2020年に東京オリンピック開催を起点として、不動産価格は大きく変動するのではないかと予想されています。不動産をなるべく高値で売却するためには、不動産価格の変動幅をできるだけ正確に予測する必要があります。ここでは、オリンピックが不動産価格に与える影響について考察し、不動産を売却するベストなタイミングについて解説します。

不動産価格は株価と連動している!?

不動産の価格を予想することは簡単ではありません。いつ価格がピークに達するのか、それは神のみぞ知ることです。しかし、先行指標の動きに注目すれば、不動産の価格を比較的正確に予想することは十分に可能です。では、その先行指標とは何なのでしょうか。

実は、不動産の価格は株価と密接な連関があるといわれています。株価の動きに合わせて、不動産価格も変動するという側面があるのです。実際、日経平均株価の値動きと不動産価格の推移を見比べてみると、かなり似通った動きをしていることがわかります。つまり、株価が上がれば不動産価格も上昇し、株価が下がれば不動産価格も下落する傾向にあるのです。株価と不動産価格の推移には、およそ1~2年のズレがあります。すなわち、株価が上がると、それから約2年後に不動産価格も上昇するということです。この株価の動きを注視すれば、オリンピックを迎える2020年を起点に、不動産価格がどのように変動するのかある程度予測することができます。

もちろん、不動産価格の予測にはさまざまな情報が錯綜します。情報にいちいち惑わされてしまうと、価格予想も正確には行えなくなってしまいます。そのため、価格予想をするときは、情報を整理して冷静に判断することが大切です。

まずは株価のピークを見極め、その1~2年後を目安にマンションを売却できれば、高値で売れたといえるでしょう。

株価や不動産価格はどのように動くのか

株価や不動産の価格は、一度下落しはじめたら一気に下がります。

一度下落しはじめたら株価も不動産価格も一気に下がります

そのうち上がるだろうと思って静観していると、一気に価格が暴落して取り返しのつかないことにもなりかねません。一方、上昇するときはじわじわと上がっていきます。上りは徐々に、下りは一気にというのが株価や不動産価格の常識です。そのため、下がりはじめたら間髪を入れずすぐに行動に移すのが鉄則です。今がピークだと判断したら、迷いなく売却するという決断力を磨くようにしてください。

株価や不動産価格は、プロの投資家の一挙手一投足に大きく左右されます。プロの投資家たちは巨額の取引を日常的に行っています。下落のときはそういった投資家が一斉に撤退するので、落ちる勢いはすさまじいものになるのです。

個人投資家は逃げ遅れると取り返しがつかなくなるので、タイミングをしっかり見極めたら恐れず一気に売却するようにしましょう。

中古マンションの価格動向を見極める

マンション売却に際しては、中古マンション市場の動向もきちんと確認しておかなければなりません。

新築マンション市場の動向は逐一チェックしましょう

中古マンション市場は、新築マンション市場の動向に大きく左右される傾向にあります。もともと中古マンション市場というのは、新築マンションを買えなかった人がどっと流れ込んでくる世界です。そのため、新築マンションの価格が高い場合、その影響を受けて中古マンションの価格も上昇します。中古マンションの売却に最適な時期を見極めるには、新築マンションの価格動向を逐一チェックしておくことが重要なのです。

その新築マンション価格は、土地価格の影響を強く受けます土地価格が上がれば、新築マンションも上昇します。つまり、中古マンションの売却にとって、株価と同じように土地価格も先行指標の1つになるということです。しかも、土地価格は株価と連動して推移します。株価が上昇すれば土地価格も上がり、土地価格が上昇すると新築マンションや中古マンションも価格が高くなるのです。

複数の先行指標を把握することで、より正確な価格予想ができるようになります。マンション価格のピークを探るためにも、株価と土地価格を合わせてチェックするように心がけましょう。

オリンピックを起点にした株価の見極め

過去のオリンピック開催国を参照すると、オリンピック前後はほとんどの国で株価が上昇傾向にあることがわかります。

2000年開催のシドニーオリンピックや2004年開催のアテネオリンピック、また2012年開催のロンドンオリンピックなど、開催国の株価はオリンピック前後に上昇しています。オリンピックが開催された年だけでなく、その後の1年くらいは上昇傾向が続いています。

もちろん、2008年の北京オリンピックなど例外もあります。北京オリンピックが開催された中国では、2007年をピークに株価が上昇し、開催年である2008年には株価が大幅に下落しています。ただ、2008年はリーマンショックがあった年です。その影響で株価が大幅に下落したため、オリンピック開催の余波で株価が変動したわけではないと考えられます。

このように見ていくと、東京オリンピックも開催前後は株価が上昇すると予想できるでしょう。実際、投資家の多くは東京オリンピックが開催される2020年までは株価が上昇していくだろうと予想しています。そのため、不動産価格も2020年までは上昇していくだろうことが予想されます。

もちろん、これはあくまで予想に過ぎません。投資家のマインドは非常に不安定です。下落し始めたら急激に落ちていくので、あくまで予想の範疇だということを理解しておいてください。

オリンピック開催後は不動産価格が下落する?

オリンピックの開催から1年くらいは株価の上昇傾向が続くと予想されますが、マンションの売り時で見るとオリンピック後まで時期を待つのは避けたほうが良いかもしれません。

不動産価格はオリンピック後に下落する恐れが。。。

というのも、オリンピック後の中古不動産市場は値が下がるという予測がなされているからです。オリンピックのために建設された施設も、売れ残ってしまえばオリンピック後に値下げされて販売されることになるでしょう。オリンピックというプレミア感で高値が付いていた不動産も、オリンピックが終わってしまえば単なる売れ残りの不動産になってしまいます。

また、とりわけ都心部は空室率が高い地域です。空室率が高いということは、空いている不動産が多いということです。オリンピックの特需で不動産がたくさん建設されていますが、もし売れ残ればオリンピック開催後の空室率はさらに上昇することになるでしょう。人口減少傾向が続く日本において、空室率の上昇は不動産価格にも大きな影響を与えます。こうした空室率の状況も、オリンピック開催後に不動産価格が下落するという予想を裏付けているのです。

もちろん、オリンピック開催後でも高い価格で売れるマンションはあります。たとえば、都心の一等地に建っているマンションや希少性や利便性に優れたマンションなどは、オリンピック開催後でも相変わらず高い価格をキープすることができるでしょう。ただし、そうしたマンションはあくまで一部の好条件のマンションに限られます。

ほとんどのマンションはオリンピックの影響を受けると考えられるので、株価や地価の動向をしっかりチェックして売り時を見極めるようにしましょう。

マンションの売り時はいつなのか

マンションの売り時を見極めましょう

株価の状況や過去のオリンピックの動向を鑑みると、オリンピックが開催される前にマンションを売却するのがベストなタイミングだといえそうです。

ただ、株価は投資家のマインドを強く反映します。特に、投資家の恐怖心は大きく株価に影響し、これ以上損をしたくないと思えば一気に手を引くこともあります。そうした退避行動がオリンピック開催前に始まることも十分に考えられます。

そのため、売り時を見極めるためにも、株価の動向には特に注視しておいてください。株価の動向が読めれば、ベストなタイミングもおのずと見えるようになってくるはずです。