この記事で分かること
・不動産評価額は5つの種類があるということについて
・それぞれの評価額の計算方法について
・納税・相続時に活用できる節税方法について

不動産の売却を考えたことがある方や、固定資産税の通知を受け取ったことがある方なら、「評価額」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?

不動産の評価額とは「その不動産の価値を客観的に示した価格」のことです。

この不動産評価額を知っておくことで、

・所有している不動産がいくらで売れるのかの目安
・不動産にかかる固定資産税がいくらか知りたい

などさまざまな場面で役立ちます。

この記事では、不動産評価額の5つの種類と、それぞれどのように調べるのかについてわかりやすく解説します。

これから不動産売却や相続を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

不動産における評価額とは? 

不動産における評価額のイメージ画像

不動産の評価額とは、総務大臣が定める「固定資産評価基準」に基づいて算出された、土地や建物などの固定資産の価格のことです。

この評価額は、不動産の価値を客観的に示す価格として扱われ、主に以下のようなシーンで活用されます。

・固定資産税の計算
・不動産の売却や購入の判断
・相続・贈与の際の資産評価

また、自宅や所有する土地・建物の評価額を把握しておくことで、将来の資産運用や税金対策に役立ちます。

【評価額は3年ごとに見直される】
土地や建物の評価額は、原則として3年に一度「評価替え」という見直しが行われます。

これにより、市場の変化や地域の実情が反映される仕組みになっているのです。

不動産評価額には、用途や評価によって下記の異なる5つの種類があります。

・公示地価 
・基準地価
・実勢価格
・路線価
・固定資産税評価額

 

公示地価

基準地価

路線価

固定資産税評価額

調査機関

国土交通省

都道府県

相続税路線価:国税庁
固定資産税路線価:各市町村

自治体

評価時期

毎年1月1日時点

毎年7月1日時点

毎年1月1日時点

発表時期

毎年3月下旬

毎年9月下旬

毎年7月1日

公示地価  

公示地価とは、国土交通省が毎年公表している土地の価格のことです。

これは、日本全国の標準地について、「1㎡あたりの正常な価格」を示したもので、不動産取り引きや土地評価の重要な指標とされています。

毎年1月1日時点の地価を基準として、2人以上の不動産鑑定士が専門的な評価を行い、その結果が毎年3月頃に公表されます。

このようにして、算出された公示地価は、市場における土地取引価格の適正化を図るための基準として多方面で活用されています。

公示地価は、以下のようなケースで重要な規準となります。

・不動産鑑定
・公共事業用地の取得価格算定
・土地の相続税評価
・固定資産税の評価

基準地価 

基準地価とは、各都道府県が公表する7月1日時点での「基準値1㎡あたりの土地価格」のことです。

公示地価は国土交通省が3月に公表するものですが、基準地価は都道府県が主体となり、毎年9月に発表されます。

最大の違いは、「都市計画区域外※」の土地も評価に含まれる点です。

これは、公示地価では評価されない地域の価格を補完する役割も担っています。

公示地価と基準地価では、同じ土地が評価対象になる場合もあります。

そのため1月(公示地価)と7月(基準地価)という年2回の評価が行われることになり、地価の変動をより早期に把握することが可能になります。

【※都市計画区域外とは?】
・都市計画法に基づいて、都道府県が指定する区域のこと。
・現時点で都市としての整備や開発が計画されていない地域のことを指す。
・一般的に、都市計画区域に居住している人が多いが、都市計画区域外であっても住むことは可能。

