住宅ローンの返済が難しくなった場合や、家を売却したくてもローンの残債がある場合などは、任意売却を検討する人も多いでしょう。任意売却は専門的な知識と経験が必要な取引なので、信頼できる相談先を選ぶ必要があります。
本記事では、相談先の種類や決め方のポイント、確認すべきことや注意点などを詳しく解説します。
この記事の目次
任意売却とは
任意売却とは、売却後も住宅ローンなどの借入金が残ってしまう不動産を、債権者である金融機関の許可を得て売却する方法です。
住宅ローンの滞納をそのままにしていると、債権者の申し立てによって、その不動産は競売にかけられてしまいます。競売の場合は通常の売却や任意売却よりも低価格で売却されることが多く、引き渡し時期なども所有者側の希望は反映されません。
そのため、競売にかけられる前に任意売却で売却するほうが、メリットが多いといえます。
任意売却をする際は、まずは金融機関に任意売却の許可をもらい、不動産会社に依頼をして買い手を探します。買い手が見つかったら、売却したい不動産に設定された抵当権を金融機関に抹消してもらい、売買契約の締結や引き渡しが済めば、手続き完了です。
関連記事:住宅ローンを返せない!それなら任意売却を検討しよう
任意売却を成功させるためには相談先が重要
任意売却は通常の売却と違ってさまざまな手続きや交渉が必要になるため、任意売却に関する知識と実績が豊富にある相談先を選ぶことが重要です。
任意売却は競売の期日までに完了しなければならないため、競売に関する知識をもっていることは重要な要素のひとつです。また、自己破産などの法的な手続きが必要な場合は、法律の専門知識も必要になります。
専門的な知識や経験が必要となる任意売却を成功させるためには、任意売却の取引経験が豊富にある不動産会社を選ぶことが重要です。有名な大手不動産会社や地域の一般的な不動産会社よりも、任意売却の売買実績が豊富な不動産会社を選ぶのがよいでしょう。
任意売却の相談先
任意売却について相談したいときの相談先は、主に次の3つです。
- 不動産会社
- 司法書士・弁護士
- 金融機関
ここではそれぞれの特徴を紹介します。
不動産会社
任意売却を得意としている不動産会社であれば、任意売却に関する知識や経験、実績が豊富にあるため、親身になって相談に応じてくれるでしょう。
不動産売買の実績はもちろん、任意売却に関する金融機関との交渉のノウハウや諸手続きの流れなどを熟知しているため、売却をスムーズに進められる場合が多いです。また、任意整理の相談ができる弁護士や司法書士の紹介に対応しているケースが多いのもメリットといえます。
任意売却を扱った経験のない不動産会社ではうまく対応できなかったり、そもそも断られてしまったりすることもあるので、任意売却の扱いに慣れた不動産会社を選ぶことが重要です。
司法書士・弁護士
法律の専門家である司法書士や弁護士も、任意売却の際の適切な相談先のひとつです。とくに任意売却を専門とする司法書士や弁護士の場合は、安心して相談できるでしょう。
任意売却後に住宅ローンの残債が支払えない場合は、任意整理や自己破産などの債務整理をするためにも司法書士や弁護士に依頼する必要があります。ただし司法書士や弁護士は不動産取引の専門家ではないため、実際の不動産売買の手続きに関しては、提携する不動産会社が行うのが一般的です。
また、司法書士や弁護士に相談する際には料金が発生します。とくに弁護士の場合は費用が高額になる場合が多いです。住宅ローンの支払いが難しいような経済状況の場合は、無料で相談できる不動産会社を探したほうがよい場合が多いでしょう。
金融機関
任意売却は住宅ローンを借りている金融機関の許可が必要になるため、金融機関に相談するのも方法のひとつです。金融機関に相談することで、住宅ローンの借り換えや返済方法の変更なども提案してもらえます。
ただし、なかには任意売却を認めない金融機関や、積極的ではない金融機関もあります。個人での交渉が難しい場合は、任意売却に詳しい不動産会社に同席してもらうのがよいでしょう。
