売却をスムーズに成立させる方法の1つに「売却の対象となるものの印象を良くする」という方法があります。その売却の対象がマンションである場合、売却前に部屋をきれいにすることが印象を良くする手段ですが、専門の業者に頼むとお金がかかります。そこまでしてマンションのクリーニングは必要なのでしょうか。今回は、売却前におけるマンションのハウスクリーニングについて説明します。

ハウスクリーニングが必要な理由、それは売却に時間がかかってしまうから

マンションの売却の際、ハウスクリーニングをするかどうか躊躇してしまう人も一部にはいます。

その理由が「お金をかけてまでやることなのか」ということです。いくらきれいにしても、売却においては特に影響もなく無駄な出費なのではないかという意見もあります。しかし、ハウスクリーニングは売却時において重要な作業なのです。なぜ必要なのかというと、マンションをきれいにしないと売却に時間がかかってしまうからです。当たり前の話ですが、誰でも汚い部屋よりきれいな部屋に住みたいものです。

そのため、これから自分が住もうとしているマンションが汚い場合は、誰も住まいの候補には入れることはないでしょう。

そして、マンションの買い手がずっと決まらなかった場合、その対策として売却価格を下げることになります。この場合、簡単に当初の値段より10万単位で値段を下げるケースが少なくありません。また、売却が成立しないとそのマンションは売却希望者がまだ所有しているということになので、維持費や固定資産税がかかります。

その結果、ハウスクリーニングにかかる費用と、下がった価格・維持費を比べた場合、明らかに後者のほうにお金を費やすことになります。よって、ハウスクリーニングを実行すれば売却も早く成立し、維持費などを余計に支払う必要がなく、経済的にもお得なのです。

マンションが汚いと値引き交渉をされる

マンションが汚いと値引き交渉の材料に。。。

マンションのハウスクリーニングを怠って汚いままで売却をすると、値引き交渉の材料にされてしまいます。

売却希望者がハウスクリーニングを怠る、あるいはクリーニング業者に頼むのがもったいないからと自分で掃除をした場合、いくらきれいにしたつもりでも買い手側はそう簡単にきれいなマンションと判断してくれません。買い手がイメージするのは、あくまで新築のモデルルームなので、汚く、そして前の居住者の生活感が残っているマンションにはどうしても住みたくないと判断します。

特に、浴室やキッチンは、いくらきれいにしてもプロの業者以外の手による掃除では、きれいにすることは難しい場所です。そのため、買い手は「思ったより汚れている」と、いろいろと注文をつけて最初に設定した売却価格よりも安い価格での値引き交渉を要求し、最終的には当初よりも数十万円の値引きで売却成立というケースもあります。

よって、ハウスクリーニングにかかる料金数万円を出すことに躊躇した結果、その何倍もの値引きを受けることになるのです。その値引き交渉を事前に防ぐためには、ハウスクリーニングは必要な作業です。

ハウスクリーニングをしないと売れ残ってしまう

売却前にハウスクリーニングをしないと、売れ残ってしまうという結果も生むことになります。

国土交通省が2013年に行った調査では、過去5年間に住み替えた人で「前の家をそのまま所有している」という人が32.6%にも上り、その5年前の3倍以上に増加しています。そして、総務省統計局の調べでは、2013年の空き家率が13.5%という高い数字が出ており、不動産に関する需要と供給に対して供給が多すぎるという結果が出ているのです。そのため、売却に出してもすぐに買い手を見つけるのは難しいといえるでしょう。このような市場であるため、ハウスクリーニングをして、売却時に印象を良くすることは必要なのです。

そして、売却を開始してから買い手が見つからず半年以上が経過すると、その物件は「売れ残り物件」とみなされます。そのような扱いとなった場合、長いこと売りに出ているということは、何かしら欠陥がある物件ではないのかと見られる、あるいは数百万円単位での値引きを持ちかけられるなどのデメリットが生じます。

売れ残り物件扱いされることを回避するためには、事前にハウスクリーニングをすることが大切です。

浴室、キッチンなどはハウスクリーニングの業者に頼もう!

