不動産売却の流れは?高く売るコツや不動産会社選びのポイントを解説

「相続で得た土地や建物が遠方で、継続的な維持管理が難しい」「子供が巣立ったので住み替えをしたい」といった場合、保有している不動産の売却を検討することになります。売主にとっては、思い入れのある実家や住み慣れた家を手放す以上、できるだけ高く売りたいのが本音でしょう。
しかし、不動産売買は一生に何度も行うものではなく、その道のプロを除いて経験豊富な人はそう多くありません。そのため、急に売却しようとしても、右も左もわからないことがほとんどです。後悔しない不動産売却を実現するには、事前にできるだけ知識をつけておくことと、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
ここでは、不動産売却を進める前に知っておきたい不動産売却の流れの他、高く売ったり高値でも納得して購入してもらったりするためのコツや、不動産会社選びのポイントを解説します。

より高く売るための不動産売却の流れとは?

不動産の売却は、書籍や洋服などと違って金額が大きいだけに、買主も気軽には決断しません。よほど条件の良い不動産か、買主の理想に合致した不動産である場合を除いて、売却の手続きを始めてすぐに買主がつくことはまれです。一般的には、3ヵ月から半年以上かかるといわれています。

より高く売れるように不動産売却を進めるには、「すぐには売れない」という前提のもとで計画を立て、必要なときに必要な措置をとれるようにしておくことが大切です。まずは、不動産売却を思い立ってから売買契約が成立するまでの流れを把握しておきましょう。

1 相場調査を行う

まずは、不動産市場の状況や周辺の不動産価格を調査し、保有する不動産のおおよその価格を算出することで、相場の売却額を把握することが必要です。相場を知らないまま売却を進めると、より高値で売るチャンスや早く売れるチャンスを逃してしまう可能性があります。

周辺の不動産価格を把握するには、新聞などの折り込みチラシや、インターネットの情報サイト、地元の不動産の店頭広告などの中から、自分の家の条件と近いものをチェックしましょう。
不動産の売却価格は、築年数や市場の状況、周辺の不動産相場、売却のタイミングによっても変わってくるため、定期的に確認することが大切です。

2 一括査定サイトを活用し、複数社の査定を受ける

市場の状況や周辺の相場から売却価格の目安がわかったら、次は一括査定サイトを利用して査定をしてみましょう。一括査定サイトを利用することで、複数の不動産会社からの査定結果を確認でき、それらを比較することができます。

3 売却希望金額を設定し、売却計画を立てる

一括査定サイトで出た売却金額と地域の相場とを照らし合わせ、不動産会社が提示している金額が妥当かどうかを確かめましょう。そのうえで、現実的な金額を再度予想し、売却希望金額として設定します。

併せて「いつまでに売りたいか」「売りたいのはなぜか」を考え、売却計画を立てましょう。

4 不動産業者に仲介を依頼する

売却計画をもとに、不動産会社に仲介を依頼します。どこに依頼していいかわからないときは、一括査定サイトで返信をくれた業者のうち、「親身になってくれる」「レスポンスが早い」「対応が丁寧」といった好印象の業者をいくつか選ぶようにしましょう。
不動産会社選びは重要なポイントであるため、できればアポイントをとって実際に会う機会を設け、対話をしたうえで信頼できる業者と仲介契約を結ぶことが大切です。

5 売却に向けた活動をスタートする

不動産会社と仲介契約を結んだら、不動産会社に情報の拡散を任せつつ、売主は売却成功に向けたさまざまな活動をスタートさせましょう。具体的には、家の整理整頓や断捨離、家具の配置、内覧を希望する人への対応などが挙げられます。

6 売買契約

購入を希望する人が現れたら、金額をはじめ諸条件を確認し、売買契約を結びます。契約は不動産会社が主導する形で進んでいきますが、売買契約書を取り交わした後は売主側にさまざまな責任が生じます。そのため、契約書締結の際には、契約書面に記載されている専門用語など、何かわからないことがあればすぐ不動産会社へ質問し、あいまいな部分が残らないようにしましょう。
なお、このとき、手付金として売却代金の5〜10%程度が買主から売主に支払われます。

7 決済・引渡し

決済が済んだら、不動産の引渡しを行います。
なお、引渡し後、売却した不動産に何らかの欠陥や契約内容との相違が見つかった場合、売主は契約不適合責任を負わなくてはなりません。
契約不適合とは、契約の目的物の種類や品質、数量などが契約内容に適合しないことです。例えば、床の素材が異なっていたり、ガスコンロの口数が異なっていたりするようなことが挙げられます。
また、買主が「契約時に想定していた不動産の内容と、その実態が大きく異なる」と判断した場合には契約解除を申し出ることもあるため、不動産の引渡しをする前には、売買契約の内容と異なることがないか、細かく調べておきましょう。

