土地評価額とは、平たくいえば土地の価格です。しかし、これにはいくつか種類があることをご存じでしょうか。具体的には、土地の価格と調べ方は5種類あります。また、5種類の価格では、どれを採択するかによって土地の評価額もそれぞれ変わってくるのです。 今回は、その5種類の価格とは何か?調べ方や計算方法について紹介します。
そもそも土地評価額とは?
まず知っておきたいことは、1つの土地に対し5つの価格があるということです。これを一物五価と言います。国・地方自治体・売主・買主といった異なる視点・基準で評価しているためです。それぞれ詳しく解説します。
一物五価
実勢価格(時価)
■実際の市場取引から形成される価格(相場)
<メリット>
随時変動するので取引事例から得られる価格として実状に近い。不動産売却時の金額はほぼこちらに該当する。
<デメリット>
地域の取引数が少ない場合や類似物件がなく比較材料がすくない場合、精度が低い。
公示地価(公示価格)
■国または都道府県が公表している標準地・基準地の価格(地価)
<メリット>
市場取引でも参考にされる価格のため公的指標として信頼がおける。
<デメリット>
定められた地点の価格なので少しずれる近隣などでは補正が必要。
基準地価
■概ね公示地価と似たようなものだが、公示地価と違い、都市化が進んでいる地域だけではなく山林なども含まれる。
<メリット>
公示地価の補完的な要素が強く、取引事例の少ない田畑、山林、田舎部での取引に役立つ。
<デメリット>
住宅地化されているような場所では使いみちは少ない。
相続税評価額(路線価)
■相続税の算出基礎とするために求める土地の評価額
<メリット>
鑑定評価額は客観的な土地の価格として有用である。相続税を算出する時はこれを参考にするので、相続時以外に必要なときはない。公表された路線価などから簡単に知ることができる。
<デメリット>
あくまで相続税額の算出用であって時価ではない。
つまり、時価を知りたい場合は別途計算する必要がある。
固定資産税評価額
■固定資産税の算出基礎とするために求める土地の評価額
<メリット>
公表されている路線価や課税明細書から知ることができる。毎年ある固定資産税、都市計画税などの税金計算に使われる。
<デメリット>
相続税評価額同様、時価の算出ができない。
土地の評価額を求める際は、これら5つの価格のうちどれを使うかを考える必要があります。5種類の価格はその特徴から時と場合によって使い分けることが可能です。そのため、それぞれの価格の特徴を知っておくことで上手く運用ができます。
土地の評価額の調べ方
まず土地の価格を知りたい理由を明確にしよう
5種類の価格では、それぞれの目的が異なっているため、求め方によって土地の価格が変わってしまいます。このことから、自分の目的に合った求め方を知ることが重要となります。まずは土地の価格を知りたい理由を明確にしましょう。
売買価格を知りたい場合
たとえば、売買価格を知りたい場合や、単に現在の価格を知りたいのであれば、時価(実勢価格)が適していると言えるでしょう。時価は相場でもありますから、これを知っておくことで実際の取引の際に損をするリスクも低くなります。
相場を知っておけば、もしも悪徳業者に当たった場合に相場より低く見積もられても気付くことができるからです。
税金を計算したい場合
また、税金を計算したい場合は相続税評価額と固定資産税評価額を使います。これらは、時価のように揺れ動くことのない公的水準から求めることができるからです。
土地の価値を知りたい場合
純粋な土地の価値としての価格を知りたい場合は、鑑定評価額が適しています。しかし、不動産鑑定士に依頼する場合、鑑定料の相場は15万程度からです。そのため、法人間で不動産取引を行う場合や裁判を伴うようなトラブルの場合など、よほど価格を知る必要がある場合を除き、やや不正確でも無料で知ることができる価格で代用するのが一般的と言えます。
ちなみに、五価のうち、有料なのはこの鑑定評価額のみで、ほかの価格を調べる際は、基本的に料金はかかりません。
公正な値を知りたい場合
研究目的など、公正な値が知りたい場合は、公示価格を用いるといいでしょう。公示価格は該当地域のモデル価格を知りたい場合に適した価格です。なぜなら、そもそも時価・評価額は公示価格を基準に求める性質を持っているからです。
そのため、公示価格は状況に合わせた変化というものがなく、基本的基準として用いることができます。
このように、目的によって適した価格の算出方法は変わってきます。土地評価額を知りたい場合、まずは「自分は何のためにそれを知りたいのか?」を明確にするといいでしょう。特に土地を売却する際は、「相場を知ることができる」「実際の取引価格である」という点から時価がおすすめです。時価については次で詳しく解説します。
時価の求め方
時価の求め方は3種類あります。 「不動産情報サイト」「国土交通省の土地総合情報システム」「不動産会社による査定」の3つです。
不動産情報サイト
まず、不動産情報サイトを利用する場合ですが、この場合は時価に近い数値の推測が可能です。近い数値というのは、不動産情報サイトに載っているのは時価そのものではないためです。なぜなら、これらのサイトに載っているのはあくまで販売価格であり、成約価格ではないからです。更に、成約価格は多くの場合販売価格よりも低くなります。そのため、不動産情報サイトで調査する際は「これよりも少し低い価格」という推測が必要です。
土地情報システム
土地情報システムの場合、まず公的な情報となるので信頼性が高いというメリットがあります。しかし、これは不動産取引を行った当事者にアンケート調査を行い、その結果得たデータを集計し公開したものです。そのため、網羅性が完璧ではなく、情報が少ない地域がある場合もありえます。
自分の知りたい地域の情報が少ない場合は、ほかの方法を考える必要があるでしょう。
不動産会社
