物件を探していて間取り図や条件がどれほど理想的だったとしても、まず内見をするようにしましょう。実際に住みはじめてから、「こんなはずではなかった」という失敗を避けるためです。

内見とはなにか、どのようなものか、どんなことに注意するかなど、内見についてのあれこれをご紹介します。

内見ってどういう意味?

■内部見学の略称
建物や部屋の内部、その周辺を見学することを表している

◇部屋や廊下の広さ、動線
◇コンセントの位置や住宅設備の確認
◇日当たりや景観
◇周囲の環境や音なども現地で確認

遠距離や急な引越しという場合などは、なかなか現地へ足を運ぶことは難しいかもしれません。それでも物件選びに失敗しないために、できれば内見をしてから契約するようにしましょう。

内覧と内見は違う

「内見」と似た言葉に「内覧」があります。意味としてはどちらも「建物・部屋の内部を見る」ということですが、不動産業界では使い分けをしています。

内見
◇契約前に入居希望者が部屋を確認すること
◇主に賃貸物件や中古物件に使われる
内覧
◇イベント的な意味合いがある
◇マンションのモデルルームや分譲住宅のモデルハウスなど、主に新築物件の内部を披露するときに使われる

内見するときの流れは?

次に物件探しから内見、申し込みまでの流れを簡単に説明します。

1. 不動産会社に連絡する

不動産情報の雑誌やウェブサイトなどを見て気になる物件があったら、取り扱っている不動産会社に連絡をしましょう。もしかしたら希望の物件にすでに借り手・買い手がついているかもしれません。その場合は、「こんな物件を探している」と条件を伝えると、希望に近い物件を紹介してくれます。

2. 内見の予約をとる

物件巡りにあまり時間をかけられないということもあるでしょう。できれば1日で複数の物件を内見できると効率的です。ただし、1日に内見できるのは3~4件ほどです。

内見ができるのは不動産会社の営業時間内であることが多く、移動時間も考えるとあまり多くの物件を見ることはできません。また、慌てて内見すると、見落としがある可能性もあります。しっかりと吟味するためには、ゆとりのあるスケジュールを組むようにしましょう。

3. 現地に行く

内見をする際、現地まで担当者が車で案内してくれることが多いでしょう。最寄りのスーパーやコンビニなどを案内してくれることもあり、参考になります。

1日に複数の物件をまわる予定なら車での移動は便利ですが、できれば一度は駅やバス停まで歩いてみるのがおすすめです。不動産広告の表示では、徒歩による所要時間は80mにつき1分で計算されています。仮に「駅徒歩5分」と表示されていても、急坂や階段がある場合には5分以上かかることも考えられるでしょう。

また、交通量や歩道の有無など安全面も確認したいところです。内見の時間にゆとりをもちたいのは、こうした理由もあります。

4. 気に入ったら入居申し込み

内見して気に入ったら、早めに担当者に伝えて入居申込書を提出しましょう。入居申込書を提出し、審査に通れば実際の契約になります。

内見に必要な持ち物

内見のときに持参すると役立つものをご紹介します。

1. 間取り図

内見のときに担当者から渡されることがほとんどですが、事前に受け取っていた場合は忘れずに持っていきましょう。

2. 筆記用具

部屋をチェックしながら、気になるところはどんどんメモしていきましょう。間取り図に書ききれないこともあるので、ノートやメモ帳を持参すると安心です。

3. カメラ

デジタルカメラやスマートフォンのカメラで部屋の様子を撮影しておきましょう。玄関、キッチン、浴室、トイレ、クローゼットや押し入れの中など、できるだけ細かく撮影しておくと複数の物件を検討するときに役に立ちます。また、賃貸物件の場合には、傷や汚れがもともとあったものかどうかの証拠にもなります。

4. メジャー

家具や家電のレイアウトを考えたり、カーテンやブラインドのサイズを決めたりするには、寸法を測っておく必要があります。メジャーは忘れずに持参しましょう。

5. 家具や家電の寸法を記載したメモ

数多く内見をしている人のなかには、ベッドやタンスの実寸大の型紙を持参してレイアウトをチェックする人もいます。そこまでするのはむずかしいとしても、持ち込みたい家具・家電の寸法をメモしておくと、内見時のシミュレーションに役立つでしょう。

