土地を相続したら、資産をもらえたと喜ぶのは早計です。故人の資産を相続する場合、必ず相続税というものがかかってきます。相続税の存在自体は知っていても、具体的にいくらくらいかかるものなのかについては知らないという人も多いのではないでしょうか?そこで、土地を相続した場合の相続税の計算方法についてまとめました。
土地にかかる相続税の計算方法
相続税は財産の時価に応じて課税されるものです。現金や株などであれば値がはっきりとしていますが、土地などの不動産となると話は変わってきます。売却するわけではないにしても、土地にいくらの値がつくのかを調べなければなりません。
不動産鑑定士に依頼することで調べてもらうこともできますが、そうなると30万円程度の高額な費用がかかってしまいます。手軽に調べる方法として路線価がありますから、それで土地の評価額をチェックしましょう。
土地の固定資産税の納税通知書に記載されている面積を把握したら、路線価図をみてください。該当するエリアに書かれた数字とアルファベットを確認しましょう。たとえば「200D」と書かれている場合、その道路に面している土地の価値は1平方メートルあたり20万円ということになります。
路線価が確認できたら、あとは、最初に確認した土地の面積と路線価を掛け算すればいいだけです。たとえば、土地の面積が100平方メートルであった場合、100×20万円となり、土地の価格は2,000万円ということになります。
ただ、土地が広大過ぎたり、形が悪かったりといった問題がある場合にはこの金額からある程度差し引かれた額になるので注意しておきましょう。具体的にいくらになるのかは税理士次第だと言えます。
肝心の相続税ですが、相続税率は遺産の総額で決定されます。総額が高額であればあるほど税率も高くなるので気をつけましょう。たとえば、
相続 | 2,000万円の土地と2,000万円の現金 |
税率 | 20% |
控除額 | 200万円 |
計算式 | 4,000万円×20%-200万円=600万(が相続税)半分は現金にかかる相続税なので、土地の分にかかる相続税は300万円 |
基礎控除や相続人数の問題が絡むと複雑になるため、敢えて省いて計算しましたが、基本的な相続税の算出方法はこのようになっていると覚えておくといいでしょう。
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ほかにもある土地の評価方法
土地の評価方法は国税庁が定めた路線価に基づいて計算する方法以外にも手段があります。相続税を把握するために最適とされている手段は路線価だと判断されるケースは多いですが、ほかの評価方法も把握しておくことをおすすめします。
まず挙げられるのは、倍率方式による評価方法です。路線価方式の場合、路線価のない土地というものもあります。路線価がなく、路線価方式では計算できないという場合には倍率方式を使うといいでしょう。倍率方式の計算方法は、固定資産税評価額に倍率をかけるというシンプルなものです。国税庁のホームページで倍率を確認したうえでしましょう。
たとえば、1,000万円の固定資産評価額に対して倍率が1.2倍だった場合、評価額は1,200万円になります。
計算方法とは異なるのですが、ほかの評価方法として公示価格や基準地価、固定資産税評価額をチェックしたうえで判断するという手段もあります。ただ、これらの方法では正確な評価額を割り出すことは難しいため、あくまでも目安として考えなければならないという問題があるので注意しておきましょう。
原則的には路線価方式か倍率方式で土地の評価をする方法を取ることになります。
固定資産税評価額はどんな風に決まる?
- 固定資産税評価額・・・倍率方式の計算をしたり、時価の概算を出したりするうえで関わってきます。
固定資産税評価額とは、各市町村が算出する固定資産税の基準になる価格のことで、毎年1月1日時点の標準地価の70%で計算されます。固定資産税だけではなく、登録免許税や不動産取得税、都市計画税などの基準にもなる評価額なので覚えておくといいでしょう。
固定資産税評価額は3年に1度の周期で評価替えというものが行われます。
固定資産税評価額の確認方法は単純で、毎年春頃に役所から届けられる固定資産税の納税通知書を見れば確認できます。手元に納税通知書がない場合には、土地のある地域の役所で固定資産課税台帳を閲覧、あるいは固定資産評価証明書の取り寄せで調べることが可能です。
相続税を計算するうえでは必要になってくるものなので、土地の相続や贈与を受けるという場合には早い段階で用意しておくことをおすすめします。
忘れてはならないのが基礎控除とマイナスの資産
相続税の計算方法の例では基礎控除を無視して計算しましたが、本来であれば3,000万円とそれにプラスして600万円×相続人数が基礎控除となります。つまり、法廷相続人が故人の配偶者のみの場合は3,600万円、配偶者と子供が1人なら4,200万円、配偶者と子供2人の場合は4,800万円という計算です。
遺産の総額からこの基礎控除額を差し引いた金額が相続税の課税対象となる相続財産になります。子供の人数が多ければ多いほど基礎控除額は増えるので相続税対策としては有利だと言えるでしょう。
もうひとつ忘れてはならないのが、相続財産にはマイナスの財産もある場合があるということです。無借金でローンも全く残っていないという場合には心配する必要は特にありません。しかし、故人が生前に何か大きな買い物をしていたり、借金をしていたりした場合には注意が必要です。
その場合には、土地を含めたプラスの財産からマイナスの財産を差し引いて遺産総額を求めます。このときに葬儀費用も差し引くのを忘れないようにしましょう。そうして残った金額が相続財産となり、相続税の課税がされます。
相続税率を増やしたくないという場合には有利に働くこともあるマイナスの財産ですが、総合してマイナスになってしまう場合には遺産放棄をする必要が出てくるのでよく頭に入れておきましょう。
不動産相続は税金対策になるって本当?