また、金融機関から任意売却専門業者を紹介してもらえるケースもありますが、その場合は金融機関側が有利に働くように任意売却を進めることがあるため注意が必要です。
「一般の不動産業者」と「任意売却専門業者」の違い
「一般の不動産業者」と「任意売却専門業者」の違いは、「任意売却取扱主任者」という資格を保有しているかどうかが基準のひとつになります。
任意売却の手続きは、一般の不動産業者でも可能です。しかし、実際には専門的な知識をもって金融機関との交渉や手続きに臨む必要があるため、一般の不動産業者で任意売却に対応してくれるところは少ないでしょう。
対して任意売却専門の不動産業者は、任意売却の専門知識をもった任意売却取扱主任者が対応してくれます。金融機関との交渉や手続きだけではなく、任意売却に関するさまざまなサポートをしてくれるケースが多いです。
たとえば引っ越し先の紹介や引っ越し費用の交渉、残債の返却方法の交渉などにも応じてくれることもあります。
任意売却の相談先を決める4つのポイント
任意売却の相談先を決める際に意識すべきポイントは、次の4つです。
- 任意売却の実績が豊富か
- 専門家と提携しているか
- デメリットも丁寧に説明してくれるか
- 料金体系が明瞭か
それぞれについて、詳しく解説します。
①任意売却の実績が豊富か
任意売却の相談をする際は、任意売却の実績が豊富にある不動産会社や、任意売却を専門とする不動産会社を選ぶようにしましょう。知識や経験が豊富であれば、金融機関との交渉や売却活動、各種手続きなども安心して任せられるでしょう。
任意売却は、夫婦共有名義で住宅ローンを組んでいる場合や親が連帯保証人になっている場合など、ケースによって対応方法も異なります。任意売却の実績が豊富な不動産会社であれば、さまざまな事情を抱えたケースでも柔軟に対応できるでしょう。
通常の不動産売買をメインにしながら「任意売却も相談可能」としている不動産会社の場合は、任意売却の取引経験が十分にあるかを確認しましょう。任意売却の実績が少ない場合は、満足なサポートを受けられない恐れがあるため、慎重に検討することが大切です。
②専門家と提携しているか
任意売却後は、住宅ローンの残債を返済可能な方法で支払いを続ける必要があります。任意売却を専門とする司法書士や弁護士と提携し、任意売却後の支払いなどについて相談できる環境が整っている不動産会社を選ぶと安心です。
任意売却を検討している人は経済的に困窮しているケースも少なくないため、場合によっては任意整理や自己破産などの債務整理が必要となることもあります。これらの手続きは不動産会社の専門外になるため、法律の専門家である司法書士や弁護士と提携していれば、安心して相談できるでしょう。
③デメリットも丁寧に説明してくれるか
任意売却は競売と比べればメリットが多いものの、もちろんデメリットもあります。相談した際にデメリットも丁寧に説明してくれる不動産会社であれば、誠実で信頼できる可能性が高いといえるでしょう。
任意売却は売却後も残債があるため、支払いを続ける必要があります。また、任意売却をする際には住宅ローンの滞納によってブラックリストに入ってしまいます。キャンセルを恐れて依頼者に不利になることを説明しないような不動産会社は、不誠実であるといえるでしょう。
任意売却のデメリットもふまえて丁寧に説明してくれるかなど、相談の時点から誠実な対応であるかをしっかりと見極めることが大切です。
④料金体系が明瞭か
任意売却にかかる料金体系が明瞭であるかは、最初に必ず確認しましょう。任意売却では通常の売却と同じように、不動産会社への報酬は仲介手数料のみです。
相談した時点で手数料を請求してきたり、着手後にコンサルティング料などを請求してきたりする不動産会社は、悪徳業者である恐れがあります。仲介手数料以外の報酬請求は、宅地建物取引業法の違反になります。
任意売却を依頼した際にかかる料金について質問した際に、言葉を濁すなど返答がはっきりしない場合は危険です。依頼する際には、最初から丁寧に説明してくれる不動産会社を選ぶようにしましょう。
任意売却の相談で確認すべき3つのこと
任意売却の相談をする際に確認すべきことは、主に次の3つです。
