住宅の建て方や建築に使われる建材の材質などは同じではなく、いくつかの種類があります。木造のほか、主に軽量鉄骨や重量鉄骨などを使った住宅が建てられているほか、RCやALCという表記を目にすることもあるでしょう。

そこで、今回はそれぞれの特徴について詳しく解説します。

ALCを敷く軽量鉄骨や重量鉄骨

建物の梁や柱に鉄骨を用いて建てられることが多いです。

鉄骨造は鉄筋コンクリートに比べて軽く、耐久性が高いことが特徴です。

建物の梁や柱に鉄骨を用いて建てられることが多い

鉄骨造の建物
■S造と略されることもある建築構造

◇SはSteelの略称
◇鉄骨の厚さによって軽量鉄骨と重量鉄骨の2種類がある
◇鉄骨造ではコンクリートを使わないため、全体に軽量化を図ることができ、しなやかな粘り強さがあるというのが特徴のひとつ
 
メリット
◇鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)より費用が安い
◇軽量鉄骨の部材は工場で生産されているため、品質が安定しやすい
◇軽量鉄骨と重量鉄骨にそれぞれ異なった特徴があるので、目的に合わせて選択ができる

デメリット
耐火性が低い
◇鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)に比べて遮音性が低い
軽量鉄骨
■鋼材の厚みが6mm未満の鉄骨

◇主に一般住宅や小規模店舗の建設に用いられている建材
◇軽量鉄骨の建築物は、細い鉄骨を多く使用することで建物の強度を出している
重量鉄骨
■鋼材の厚みが6mmを超えるもの

◇ビルや高層マンションなど大規模な建造物の建築に用いられる建材
◇軽量鉄骨に比べて太く大きい鉄骨を組み合わせることで、強さを保っている

鉄骨造でコンクリートの代わりに床や外壁、屋根などに使われるものとしてALCがあります。
鉄骨造にALCパネルが使用されている場合、ALC造(鉄骨ALC造)と呼ばれています。

ALC
■軽量気泡コンクリートを指す

◇スウェーデンで1920年代に開発された素材で、セメントや発泡剤のアルミ粉末、生石灰などを原料としている
◇ALCパネルは高温高圧蒸気養生という製法で造られ、不燃材料であるため火に強いという特徴がある
◇断熱性や遮音性にも優れているパネル材
 
メリット
◇普通のコンクリートに比べると軽い
防音性が高い
断熱性・耐火性が高い

デメリット
◇耐水性が低く、定期的に防水加工のメンテナンスをする必要がある
◇取り扱っているメーカーが少なく、価格が高い

日本古来の木造建築

日本で古くから家造りに採用されてきた造りといえば木造建築です。木は英語でWoodであるため、頭文字を配してW造と呼ばれます。

木造建築は文字からも想像できるように、主な構造部分に木材を用いる構造です。豊かな森林があり、木材の調達がしやすい日本では、木材は一般的な建材でした。また、木は湿度の高いときは湿気を吸い、乾燥すれば吸った湿気を放出します。

夏場は高温多湿になり、冬になると雪国以外は乾燥する日本の気候や風土に合った造りでもあるということです。そのため、木造建築は現代でも一戸建ての住宅や2~3階建てまでの小規模アパートなどの建築で多く採用されています。

現代でも戸建ての住宅や小規模アパートなどの建築で多く採用されている

W造
■木造建築

◇2×4(ツーバイフォー)工法のように面で建物を支える工法
◇柱や梁で造られた枠組みに斜めの筋交いを施して組立てていく木造軸組構造

メリット
◇ある程度柱の位置などを自由に配置することができるため、設計の自由度が高い
◇鉄骨造(S造)等に比べると木材そのものの重量が軽いこともあり、施工がしやすい
◇加工も容易であるため将来的にリフォームがしやすい

デメリット
◇木造軸組構造では、使用する柱や梁の本数が多く、間取りに制約ができてしまう
◇職人の腕や使用する木材によって人室が左右される場合がある

強化コンクリートを使うRC造

中層のマンション建設などに用いられることが多い

RC造
■鉄筋コンクリート造のこと
RCはReinforced Concrete(補強されたコンクリート)の略称

◇柱や梁部分、床や壁部分などが鉄筋とコンクリートを使って建てられている
◇実際には、鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込んで固めたものを使う工法
◇引っ張る力に強い鉄筋と圧縮や火に強いコンクリートという、異なるメリットを持つ素材を組み合わせることでお互いの弱点を補いながら強度を保っている