現金や証券の相続とは違い、土地などの不動産による資産の場合は時価が定まらないというのが大きな特徴です。
土地の不動産価値は相続財産として計算される場合、現段階ではなく相続が開始されるときの状況によって左右されます。不動産を相続する場合、条件を満たしてさえいれば相続税の負担を軽減するための措置や特定を受けることができます。つまり、現金や株を相続するよりも相続税の負担が軽くなる可能性があるのです。
必ずしも軽減措置がとられるとは限りませんから、故人の生存している段階で、所有している現金を敢えて不動産にしてもらうといった策まで講じる必要はありません。しかし、相続税対策として有効活用できる可能性があるのなら試してみる価値は大いにあるでしょう。
土地を相続したときにかかる税金とは?
土地を相続したときにかかる主な税金といえば相続税ですし、その金額も大きくなりやすいものですが、もうひとつ忘れてはならない税金があります。それは、登録免許税です。登録免許税も相続税と同様に、土地を相続した段階で発生する税金になります。
正確に言えば土地を相続し、所有者の情報を登録するための所有権移転の登記をする際にかかる税金のことです。計算式はシンプルで、相続登記の場合は固定資産税評価額の0.4%が登録免許税となります。たとえば固定資産税評価額が1,000万円だった場合、4万円が登録免許税ということです。
売買による所有権の移転の場合には固定資産税評価額の1.5%、生前投与の場合には2.0%もの登録免許税を取られることになりますから、相続登記の場合は軽減されていると考えるべきでしょう。それでも、相続税とともにかかる重要な税金であることもまた確かです。故人から土地を相続するときには登録免許税の支払いも必要になることを頭に入れておくことをおすすめします。
相続にかかる税金をすべて考慮したうえで、実際に相続できる財産がいくらくらいになるのかを計算してみるといいでしょう。
土地の相続税を下げる方法は?
基本的な対策方法としては、先述した通り基礎控除額をきちんと活用することです。最低でも3,600万円の基礎控除が適用されることになりますから、活用しない手はないでしょう。
あとは、小規模宅地特例や相続税における特例を利用する方法があります。小規模宅地特例は評価額を減額するための措置であり、評価額が下がることで結果的に相続税を下げることも可能です。
相続税の特例に関しても、土地の広さと周辺状況による評価減によって相続税を減らしたり、配偶者の減額軽減特例によって引き下げや免除をしてもらったりできます。
相続税の対策に重点を置くのなら、資産価値のある土地を生前の段階で贈与するという手段もあります。この場合、亡くなっているわけではないので相続税は一切かかりませんが、代わりに贈与税が発生するので注意しましょう。
あとは、相続時精算課税制度の利用も有効的な手段です。60歳以上の父母、あるいは祖父母から成人している子供や孫に対して財産の贈与をした際、2,500万円の限度額になるまで複数回に渡って控除できる制度になります。
相続時精算課税制度の最大の特徴は何と言っても、相続が起きたときに非課税にした贈与税を精算して課税するという部分です。生前に財産を贈与する予定があるのならこの制度を活用するという手段もあるでしょう。
土地を相続するなら税金対策が不可欠!
これから土地を相続しようと考えている、あるいは相続する予定があるのなら考えなければならないのは相続税の問題です。
時価が定まっていない土地を相続できるだけでも税金面で有利にはたらく場合はありますが、それだけではなくほかの対策もすべきだと言えます。基礎控除や特例などによる恩恵を駆使し、少しでも相続税を減らすことができるような工夫が求められるでしょう。
税金対策としては実にさまざまな方法がありますから、相続する財産を少しでも大きなものにするためにも紹介した対策方法の実行を検討してみてください。