不動産を高く売るための3つのコツ

不動産をより高く売るためには、売主の事前準備が重要です。より高く売るために、売主自身で行うべきことを3つを紹介します。

相場を調べて把握しておく

相場を調べて把握しておくことは、不動産を高く売るためのコツの1つです。相場を把握することで、妥当な販売価格をつけることができます。

相場を把握するには、まず、売却したい不動産が所在するエリアの不動産相場の状況を確認しましょう。相場全体を知るには、国土交通省が公表している不動産価格指数が役立ちます。不動産価格指標とは、年間約30万件に及ぶ実際の取引価格情報をもとにしたデータのことで、「住宅」と「商業用不動産」の2種類が公表されています。これを見ると、売買価格が上がっているのか、それとも下がっているのか、全体の傾向を大まかにつかむことができます。

次に、地域ごとの相場を調べましょう。広告やウェブなどで公開されている地域の不動産を見ると、おおよその感覚をつかむことができます。このとき、自分が保有する不動産の価値を知っておくと、比較の精度をより高めることができます。例えば、戸建て物件の場合、築20年を超えると上物の価値はほぼゼロになるといわれています。売り出されている不動産から相場を推定するときは、保有する不動産の築年数に近く、大きさや交通の便などの立地条件も似ている不動産に絞って確認するのがおすすめです。

一般的には、相場が下がっているときはさらに価格が下がる前に売るべきで、上がっているときは様子を見てより高値で得るべきと考えますが、相場は必ずしも予想どおりに動くとは限りません。何らかの社会的背景が作用して急に下落する、急に上昇するといった可能性も十分にあるため、「売ると決めたときが売り時」ともいえるでしょう。

希望売り出し価格は少し高めに設定する

不動産を売りに出す際には、値引き交渉が入ることを見据えて少し高めに設定しましょう。
実際に不動産を売りに出す際、広告などに記載する金額を「希望売り出し価格」といいます。そもそも不動産は高い買い物なので、買主は「妥当な金額かどうか」を見極めて購入を決定します。
そのため、高く売りたいからといって現実離れした金額を設定すると、販売期間が長期化して結局売れず、売り出し価格を見直すことになりかねません。かといって、あまりに安い金額を設定すると、当初の想定よりも売却金額が少なくなってしまいます。

以上のことから、希望売り出し価格は、3ヵ月程度で売れる金額を目安とし、値引き交渉が入ることを見据えて少し高めの金額を設定するのが良いといえます。
ただし、売却までの期間をどれくらい取れるかにもより、安いとその分早く決まるので売却の煩わしさから早く解放されるメリットもあります。またジリジリと値下げを繰り返すと売れ残り感も出てくるため、値下げするなら周辺物件より安く値下げすることも考えてみましょう。

タイミングを逃さない

売却のタイミングを見逃さないことも、不動産をより高く売るためのコツの1つです。

不動産売買はタイミングがカギを握っているといっても過言ではありません。「もっと高く売れるだろう」と待ち続けるうちに、不動産の価値も少しずつ下がっていることを忘れないようにしましょう。
そのため、相場より高値をつけた希望売り出し価格に対して、「相場とほぼ同じ金額になるなら買いたい」という買主が現れたら、前向きに検討することをおすすめします。
一方で、住み替え事情などもありますので損得以外の部分での判断を優先することも考えてみてください。

高値でも納得して購入してもらうポイント

先述のとおり、売り出し価格は、値引きを想定して少し高めに設定したとして、売り出し価格のまま買主がついて売買が成立すれば売主にとっては理想的です。そのためには「この条件なら、他の不動産より少し高くても購入したい」と買主が高値に納得して、購入を決断してもらえる状況を作る必要があります。
高値でも、買主に納得して購入してもらうには、どのような工夫が必要なのでしょうか。ここでは、そのために押さえておくべきポイントを3つ紹介します。

内覧で印象を良くする

不動産の購入希望者が現れたら、不動産の詳細を実際に見てもらう内覧を行います。購入希望者は、周辺環境や立地と併せて不動産を実際に見学し、購入に値するかどうかを検討します。

高値で売るためには、内覧で「よく手入れされているな」「素敵だな」と思ってもらえるポイントを増やしておくことが重要です。逆に、修繕が必要な箇所や掃除が行き届いていない箇所が見つかると、購入希望者の心が離れてしまったり、値下げ交渉のきっかけになったりしてしまいます。
床や壁は隅々まで清潔にし、剥がれている場所などがあればあらかじめ修繕しておきましょう。収納スペースも奥行きを確認するために開けることが多いため、荷物はあらかじめすべて出しておくことをおすすめします。内覧での最大のチェックポイントともいえる水まわりは、カビや水垢を徹底的に洗い落とし、磨き上げておくと物件全体の印象がアップします。

リフォームや補修の履歴を残しておく

住宅の増築やリフォーム、補修の履歴について、聞かれたらすぐに答えられるよう記録を準備しておきましょう。特に増築の場合、現行の建築基準法に適合しない方法で工事が行われていると、建物の耐震などに不安が残り、不動産価値は低下します。
売却価格も落ちる可能性がありますが、後々のトラブルを避けるためには包み隠さず説明するのが望ましいといえます。

