不動産売買は、大きな取引であり契約です。そのため、契約違反をすればペナルティとして違約金が発生します。違約金は、取引する代金の何割という決め方をされているので、発生すればかなりの痛手になります。

このような事態を極力避けるために、違約金が発生する条件や種類などを理解しておきましょう。

違約金が発生するのはどんなとき?

不動産売買で違約金が発生するのは

◇不動産会社と媒介契約を結んでいる期間内に自分の都合で契約破棄をする
◇売買契約を締結したあとに自己都合で解除する
◇契約書の内容に違反する行為を取った

などです。契約をしたあとに、正当な理由ではなく自身の都合でそれを破った場合の損害賠償金が、違約金です。

違約金が発生する場合を知っておきましょう

不動産会社との、媒介契約の途中破棄による違約金については、すべての場合に発生するわけではありません。

■発生しない場合
◇一般媒介契約(複数社に仲介依頼できる)

■発生する場合
◇専属専任媒介契約
◇専任媒介契約
(一社のみにしか仲介依頼できない)

専属専任媒介契約や専任媒介契約では、不動産会社は売買先を見つけるため宣伝や営業活動に費用を掛けるため、期限内に一方的に契約を破棄すると違約金を支払う必要があるのです。なお両契約には、3カ月の有効期限があります。

発生する違約金の相場
仲介手数料の金額分に当たる売買成立価格×3%+6万

です。売主と買主が売買契約を結んでからの自己都合での破棄は、契約内容が履行される前であれば手付解除をし、賠償金を支払えば可能になります。手付金は、売買契約が結ばれた時点でその証として買主から売主に預けるものですが

■買主が契約破棄するとき
手付金を完全に手放す

■売主が契約破棄するとき
手付金の倍の金額を買主に支払う

手付金という、賠償金額の取り決めをあらかじめ行っておくことで、履行までの間ならスムーズに契約破棄ができる余裕を残しているのです。

また、契約が履行という段階に移ってから、破棄しなければならなくなることもあります。この場合は、契約不履行という違反行為になります。

■契約不履行違反

行ったほうは
売買価格の10~20%の違約金を 支払わなければならない

違約金の額は、契約書に記載されることが多く、契約不履行の内容によってはその金額以上の損害が出ることもあります。そのような時には、契約書に取り決めがあれば、超えた金額分を損害賠償金として、契約不履行をした相手に請求可能です。

契約違反には3つの種類がある

契約違反となる不履行は、内容によって3種類に分けられます。

契約違反となる不履行は3種類

履行遅滞
◇不動産を契約日になっても引き渡さない
◇引き渡されたのに代金を支払わない
◇契約書に記載された内容の履行が遅れる場合
不完全履行
◇履行されても契約書の記載通りではなく、一部の履行が欠けているとき
履行不能
売主か買主に事情ができて
◇契約そのものが実行できなくなった場合
◇履行不能の場合は起こればすぐに契約は解除

契約締結後、売主や買主が予期せず事故などに巻き込まれ、契約をすぐに実行できなくなることもあります。そのため、履行遅滞や不完全履行では、起こした瞬間に違約金の支払いを請求されることはなく、ある程度の猶予期間が与えられています。

その間に履行できれば、違約金の支払いは免れますが、それでもできなければ違反行為と判断されます。

トラブル防止のために賠償額の予定で違約金額を決めておく

違約金の金額を、賠償額の予定として契約書内で決定しておくと、トラブルは起きにくくなります。

■賠償額の予定

売主や買主が契約不履行を起こした場合に備えて、 起こりうる損害の予想から賠償する金額を決めること

それを、違約金の金額として契約書に記載しておきます。

決めずに契約を結ぶこともできますが、事前に話し合いや書面で予定金額を残していないと、いざというときにトラブルになりやすいです。あらかじめ、違約金を決定しておくことで、理不尽な金額請求を予防したり、請求する立場になれば正当な権利を行使しやすくなります。

実際に発生した違約金の金額が、契約書に記した金額より大きくても小さくても、記した金額を支払うことになります。

予め契約書に違約金の金額を記しておく

また契約書に、違約金の超過分の損害が発生した場合の項目を定めていなければ、損害額が違約金より多くても補償額は決定した違約金のままです。違約金が相場の範囲内で収まっていれば、損害額と違っても違約金が補償額として確定され、裁判所でも覆せません。

違約金の目安よりも高い違約金は払わなくていい?

違約金の金額は、売主と買主が話し合い承諾できれば自由に決定できます。しかし、いくら同意のもとでも相場を大きく超える金額は認められていません。民法では

相場を超えた金額を違約金に設定するのは公序良俗に反する暴利行為で無効

としています。また、消費者契約法9条1項でも

平均的な金額を超えた違約金は超えた部分が無効になる

と定めています。目安を超える不当な違約金は、たとえ契約書で決定してしまっていても払う必要はありません。

契約違反にならないための心がけ

契約違反を起こさなければ、違約金を支払うことはありませんが、そのためには契約を締結する前からの心構えが大切です。

不動産売買契約には、大きな決断と同時に細心さが求められます。重要な取引なため、細かい書類や手続きを何回も取り交わすことになりますが、その分、煩雑になりトラブルや勘違いが起きがちです。

契約書は細かい事柄が多く記載され、内容も専門的なので忙しいとつい読み流してしまうかもしれません。しかし、引き渡しの期日や金額を間違えて覚えていると、そのつもりはなくても履行遅延を発生させてしまう可能性があります。また、このような取引に慣れていない個人間だけで売買契約を結ぶと、契約書の内容自体に不備がでることもあります。

そのようなことが無いように、信頼できる不動産会社を探して仲介依頼し間に入ってもらい、トラブルを回避しましょう。

そして、違約金を支払わなければならない状況や気を付けるべきポイントについてしっかり理解し、そのような事態を引き起こさないよう慎重に行動しましょう。