この記事でわかること ・最新の持ち家の給付金や補助金の概要や申請方法 |
持ち家の購入やリフォームは、人生における大きな決断であり、多額の費用がかかります。
そのため、「給付金を受け取って少しでも費用負担を抑えたい」「利用できる支援制度があれば知りたい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。
実は、持ち家に関する支援制度は、国や自治体によってさまざまなものが設けられています。
しかし、制度の種類が多く、内容や申請方法も複雑なため、「どの制度が自分に合っているのかわからない」、「手続きがうまくいかなかったらどうしよう」と感じてしまうかもしれません。
本記事では、2025年時点で利用できる持ち家に関する主要な給付金・補助金制度について解説します。
住宅購入からリフォーム、さらには火災保険の活用まで網羅的にご紹介しますので、ご自身に合った制度を見つけ、賢く活用するための参考にしてください。
この記事の目次
「持ち家の給付金」にはさまざまな種類がある
一言で「持ち家の給付金」と言っても、その種類は多岐にわたります。
国が主体となって実施している制度もあれば、各自治体が独自に設けている支援策もあります。
また、支援の目的もさまざまです。
具体的には、以下のような目的が挙げられます。
・住宅の購入を支援するもの
・省エネ性能の高い住宅の取得を後押しするもの
・子育て世帯の住まいを対象としたもの
・断熱改修や耐震化など、リフォームを支援するもの
・住宅ローンの利息負担を軽減させるもの
このように、制度によって対象者や目的、支援の内容が異なります。
そのため、「これから家を購入するのか」「今の家をリフォームするのか」「子育てのために家を購入するのか」など、ご自身の状況を把握したうえで、制度について情報収集することが非常に重要です。
また、利用できる制度を知っているかどうかで、費用負担が大きく変わる可能性があります。
次項からは、国が主体となって実施している持ち家に関する支援制度を詳しくご紹介します。
どのような制度があるのか、しっかり把握していきましょう。
持ち家に関する国の主要支援制度
国が実施している持ち家に関する支援制度は、対象範囲が広く、支援される給付金・補助金の額も比較的大きいものが中心です。
ここからは、2025年時点で特に注目度の高い制度をいくつかご紹介します。
これから家を購入する方や、現在家を持っている方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
子育て世帯必見!「子育てグリーン住宅支援事業」
「子育てグリーン住宅支援事業」は、子育て世帯や若者夫婦世帯などを中心とした全世帯が、省エネ性能を備えた住宅を新築する場合や、リフォームを行う際に利用できる補助金制度です。
この事業は、2050年のカーボンニュートラル(※)実現を目指す取り組みの一環です。
※カーボンニュートラルとは? 温室効果ガスの排出量と吸収量を均等にさせること。 2020年10月に政府は、これを2050年までにゼロに目指すことを宣言しました。 |
これを実現させるために、エネルギー価格の高騰や物価高の影響を受けやすい、子育て世帯・若者夫婦世帯を中心に支援するために本事業が発足されました。
補助の対象や補助額の上限については、以下の通りです。
【補助の対象】
・一定の条件を満たす全ての世帯
・18歳未満の子供がいる子育て世帯
・39歳以下の若者夫婦世帯(夫婦いずれか)
【補助額の上限】
補助額は、住宅の新築かリフォームかによっても異なります。
それぞれのシチュエーション別でご紹介します。
●住宅の新築(注文住宅・分譲住宅・賃貸住宅)
対象の世帯 | 対象の住宅 | 補助額 | |
---|---|---|---|
全ての世帯 | GX志向型住宅※1 | 1戸につき160万円 | |
子育て世帯 | 長期優良住宅※2 | 建替前住宅等の除却を行う場合※4 | 1戸につき100万円 |
上記以外の場合 | 1戸につき80万円 | ||
ZEH水準住宅※3 | 建替前住宅等の除却を行う場合※4 | 1戸につき60万円 | |
上記以外の場合 | 1戸につき40万円 |
※1:優れた断熱性能を導入し、太陽光発電などを活用して一次エネルギーの消費量を削減している住宅のこと。(ZEH水準住宅を上回る性能を持つ住宅)
※2:長期間良好な状態で使用するための措置が取られている住宅のこと。
※3:耐熱性能の強化など、一定の省エネ性能を備えた住宅のこと。
※4:住宅の新築にあわせ、建替前に居住していた住宅など、建築主が所有する住宅を除却する場合を示す。
●リフォーム
メニュー | 補助要件 | 補助額 |
---|---|---|
Sタイプ | 必須工事※ 3種すべて実施 | 1戸につき上限60万円 |
Aタイプ | 必須工事※ 3種のうち、いずれか2種実施 | 1戸につき上限40万円 |
※①開口部の断熱改修、②躯体の断熱改修、③エコ住宅設備の設置
出典:「子育てグリーン住宅支援事業の概要」-国土交通省
子育てグリーン住宅支援事業の申請方法
子育てグリーン住宅支援事業の申請は、家を購入した者やリフォームの工事発注者が行うわけではありません。
一般的には、住宅会社や工事会社などの事業者が申請を行います。
ここでは、例として注文住宅を新築する際の補助金申請の流れをご紹介します。
以下の図解を参考にしてみてください。
また、申請の予約は、受付が開始してから予算が上限に達するまでとなります。
遅くとも2025年11月14日までには予約するようにしましょう。
申請時には、書類のスキャンデータをポータル上にアップロードして提出をします。
住宅の種類や、新築かリフォームかによっても必要書類が異なりますので、詳しくは、「子育てグリーン住宅支援事業」のホームページを確認しておきましょう。
「こどもエコすまい支援事業」「子育てエコホーム支援事業」との違いは?