メリット
◇耐久性や耐震性が高いため、耐用年数が長い
◇コンクリートを使用しているので耐火性が高い

デメリット
◇コンクリートを流し込むという段階があるため、工期が長くなりがちで建築費用も高めになるという点
◇建物自体の重量が重くなるため、建てる土地の状態によっては地盤改良などが必要な場合もある

しかし、鉄筋コンクリート造は耐火性や耐震性、遮音性に優れている工法で、中層のマンション建設などに用いられることが多い工法です。

他の建築方法は何がある?

住宅の建築方法には、ほかにもいくつかの種類があります。

SRC造
■鉄骨鉄筋コンクリート造と呼ばれる構造
SRCはSteel Reinforced Concreteの略称

◇一見、コンクリートを使う鉄筋コンクリート造と似ているが、コンクリートで固めた中に鉄筋 だけが入っている鉄筋コンクリート造とは違い、鉄筋と鉄骨が両方入っている構造
◇鉄筋コンクリート造の強さと鉄骨造のしなやかさを併せ持っているのが特徴
◇実際の施工は、鉄骨を組んだ周囲に鉄筋を配置し、その周囲をコンクリートで固める
RS造
■RSはReinforced Steelの略称

◇壁や柱、床や天井など建物全体の中で下部にあたる部分だけをRC造で造り、上部は鉄骨造と呼ばれるS造など異なる造り方をする構造
◇主に中層マンションなどを建設する際に用いられる構造
◇コンクリートの使われている下層階と使われていない上層階で遮音性に違いが出ることがある
WRC造
■壁式構造と呼ばれることもある

◇柱や梁といったものは使用せず、天井と床、そして壁という面で建物を支えるという造りになっていることが特徴的
◇面で建物を支える造りであることから、開口部を大きく設けるということが難しいので、設計の自由度という点では低いといえる

他にも、合成樹脂造で建てられる家もあり、アクリル樹脂やポリ塩化ビニル樹脂、熱硬化性樹脂などを用いて建てられます。合成樹脂造は成形しやすく、建築費も安いというのがメリットです。

造りによる耐用年数の違い

建物の耐用年数はすべて同じように設定されているわけではありません。どんな構造で造られているかで違いがあるほか、住居用や事務所用、飲食店用など、どんな用途で使用する建物かによっても異なります。

耐用年数は用途目的によっても異なる

<住居および店舗用の建物でみた場合>

耐用年数
RC造 47年
鉄骨造 34年
木造 22年
軽量鉄骨造 19年

ただし、耐用年数が建物の実際の寿命を表しているというわけではありません。ここでいう耐用年数とは減価償却を考えるときの年数であり、税務上定められているものです。

そのため、税法上の耐用年数が過ぎたからといって、ただちにその建物に住めなくなるというわけではありません。しかし、年数が経過するにつれて傷む箇所もでてくるため、修繕が必要になるところも増えるでしょう。

一般的には木造建築よりも鉄骨造の方が寿命は長いといわれ、さらに鉄筋コンクリート造の方が耐久性の面でも高いとされています。

どの構造でもメンテナンスが重要でして、マンションであれば管理組合と管理会社で維持管理をするので一説には100年もつものもあるようですが、木造は一般的に一戸建てに使われることが多いので、所有者自らがメンテナンスを行うことが重要になります。

慎重に建築方法を選ぼう!

住宅の造りには古来の木造建築や鉄筋コンクリート造など、さまざまな構造があります。ただ、どんな構造で建築するかによって耐久性・防音性が異なるほか、どのくらい建築費用がかかるかも異なるのです。

そのため、それぞれの構造の特徴を踏まえて、メリットはもちろんデメリットもしっかりと把握しておく必要があります。また、どんな家を建てたいのかという目的によって、最適な建築方法は違ってくるはずです。

そのため、これから家を建てるのであれば、どんな家を建てたいかというビジョンをはっきりさせ、そのビジョンにあった建築方法を選ぶことが大切でしょう。