マンションを売却に出した際、そのマンションの購入希望者が注目する場所は、浴室、トイレ、洗面所、キッチン、レンジフードです。これらの場所がきれいであるかどうかによってその居住空間の印象は変わり、特にキッチンは食べ物を扱う場所なので何よりも清潔感が求められます。そして、これらの場所は普段どんなにまめに掃除をしても、長年にわたってこびりついた汚れが付着してきれいにしづらい場所なのです。そのため、自分で掃除をするのはなく、プロの専門業者にハウスクリーニングの依頼をする必要があります。

水周りの頑固な汚れはプロにお願いするのが賢明

ハウスクリーニングの業者は、一般人が使用しない業務用の道具や洗剤を使用したクリーニングを行うので、浴室のカビやトイレの変色、キッチンやレンジフードの油汚れなど、自分で掃除をしたら手間がかかる場所を新築の部屋のようにきれいにしてくれます。

また、売却前に大事なのは、一度ハウスクリーニングの業者に依頼をして安心してはいけないということです。売却が成立するまでに何度か購入希望者がマンションを訪れるので、希望者が訪れるたびにハウスクリーニングを頼む必要はありませんが、部屋が汚れていないか自分でチェックすることも大事な作業です。

自分できれいにできる場所はきれいにしよう!

先述した浴室、キッチンなどは、普通に洗っても取れないカビなどを取り除くためにハウスクリーニングが必要ですが、自分で掃除ができて手間のかからない場所は自分で掃除するようにしましょう。

窓ガラスやサッシがキレイだと好印象

きれいにして良い印象を与える場所といえば、窓ガラス、窓サッシです。市販されているクリーナーでピカピカにするだけで印象が変わります。また、外の光をしっかりと取り込み、日当たりの良い印象を与えるために、窓付近には家具などを置かないほうがいいでしょう。玄関まわりは、靴や傘などを収納して広い印象を持たせるほうがいいです。ほこりなどがないように、掃き掃除をしておくことも大事です。リビングや寝室、子ども部屋などにある家具は、新居に持って行かずに処分するものは、早めに処分することによって部屋を広く見せられます。

もちろん、どの部屋も掃除機でしっかりと掃除をすることも重要です。エアコンは、起動したときに嫌な臭いがしないよう、消臭剤を使って臭いを消しておくことも大事です。エアコンの掃除が苦手な人は、ハウスクリーニングの際に掃除をお願いする手もあります。

ハウスクリーニング、相場はいくら?

マンションのハウスクリーニングを頼む際、住まい全体を頼むとき、クリーニングしてほしい部分だけを頼む場合とでは、料金は異なります。また、売却希望者がまだ居住している場合と、引っ越して空き家となった場合でも、クリーニングの料金に違いがあるのがハウスクリーニングの特徴です。

ハウスクリーニングの相場

居住中のマンショの場合
1~2LDKが4万円~7万5,000円
3~4LDKは7万~12万円
5LDK以上は10万円以上
マンションが空き家の場合
1~2LDKが2万7,000円~7万円
3~4LDKが5万3,000円~8万5,000円
5LDK以上が6万5,000円以上
マンションの部分別の料金
浴室、レンジフード、換気扇、キッチンのシンク周辺が1万6,000円以上
トイレ、洗面所が1万円
エアコンが1万2,000円〜1万8,000円

が相場となっています。

ハウスクリーニング業者はその業者によって得意分野があるので、マンションのどこを重点的にきれいにしたいかチェックをして、業者を選んで依頼するようにしましょう。

購入者のことを思ってハウスクリーニングを!

以上のように、クリーニングを怠ると売却の際に数々のデメリットが生じ、結果的に金銭面で損をすることになります。

早く買い手が見つかるために、そして買い手に気持ちよく使ってもらうために、お金を出すことを躊躇せずハウスクリーニングをして、マンションを新築同様ピカピカにすることが早期売却の近道となります。