マンションデベロッパーは、マンションの購入を考える際に重要なポイントのひとつです。しかし、「マンションデベロッパーとはそもそも何なのか」「企業によってどんな特徴があるのか」など、実は詳しいことは知らないという方もいるのではないでしょうか。

今回はマンションデベロッパーの概要やメリット・デメリット、大手・中堅の一覧を紹介します。選ぶ際の注意点も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

マンションデベロッパーとは

マンションデベロッパーのイメージ

ここではマンションデベロッパーの概要について、業務内容や、ゼネコン・不動産会社との違いをふまえて紹介します。

業務内容

そもそも「デベロッパー」とは、地域開発事業を行う不動産会社のことを指します。都市開発や地方部の再開発、リゾート開発、大型商業ビルの開発など、大規模な開発事業を行います。

マンションデベロッパーは、新築マンションの建築を中心に街づくりを進めていくのが主な業務です。具体的にはマンション開発のための土地の取得や開発計画の企画、完成後の街の管理などを行います。

「マンション群の建築計画を通して住宅地の拡大を図る」「タワーマンションの建築計画にあわせて周辺地域の開発を進める」というように、マンションデベロッパーは街づくり全体を担っています。企業によって事業内容は異なり、ひと口に街づくりといってもその特色はさまざまです。

ゼネコンや不動産会社との違い

ゼネコンは、マンションデベロッパーの計画案に沿って、実際に建築物の建設を行う建築会社を指します。不動産会社は、マンションや戸建て住宅の開発や建築事業ではなく、既存の宅地や建物の売買の仲介役を担います。

マンションデベロッパーがマンション開発の計画を立て、ゼネコンが建築業務を請け負い、完成した物件を不動産会社が販売する、という流れをイメージすると、それぞれの役割も理解できるでしょう。

マンションデベロッパー大手7社とは

マンションデベロッパー大手7社のイメージ

マンションデベロッパーにはさまざまな企業があります。ここでは「メジャー7」といわれる大手7社が展開するブランドと、その特徴について紹介します。

①住友不動産株式会社

住友不動産は、首都圏と近畿圏をはじめとした大都市圏を中心に、分譲マンション事業を展開しています。

都市型の「シティハウス」をはじめ、ハイグレードの「グランドヒルズ」、タワーマンションシリーズの「シティタワー」、閑静な住宅街向けの「シティテラス」など、さまざまなブランドを展開しています。ブランド名はもちろん、「住友不動産のマンション」としても認知度が高いです。

②株式会社大京

大京が展開する「ライオンズマンション」は、不動産経済研究所のデータによると累計供給戸数は34万戸を超え※、全国1位となっています。国内初のオートロックマンションの採用、グッドデザイン賞の取得などの歴史があり、中古市場でも根強い人気があるマンションブランドです。

穴吹工務店を子会社化してシェアを拡大したことや、オリックス株式会社の完全子会社となったこともあり、今後の動向が注目されています。

※出典:大京|全国累計供給戸数No.1・約34万戸

③東急不動産株式会社

東急不動産は、東急グループの不動産会社です。駅近の土地を取得しやすいため、東急沿線に好立地物件を展開しているのが大きな強みです。「ブランズ」というブランドを展開し、高層マンションの「ブランズタワー」、大規模マンションの「ブランズシティ」なども展開しています。

環境先進マンションとして、環境にも人にもやさしい「グリーンライフスタイル」を提唱しているのも特徴のひとつです。敷地内の緑化やEV充電器の設置、幅広い世代への暮らしのサポートなども行っています。

④東京建物株式会社

明治29年に創立した東京建物は、大手7社の中でもっとも長い歴史をもっています。東京建物が手がける再開発事業は、大規模なものが多いのが特徴的です。

新築分譲マンション「ブリリア」シリーズは、洗練されたデザインと安心して暮らせるサポート体制に力を入れています。また、ハイグレードな高層マンションの「ブリリアタワー」や、大規模マンションの「ブリリアシティ」などのブランドも派生して展開しています。

⑤野村不動産株式会社

野村不動産は、都市型の「プラウド」シリーズは洗練されたデザインが魅力で、グッドデザイン賞を15年連続で受賞しています。高層マンションの「プラウドタワー」や大規模マンションの「プラウドシティ」、郊外型の「オハナ」も展開しています。

