使わない土地を放置していると、荒れたり不法投棄されたりとトラブルの元になってしまいます。定期的にメンテナンスしようにも、時間や費用がかかってしまいますよね。使わない土地を抱えている人に朗報なのが、土地を貸して借地料を得るという方法です。土地を手放さずに収入を得られるため、一度検討してみてはいかがでしょうか。  

投資が不要!土地を貸して「借地料」収入を得るのはアリ?

土地を活用する場合にはいくつかの方法があります。大きく分けると自分で運用する・共同で運用する・売る・貸すという方法です。

土地を自分で運用して収入を得たいならば、マンションやアパートなどの共同住宅、太陽光発電、駐車場などを作ることが一般的です。立地エリアや自己資金に応じて上手に運用すれば、大きな収益をあげられることがありますが、場合によっては損をしてしまう可能性もあります。土地を共同で運用する場合は土地信託などの方法が選ばれます。

土地信託

土地信託は銀行など運用のプロに土地を任せ、一部の利益を受け取る方法です。シンプルなのは土地を売って即金を手にするという選択肢で、仲介業者を経由する、購入希望者と直接交渉するという2つのルートがあります。土地の運用は大変だけど手放したくないという人は土地を貸す、すなわち借地をして「借地料」を得る方法を検討してみましょう。

土地を貸すメリットは、土地を手放すことなく定期的な収入を得られる点です。毎月支払われる土地レンタル料としての借地料や、契約更新にあたって支払われる更新料などが主な収入です。土地保有のコストである固定資産税・都市計画税を収入が上回ることも多く、経済的メリットが見込まれます。  

契約期間中は土地を自由にできなくなるのはマイナス

メリット

土地を貸すメリットには、経済的メリットの他に管理の手間が省けるという点もあります。土地を貸す場合、借主が土地の管理をしてくれることが一般的です。放置された土地は雑草が生えたり不法投棄されてしまったりと、荒れてしまうリスクがあります。

遠方の土地であれば管理業務を業者に委託せざるを得ないケースもあります。しかし、土地を貸すと管理を借主に任せられるため、管理の手間や委託料を削減することができます。一方で土地を貸すにあたってはデメリットも発生します。

デメリット

主なデメリットは「借地借家法」による制限です。

借地借家法では、契約期間中は土地を自由に使えないなど貸主側の土地利用が大きく制限されています。土地を貸す契約期間は10年、50年と長期にわたるため、長期間にわたって貸主は土地を活用できなくなります。

そのため、たとえば相続によって土地の所有者が代わる場合「相続税対策のため土地を売却したいのに、土地を貸しているためかなわない」というケースが生じます。土地を貸す際には、事前に長期的な土地利用計画を立て親族と共有しておくとよいでしょう。また、複数の土地を貸している場合、相続税がかさみ損失が多くなってしまうというケースもあります。

土地を貸すことを検討するならば、メリットとデメリットを整理したうえで、長期的な土地利用計画を見通しながら考えることが大切です。

貸した土地に借主が建物を建てるケース

借主がどのように土地を使用するかによっても、借地のメリットデメリットは異なります。大きく分けると「借主が建物を建てるケース」と「借主が建物を建てないケース」です。借主が建物を建てる場合、建物の用途によって契約期間や借地料が変わってきます。

戸建て

戸建であれば、50年など長い期間住み続けることが見込まれます。そのため、長期にわたって安定的に借地料が得られます。また、駅から遠いなど立地的なハンデがあっても借主が見つかることがあります。 ただし、戸建ては商業利益が発生しない建物であるため、借地料は低めになる傾向がある点に注意しましょう。

店舗やオフィス

店舗やオフィスなど商業用の建物であれば、商業利益をふまえて借地料を設定できるため、戸建てより高めの借地料を得られることが多いです。ただし、好立地でないと借主が見つからなかったり、借主が見つかってもすぐ退去されたりしてしまう可能性があります。また、契約期間中に値下げを持ちかけられることもあるでしょう。

このように、建物が居住用か商業用かによってメリットとデメリットが異なります。契約にあたっては、借主がどのような用途を想定しているかを確認しておくことがおすすめです。借主が建物を建てるならば、さらに確認しておきたいのが行政上の土地利用制限と借地権についてです。土地の立地によっては、住宅もしくは商業施設しか建てられないという制限があります。

また、土地に建物を建てるという契約を交わした場合、借地権が生じます。借地権は最低30年土地利用を認めるという契約で、契約期間中は土地の利用権を返してもらえません。近々相続の予定があるなど、30年間安定的に貸し出せない可能性があれば、無理に契約しないようにしましょう。  

貸した土地に借主が建物を建てないケース

使わない土地に太陽光発電や駐車場

貸主が建物を建てない場合、太陽光発電や駐車場、資材置き場などが作られることが一般的です。住宅や商業施設より立地にこだわる必要が少ないため、さまざまな条件の土地を活用できるというメリットがあります。また、建物を建てないため投資のリスクが少なく、比較的簡単に借主が見つかる可能性があります。

建物を建てると基本的に数十年間という長期間の契約になりますが、建物がなければ短期間での契約も可能です。そのため、近々相続の予定があるが、現在土地を活用せず放置しておくのはもったいないという場合におすすめの方法です。ただし、建物がないとはいえ借主に無理な退去を命じることはできないため、親族と事前に話し合い了承をとっておくことが大切です。

借地料は、建物を建てるパターンよりは低めの相場になります。土地に太陽光発電や駐車場などを作るという点では土地信託に似ていますが、土地信託と借地とでは収入の入り方が異なります。土地信託の場合は収益に応じて貸主の取り分も変わってきますが、土地を貸すだけであれば借地料は一定です。そのため借地では安定的な収入が見込めますが、借主が大きな利益をあげても、必ずしも貸主に還元されるわけではありません。  

借地料の相場を知る方法

借地料を設定する際には、相場を知っておくことが大切です。相場より低く設定すると貸主の損失になってしまい、相場より高いと借主が見つからない、値下げ交渉をされるなどのトラブルが見込まれるためです。借地料は立地や土地利用方法によって異なります。

たとえば交通の便が悪い地方の土地より、便利な都市部の土地のほうが高い借地料を設定できます。すでに解説したとおり、土地に建物を建てるかどうかによっても借地料は変動します。借地料の相場を知るためには、まず借地料の構成を理解しましょう。

借地料

借地料は「固定資産税などの税金+必要経費を含めた貸主の報酬」からなります。したがって、固定資産税を調べることが、相場を理解するために重要です。そのためには、市役所で手続きして「固定資産税評価証明書」を受け取りましょう。固定資産税評価証明書に書かれている金額の2倍から4倍程度が、借地料の最低基準といわれています。

そのほかに、国税局から公表されている路線価をもとに借地料の相場を算出する方法もあります。路線価は時価の80%程度に設定されているため、公表されている価格を0.8で割り戻すと更地のだいたいの価格を算出できます。そこに期待できる利回りを乗じ、さらに必要経費を足すことで相場が分かるでしょう。    

まとめ

土地活用の方法にはいくつかありますが、土地を貸すという方法のメリットは、土地を手放さずに安定的な収入が得られる点です。

ただし、貸主が建物を建てるかどうか、建てるならば住宅か商業施設かによってメリットとデメリットが異なります。契約によっては長期間貸主が土地を利用できなくなるため、貸し出す際には親族も含めてよく相談することが大切です。土地の立地や行政上の利用規制、相続の予定などを加味しながら、最適な活用方法を選んでいきましょう。