- 売却完了までのスケジュール
- 任意売却後のローン返済について
- 引っ越しの費用と時期
それぞれについて、詳しく解説します。
①売却完了までのスケジュール
任意売却は競売と並行して進められるため、任意売却ができる期間には制限があります。任意売却をする際には、競売の開札期日の前日までに完了させなければなりません。
任意売却は完了までに10ヶ月程度かかるのが一般的ですが、ケースによって完了までにかかる期間は異なります。不動産会社に相談する際には任意売却ができる期間を確認し、スケジュールに十分余裕をもって販売活動を行うことが重要です。
②任意売却後のローン返済について
任意売却後もローン残債の支払い義務は残るため、返済方法や返済額は事前に必ず確認しておきましょう。返済については分割払いが可能で、無理なく支払えるように設定してもらえる場合が多いです。
不動産会社を通して金融機関に確認や交渉をし、事前に売却後の住まいや生活について見通しておくことが大切です。また、自己破産や任意整理が必要になる場合もあるため、不動産会社が提携する司法書士や弁護士にも相談しておきましょう。
③引っ越しの費用と時期
任意売却では、売却代金から引っ越し費用を出してもらえる場合もあります。あくまでも金融機関の善意であり、必ずしも引っ越し費用を出してもらえるわけではないので、事前に確認しておきましょう。
また、引っ越しを希望する時期も事前に確認しておくことも大切です。任意売却は競売と違い、引き渡し時期は所有者の希望に応じて融通が利きやすいメリットがあります。スムーズに任意売却を進めるためにも、引き渡し時期の希望を事前に不動産会社に伝えておくようにしましょう。
任意売却の相談をする際の注意点
スムーズに任意売却を進めるためには、気をつけるべきポイントがあります。ここでは任意売却の相談をする際の注意点を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
なるべく早めに相談する
任意売却を相談する際は、早ければ早いほど売却を有利に進められる可能性があります。任意売却は競売の開札期日の前日がタイムリミットとなるため、期日までの期間に余裕があったほうが、時間をかけて買い手を探せます。よりよい条件の買い手を見つけられれば、より高く売却できることもあるでしょう。
任意売却を検討する場合は、任意売却を得意とする不動産会社になるべく早く相談することが大切です。
しかし、着手が遅れたとしても、スピーディーな対応で期限に間に合うケースもあります。競売の開札期日が迫っていても任意売却を検討したいのであれば、諦めずにすぐに信頼できる不動産会社に相談してみましょう。
悪徳業者に気をつける
任意売却の業界には、残念ながら悪徳業者が存在します。万が一悪徳業者に依頼してしまうと、貴重な時間を無駄にしてしまうだけではなく、大切な自宅が競売で売却されてしまうかもしれません。
任意売却を考えている人は経済的に困窮しているケースもあるため、悪徳業者は経済的にも精神的にも追い詰められた状態の相談者に漬け込んでくる恐れがあります。高額な引っ越し費用を持ちかけて釣ろうとしたり、仲介手数料以外の費用を請求してきたりする場合は危険です。
また、「買い手がなかなか見つからない」「交渉が難航している」などと言っておきながら実は販売活動を進めておらず、競売の期日ぎりぎりに安く買い叩こうとするケースもあります。
相談の段階で不審に思う点がないか、しっかりと確認することが大切です。
関連記事:任意売却とは?進め方やメリット・デメリット、不動産会社選びのコツを解説
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任意売却を成功させるためには、信頼できる相談先を見つけることが重要なポイントになります。任意売却の取引経験が豊富で信頼できる相談先を見つけるには、不動産一括査定サービスの利用がおすすめです。
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