定期的なアフターサービスだけではなく、コミュニティ活動のサポートや災害への備えなど、入居後も独自のサービスを展開しているのも大きな特徴です。

⑥三井不動産レジデンシャル株式会社

三井不動産レジデンシャルは、三井不動産グループの不動産会社です。スタンダードな「パークホームズ」をはじめ、大規模マンションの「パークシティ」、タワーマンションシリーズの「パークタワー」、都市型の「パークコート」、ハイグレードマンションの「パークマンション」などを展開しています。

三井不動産レジデンシャルは、時とともに「経年優化」していく環境の創造を目指す大規模開発を進めているのも特徴のひとつです。また、サポート体制も充実しており、年中無休のカスタマーセンターがあるため急なトラブルが起きても安心です。

⑦三菱地所レジデンス株式会社

三菱地所レジデンスは立地へのこだわりが強く、駅近などの好立地のマンションが多いのが特徴的です。とくに、スタンダードな「ザ・パークハウス」とハイグレードな「ザ・パークハウス グラン」は、都市部の一等地にあるものが多いです。

ほかにも都心型のハイグレードブランド「ザ・パークハウス グラン」や、コンパクト型の「ザ・パークハウス アーバンス」、郊外のファミリー向けの「ザ・パークハウス オイコス」など、さまざまなブランドを展開しています。

【デベロッパー】ブランドマンションの3つのメリット

ブランドマンション3つのメリット

ここではデベロッパーが展開するブランドマンションのメリットを3つ紹介します。

①資産価値を維持しやすい

デベロッパーが展開するブランドマンションは、購入後も充実した管理体制を提供しているため、築年数が経過しても大きく値段が下がらないのが大きなメリットです。

知名度や信頼感の高さなどマンションのもつブランド力により、各ブランドマンションには一定のファンや購入希望者がいます。人気の高さも相まって、ブランドマンションは一般的なマンションよりも資産価値が下がりにくくなるといえるでしょう。

中古で購入したとしても資産価値を維持しやすいため、将来的に「売却したい」「賃貸にしたい」という場合も、ブランドマンションであることが有利に働くでしょう。

関連記事:駅近マンションでも高く売れないことがある?資産価値が下がらない物件とは


②アフターフォローが充実している

デベロッパーが展開するブランドマンションは、自社のグループ会社がアフターフォローの対応も一貫して行う場合が多く、内容も充実している傾向にあります。自社の建物のことを熟知している会社が点検や修繕を含めた管理をしてくれるのは、心強いでしょう。

中古で購入したとしても、ブランドマンションであれば充実したアフターフォローを受けられるため安心です。

③設備や周辺環境が充実している

ブランドマンションは、ブランド力の維持のためにもデザイン部分にこだわり、最新設備の採用などにもコストがかけられています。洗練された外観や内装デザイン、床暖房や浴室乾燥機をはじめとした最新設備の採用など、ブランドイメージに合った暮らしを提供しているマンションが多いです。

プールやゲストルーム、会議室など、ブランドマンションならではの共用施設が充実している場合も多く、ブランドイメージを維持することで資産価値を下げないようにしています。

また、大手デベロッパーの場合はとくに周辺環境がよい場所に立てられることも多いです。エリア一帯を開発することで、マンション周辺がきれいな街並みになっています。

【デベロッパー】ブランドマンションの2つのデメリット

ブランドマンションのデメリットのイメージ

ここではデベロッパーが展開するブランドマンションにおいて、デメリットを2つ紹介します。

①購入価格が高い

ブランドマンションは、外装や内装、共用部などに高品質な建築資材を使用したり、最新の設備が備わっていたりと、ブランドの名前にふさわしいスペックとなってる場合が多いです。そのため、一般的なマンションに比べると、どうしても購入価格は高くなっています。

しかし、購入後は資産価値は下がりにくく、物件によっては資産価値が上がるケースもあるため、場合によってはそれほど大きなデメリットではないといえるでしょう。

②維持費がかかる

ブランドマンションは共用設備が充実している分、共用部分の維持費もかかります。豪華なパーティールームやラウンジ、ジムやキッズルームなどは魅力的ですが、たくさんの共用設備があってもすべてを利用するとは限らないでしょう。しかし、住民である限りは維持費の支払いが必要になってしまいます。