「子育てグリーン住宅支援事業」と似たような支援事業に「こどもエコすまい支援事業」や「子育てエコホーム支援事業」というものがあります。
これらの制度は、2025年以前に実施されていたものです。
つまり、「子育てグリーン住宅支援事業」は、これら2つの制度の後継制度にあたります。
それぞれの違いについては、以下の表にまとめましたのでこちらをご覧ください。
項目 | こどもエコすまい支援事業 | 子育てエコホーム支援事業 | 子育てグリーン住宅支援事業 |
---|---|---|---|
対象世帯 | 子育て世帯、若者夫婦世帯 | 子育て世帯、若者夫婦世帯 | 子育て世帯や若者夫婦世帯、一定の条件を満たす全ての世帯 |
対象住宅(新築) | 延べ床面積50㎡以上のZEHレベルを有する住宅 | 長期優良住宅、ZEH水準住宅 | GX志向型住宅、長期優良住宅、ZEH水準住宅 |
対象住宅(リフォーム) | 住宅の省エネ改修工事、子育てに対応した改修工事 | 住宅の省エネ改修工事、子育てに対応した改修工事 | 開口部断熱改修、断熱材改修、エコ設備設置などの定められた省エネリフォーム |
補助金額(新築 ) |
100万円 | 110万円 | GX志向型住宅:160万円 長期優良住宅:100万円 ZEH水準住宅:40~80万円 |
補助金額(リフォーム) | 上限30万円 | 上限30~50万円 (子育てに対応した改修工事の場合) |
Sタイプ:上限60万円 Aタイプ:上限40万円 |
住宅ローンを使う方は「住宅ローン減税」
住宅ローンを利用してマイホームを取得する場合に、多くの方が利用できるのが「住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)」です。
これは、年末時点での住宅ローン残高の0.7%を、所得税(控除しきれない場合は翌年の住民税の一部)から最大13年間にわたり控除する制度です。
適用を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
【適用要件】
・住宅ローンの返済期間が10年以上あること
・床面積が50㎡以上であること(一部住宅は40㎡以上でも可)
・床面積の2分の1が自己の居住用であること
・自らが居住するための住宅であること
・引渡し日から6ヶ月以内に居住を開始すること
・合計所得金額が2,000万円以下であること
・新築の場合、原則として一定の省エネ基準に適合していること
【借入限度額と控除期間 ※新築・2025年入居の場合】
住宅の種類 | 世帯区分 | 借入限度額 | 控除期間 | 控除率 |
---|---|---|---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 | 子育て世帯・若者夫婦世帯※1 | 5,000万円 | 13年 | 0.7% |
その他の世帯 | 4,500万円 | |||
ZEH水準省エネ住宅 | 子育て世帯・若者夫婦世帯※1 | 4,500万円 | 13年 | 0.7% |
その他の世帯 | 3,500万円 | |||
省エネ基準適合住宅 | 子育て世帯・若者夫婦世帯※1 | 4,000万円 | 13年 | 0.7% |
その他の世帯 | 3,000万円 | |||
その他の住宅 | 全ての世帯 | 0円※2 | (10年) | (0.7%) |
※1:「子育て世帯・若者夫婦世帯」とは、夫婦いずれかが40歳未満の世帯もしくは、19歳未満の子を有する世帯。
※2:2024年以降に入居する「その他の住宅」(省エネ基準を満たしてない住宅)は住宅ローン減税の対象外ですが、2023年12月末までに新築の建築が確認された場合は、2,000万円で適用可能。
出典:「住宅ローン減税」-国土交通省
住宅ローン減税の申請方法
住宅ローン減税を受けるためには、入居した翌年にご自身で確定申告を行う必要があります。
給与所得者の場合、2年目以降は勤務先の年末調整で手続きが可能です。
確定申告と年末調整では、提出する書類なども異なりますのでご注意ください。
詳しい必要書類については以下の通りです。
年度 | 必要書類 |
---|---|
1年目(確定申告) | ・確定申告書 ・本人確認書類のコピー ・源泉徴収票 ・住宅ローンの年末残高等証明書 ・土地や建物の不動産売買契約書のコピー ・土地や建物の登記事項説明書 ・住宅借入金等特別控除額の計算明細書 ・省エネ住宅であることを証明する証明書など |
2年目(年末調整) | ・給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書兼年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書 ・住宅取得資金にかかる借入金の年末残高等証明書 |