不動産会社に査定してもらう場合、売買対象の土地が確定している必要があります。また、複数の不動産会社に査定してもらうことがおすすめです。これは、不動産会社によって査定価格が若干異なる場合があるためです。
不動産会社の査定というと、不動産会社の担当者が自宅に来て、営業トークをしていくというイメージがあるかもしれません(訪問査定)。しかしインターネット上に入力した物件の情報を基に査定結果を提示することも可能です(机上査定)。
さらに一括査定サイトを利用すると、複数社から査定結果を受け取ることも可能であるため、手間も省けます。ほとんどの不動産会社で無料査定を行っているため、どのくらいの価格で売れるか知りたい場合は一括査定サイトを利用して相場を知ることをおすすめします。
五価のうち3つに対応!全国地価マップを利用しよう
公示価格・相続税評価額・固定資産税評価額は、全国地価マップというサイトで調べることができます。それぞれの計算方法について解説します。
◆全国地価マップ
https://www.chikamap.jp/
公示価格の計算方法
公示価格の場合、ここで表示される価格は1平方メートルあたりの価格なので、これに知りたい土地の面積をかけた数値が公示価格です。
ただし、ここで求めることができるのはあくまでその土地の標準値となります。標準値と知りたい土地の価格が同じとは限らないので、残念ながら精度100%とはいきません。しかし、大きく参考になる値を求めることができるのは確かでしょう。
相続税評価額の計算方法
続いて、相続税評価額の場合です。全国地価マップを操作していくと地図上に道路に沿って青い矢印が引かれているページに行き着きます。その矢印周辺の数字が、その矢印が引かれた道路に面する土地の1平方メートルあたりの相続税評価額です。相続税評価額は、ここで出た価格と(適用される場合は)補正率・地積を掛けた額となります。
固定資産税評価額の計算方法
固定資産税評価額の場合、全国地価マップを操作していくと地図上に道路に沿って赤い矢印・青い矢印が引かれています。ちなみに、赤い矢印は主要な街路を、青い矢印はその他の街路を示すものです。
こういった矢印の上に書かれた数字が、その矢印が引かれている道路に面する土地1平方メートルあたりの固定資産税評価額となります。固定資産税評価額は、ここで出た価格と(適用される場合は)補正率・地積を掛けた額となります。
ここまで全国地価マップの見方や公示価格・相続税評価額・固定資産税評価額の計算方法について解説してきました。しかしこれらの評価額はあくまでも目安です。様々な条件によって違いがある場合が多いため、目安の1つとして考えると良いでしょう。
より正確な鑑定を望むなら不動産鑑定士に依頼しよう
ただし有料なので注意!
ここまで紹介してきた価格は、どれも自分で調べることができるものです。しかし、やや正確さに欠ける面があることも事実でしょう。より正確に土地評価額を知りたい場合は、不動産鑑定士に鑑定を依頼することになります。
ただ、ネックとなるのは、ほかの価格調査と違い不動産鑑定士は有料だという点です。また、土地の価格が高くなるほど鑑定費用は高額になります。これは、高い土地の鑑定ほど鑑定士が発行する証明書の責任が重く、万が一鑑定を誤ると、最悪の場合は損害賠償請求にまで及ぶからです。なお、これは特に法人資産の鑑定依頼などのケースとなります。
ですが、その分だけ不動産鑑定士の鑑定は不動産会社による査定よりも厳密で適正な方法での評価が可能です。また、不動産鑑定士による不動産鑑定書は公的機関に提出が可能なほど高い証明力があります。公的な価格である公示価格も、不動産鑑定士による鑑定評価額を基準に決められているほどです。
どうしても土地の正確な評価額を知りたい場合、また経済的に支払い能力がある場合は、不動産鑑定士への依頼も視野に入れていいでしょう。
まとめ
土地評価額の調べ方は知っておけば損をしない
土地の評価額は、調べ方が5種類もあり、素人にはいささか敷居が高く感じるかもしれません。実際、覚えるまでは「公示価格って何?時価とどうちがうの?」といった疑問も湧くことでしょう。しかし、一度覚えてしまえばこちらのものです。まずは、時価など取引市場の価格と、公示価格など公的な基準による価格を分けて覚えるといいでしょう。
また、相続税評価額・固定資産税評価額などは名前にどのような評価額かが出ているのでさらに覚えやすさが期待できます。また、それぞれの価格の名称を覚えたらその求め方も一緒に覚えておくとベターです。価格の求め方自体はインターネットで調べればすぐにわかるとはいえ、やはり最初から覚えておけば調べる手間が減ります。
すぐに目的に合わせた調査方法を採択できるのでメリットは多いです。
土地評価額はどの調査方法を採択するかによって変わってくるものですから、どの調査方法がどういった目的に適しているかを知っておくことはとても重要となります。ただでさえ、不動産資産は価格査定が揺れやすい市場です。複数の不動産会社に一括査定を申し込んだところ、上限と下限で330万もの差があったという話もあるくらいですから、調査方法は本当に大切です。
土地を売却する際に評価額を査定するときは、一物五価の内容とメリット・デメリットを知っておくことで損をするリスクを減らせることができるでしょう。
一括査定サイトを利用して効率的に不動産会社選びをしよう
不動産売買に関する知識がなく、所有している不動産をどのような方法で売却すればいいかわからない、どの一括査定サイトを選べばいいかわからない、という方は一括査定サイト「イエイ」の利用をオススメします。
「イエイ」では、国内主要の不動産会社や地元に強い地域密着の不動産会社などとの取引があり、多様な不動産会社から自身に合う不動産会社を見つけやすいのが利点です。
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