不動産重要事項説明書の中に「その他の法令に基づく制限」があります。

そこには「砂防法」という項目が含まれる場合があります。砂防法で指定される地域のことを、砂防指定地といい、都道府県ごとに若干の差はありますが、土地改変に対しての禁止事項が定められています。

砂防指定地域には、どのような土地が指定されるのか、また指定地域に宅地を造成するにはどうすればいいのかについて解説します。

砂防法とは?

自然災害や、河川の浸食などで地盤が不安定になり、土砂崩れや土石流を起こしやすい地域があります。そうした土地に、工事の手がはいり地形が変わってしまうと大きな気候変動のときに、致命的な災害に発展しかねません。

特に近年は、地震や台風による人的被害が深刻化しているため、各自治体の対応が急がれています。

砂防法は

あらかじめ危険とされる地域に工事などの禁止事項を設けることで、人命を守り環境破壊を防ぐ

ことを目的に制定、施行されました。

険しい山や流れの速い川が多く、昔から地すべりなどの被害を経験してきた日本特有の法律と言えます。

砂防法
◇土砂崩れの危険性が指摘されている地域
◇砂防ダムを備えている土地
◇治水を目的として土地の掘削などを制限した地域

「砂防指定地域」という

これは、国土交通大臣がおこなっている指定です。さらに、都道府県知事も管轄の砂防指定地域において、独自に制限を設定することができます。

中には、砂防指定地域に宅地を造成しようとするケースもあります。ですが、これらの地域はいわゆる危険地帯です。普段から、近づいたり土地の掘削を行ったりすることが厳しく、制限されている土地だと考えるといいでしょう。

わざわざ、危険性の高い地域に人が住むことを法律は許していないため、宅地の造成の許可も下りにくい地域です。

同時に、道を作ったり森林伐採することも出来ないため、多くの砂防指定地域は人の手が入っていない山奥などにあります。上流の土地をいじることで、河川災害の拡大を防ぐことも目的の1つです。

砂防指定地内で制限される行為

危険予防のため制限される行為があります

砂防指定地域のは、崖や河川に近い場所にあり土砂災害などの危険が高いことが予測されます。その予防のため、地形を変えることに繋がる行為は一切認められていません。

具体的には

◇宅地の造成
◇開墾
◇工作物を用いて砂防を継続する
◇河川の氾濫が予測される場所に土砂を廃棄する
◇竹林伐採または地面を引きずって運搬する
◇砂礫
◇鉱物の採集
◇不要に草を刈り取る

といったことが禁止されています。

その理由は、地盤が緩んだ場所に重機など人の手が入り土地が削られる、とさらに土地が不安定になり、結果災害の危険度が増すためです。特に、大雨などの際に多くの人の命が危険にさらされてしまいます。このような状況は、防がなくてはいけません。

必要があり、このような行為を行う場合は都道府県知事の許可が必要です。

ただし、法律による規定は一様ではありません。山や河川の状況はそれぞれ違い、各地の砂防指定地域の環境も一定ではないからです。制限されている項目も、場所により異なるのが実情です。

行為の判断をするのは、管理する都道府県です。他県であれば可能な宅地造成も、自身の居住地では認められていないこともあります。どの程度の制限が設けられているのかは、実際現場にいってみなくては分かりません。

地形や土地調査の結果を踏まえた上で、その土地に適した判断がくだされるのです。

砂防指定地を確認する方法

では、その土地が砂防指定地域か確認するには、どうすればいいのでしょうか。

土地の情報を得るために、最寄りの土木事務所を訪ねましょう。砂防指定地域の台帳は、県の規定により土木事務所が管理することになっているのです。

確認したい土地の住所や登記簿などを確認

窓口で住所を指定

その場所が砂防指定地域に該当する土地かすぐ調べることが可能

場所によっては、地図に明記されていることもあるので、より詳細な情報が得られるでしょう。

土木事務所の場所が分からない時は、自治体の総合窓口などで案内を受けることができます。「暮らしの便利長」のような冊子を、自治体が発行していることもあり、生活に必要な公の窓口一覧がまとめられていて便利です。

これらの冊子は、地域の役所が管理しているので申請すればもらえます。一家に一冊置いておくといざというとき役に立ちます。

さらに、より簡単な方法としては携帯で「○○県砂防指定地域」と検索すると、土地の一覧が出てくるので、時間がないならこの方法を試してみるのもいいでしょう。

ただし、土木事務所で管理されている台帳を調べてもらう方が、詳細な情報を知るのには一番です。まずはネットを使い、後日改めて窓口で調査を依頼するのが効率のよい方法といえます。

砂防指定地に家を建築するためには

土地代が安いため宅地に希望されるケースが多いのも事実

砂防法よって、砂防指定地に住宅を建てることは出来ませんが、土地代が安いため宅地に希望されるケースが多いのも事実です。コストの面から、危険を考慮した上、禁止地域に家を建てたい場合はどうすればいいのでしょうか。

方法としては、都道府県に申請を行い知事の許可を得ることです。知事が、宅地造成を許可さえすれば、その土地に家を建てることができます。

申請のための手続きは

各都道府県の指定する書式を入手
(住まいの県などのホームページを検索すれば必要な書式の説明を見つけられる)

必要事項を記入

書類申請

土木建築に関する条例に違反しないと判断されれば建設許可が下りる

中には既に宅地として土地改良が進められている地域であったり、調査の結果土地に対する改良が軽微と判断されれば、申請事態が必要ない場合もあります。ですが、新たに工作物を設置する際には追加で申請する必要があり、この点は注意が必要です。

詳しくは、自治体の砂防事務所という部署に、直接問い合わせてみましょう。

砂防指定地の固定資産税減額措置

災害危険地域である砂防指定地域は、どうしても土地の価値が落ちてしまい、土地の持ち主にとっては不利益となっている状態です。

土地も資産であり、価値が不当に下げられることは売却をする際などにデメリットとなります。そこで、土地所有者の負担を軽減する目的で固定資産税の減税措置が取られることが一般的です。

具体的には

上限2分の1として土地評価額が減額される

徴収される税額も低くなっている

ですが、2018年から2020年までの評価に限り、最終判断をする市町村長によっては減税に該当しないケースも出てくるようです。

砂防指定地のリスクも考えて検討しよう

砂防法によって指定された、砂防指定地域は基本的に宅地などへの利用は認められていません。
なぜなら、そのような地域は地盤が不安定で危険な地域だからです。

しかし、知事の許可を得ることさえ出来れば、宅地として利用することは可能です。

価格が安いなどのメリットもあるため、宅地として利用したいのであれば工務店などに相談してみましょう。工務店や建築事務所と相談すれば、土地改良の手段を講じてくれます。

ただ、価格も大きく一生の買い物です。慎重に情報を集めリスクなどについてしっかり考慮して検討しましょう。