マンションを売却するには買主と売買契約を結ぶ必要があります。「契約」というとかしこまった難しい印象を持つ人もいるかもしれません。しかし、一般的な知識を持っているだけでかなり分かりやすくなります。そこで、今回はマンション売買を考えている人を対象に、マンション売買契約の一般知識を解説します。

解除はNG?マンション売買契約とは?

媒介契約の解除はあり?

マンションなどの不動産を売り買いするには、法律に規定された形式で売買契約を結びます。マンションはその売買金額の大きさや建物という性質から契約を簡単に解除することはできません。普通の買い物であれば、洋服を買ってサイズが合わなかったから交換することも可能です。しかし、1部屋が何千万もするマンションを売買するためには、それ相応の手続きを踏むことになります。

これは、売主と買主がお互い売買契約を守って、有意義な取引ができるようにするためのものです。双方が綿密なやり取りをして、規定された手続きを進めることで初めて売買が成立します。したがって、マンションの売買契約をする場合は慎重に決めましょう。

マンション売買契約で気をつけることとは?

マンションの売買契約で気を付けるべきことはたくさんあります。まず、売主が提供するチラシや資料に物件情報が細かく載っているかどうかです。

情報が正しく載っているか

物件情報とは、売主がどのような物件なのか情報を開示し、購入者にアピールするためのものです。この情報が詳細に記載されていれば、売り主も積極的に物件を売却しようと考えていると判断できます。そして、「駅が近い」「立地が良い」など魅力的な物件ほど買主が見つけやすく売却価格も高くなります。そういった情報がきちんと記載されているか確認しましょう。

契約書の数字の確認

契約書の数字

次に、契約するという段階で注意したいこといくつかあります。まず、契約書の数字ミスはないかを確認しましょう。手付金の支払金額と支払日、売買契約の金額や支払日などに間違いがないか必ずチェックしてください。ここを間違うと後から大きな問題に発展しかねません。そして、契約解除の取り決めについてもしっかりと決めておきましょう。

マンションの売買契約は一度契約すると簡単に解約はできませんが、場合によっては解約せざるを得ないこともあります。買主のローンが下りなかった場合や天災など買主と売り主どちらの過失か、責任はどちらが持つのかを事前に決めておきましょう。そうすれば、売主と買主双方の不利益は最低限に抑えられます。
また、不動産の売買契約で重要なのが瑕疵担保責任の問題です。

瑕疵担保責任

瑕疵担保責任とは、売買したものに一定の瑕疵(使用用途に支障をきたすもの)があった場合に契約解除や原状復帰の責任を売主が期限付きで持つことをいいます。マンション売買における瑕疵とは建物の構造上主要部分(柱やはり)の腐食や給水管、排水管の故障、水漏れなどです。さらに、一般的に心理的・精神的に影響を与えると考えられる事実(自殺や殺人の現場)も瑕疵にあたります。

こういった事実や事情を売主が知らないもしくは隠匿していた場合、買主は契約の解除または損害賠償を請求することができます。瑕疵担保責任は契約から2年間が一般的な期間です。もし、期限を決めておかなかったら、何年経っても売主が売却した建物の瑕疵担保責任を負ってしまいます。自分が売主となる場合は瑕疵担保責任の期限に注意しておきましょう。

住宅ローン査定を通過すること

一方、自分が買主の場合にも気を付けておきたいことがあります。それは、住宅ローンが通るかどうかです。住宅ローンが通らなければマンションを購入できず、ローン特約を使って契約を解除しなければなりません。ローン審査には勤務先や給与のほか、本人の健康状態もチェック項目です。したがって、普段から健康的な生活を心がけておきましょう。

契約に関して必要な書類をチェック

契約に関して必要な書類は?

