マンションを売却する際には、できるだけ高く売却したいものです。マンションを売却する際に押さえておきたい流れと注意点、高く売るためのコツについて解説します。

マンション売却の流れとは?注意点や高く売るためのコツを解説

結婚して家族が増えたり、転勤や移住で住み慣れたエリアを離れることになったりして、購入時は想定していなかった「マンションの売却」を考える人は多いでしょう。最近では、最初から将来的な住み替えを前提としてマンションを購入し、しかるべきタイミングで売却をするケースも増えてきました。

いずれにしても、思い出の詰まったマンションを売却する以上、できるだけ高く売却したいものです。
ここでは、マンションを売却する際に抑えておきたい流れと注意点、高く売るためのコツについて解説します。

マンション売却の流れ

マンションの売却を成功させるには、契約が成立するまでの一連の流れを把握し、必要に応じて情報サイトに出す写真や情報の作成、売り出し価格の決定などを行う必要があります。

まずは、全体の流れを押さえておきましょう。順番に説明していきます。

1 相場を調べる

売却を検討し始めたら、自分が所持しているマンションの売却価格の相場を調べましょう。周辺の似たような条件のマンションが売りに出されていれば、その売り出し価格を調べることで自分のマンションの売却価格の目安をつけることができます。

マンションの売却価格は、次のような条件と相場を総合的に判断して決定されます。

<マンションの売却価格の判断材料となる条件の例>
  • 駅からの距離など立地条件
  • 階数
  • 広さ、間取り、方角
  • マンションの専有部分、および共用部分の設備
  • 内装のグレード
  • 築年数
  • 耐震性能

2 不動産会社に査定を依頼する

相場が把握できたら、次は不動産会社に査定を依頼します。査定は正式に契約を結ぶ前の段階なので、複数の会社に依頼しても問題ありません。同じマンションでも、不動産会社によって査定額に数百万単位の差が出ることもあるため、できるだけ多くの不動産会社から査定を受けるようにしましょう。

まとめて査定の依頼をするなら、物件のタイプや不動産があるエリアを入力するだけで複数の不動産会社の査定価格がわかる一括査定サイトが便利です。

3 選定した不動産会社と媒介契約を結ぶ

提示された査定額や、査定額について質問した際の対応などを参考に、信頼できる不動産会社を選び、不動産会社に買主と売主の間に入ってもらうために結ぶ契約である「媒介契約」を結びましょう。

媒介契約には、売主が複数の業者に依頼できる「一般媒介契約」、特定の業者に依頼する「専任媒介契約」、依頼した業者が見つけた買主以外とは契約できない「専属専任媒介契約」の3つがあります。なお、「専属専任媒介契約」を締結した場合、仮に売主自身で買主を見つけることができても、その買主とは契約することができません。この点は、必ず覚えておきましょう。

状況に合った最適な契約を選ぶことが大切です。

4 内覧に対応する

不動産会社が自社サイトや媒体で物件をアピールすると、興味を持った購入希望者から内覧の依頼が入ります。日時を決め、対応しましょう。

購入の意思決定を左右するプロセスなので、「自分が買う側だったら、どんな点が気になるか」と買主の立場に立って室内を見直し、細部まで清潔にして準備を整えておくことが大切です。

また、照明の電球をすべて新しいものに変えたり、カーテンはなるべく白色のものをつけたりするなど、部屋を明るく見せる工夫をすることで、購入希望者から好印象を持ってもらいやすくなります。
なお、いつ内覧が入るか読めないため、売却が終わるまでは常に土日の予定を空けておくことが大事です。

5 買主と売買契約を結ぶ

良い買主が見つかったら、合意を得られるよう条件面を最終調整して、売買契約を結びましょう。売買契約は、一度締結すると覆すのは困難です。トラブルの種をなくすためにも、契約書面にわからない専門用語があればその都度不動産会社の担当者に確認し、丁寧に契約を進めることが大切です。

なお、このとき、手付金として売却代金の5〜10%程度が買主から売主に支払われます。また、契約締結が完了して手付金を受け取ったら、後日の家の引き渡しまでに決済の準備を進めておきましょう。

6 マンションを引き渡し、決済する

売買契約どおりの日時に引き渡しを行い、決済を行います。また、買主は名義変更に必要な書類を管轄の法務局へ決済日に提出し、申請を行う必要があります。

7 確定申告する

物件の引き渡し後、手付金を除いた金額が振り込まれたら、マンションの名義を売主から買主に変更して売却は完了です。

売却益にかかる税金を納めるために、売却後は必ず確定申告を行いましょう。

マンションを売却する際の8つの注意点

マンション売却の流れについて説明してきましたが、売却の際にはどのような点に注意すればよいのでしょうか。

ここでは、マンションを売却する際の7つの注意点について解説します。

1 売却価格の相場は自分でも調べる

売却価格の相場は、自分でもよく調べるようにしましょう。マンションの希望売り出し価格は最終的には売主が決定するため、妥当な売却価格をきちんと把握しておかなくてはなりません。

また、相場を把握しておくことで、不動産会社に査定を依頼して査定金額を提示された際にも、冷静な判断ができるはずです。

具体的な調べ方としては、まずは、売るタイミングを見極める材料になる不動産市場の全体感を知るために、国土交通省が公表している不動産価格指数を確認することが大切です。景気などを反映した全国的な売買価格の状況を把握できるので、売り時の見極めに役立ちます。

