この記事の概要
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相続などにより所有した空き家を放置していると、維持管理費がかかるなどの問題があり早めに手放したいですよね。
また空き家を放置していると、建物の老朽化による危険性や罰則・罰金に発展する可能性もあります。
しかし、劣化が進んでいる建物はなかなか買い手が付かないのも現状です。
そこで「買取」を検討する方も多いかと思います。
こちらの記事では、空き家の買取がどのようなものなのかやおすすめの買取業者、国や自治体の取り組みなどについても詳しく解説していきます。
この記事の目次
空き家を放置しているリスク
空き家の数は年々増加しており、「空き家問題」が日本の深刻な問題の一つでもあります。
以下の総務省統計局の表から分かるように、1963年から2018年までの空き家数は約16倍に増加し
ます。
出典:「平成30年住宅・土地統計調査|結果の概要」(総務省統計局)
空き家を放置したままでいると以下のようなリスクがあります。
- 建物の老朽化による危険性
- 地域の景観への影響
- 不法侵入や盗難、放火のリスクがある
- 建物が倒壊、火災、害虫などの被害で隣人トラブルになる
近隣住民とのトラブルでは、損害賠償を請求される事態になる可能性もあるので対策を取りたいですよね。
また、空き家を放置した場合は罰則や罰金を請求される恐れもあります。
平成26年11月から「空き家対策特別措置法」が施行され、特定空き家に指定されると自治体から所有者に壊れている個所の修繕などの指導や命令を下すことが可能になり、従わない場合は、50万円以下の過料が発生するようになりました。
「特定空き家」に指定される空き家は以下のような状態を指します。
- 今にも倒壊しそうな状態の空き家
- ごみが放置され悪臭や害虫が発生したりしている状態の空き家
- 建物に落書きがあったり窓が割れていたりしている空き家
- 動物などが住みついている空き家
さらに自治体からの命令に従わなければ、行政機関が強制的に建物を解体してかかった費用を後から請求する「行政代執行」になるケースもあるため注意が必要です。
空き家の買取ってどのようなもの?
そもそも空き家の買取とはどのようなものなのかをご紹介していきます。
まず、不動産の売却方法には「買取」と「仲介」の2種類があります。
「仲介」は不動産会社を通して購入希望者を探し、売買契約を交わす売却方法です。
しかし、空き家の場合は老朽化が進んでおり「仲介」では購入希望者が見つからない傾向にあります。
対して、「買取」であれば不動産会社や買取業者が空き家を買い取ってくれるのでスピーディーに空き家を手放すことができます。
空き家買取の相場
空き家の買取価格は市場価格の5〜8割ほどが目安にはなりますが、物件の状態によって異なるため一概には言えません。
買取業者は買い取った物件をリフォームして再販するか、解体して土地として売るため、その費用を考慮し買取価格を決定します。
そのため、空き家の立地や建物の状態によって商品化にかかるコストも変わります。
また、買い取った空き家をどのように再販するのかは、不動産会社によって異なるため、複数社に買取を依頼しても、提示される買取価格は大きく差が出る可能性が高いでしょう。
空き家の買取におけるメリット
空き家の買取におけるメリットは、以下のものがあります。
- 古い空き家でも短期間で現金化できる
- 仲介手数料がかからない
- 解体費用がかからない
- 契約不適合責任が免責される
- 不要な家具・家財を無料で処分でき片付けの手間がかからない
古い空き家でも短期間で現金化できる
空き家の売却は築年数が古いほど買い手が見つかりにくくなる傾向にあります。
仲介での売却の場合、不動産会社を通して購入希望者を探し売買契約を結びます。
そのため、マンションの売却は1か月程度、一戸建てや土地の売却は1か月から6か月程度かかるため、売却が完了するまでには5〜9か月程度の期間がかかってしまいます。
対して、買取の場合は不動産会社や買取業者が物件を直接買い取ってくれるため短期間で現金化が可能です。
また、買取後にリフォームを行うことを大前提としているため、古い空き家でも問題ありません。
買取価格が決まれば、5日から1カ月程度で売却を完了できるので、手間をかけずに空き家を手放したい方や早く現金化したい方には得策です。
仲介手数料がかからない
仲介の場合は、不動産会社への成功報酬として「仲介手数料」が発生します。
対して、買取の場合は不動産会社や買取業者との直接的なやり取りになるため仲介手数料は発生しません。
ただし、間に別の仲介業者が入るケースでは仲介手数料が必要になるので注意しましょう。
解体費用がかからない
空き家を買取で売却した後、解体を行い再販するかは不動産会社の判断に委ねることになるため、こちらに解体費用は発生しません。
そのため、予め解体をしてから売却をするか悩んでいる方は、解体における出費やリスクを避けることができるので買取での売却が適していると言えるでしょう。
契約不適合責任が免責される
空き家を売却した後に、雨漏りやシロアリ被害、敷地に産業廃棄物が埋まっていたなどの問題が発生した場合は契約不適合責任に問われ、損害賠償や契約解除を求められる危険性があります。
しかし、買取での売却の場合は契約不適合責任が免責されることがほとんどです。
