都道府県知事家を建てるときには、建築基準法の他にもさまざまな法律が絡んでくることが多いものです。必要な法律をクリアしておかないと、改築や撤去などの原因にもなりかねません。建物に関わる法律の1つに河川法があります。

河川法とはどのような法律なのか、どんな場合に必要になるのか解説していきます。

河川法は河川を管理する法律!

河川法

河川の

  • 管理や工事
  • 費用負担
  • 使用制限

などを定めている法律のこと

河川法の目的
正常な流水を保持し、機能を正常に維持することにある

現行法は1964年に公布され、翌1965年に施行されたもので、日本においての河川法は1896年が始まりです。

旧河川法は治水に焦点を定めたもので、洪水や高潮など災害を防ぐことが中心になっていました。しかし、経済の発展や重化学工業の近代化、水力発電事業といった利水事業が活発になってくると、旧河川法では不備が多く、不完全な部分が目立つようになってきたのです。そのため、少しずつ時代に沿った改正が加えられ、現行法の内容に至っています。

河川法は河川を管理する法律

現行法では、一級、二級、三級、準用河川、普通河川の5つに分類し、それぞれ管理が分かれています。

一級河川
国土交通大臣
二級河川
都道府県知事
準用河川
市町村長
普通河川
地方公共団体

が管理の管轄です。

河川の管理に関わる費用に関しては、それぞれの管轄が負担することとしており、例えば、一級河川は国が、二級河川は各都道府県が負担するとされています。河川法では、私権を目的とした流水の使用に関してはできないものという定めもあります。

河川法の許可が必要なケース

河川法の許可が必要になるのは、大きく3つのケースに分けられます。

河川区域内にある土地に運動場や公園緑地としてつかう場合

1.河川区域内にある土地を占有するケース
例えば
◇運動場を作る場合や公園緑地として使う場合がそれに当たる
2.河川区域内において工作物を新築したり、改築したりするケース
◇工作物とは一般の住居も含まれ、リフォームや解体撤去なども許可を必要とする
3.河川区域内にある土地の変形をともなうもの
◇変形とは、掘削や盛土のような工事の一環として行われるものと考えればいい
他に許可が必要な場合
◇竹林などの伐採も形状の変形に該当する
◇河川保全区域内で工作物の新築や改築をする場合
◇土地の形状を変更する場合
にも河川管理者の許可を得なければならない

河川区域というのは一級河川と二級河川に該当するもので、堤防右岸の法尻から左岸の法尻までを指します。つまり、河川区域とは、河川を挟んだ両側の堤防の端までの区域のことです。河川保全区域は、堤防や河川の管理施設などを保全するために必要な区域のことを言います。

河川法の許可が不要なケース

河川区域や河川保全区域に入る場合、河川保全区域を利用または作業する場合でも、許可が不要なケースもあります。

通常、一般の人が考えられる利用で言えば、水泳、釣り、散策、サイクリングなどが該当します。ただし、水泳や釣りなどは場所によって禁止区域になっていることもあるので、地域ごとの規則を遵守しましょう。

1.耕耘作業
例えば
◇雑草の繁殖を抑えるための耕耘作業
許可が必要なものに掘削や盛土があるが、堤内の土地の地表から3m以内の高さの盛土であれば許可は要らない

◇掘削や切土についても制限があり、堤内の土地の地表から深さ1m以内であれば、許可は不要

◇許可が必要な盛土、掘削、切土は、地形そのものを大きく変えるような大規模な工事に付随したものが前提になっている
2.堤内の土地で工作物の新築や改築を行う際
■新築や改築には住宅の新築やリフォームも含むとされているが、制限があるので注意が必要

例えば
◇コンクリート造や石造、レンガ等を用いたもの
◇井戸や貯水池のような水路等水の浸食が懸念されるものは除外されている

許可を不要とするものは
◇河川法施行令第34条に記載されているが実際は河川管理者の判断
◇河川や利用の程度によっても状況は異なる

ここで説明した内容のものでも、ケースによっては許可が必要なこともあるので注意しましょう。河岸や河川管理施設の保全に対してどのような影響があるかを河川管理者が判断し、影響の心配のないものなら許可は不要です。

許可を得るための申請方法

河川管理者以外の者が施工する工事には申請が必要です。

河川管理者以外の者が施工する工事には申請が必要

工事の計画書または維持計画書、設計などが記載された承認申請書の提出が義務づけられている

流水を占有する許可の場合も、河川管理者に対して申請書と必要書類を提出しなければなりません。必要書類とは

流水の占用に関する事業計画の概要、使用水量を算出したものとその根拠などです

その他にも、流水占用によって影響が考えられる事項に対する対策の概要も提示する必要があります。

影響が考えられる事項
  • 治水
  • 漁業 関係
  • 河川使用者の河川使用
  • 史跡や天然記念物など

流水占用の許可は、ダムの設置や工作物の新築などを想定した内容になっており、提出書類に対して細かい指定がされています。

河川そのものではなく、土地を占用する場合の許可申請も、必要書類と併せて河川管理者に提出します。

提出する書類
  • 土地の占用に関する事業計画の概要
  • 実測平面図
  • 縮尺が5万分の1に指定された位置図
  • 面積の計算書と丈量図
  • 参考になる事項があれば、その書類を提出
  • 他の行政庁の許可や処分が必要な場合には、事前に処分されているか見込みのあることを示す書面も必要

権利の譲渡をするには、河川管理者の承認が前提になっています。

承認してもらうには
  • 別記様式第十二による申請書
  • 譲渡の理由や譲渡の年月日を明記した書面
  • 当事者の意思を記した書面
  • 譲受側の事業計画書

などをそろえて河川管理者に提出します。他にも、参考になる書類があれば提出できるので、あらかじめ確認してみるといいでしょう。

占用料がかかることもある!

指定されている書類をそろえ、無事に申請を終えて許可を受けた場合でも、土地の占用をするには、占用料を納付する場合があるので注意が必要です。必ず占有料が発生するということではなく、ケースや地域によって異なるため、該当するかどうか事前に確認しておく必要があります。

ケースや地域によって占用料がかかることもある

占用料については、河川法の第23条で定められています。占用料の金額については、目的に応じた妥当性を基準に河川法施行令第18 条で定めていますが、実際の単価は各都道府県の条例による算定が基準です。

例えば、宮城県の例を見ていきましょう。

2000年3月28日付けの宮城県条例第78号では、宅地として使用する場合、占用面積1平方メートルにつき190円を年間の土地占用料として支払うとされています。田畑の場合は占用面積1平方メートルにつき5円、電柱や支柱などの場合は1本につき年間640円が必要です。

河川区域を占用するなら注意!

河川区域内や河川保全区域内の利用に関しては、河川法によってさまざまなことが決められています。

その内容は、事業性のある大規模な工事に限定されていません。宅地としての利用や田畑利用など、個人に該当するケースも含まれます。状況や使い方によっては許可が不要なケースもありますが、それ以外での無断占用は違法となってしまうため、注意が必要です。

知らずに違法な使用をすることを避けるには、あらかじめ河川法と照合して土地の確認をし、必要に応じて決められた書類をそろえ、必ず許可を取ってから適切に使用しましょう。