実勢価格 

実勢価格とは、実際に不動産が市場で取引された価格のことを指します。

これは、公示地価や基準地価といった国や都道府県が算出した公式な価格とは異なり、リアルな市場の動きを反映する指標です。

不動産価格は、景気の動きや需要・供給のバランスによって常に変動しています。

そのため、実勢価格は過去の売買データをもとにしており、必ずしも「現在もその価格で売れる・買える」とは限らないことを理解しておく必要があります。

あくまでも、一つの目安として活用するようにしましょう。

路線価 

路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」があります。

【相続税路線価】
相続税・贈与税の根拠となる相続税評価額を算出する為のもので、国税庁が発表する。

公的な不動産価格である「公示地価」を基準に算出されており、一般的に公示価格の約80%程度の水準に設定されています。

これは、課税目的で用いられるため、実勢価格や公示価格よりもやや低めに設定されているのが特徴です。

【固定資産税路線価】
固定資産税の根拠となる「固定資産評価額」を算出する為のもので、各市町村が発表する。

固定資産税路線価は、公示価格の70%程度の価格とされています。

路線価が使われる主なシーン

・相続税や贈与税の評価額を算出する際
・不動産の相続に伴う財産分割の際
・税務上の資産評価における参考値として

固定資産税評価額 

固定資産税評価額とは、土地や建物に課税される固定資産税の計算基準となる価格です。

この評価額は、「固定資産税課税台帳」に記載されており、各自治体が土地・建物ごとに算定します。

固定資産税評価額は、総務省が定めた「固定資産評価基準」に基づいて、各市町村の担当部局が評価を行います。

評価はおおむね3年ごとに「評価替え」が実施され、市場価格や経済状況、建物の劣化状況などを踏まえて見直されます。

また、建物については経年劣化(老朽化)を考慮して減価されるため、新築時と比べて年数が経過するほど評価額は下がる傾向にあります。

なお、固定資産税評価額は以下の税金を計算する際にも用いられます。
・固定資産税
・都市計画税
・不動産取得税
・登録免許税

【固定資産税評価額が異なる主な要因】

評価額は、以下のような建物や土地の特徴によって変動します。

・建築コストによる違い
建築にかかる費用が高い構造の建物ほど、評価額も高くなる傾向があります。

例えば、木造住宅よりも鉄筋コンクリート造のマンションの方が評価額は高くなるケースが一般的です。

・設備や仕様の違い
同じ構造・面積の住宅であっても、トイレや浴室の数、グレード等によって評価額が異なる場合があります。

・築年数の影響
建物の築年数に応じて評価額は徐々に減価されていきます。

例えば、鉄筋コンクリート造の建物は築20年、木造住宅であれば築10年ほどで、評価額が約半分程度になるのが一般的です。

評価額はどうやって調べる? 

評価額はどのように調べるかのイメージ画像

これまでに各種評価額の内容についてご紹介してきましたが、実はそれぞれの評価額は自分で調べることも可能です。

ここからは、それぞれの評価額を自分で調べる方法について、詳しく解説していきます。

【不動産売却】相場を把握したいとき:実勢価格
【売買】土地の資産価値を把握したいとき:公示価格

公示価格を調べる方法 

公示価格は、国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」で調べる事が可能です。

【調べ方】
①「不動産情報ライブラリ」にアクセスする
②「地価の情報をご覧になりたい方」への「データの検索」をクリック
③「地域」「用途区分」「調査年」を入力し検察

売却する家に近い土地を検索することで、大体の評価額が分かります。

出典:国土交通省ウェブサイト

基準地価を調べる方法 

基準地価は各都道府県のホームページで調べることが可能です。

例えば、東京都の場合「東京都財務局」の「東京都基準地価格」※に掲載されています。

各都道府県によって、データの掲載方法は異なりますが、住宅地の平均変動率や商業地の変動率上位ランキングなど、色々なデータを見ることもできます。

引用:東京都財務局出典

実勢価格を調べる方法 

実勢価格は公示価格と同様に国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」を活用することで、過去の取引事例から簡単に確認することができます。

【調べ方】
①「不動産情報ライブラリ」へアクセス
②「不動産価格の情報をご覧になりたい方へ」をクリック
③「地域」「種類」「時期」などを入力し検索する

検索結果には、下記のような詳細情報が掲載されています。

・実際の取引価格
・坪単価
・土地や建物の面積
・建築年や構造などの条件

路線価を調べる方法 

【相続路線価】
①国税庁の「財産評価基準財産評価基準書路線価図・評価倍率表」をアクセス
②都道府県をクリック
③「路線価図」をクリック
④調べたい市区町村、町名をクリック
➄路線価図ページ番号から路線価を調べる

出典:国税庁ホームページ

【固定資産税路線価】
①一般財団法人資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」をアクセス
②掲載マップ一覧の「固定資産税路線価等」をクリック
③「郵便番号・住所」「地図」「住所一覧」などから検索が可能


固定資産税評価額を調べる方法 

固定資産税評価額を調べる方法には、下記の3つがあります。

・納税通知書による確認
・市区町村窓口での照会
・電子申請システムの活用

また、この固定資産税評価額にはいくつか適用できる節税対策があります。

【節税対策】
1. 住宅用地特例で評価額最大6分の1まで圧縮
2. バリアフリー改修で3年間の税額軽減を実現
3. 省エネ改修による評価額軽減の活用術
4. 耐震改修で最大2年間の税額を大幅カット
5. 土地分筆で評価額を最適化する
6. 用途変更で住宅用地特例を最大限活用