空き家に不具合があるか心配な方は、買取での売却が安心と言えるでしょう。
不要な家具・家財を無料で処分でき片付けの手間がかからない
空き家に不要な家具や家財が放置されており、整理する手段に困っている方もいるでしょう。
一般的に空き家売却時の片付けにかかる期間は3ヶ月〜1年以上と言われており、かかる費用は30坪の家で、不用品回収の場合は20万円ほど、遺品整理の場合は20万円〜60万円ほどかかります。
買取の場合は、買取業者が取り壊し前提で空き家を購入するため、空き家内に家具や家財が放置されていても無料で処分してくれるケースがあります。
不要な家具・家財を処分する費用や手間の負担を考えると、買取での売却であれば安心して任せることができるでしょう。
空き家の買取におけるデメリット
空き家の買取におけるデメリットもしっかりと把握したうえで検討に役立てましょう。
空き家の買取におけるデメリットは以下のものがあります。
- 売却価格が仲介よりも安くなる
- 必ず買取してもらえるとは限らない
- 空き家の買取に対応できる不動産会社を探す手間がかかる
売却価格が仲介よりも安くなる
仲介での売却よりも買取の場合は、売却価格が安くなる傾向にあります。
なぜなら、不動産会社は、空き家を買取後にリフォームや解体などの手を加えてから再販を行うからです。
そのため、それにかかる費用を考慮して買取価格が決められます。
必ず買取してもらえるとは限らない
不動産会社がリフォームや解体で更地にしたとしても、買い手がつきにくいエリアの空き家があります。
そのようなエリアでは、需要が低いため、買い取っても売れないリスクが高く、赤字になる可能性があります。
そのため、買い取ってもらえる確率が低くなるのです。
ただし、不動産会社の中にはそういった難しい条件の買取を専門としている業者もあるため、諦めずに他の会社を探してみると良いでしょう。
空き家の買取に対応できる不動産会社を探す手間がかかる
空き家の買取に限らず、全ての不動産会社が買取に対応しているわけではありません。
そのため、自分で空き家の買取に対応している不動産会社を探す手間がかかります。
以下の内容で「空き家買取業者を選ぶ際のポイント」と「空き家の買取におすすめの業者」についてご紹介するので参考にしてください。
空き家買取業者を選ぶ際のポイント
不動産会社によって特徴や強みは様々です。
実際に公式Webサイトなどを確認し、情報を収集しましょう。
その際、以下のようなポイントに注目し選ぶと良いでしょう。
- 売却したい空き家が建っているエリアの実績があるか
- 空き家の買取を得意分野としているか
- マンションや一戸建てなど対象とする空き家の種類と同じ買取を行っているか
- 引き渡し日や不用品の処分についてなど希望条件をかなえられるか
空き家の買取におすすめの業者
空き家の買取におすすめの業者をまとめました。
ぜひ参考にしてください。
会社名 | 対応可能エリア | 対応可能物件 | 特徴・強み |
---|---|---|---|
株式会社インテリックス | 東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県の首都圏エリア、大阪・札幌・宮城・愛知・福岡(各都道府県の一部エリアは除く) | マンション・一戸建て | 問合せから現金化まで最短1週間というスピード対応が魅力。汚れや経年劣化ありの物件、事故物件なども取り扱い可能。 |
京成不動産株式会社 | 東京・千葉(各都道府県の一部エリアは除く) | マンション・一戸建て・土地 | 自社で買い取れない不動産でも、好条件で買取可能な買取業者を探してくれるサービス「京成買取サポート」を提供している。なかなか買い手が見つからない不動産でも、最後までサポートしてくれる。 |
空き家の買取における国や自治体の取り組み
深刻化が進む「空き家問題」では、国や自治体が対策をとる取り組みも行われています。
法務省では、令和5年4月27日より相続や遺贈により取得した土地を引き取ってくれる「相続土地国庫帰属法」という制度が始まりました。
申請者の条件や引き取ってもらう土地の条件を満たし、管理に要する「10年分」の標準的な管理費用を負担することが可能であれば土地を引き取ってくれます。
しかし、その際に審査費用と空き家の解体費用がかかるのでその点を考慮したうえで判断したほうが良いでしょう。
また、国土交通省ではNPO法人や社団法人などの専門家と連携し、空き家の活用拡大に向けた取り組みも行っています。
民間事業者によって空き家の発生防止に向けて支援が行われていたり、各自治体ごとに、相談窓口の設置や実態調査の実施といった活動も行われており、ただの空き家だった場所を、実際にコミュニティやカフェとして活用するケースが増えているようです。
空き家買取の流れ
実際に空き家を買取で売却する際は、以下のような流れになります。
必要書類についても解説するのでしっかりと把握し準備しましょう。
- 依頼をする不動産会社を探す
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と買取価格等の条件をすり合わせる
- 必要書類を用意して売買契約を結ぶ
- 決済・引き渡しを行い買取が完了
依頼をする不動産会社を探す際は、買取に対応している業者を探しましょう。