また、一般的なマンションと同様に管理費や修繕積立金などもかかるため、維持費が高くなる傾向にあります。

系統別のマンションデベロッパーの種類

系統別のマンションデベロッパーのイメージ

ここでは大手や中堅のマンションデベロッパーについて、系統別の特徴をそれぞれ紹介します。

財閥系のマンションデベロッパー

財閥系のマンションデベロッパーには、次のような企業があります。

  • 住友不動産
  • 三井不動産レジデンシャル
  • 三菱地所レジデンス
  • 安田不動産

三井住友や三菱、安田など、旧財閥系の企業が財閥系デベロッパーと呼ばれています。老舗企業が多く、知名度や信頼度の高さ、事業規模の大きさなどを生かした都市開発を行っています。

鉄道系のマンションデベロッパー

鉄道系のマンションデベロッパーには、次のような企業があります。

  • 東急不動産
  • 阪急阪神不動産
  • 近鉄不動産
  • 名鉄不動産
  • 相鉄不動産
  • 小田急不動産
  • 京急不動産
  • 名鉄不動産

自社が保有する鉄道沿線を中心に、マンション開発や都市のインフラ開発を行っています。鉄道沿線エリアの土地を取得しやすく、地域の人々からも信頼されていることが多いため、マンション開発や都市開発がスムーズに進められるメリットがあります。

金融系のマンションデベロッパー

金融系のマンションデベロッパーには、次のような企業があります。

  • 東京建物
  • 野村不動産
  • 中央日本土地建物
  • 日鉄興和不動産
  • ヒューリック

金融系のマンションデベロッパーは、金融系企業の子会社が派生して、マンションのデベロッパー事業を行っています。親会社である金融系企業の理念や強みに応じて、マンション開発のコンセプトもさまざまです。

商社系のマンションデベロッパー

商社系のマンションデベロッパーには、次のような企業があります。

  • 伊藤忠都市開発
  • 双日新都市開発
  • 住友商事
  • 丸紅
  • ナイス

商社系のマンションデベロッパーは、ひとつの会社が単独で建設するマンションブランドのことを指します。単独開発から共同参加に切り替える企業が増えており、新規開発は減少傾向にあります。

独立専業系のマンションデベロッパー

独立専業系のマンションデベロッパーには、次のような企業があります。

  • タカラレーベン
  • コスモスイニシア
  • 大和地所レジデンス
  • 穴吹工務店

独立専業系のマンションデベロッパーとは、あくまでも分譲マンションの開発をメインで行い、大規模な都市開発のような大きな事業は手がけていない場合が多いです。

マンションデベロッパーを選ぶ3つのポイント

マンションデベロッパーの3つのポイント

ここではマンションデベロッパーを選ぶ際に知っておきたいポイントを3つ紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

①経営が安定しているかを確認する

マンションデベロッパーを選ぶ際には、経営が安定しているかを確認しておくことが大切です。物件に何かトラブルが発生した際、デベロッパーの企業が倒産してしまっては、責任の所在が不透明になってしまいます。その先も十分なサポートを受けられない可能性があるため、経営状況をみて慎重に判断しましょう。

②シェアの高さや評判のよさを確認する

シェアが高いマンションは、「好立地である」「設備が充実している」「デザイン性が高い」「サポートやサービスの質がよい」など、多くの人がその物件に魅力を感じているといえるでしょう。また、そのデベロッパーに対しての信頼度の高さも伺えます。興味のあるデベロッパーについては、事前にシェアの高さや評判のよさを確認しておきましょう

③サポートが充実しているかを確認する

アフターフォローなどのサポートが充実しているマンションであれば、入居後に困ったことやトラブルがあったとしても、すぐに無償で対応してもらえて安心です。サポートが充実していない場合は、何かある度に問い合わせの手間や対応費用がかかってしまいます。デベロッパーによってアフターフォローの内容にも差があるため、必ず事前に確認しておきましょう。

デベロッパーの特徴を知り、後悔しないマンション選びをしよう

後悔しないマンション選びをするイメージ

ブランドマンションの購入を検討する際には、マンションデベロッパーの種類や特徴を知り、目的や理想に合った物件を選ぶことが大切です。

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