必要書類は状況によって異なる場合があります。
詳しくは国税庁のホームページなどをご確認ください。
また、以下の記事では、住宅ローン減税の手続きをする際の注意点について詳しく紹介しています。
こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。
省エネ住宅なら「ZEH補助金」
ZEH(ゼッチ)とは、「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称で、断熱性能の大幅な向上と高効率な設備システムの導入により、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅を指します。
国は2050年カーボンニュートラルの実現に向けてZEHの普及を推進しており、その建築や購入に対して補助金を交付しています。
ZEH補助金は、主に経済産業省や環境省などが連携して実施しており、住宅の性能、導入する追加設備などによって補助額が異なります。
【対象となる住宅と補助金額】
対象となる住宅 | 定額補助 |
---|---|
戸建て住宅のZEH | 1戸につき55万円 |
戸建て住宅のZEH+※ | 1戸につき90万円 |
※ZEH+とは、ZEHの定義を満たすほか、より高性能な設備を持つ住宅のことを示す。
例えば、断熱等性能等級6以上の外皮性能を持っていて、太陽光発電による再生可能エネルギーに対応した設備を1個以上採用していることが条件とされている。
上記の要件を満たしたうえで、さらに以下の設備を導入する場合、追加で補助が受けられる場合があります。
項目 | 別途補助額 |
---|---|
上記のZEH、ZEH+住宅に加え、以下の条件も満たしている場合 ・蓄電システムの導入 ・低炭素化に資する素材を一定以上使用 ・最先端的再エネ熱利用技術の活用 |
蓄電システム 2万円/kWh ※1台につき上限20万円 など |
上記のZEH+住宅に加え、以下を導入している場合 ・高度エネマネ ・おひさまエコキュート ・EV充電設備 |
1戸につき高度エネマネ定額2万円 など |
出典:戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業(経済産業省・国土交通省連携事業)-環境省
また、2025年度のZEH補助金は、2025年4月時点では申し込みは開始されていません。
例年の傾向では、5月頃から公募が開始され、予算に達するまで複数回の公募期間が設けられることが多いです。
公募は先着となるため、補助金の利用を検討している方は、早めに準備を進めることをおすすめします。
ZEH補助金の申請方法
ZEH補助金の申請手続きは、一般的に「ZEHビルダー/プランナー」として登録された住宅事業者が行います。
そのため、住宅を取得する者が直接申請するわけではありません。
申請の一般的な流れは以下の通りになります。
補助金の申し込みを検討している方は、依頼する予定の事業者がZEHビルダー/プランナーとして登録されているか、補助金申請のスケジュールなどをあらかじめ確認しておくことが重要です。
質の高い家をお得に!「長期優良住宅の優遇措置」
長期優良住宅とは、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき、定められた基準を満たし、所管行政庁(都道府県や市など)の認定を受けた住宅のことです。
長く良好な状態で使用するための措置が講じられており、資産価値を維持しやすいという特徴があります。
長期優良住宅の認定を受けると、直接的な補助金制度ではありませんが、主に以下のような税制上の優遇措置を受けることができます。
・住宅ローン減税の拡充
前述の通り、借入限度額が一般の住宅よりも高く設定されます。(詳しくは住宅ローンの減税の項目をご参照ください)
・所得税の特別控除
住宅ローンを利用しない場合でも、性能強化費用相当額(上限あり)の10%を所得税から控除できます。
・登録免許税の軽減
住宅の所有権保存登記や所有権移転登記にかかる登録免許税の税率が、一般の住宅よりも引き下げられます。
・不動産取得税の軽減
住宅を取得した際に課税される不動産取得税について、課税標準からの控除額が一般住宅より増額されます。
・固定資産税の減額期間延長
新築住宅にかかる固定資産税の減額措置(通常3年間、マンション等は5年間)の適用期間が、戸建ては5年間、マンション等は7年間に延長されます。
これらの税制優遇により、住宅取得時および取得後の費用負担を軽減できる可能性があります。
長期優良住宅の判断基準は?