詳しい調べ方や節税対策については、下記の記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

納税・相続時に活用できる税金の節約ポイント

納税・相続時に活用できる税金の節約ポイントのイメージ画像

不動産を所有していると、毎年固定資産税を納める必要があります。

また、不動産を相続や贈与で取得した場合には、住続税や贈与税などの税金を支払う必要があります。

ここでは、これらの税金に対してできる節税対策についてご紹介していきます。
 

固定資産税は減税できるケースがある

固定資産税は、申告することで減額できる可能性があります。

例えば、土地の登記簿に記載された面積(地籍)が、実際の面積よりも大きい場合、過大な評価額に基づいて固定資産税を支払っているケースがあります。

これは、過去に行われた測量によって、登記上の面積が正確でないままになっていることが原因です。

固定資産税が高く感じるなど疑問がある場合は、「縦覧制度」を利用してみるのもおすすめです。

縦覧制度とは、不動産を所有している同一区内の土地や家屋の価格が記載された「縦覧帳簿」を閲覧できる制度です。

これにより、自分の不動産の価格と比較し、評価が適正かどうかを確認することができます。

固定資産税評価額の異議・申し立てを行いたい場合は、上記でご紹介した記事で手順を解説していますので、合わせてご確認くださいね。
 

相続税・贈与税には基礎控除がある

相続税および贈与税には基礎控除があり、支払う税金を抑えることが可能です。

相続税では基礎控除額として「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を差し引けるため、相続人が多いほど次の通りに控除額が大きくなります。

法定相続人の数

基礎控除額

1

3,600万円

2

4,200万円

3

4,800万円


一方、原則、60歳以上の父母などから、18歳以上の子どもや孫への贈与を対象とした「相続時精算課税の制度」をふくむ贈与税では、年110万円の基礎控除をうけられます。

婚姻関係が20年以上の夫婦間での不動産贈与は基礎控除に加え、最高2,000万円の配偶者控除がうけられる特例もあります。

参考元:国税庁ホームページ

不動産評価額でよくある疑問

不動産評価額でよくある質問のイメージ画像

ここからは、不動産評価額でよくある疑問についてご紹介します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。

【不動産評価額でよくある質問】

・不動産評価額は売却価格の目安となるのか
・固定資産税評価が高くなる住宅設備はなにか
 

不動産評価額は売却価格の目安となるのか

不動産評価額は税金の指標となる評価額であるため、売却価格の目安になります。

しかし、売却価格と不動産評価額に直接的に結びつくような、関係性はないと考えておきましょう。

売却価格は住宅市場の需要と供給のバランスで決まります。

例えば、引越しの多くなる時期には需要が高まるため、売却価格も変動しやすくなります。

また、早期に売りたい場合は、売り出し価格を低く設定するなどの工夫が必要になることもあるでしょう。

このようにさまざまな要因から売却価格は異なります。

不動産の売り出し価格を決めるのは不動産査定です。

売り出し価格と売却価格が異なる点も把握しておきましょう。
 

固定資産税評価が高くなる住宅設備はなにか

住宅に設置される設備の中には、固定資産税の課税対象となり、評価額を引き上げる要因となるものがあります。

以下は、評価額が加算されやすい代表的な住宅設備です。

  • ソーラーパネル
  • エコカラット
  • 外装タイル
  • 床暖房
  • 床の間 など

これらの設備は、「木造家屋再建築費評点基準表」に基づいて評価され、
家屋の構造の一部として認定される場合に限り、固定資産税の評価対象となります。

また、新築時やリフォーム時などで、「ウッドデッキの設置をしたいけれど固定資産税が高くなるのでは」と考える方もいますが、基本的にウッドデッキは課税対象とはなりません。

ただし、屋根付きで建物と一体化している構造などの場合は、課税の可能性があるので注意が必要です。

売却価格を把握するなら不動産査定がおすすめ

売却価格を把握するなら不動産査定がおすすめのイメージ画像

不動産の価値を客観的に示す「不動産評価額」は、固定資産税の計算や売買の判断材料として、さまざまな場面で活用されます。

例えば、不動産を売却する際には実勢価格を参考にし、固定資産税の金額を知りたい場合には納税通知書に記載された評価額を確認するなど、目的に応じて適切な評価額を使い分けることが重要です。

そして、より具体的な売却価格を知りたいときは、不動産会社に査定を依頼するのが効果的です。

ただし、査定額は業者ごとに差が出ることもあるため、複数の会社に依頼して比較検討することが大切です。

納得のいく売出価格を見つけると同時に、信頼できる担当者を見極める機会にもなります。

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