また、査定を依頼する時は2〜3社に依頼をし、価格や対応などを見極めてから、どの業者に買取を依頼するかを決めると良いでしょう。
査定の方法には、空き家の築年数や構造などの情報をもとにおおよその査定額を出す「机上査定」と、実際に買取業者が物件を訪問し、周辺環境や建物の状態を確認したうえで正確な査定価格を出す「訪問査定」があります。
空き家の買取の場合は、最終的に訪問査定を受ける必要がありますが、まずは机上査定を依頼し、査定額を比較することがおすすめです。
不動産会社と価格等の条件をすり合わせる際は、買取価格のすり合わせだけでなく、物件内にある家財についてや引き渡しの日程、必要書類の説明なども行われます。
売買契約を結ぶ時までに必要書類を準備しておきましょう。
空き家の買取における必要書類
空き家の買取に必要な書類は以下の通りです。
各種書類 | 書類の説明 | 取得方法 |
---|---|---|
登記済証または権利証 | 物件の所有権を証明する重要な書類 | 不動産取得時に法務局より交付 |
登記簿謄本(土地、建物) | 不動産の登記内容を記録した公的な文書 | 管轄法務局の窓口で請求 |
固定資産税納付通知書 | 物件に関する固定資産税が支払われていることを証明する書類 | 毎年4~6月ごろに各市町村から送付 |
登記用印鑑証明書 | 売却に際して登記手続きを行うために必要な印鑑証明書 | 役所で取得可能 |
土地測量図面、境界確認書 | 土地の形状、面積、境界を正確に示した図面 | 全国の法務局で取得可能 |
公図 | 土地の所在地、地番、地目、境界、面積などの基本的な情報を記載した地図 | 法務局に保管されている |
住民票の写しまたは戸籍謄本 | 売主の身元を証明するための書類 | 役所で取得可能 |
収入印紙 | 契約書に課せられる税金を支払うために発行される証票 | 郵便局やコンビニ等で購入可能 |
この他に、「実印」と「身分証明書」が必要となります。
また、該当する場合は、以下の書類が必要です。
各種書類 | 書類の説明 | 取得方法 |
---|---|---|
耐震診断報告書 | 物件の耐震性能に関する情報を提供する書類 | 専門の建築士や建築コンサルタントなどが発行 |
エネルギー性能証明書 | 物件のエネルギー効率に関する情報を示す書類 | 住宅性能評価機関やエネルギー性能を診断した専門家が発行 |
空き家買取の注意点
空き家を買取で売却する際には、以下のような注意点があります。
事前に把握し、対策を取りましょう。
- リフォームやハウスクリーニングをしない
- 空き家を買い取ってもらう前に相続登記が必須
- 空き家の買取完了後は確定申告を行う
- 「空き家特例」で譲渡所得から3,000万円控除できる
リフォームやハウスクリーニングをしない
空き家の査定を行う前に、リフォームやハウスクリーニングを行ったほうが少しでも高く買い取ってくれるのでは?と考える人もいるかと思います。
しかし基本的に空き家の買取は、買取業者がリフォームや解体しての再販することを前提としているため、多少見た目が綺麗になっても査定価格に影響することはほとんどありません。
空き家を買い取ってもらう前に相続登記が必須
相続などで取得した空き家を買取で売却する場合は、必ず「相続登記」が必要になります。
相続登記とは、被相続人から引き継いだ財産の所有者を相続人に変更する手続きのことです。
各地にある法務局に必要書類を提出することで申請ができます。
その際、申請書類の取得費として数千円、登録免許税として固定資産税評価額の0.4%、司法書士への依頼費として約6〜10万円がかかります。
空き家の買取完了後は確定申告を行う
空き家の売却後は、翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行い、譲渡所得税を支払わなければなりません。
譲渡所得税とは、不動産等の資産を譲渡(売却)した際に生じた利益に対する「所得税」「住民税」「復興特別所得税」のことです。
以下の計算式で算出します。
譲渡所得税=譲渡所得×所有年数に応じた税率
税率は所有年数によって変動し、被相続人の所有していた年数も含みます。
所有年数 | 所得税の税率 | 住民税の税率 | 復興特別所得税の税率 |
---|---|---|---|
5年以下 | 30% | 9% | 0.63% |
5年超え | 15% | 5% | 0.315% |
「空き家特例」で譲渡所得から3,000万円控除できる
相続によって得た空き家で一定の要件を満たしていれば、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」が適用でき、譲渡所得から3,000万円が控除される可能性があります。
ただし、耐震基準を満たしている建物か更地に限られ、この特例の期限は現在のところ、令和9年(2027年)12月31日までに限られています。
空き家の買取は複数社に依頼をしよう
空き家をそのまま放置していると、様々なリスクが発生する可能性があるため、早期に手放すことを検討したほうが良いでしょう。
その際、仲介ではなかなか買い手がつかないため、買取がおすすめです。
また、不動産会社に買取を依頼する際は、複数社に依頼をし買取価格や対応を比較して見極めることも大切です。
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