マンションの売買契約には、「重要事項確認書」や「売買契約書」、「物件状況確認書」、「仲介手数料支払い約定書」などが必要になります。この中で一番重要なのは「重要事項確認書」と「売買契約書」です。

重要事項確認書とは物件の詳細な情報と売買契約の条件について記載されている書類です。物件の面積や抵当権の有無、仮登記の状態になっていないかなど確認する項目はたくさんあります。特に、中古マンションの場合は、売主がきちんと管理費や修繕積立金を納めているかをチェックしておきましょう。もし、滞納が見られる場合は今後どういった対応をするのかを明確に決めておきます。

また、売買契約書を見るときは、売買金額や手付金の扱いに気をつけましょう。特に、手付金は何らかの理由で契約を解除するときに必要になります。買主が解除する場合は手付金を放棄し、売主から解除する場合は手付の倍返しの金額を相手に支払うのが一般的です。売主が建物を引き渡さなかったり、買主が代金の支払いを行わなかったりするなどの契約違反がある場合には、違約金を請求できることもあります。
違約金は売買代金の2割が一般的な相場です。

こういった取り決めを事前に契約者双方できちんと認識しておくと、後々トラブルとなっても解決が早くなります。そして、物件状況確認書や仲介手数料支払い約定書にも目を通しておきましょう。

物件情報確認書

物件情報確認書は、中古物件の売買で渡される書類で、過去の出来事から現在の状況まで物件に関する現状を確認できます。過去に雨漏りがなかったか、設備の老朽化が進んでいないかなどをチェックしておきましょう。

仲介手数料支払い約定書

次に、仲介手数料支払い約定書(やくじょうしょ)です。マンションの売買となると、不動産会社を介した場合、手数料も非常に高額となります。金額に間違いがないか、支払い期限はいつかなどをきちんと確認しておきましょう。そして最後、不動産権利証は2005年の新不動産登記法施行以前の物件に必要な書類です。不動産所有権の移転登記を証明する書類になるので、2005年よりも前に取得した物件については準備しておきましょう。

購入希望者が内覧時にしておきたいこと

内覧する際にチェックすることなどは?

物件を選ぶときに重要なポイントとなるのが内覧です。内覧することによって書類だけでは見えてこなかった部分が見えてくるようになります。ただし、漠然と雰囲気だけを見ても物件の詳しいことは分かりません。内覧をするときには、質問事項やチェックする項目をあらかじめメモしておきましょう。

物件に入ったらまず確認したいのが、キッチンやお風呂、空調などの設備周りです。

キッチンやお風呂、空調などの設備周り

シンクの広さは十分か、水回りの排水やエアコンの機種などをチェックしましょう。設備周りをチェックする際は許可をもらってから、実際に水を出したりエアコンを入れてみます。自分が想定していた動きをするかどうかも確認しておくべきです。また、可能であれば部屋の中の写真を撮らせてもらいましょう。写真があれば、家に帰ってからの家族との相談材料にもなります。

また、メジャーを持ち込んで部屋の間取りやスペースの採寸をしていれば、具体的なイメージも付きやすくなるでしょう。内覧時には、部屋の中だけでなくそのマンションに「どんな層の人が住んでいるか」「管理は行き届いているか」などマンション全体もチェックポイントです。マンション全体の雰囲気が思っていたのと違うという場合もあります。

内覧時のポイントは遠慮せずに「聞きたいことはすべて聞く」ことです。購入後に不安材料を残さないようにすべての疑問点を解決しておきましょう。

まとめ

中古マンションは新築に比べて値段が安くなります。中古マンションといえども、築年数やリフォームの有無で見た目はかなり変わってきます。また、新築マンションよりも資産価値の下落幅が少ないことも特徴です。こういった点が中古マンションを不動産資産として所有する魅力といえるでしょう。

さらに、中古マンションは物件数も多いので物件選択の幅も広がります。物件を買うときにも売るときにも選択できる物件が多いに越したことはありません。多くの物件の中から自分にとって最適な物件を選び、売買を行いましょう。