続いて、地域ごとの相場を調べましょう。新聞の折り込みチラシやウェブサイトなどで、自分が住んでいるエリアのマンションの取引価格をチェックします。このとき、間取りや立地、階数、築年数などが自分のマンションの条件に近いものをピックアップすると調査の精度が高まります。

2 売り急がない

マンション売却の際には、売り急いでしまうことがないよう、注意が必要です。例えば、移転先の物件の購入などの関係で時間に余裕がないと、希望する販売価格よりかなり低い金額で売却してしまうなど悔いの残る売買になりがちだからです。

マンションは、売り出してから成約に至るまで最低でも4ヵ月から6ヵ月はかかるといわれています。できるだけ余裕を持って売り出しの準備を始めるようにしましょう。

3 リフォームしない

古いマンションの売却を進めようとしている場合、売却のためにリフォームをすることのないよう注意しましょう。全面改修ともいえるリフォームを行ったとしても、売却価格がその分高くなることはありません。

また、買主がマンション購入後に、暮らしに合う形で好きなようにリフォームを行うほうが、買主と売主の双方にとって結果的にメリットが大きいともいえます。

4 査定時に根拠を確認する

不動産会社から売却価格の査定結果が届いたら、金額の根拠についてきちんと確認するようにしましょう。
不動産会社が算出するマンションの査定額は、当該マンションに条件面が似たマンションの売却実績をもとにしています。そのため、算出の根拠となるマンションと、保有するマンションとがどの程度似ているかによって、査定額の正確性は変わってきます。

類似の度合いを確認できる点としては、最寄り駅や路線、駅からの距離などの立地のほか、築年数、物件の間取り、ターゲット層などが挙げられます。

5 不動産会社の担当者との相性を重視する

マンション売却の際には、不動産会社の担当者との相性をみておくことが大切です。自分や会社の利益ばかりを考えているような担当者や、忙しいからと最低限の連絡さえ滞るような担当者では、思い入れのあるマンションの売却を任せるのが不安になってしまいます。

親身な対応を望むなら、実際に会って話してみて、売却に至る背景や、住み慣れたマンションへの思い入れを理解しようとしてくれる担当者を選ぶのがおすすめです。

一方、感情は差し挟まず、とにかくスピーディに対応してほしいという方は、メールのレスポンスや内容、返信の速度などから相性を判断するのがよいでしょう。

6 状況に合った媒介契約を選ぶ

不動産会社に仲介を依頼する場合には、状況に合った媒介契約を選ぶことも、マンション売却の際には大切です。

先述のとおり、媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つがあり、売主がなにを重視するかで、締結すべき媒介契約は異なります。

例えば、マンションを早く売りたいなら、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」を選ぶのもひとつの手です。売却できれば不動産会社に必ず仲介手数料が入るため、一般媒介契約よりも注力してくれる可能性が高いからです。

7 築年数を問わず、内覧前は掃除をしっかり

内覧の際は、築年数に関わらず清潔感が重視されるため、掃除はしっかりしておきましょう。特に築古物件の場合、「まだまだ住める」と感じてもらうためには清掃が行き届いていることが重要です。少しでも好印象を与えられるよう、内覧前の清掃は徹底しておくことが大切です。電球やカーテンを変えるのも好印象を与えます。

マンションを高く売るコツ

マンションを高く売るには、具体的にはどのような工夫をすればよいのでしょうか。ここでは、マンションを高く売るための3つのコツについて説明します。

競合する住戸との違いを明確に

競合する住戸との違いを明確に提示することは、マンションを高く売るためのコツのひとつです。マンションが建ってから一定の年数が経つと、売りに出す人が増え始めます。特に大規模なマンションでは、一度に複数戸の内覧が行われ、マンション内で競合して売れ残ったり、価格競争で価格が下落したりすることもあります。そのため、他の住戸との違いを明確にする必要があるのです。

ただし、マンションを売却する場合は、共用部分などでは差がつけられないため、「上階にあり眺めが良い」「キッチンをリフォームしていて使いやすい」「角部屋で南向き」といった部分を積極的にアピールするとよいでしょう。

大規模修繕後がチャンス

建物の劣化を防ぐため、毎月積み立てた修繕費を使って共用部分を修繕することを「大規模修繕」といいます。大規模修繕が行われた後であれば、築年数が経っていても見栄えが良くなるため、売れやすくなります。

ただし、築年数があまりに古い場合は大規模修繕費用が高額になり、積立金だけでは大規模修繕を行うことができません。その場合、大規模修繕を延期するようなマンションもあるため、大規模修繕の時期を事前に確認しておくことをおすすめします。

住み替える場合は「買い先行」で

住み替えを前提とした売却ならば、売却が決まる前に新居を購入する「買い先行」をするのも、マンションを高く売るコツの一つです。新居に引っ越してから売却活動をすることで、ハウスクリーニングなどで徹底的に清掃をしたり、いつでも内覧を受け入れたりすることができ、値引きの可能性を低減できます。

ただし、売却するマンションにまだ住宅ローンの支払いが残っている場合は、新居の住宅ローンの支払いとの二重ローンになってしまう点には注意が必要です。

マンションの売却を成功させたいなら、信頼できるパートナー選びを

マンションを納得いく価格とタイミングで売却するには、パートナーとなる不動産会社選びが鍵になります。「マンションの売却が得意な会社である」「担当者の対応が良い」「担当者の不動産知識が豊富」などの条件にあてはまる不動産会社を選ぶことで、家の売却はスムーズになるといえます。

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