度で確認を済ませられるようになる

関係者の境界立ち合い
◇測量が完了したら、いよいよ関係者の境界立ち合い
◇隣接地だけでなく、道路を挟んだ反対側の土地所有者との協議が必要な場合もあるので注意

完了
◇境界杭を埋設し書類を作成して測量は完了
◇境界杭は境界標と呼ぶこともある

測量のメリット

地積測量図などの図面は、万能ではありません。図面の種類によっては、境界確定を行わなくても作成できるものがあります。そのため、土地売却時の境界確定は欠かせません。

境界確定を行うことによって土地を売却する人に生まれるメリット

境界確定を行うことによって、土地を売却する人にとってさまざまなメリットが生まれます。主なメリットは4つです。

1.面積が確定することにより価格算定根拠がはっきりする

これによって、売買交渉が進みやすくなりスムーズに契約締結できるようになるでしょう。土地売却においては、できるだけ早く資金化を実現することも大切です。契約締結までの時間を短縮し資金化のタイミングを早めるためにも測量をしましょう。

2.境界が目に見えるようになる

境界確定によって、境界杭が埋設されることになるため境界が目に見えるようになります。境界杭がなければ、境界線に関する誤解が生じやすくなります。しかし、物理的な目印である境界杭があることによって、境界線に関わるトラブルを避けることができます。

3.実測面積での売買が可能になるため、土地の買主が安心できる

あとで、実測面積との差額精算を行うか否かの条件について、話し合う必要がなくなります。また、安心して購入できる土地になるため見込み購入者が複数現れる可能性が高くなり、売却実現を早期化できます。

4.相続手続きが迅速に行える

将来的に、土地を売却する予定の場合、売却前に相続が発生することもありえます。その場合、1筆の土地を分筆して複数の相続人が承継することもあるでしょう。そういったケースでも、境界線がはっきりしていれば遺産分割協議書作成などの手続きが、スムーズになります。

土地売却は地積測量図の理解が欠かせない

土地売却にあたっては、境界線トラブルを防止して売買条件を明確にしておくことが重要です。

トラブルリスクが少なく、面積などが明確な土地は購入者にとっても安心して購入できるメリットがあります。土地購入を希望する人が、複数現れることが期待でき、より高い価格での売却も可能になるでしょう

地積測量図の読み方を理解しておきましょう

そのためには、地積測量図を入手し活用するとことが大切です。すべての土地に、地積測量図が備え付けられているわけではありませんが、存在する場合は有効活用することが土地売却実現のポイントとなります。

有効活用するためには、地積測量図の読み方を理解しておく必要があります。先述した情報を参考に、地積測量図に関する理解を深めておきましょう。

また、地積測量図がない場合は測量を行ってから売却することが重要です。地積測量図を含むさまざまな図面を活用して、土地売却を有利に進めましょう。