これらの優遇措置を受けるためには、まず建築する住宅が「長期優良住宅」として認定される必要があります。
認定を受けるための主な基準は以下の通りです。
性能項目 | 概要 |
---|---|
劣化対策 | 数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。 |
耐震性 | 極めてまれに発生する地震に対して、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷レベルの低減を図ること。 |
維持管理・更新の容易性 | 構造躯体に比べて耐用年数が短い設備や内装について、清掃や点検などの維持管理を容易に行うための必要な措置が講じられていること。 |
省エネルギー性 | 必要な断熱性能等の省エネルギー性能があること。 |
居住環境 | 良好な景観の形成、地域における居住環境の維持や向上に配慮されたものであること。 |
住戸面積 | 良好な居住水準を確保するために必要な規模の面積を持っていること。 |
維持保全計画 | 建築時から将来のことを考えていて、定期的な点検や補修に関する計画を立てていること。 |
認定を受けるには、住宅の建築工事の着工前に、設計内容等がこれらの基準に適合しているかについて、所管行政庁に申請し、認定を受ける必要があります。
申請には別途手数料がかかりますので、事前に確認しておきましょう。
「自治体による補助金・助成金」も見落とさずに
国の制度と合わせて必ずチェックしたいのが、お住まいの市区町村など、自治体が独自に実施している補助金・助成金制度です。
これらの制度は、国の制度の対象とならないケースをカバーしていたり、移住定住促進、空き家対策、地場産材の利用促進など、特定の地域課題に対応していたりすることが特徴です。
また、国の制度との併用が可能な場合もあります。
自治体独自の支援制度の例
補助金や助成金の制度内容は自治体によって異なるため、ここではいくつか例をご紹介します。
ご自身の自治体の情報や最新の制度内容については、必ず公式サイトや窓口で確認してください。
自治体 | 補助金制度 | 要件 | 補助金額 |
---|---|---|---|
東京都 | 東京ゼロエミ住宅 | 東京都が定める一定の省エネ性能を持つ住宅を都内に新築すること | 1戸につき40万~240万円 ※水準によって異なる |
千葉県千葉市 | 三世代同居・近居支援事業 | 千葉市内で親・子・孫の三世帯が1km圏内に同居するための住宅を新築すること | 1戸につき上限50万円 |
静岡県浜松市 | 天竜材の家百年住居る助成事業 | 浜松市内で製材および加工された天竜材を一定量使用し、市内に新築すること | 1㎥あたり2万円 ※上限40万円 |
鹿児島県薩摩川内市 | 定住住宅取得補助金 | 市内業者を利用し、指定地域内に200万円以上の住宅を新築すること |
1戸あたり20万~100万円 |
リフォームをご検討中なら!代表的な補助金制度
持ち家に関する国の支援は、新築だけではありません。
既存住宅のリフォームに関しても、特に省エネ化を目的とした国の補助金制度が充実しています。
ここでは代表的な制度を3つご紹介します。
制度名称 | 目的 | 対象工事/機器 | 補助金額 |
---|---|---|---|
先進的窓リノベ事業 | 高い断熱性能を持つ窓への改修により、エネルギー負担軽減、快適性向上を図る。 | ガラス交換、内窓設置、外窓交換(カバー工法・はつり工法) | 1戸あたり上限200万円 ※建物種別、窓の性能、大きさなどにより変動。1申請あたりの合計補助額が5万円未満の場合は申請不可。 |
給湯省エネ事業 | 高効率給湯器の導入支援により、家庭でのエネルギー消費量を削減する。 | ヒートポンプ給湯器(エコキュート)、電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器(ハイブリッド給湯器)、家庭用燃料電池(エネファーム) | 1台あたり6万~16万円 ※導入する機会に応じて変動。 |
既存住宅における断熱リフォーム支援事業 | 家庭のエネルギー消費を削減して、温暖化対策としての省エネを推進する。 | 断熱材、窓・ガラスなどの高性能建材を用いた断熱リフォーム、居間を中心に高性能建材を用いた断熱リフォーム | 1個当たり120万円など ※戸建住宅の場合。工事内容や導入設備によって変動。 |
最新情報や詳しい要件、申請の手続きについては、必ず該当の制度の公式サイトや窓口で確認しましょう。
【重要】「すまい給付金」は終了しています