できるだけ採光性を良くしておく

「日照時間」と「採光性」は、不動産の査定において非常に重視されるポイントです。例えば北向きの家は、売却相場がかなり下がる傾向にあります。洗濯物が乾きにくい、湿気によるカビが懸念される、といったデメリットがあり、需要が少ないからです。
日当たりのよくない家を売り出す際は、室内に照明を増やすなどして、部屋を明るく見せる工夫をしましょう。直射日光が当たらないので家具が傷みにくい、夏場も涼しいといった、日当たりが悪いことのメリットも伝えられるようにしておくとより良いといえます。

不動産会社選びで失敗しないための3つのポイント

不動産の売買は、一人で完結できるものではありません。特に、煩雑な法的な手続きや、購入希望者との条件交渉といったシーンでは、パートナーとして売却をサポートしてくれる不動産のプロの存在が不可欠です。
不動産会社選びで失敗しないためには、どんな点をチェックすれば良いのでしょうか。ここでは、特に押さえておくべき3つのポイントについて説明します。

ポイント1:不動産会社が提示する査定価格は適切かどうか

不動産会社選びで失敗しないためには、不動産会社が提示してきた査定価格が適切かどうかを、きちんと吟味することが大切です。

不動産会社に査定を依頼すると、高めの査定額を提示してくる会社が少なくありません。どの会社もプロである以上、相場を一切無視した金額を提示することはありませんが、最初の提示価格は「他社よりもよさそう」と売主に思ってもらうための仕掛けとして考えている不動産会社も世の中にはいくつか存在します。

とはいえ、不動産会社の力量によっては、相場よりも高値での売買を実現できる可能性も大いにあります。売主が不動産の売買価格について一定以上の知識を持っていれば、提示された金額をもとに「この金額は何を基準に算出されているのか?」「もう少し高く売れるのではないか?」といった会話から、信頼に足る不動産会社かどうかを見極めることができるといえます。
そのため、プロ並みの専門知識までは必要ないものの、売主は、エリアの特性、不動産の状態、広さ、築年数、立地条件などからおおよその価値を推定できる程度の知識を得ておくことが大切です。

ポイント2:販売計画は明確かどうか

不動産会社が提示してきた販売計画が、明確なものであるかという点も、不動産会社選びのポイントの1つです。

販売計画とは、不動産の特性や売主の事情を踏まえた売買完了までの最適なスケジュールと売り方のことです。
この販売計画をどのように設定するかという点は、不動産会社や営業担当者の判断によって異なります。そのため、「保有する不動産に最適な販売計画はどのようなものか」「現時点で考えられる販売計画を教えてほしい」といった質問をすることをおすすめします。
提示された販売計画に納得がいかなければ、契約する不動産会社の変更も視野に入れましょう。

不動産が販売計画を練る際には、不動産売却を進めるために行うべき具体的な行動についても考える必要があります。この行動のことを「販売行動」といいます。代表的な販売行動は、次の3つです。

・レインズへの登録
レインズ(REINS)は、国土交通大臣の指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムのことです。登録することで、不動産を探している人に広くアプローチできます。

・広告媒体への掲載
不動産の写真や情報を、広告媒体に掲載します。地域の特性によって、新聞折込広告や情報サイト、情報誌などを使い分ける必要があるでしょう。昨今はインターネットを活用して不動産を探す人が多いので、サイトへの掲載は積極的に検討すべきです。

・現地案内会の開催
内覧をしてもらう現地案内会を企画し、チラシを配ったり、ウェブで告知したりして集客します。

ポイント3:不動産会社と担当者に安心感があり、信頼できるかどうか

不動産会社や自分の担当者に安心感があり、信頼できるということは、不動産会社を選ぶ上で非常に大切です。

不動産は売買金額が大きいため、売主も買主も真剣です。そのため、営業担当者の態度が悪い、不動産に対する知識が不足している、といったことがきっかけで買主の心証を悪化させれば、契約の成立は見込めません。
逆に、不動産会社の説明が十分で、買主が安心感を得ることができれば、気持ちが「買い」に大きく傾く可能性があるといえます。

不動産売却は専門知識が求められる煩雑な取引なだけに、営業年数が浅い会社よりは実績豊富な会社をつい選びがちですが、売買の決め手になるのは「会社の雰囲気」「担当者の人柄」であることが実はよくあります。そのため、「この人からなら買いたい」と思えるようなパートナーがいる不動産会社を選ぶことが、結果的に、理想に近い不動産売却を実現する最大のコツだといえるでしょう。

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大切な不動産を高値で売却するには、パートナーとして販売活動を展開してくれる不動産会社を慎重に検討し、「ここなら信頼できる」という一社を選定することが重要です。

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