6. 方位磁石

日当たりを確認するために、方位磁石があると便利です。

7. 懐中電灯

夜間に電気が通っていない物件を内見する場合に必要です。日中でも、押し入れやクローゼットの奥にカビが発生していないかを確認するときに役立つでしょう。

8. スリッパ

人の出入りがない物件では、ほこりがたまっていることがあります。不動産会社が用意してくれていることもありますが、念のため持参しましょう。

9. ビー玉

部屋に傾きがないか確認するには、球状のものを床に置いてみるのが確実です。ピンポン玉は軽くて風で転がることがありますし、野球のボールはやや荷物になります。ポケットにおさまるビー玉が便利です。

10. 印鑑

物件が気に入ったら、その場で入居申込書を提出または契約できるよう、印鑑を持参しましょう。

11. 現金

契約時に手付金や仲介手数料が必要なケースがあります。少し多めに現金を持っていくとよいでしょう。

物件でチェックすべき項目

内見するときに忘れずにチェックしたいポイントをご紹介します。
内見時のチェックポイント

1. 汚れ・破損

中古物件の場合は、入居までに修繕してもらえるのかどうかを確認しましょう。特に賃貸物件の場合は、汚れや破損がもともとあったものかどうかの証明が欠かせません。気になるところは写真撮影しておきましょう。

2. 共用部分

集合住宅では廊下やエレベーター、ゴミ収集場所などが清潔に管理されているかチェックしましょう。エントランスの掲示板も気をつけたいところです。ゴミ出しや騒音などのマナーに関する注意書きがある場合には、モラルの低い人が住んでいる可能性があります。

3. 壁の厚さ

集合住宅の場合は上下左右の部屋の生活音がどのくらい響くのかも忘れずにチェックしましょう。ひとつの物件で時間帯を変えて内見できると、より確実です。

4. 玄関・部屋・収納・靴箱の広さ

メジャーできちんと寸法を測り、メモしておきましょう。レイアウトを決めやすく、引越したあとの荷物の片づけがスムーズに進みます。

5. カーテンレールの高さ

カーテンやブラインドを引越し前に準備しておかないと目隠しのないまま夜を過ごすことになります。サイズの合ったカーテンやブラインドを事前に準備できるよう、忘れずにチェックしておきましょう。

6. 日当たり

昼間は仕事で家にいないという人でも、洗濯物や布団を干すことを考えると日当たりは気になるのではないでしょうか。ベランダや窓の向きによって、また周囲の建物によって、まったく日が当たらないこともあるため確認しておきましょう。

7. におい

近隣に飲食店があったり前の住人が喫煙者だったりすると、部屋ににおいが染みついていることがあります。住みはじめてからストレスを感じないようにチェックしておきましょう。

8. 家具・家電の配置スペース

引越しをスムーズに進めるために、大型家具・家電の配置スペースはシミュレーションしておきましょう。

9. 通信環境

CATV、CS、BS、光ファイバーなど物件情報に記載されているのがほとんどですが、念のため確認しておくと安心です。また、部屋の各所で携帯電話の電波状況を確認しておきましょう。

10. 耐震強度

住宅性能表示制度の2等級以上が望ましいため、不動産会社に確認しましょう。

11. コンセントの数と位置

コンセントの位置と数、テレビのアンテナ線や電話線がどこに配置されているか、確認しながらメモしておきましょう。引越し後のレイアウトを考えるときに必要です。

周辺環境でチェックすべき項目

周辺環境については、前述の駅やバス停からの距離のほかに、以下を確認しておきましょう。

周辺環境もチェック

生活の利便性

最寄りのスーパーやコンビニ、病院などの場所をチェックしておきましょう。

治安のレベル

トラブルを避けるためには、マナーが守られているかどうかをチェックするのも大切です。近隣を歩いてみて、タバコやゴミのポイ捨て、落書きなどがないことを確認しましょう。町内会・自治会の掲示板に貼られている印刷物からも、様子を知ることができます。

騒音

音の感じ方は人それぞれですが、近くに幹線道路や線路がある場合には確認しておくことをおすすめします。窓を開けたり閉めたりして、どのくらい音が聞こえるかを確認しておきましょう。また、場所によっては日中よりも夜間のほうが賑わうこともあります。近隣に深夜営業の飲食店などがないかも確認しましょう。

子どもがいる場合は通学経路

徒歩で通学する場合は学校までの経路を確認し、時間や距離を把握しましょう。できれば実際に歩いてみて、危険な場所がないか確認できると安心です。

失敗しないために内見しよう!

内見でチェックしたい項目や内容について説明しましたが、気になる点はライフスタイルによって違ってくるでしょう。優先順位をつけると、よりスムーズに物件選びが進むのではないでしょうか。

物件選びで失敗しないためにも内見でチェックすべきところはしっかりとチェックして、より納得のいく物件を見つけるようにしてください。