マンションを売却するなら、当然できるだけ金額を高くしたいと考える人が多いでしょう。マンションの金額は「査定」を経たうえで買主との「交渉」で決まります。ここでは、売主がマンション売却で得をするために気をつけたい、査定のコツや注意点を紹介していきます。

査定の金額はどうすると上がる?

マンション売却において、金額を決めるプロセスが「査定」です。

査定は、国土交通省のデータベースなどを利用すれば、売主自身の力でも行えます。ただし、データベースで確認できる地価や物件価格はあくまで「目安」であるため、正確な価格を調べられるわけではありません。また、査定には細かいチェックポイントがたくさんあるので、素人の知識では失敗する恐れが高いといえます。

マンション査定は、仲介業者に依頼するのが賢明でしょう。査定において重要視されるのは「築年数」や「交通の便」、「マンションそのものの人気」などの要素です。これらは売主個人の力で変えられるものではないため、価格は相場に委ねるしかないでしょう。

査定の金額をあげたいなら?

一方、査定までの努力で物件の価値を高められるポイントもあります。査定の段取りが決まったら「修繕」と「清掃」に力を入れるのがおすすめです。そもそも、不動産売却には「瑕疵担保責任」があるため、引渡しまでに瑕疵や設備を修繕する義務が生じます。そして、査定までに修繕が完了していると、そのぶん物件の査定価格が良くなる傾向が見られます。査定価格が高くなれば、売却価格を高く設定しても買主にしっかりと根拠を提示できるので、売主の利益アップにつながるでしょう。

なお、文字情報だけで行う簡易査定よりも訪問査定のほうがより結果は正確です。

【マンションを高い価格で売却する6つの方法】

買主との交渉を有利に運ぶ

マンションを高く売りたいのに、なかなか希望が通らない原因の1つが、「買主との交渉」を挟むことです。とはいえ、買主からすれば自分の家を決めるわけなので、交渉は避けて通れません。交渉を拒絶すると買主を逃がしてしまう確率が高まります。そこで、「交渉をしない」のではなく、「交渉を有利に運ぶ」方法を考えましょう。

まず、「買主には下手に出る」ように注意します。

不動産売買において、買主と売主の立場は対等です。本来なら、売主が買主を敬いすぎる必要はありません。しかし、どんな人でも丁寧な対応をされるとうれしいものです。売買で起こりえるトラブルを考慮すれば、「やや安くても売主が横柄」なマンションより、「やや高くても売主が親切」なマンションを購入したいと願う買主は多いでしょう。買主を「お客さま」として扱う意識は重要です。

次に、「内覧」では買主の都合を優先してスケジュールを組みましょう。購入希望の物件を買主が下見に来る「内覧」は、売主にとって大きな負担になりがちです。そのため、つい自分の予定に合わせて内覧日を指定する売主も少なくありません。しかし、売主の希望を押し出しすぎて内覧がふいになってしまうと元も子もなくなります。

買主にじっくり物件を見てもらうためにも、売主が買主に合わせることが肝心です。

売主が買主に合わせることで交渉が有利に運ぶ!?

値下げ交渉のやりすごし方とは

買主との交渉で最も金額に関係するのが「値下げ交渉」です。売主は「値下げ交渉」には原則として応じるようにしましょう。もちろん、買主の要求をすべて受け入れると売主の利益になりません。そこで、最初から「値下げ交渉を前提とした金額」でマンションを市場に出しておくのです。

買主は値下げ交渉に成功して気持ちよく購入できますし、売主は損失を出さずにマンションを売却できます。最初から値下げの余地を残しておくと、双方にとってメリットのある取引が実現します。ただし、値下げ交渉は買主との間にのみ発生するとは限りません。

仲介業者から「このままでは売れないので値下げしませんか」と提案されるケースもありえます。そんなときは、仲介業者の言葉がどれだけ真実味があるのか確認しましょう。なぜなら、早くマンションを売ってしまって利益を手にしたいだけの業者もいるからです。仲介業は基本的に成功報酬であるため、契約期間内に買主が見つからないと業者にはまったく利益が発生しません。そこで、業者はさまざまな手口を使って「他の業者と契約される前に売主から手数料を取る」ことを考えます。値下げも、そうした手口の一環です。

本当に売主のためを思ってのアドバイスであれば、値下げにも耳を傾ける価値があります。しかし、業者の都合だけを考えての提案なら、売主の意志をしっかりと伝えて希望価格を押し通しましょう。

仲介業者との契約内容は要注意

仲介業者との契約形態でも売主の利益率はまったく変わってきます。

たとえば、「専属専任媒介契約」を持ちかけられたときは、メリットとデメリットを分析してから応じるべきです。専属専任媒介契約を結ぶと、業者は優先的に買主を探してくれます。売却までの期間が短くなり、スムーズに物件を引渡せるのが大きなメリットです。

ところが、専属専任媒介契約では、売主が自分で見つけてきた買主相手も業者を通さなくてはいけません。つまり、どんな方法でマンションを売る場合だろうと、契約期間内であれば仲介手数料が発生するのです。

仲介業者との契約形態でも売主の利益率も違ってくる

もしも、売主に「自力で買主を見つけられる可能性がある」のなら、専任媒介契約か一般媒介契約を結ぶようにしましょう。また、仲介手数料についても正しい知識がないと悪徳業者の言いなりになって余計な金額を払ってしまいかねません。仲介手数料は売却価格ごとに上限が決められています。

仮に、400万円以上の物件が売れたとすれば、「売却価格×3パーセント+6万円×消費税」が手数料の上限です。しかし、悪徳業者は「手数料はあくまで最低ラインです」「手数料に加えて費用がかかります」などのルール違反を説明して、より多くの金額を要求してきます

少しでも業者が怪しいと思ったら、契約書を取り交わす前に、弁護士に聞くなどして真偽を確かめるようにしましょう。

マンションを売却すると確定申告で損する?

マンションのように大きな取引を行うと、「確定申告で多額の税金を払わなければいけないのではないか」と焦る人もいるでしょう。

収入に応じて税金は増えるため、確かに確定申告が大変になるのは事実です。しかし、基本的に税金は「収入を超えて払わされる」ことがないので、大金が手に入ったからといって赤字になるようなことはありません。確定申告で損をしたという意見も出回っていますが、ほとんどは「確定申告の試算に失敗していた」「確定申告を想定せずに支出を行っていた」などの理由に基づいています。確定申告を期限内に正しく行い、税金が払えるだけの貯蓄をしておいたなら、問題なく乗り切れるでしょう。確定申告は、取引があった翌年の2月から3月の間に行います。

正式な手順に基づいた確定申告は損しないことがほとんど

マンション売却において用意するべき書類

  • 除票住民票」
  • 「現在の住民票」
  • 「譲渡資産の登記事項証明書」
  • 「譲渡所得計算明細書」
  • 「住宅借入金残高証明書」

などです。これらの書類を確定申告書に添付して、役所にて手続きを行うと税金が算出されます。確定申告に不安がある人は、役所の担当者に相談すると丁寧に教えてくれるでしょう。また、税理士などのエキスパートを雇って手続きを進めてもらうのも賢明な方法です。

正式な手順に基づいた確定申告は売主の「損失」にはならないので、慎重に必要書類を集めて申告時期を待ちましょう。

売主の努力次第で利益は変わる

マンション売却の成功は「売主の努力」によって決まります。優良な仲介業者を選んだり、買主に丁寧な対応を続けたりすると、同じ物件でも金額が変わってきます。

小さな努力を積み重ねて、できるだけ希望価格に近づけられるようにしましょう。