住宅購入を検討されたことがある方なら、「すまい給付金」という制度名を聞いたことがあるかもしれません。
しかし、この「すまい給付金」制度は、既に受付を終了しています。
2025年4月現在、新たに住宅を取得する場合に「すまい給付金」を申請することはできませんので、ご注意ください。
すまい給付金の概要
参考までに、「すまい給付金」がどのような制度だったか、概要を簡単にご紹介します。
・目的
消費税率の引き上げ(8%→10%)に伴う住宅取得者の負担を緩和するため。
・対象者
収入が一定以下(消費税10%時は収入額の目安775万円以下)で、住宅ローンを利用しない現金取得者なども含め幅広く対象。
・給付額
最大50万円。
※収入や不動産登記上の持分割合に応じて変動。
この制度は消費税率引き上げへの対策という、一時的な措置であったため、目的を果たし終了となりました。
現在では、利用することはできませんので、持ち家に関する給付金や補助金などの利用を検討している方は、前述した現在利用可能な制度に目を向け、ご自身に合ったものを探しましょう。
火災保険の活用で「保険金」を受け取れる可能性も
これまで、国や自治体による補助金や助成金制度についてご紹介しましたが、少し視点を変えて、加入している「火災保険」から保険金を受け取れる可能性についても触れておきましょう。
持ち家をお持ちの方の多くは火災保険に加入しているはずですが、その補償範囲は、ご自身が思っているよりも広い場合があります。
火災保険の補償対象は火事だけではない
「火災保険」と聞くと、火事による損害しか補償されないと思われがちです。
しかし、契約内容によっては以下のような損害も補償対象となっていることが多いです。
・台風などの風災による棟板金の浮き、瓦のずれなど
・雪災による雨どいの破損
・壁や床などの破損
・地震による基礎部分のひび割れ
特に、台風や大雪などの自然災害による損害は、ご自身では気づかないうちに発生していることもあります。
もし心当たりのある損害があれば、まずはご自身の火災保険の契約内容を確認し、契約先の保険会社や代理店に相談してみましょう。
損害が補償対象と認められれば、修理費用などが保険金として支払われます。
ただし、請求には期限(※)があることと、損害額が免責金額(自己負担額)以下の場合は保険金が支払われないことなどに注意が必要です。
※損害の発生を知った時から3年以内に請求する必要があるのが一般的です。
【注意】火災保険申請サポート業者とは?
近年、火災保険の申請をサポートすると謳う「火災保険申請サポート業者」が増えています。
これらの業者では、契約者の代わりに保険請求に必要な書類の準備や作成を代行してくれるため、保険金請求の手間を省くことができます。
また、専門的な知識を活かして、より多くの保険金を受け取れるようサポートもしてくれます。
このようなメリットがありますが、利用には慎重な判断が必要です。
以下のようにデメリットも非常に多いため、利用を検討する前に必ず把握しておきましょう。
・高額な手数料がかかる 受け取った保険金の30%~40%程度という高額な成功報酬手数料を請求されるケースが多い。 ・悪質な業者が多い 火災保険では支払われない損害も請求金額に含めたり、故意に住宅を破損させたりして、高額な請求をすることも少なくない。 ・違法行為にかかわる可能性がある 契約者が知らないうちに、保険金詐欺などの違法行為に巻き込まれてしまうリスクがある。 |
火災保険の請求は、基本的には契約者自身で行うことができます。
もし手続きで不明な点があれば、まずは契約している保険会社や代理店に直接相談するのが最も安全で確実です。
それでも火災保険申請サポート業者への依頼を検討する場合は、手数料や解約条件などの契約内容を十分に確認し、複数の業者を比較検討することが重要です。
安易な契約は避け、慎重に判断することで、トラブルや不利益を回避しましょう。
持ち家の給付金や補助金を受け取れる支援制度を賢く活用しよう
本記事では、持ち家の取得やリフォームに役立つ国の補助金・税優遇制度、自治体独自の支援策、そして火災保険の活用まで、幅広くご紹介しました。
これらを上手く活用すれば、費用負担を大きく軽減できる可能性があります。
ただし、補助金や税制は対象要件や申請期間が細かく定められており、制度内容も年度によって変更されることがよくあります。
ご自身の状況や計画に合わせて利用できる制度がないか、必ず最新の情報を公式サイトなどで確認することが重要です。
申請手続きは複雑に感じるかもしれませんが、利用できる制度を見逃さないよう、本記事を参考に情報収集を進め、計画的に準備して賢く活用していきましょう。