不動産の所有者や面積などは、不動産登記簿に記載されるシステムです。しかし、何らかの理由で閉鎖されている場合、閉鎖登記簿になります。ここでは、閉鎖登記簿とはどのようなものか、閉鎖登記簿の利用方法と謄本の取得について詳しく説明します。
この記事の目次
不動産の閉鎖登記簿とは
不動産の、過去の情報を調べるためには登記簿を確認する必要があります。登記簿に載っていない不動産情報を調べたいときは、閉鎖登記簿から情報を得ることが可能です。
建物
取り壊されて滅失したとき焼失や流出の際
土地
合筆によって地番がなくなったような場合
不動産登記簿のデータ化
磁気ディスクの登記簿に置き換えられるのに伴い、従来の紙の登記簿が閉鎖される
このような場合に、その登記簿は閉鎖登記簿になります。閉鎖登記簿には保存期間が定められています。
50年間
■建物閉鎖登記簿の場合
30年間
■昭和63年7月1日以前に閉鎖された土地・建物
20年間
希望すれば、閉鎖登記簿の閲覧や謄本の交付を受けることもできます。
登記簿をコピーしたものは、登記簿謄本と呼ばれます。また、データ化によって磁気ディスクで管理されている内容を交付してもらう際は、原本が存在しないためプリントアウトしたものを、登記事項証明書と呼びます。
閉鎖登記簿はどんなときに利用するか
登記簿に載っていないときには、閉鎖登記簿を確認することがポイントです。
不動産の過去の状況や、所有者に関する情報を知ることができる
例えば、購入しようとしている土地が、過去にどのような使われ方をしてきたのか調べることが可能です。化学工場の跡地ではないか、また産廃場の跡地ではないかなどを知ることができます。
これまでに、どのような使われ方をしてきたかによって、地盤の強さは大きく変わります。これから建物を建てる場合、以前は畑だったのか沼地だったのかなど、用途を記した「地目」をしっかりリサーチしておくことが重要です。不動産会社によっては過去の状況を調べてくれることもありますが、調査義務はないため調べてくれない不動産会社のほうが多い傾向にあります。
山の中や人目につきにくい場所の場合は特に、過去にどのような使われ方をしてきたのか気になる人も少なくありません。土壌汚染などの心配がなく、安心して購入できる土地を探している場合は、閉鎖登記簿を取得して目を通しておくと安心です。
また、権利関係に争いがあるような場合、どのような変遷を経て現在の所有者になったのかなども知ることができるので、必要に応じて交付してもらうと良いでしょう。
売買契約後に、地目に関するトラブルが発生ても媒介業者に責任を問うことは困難です。そのため、売買契約を済ませる前に、自身で地目に関して下調べをしておく必要があります。
閉鎖登記簿に記載されている内容
閉鎖登記簿謄本は
表題部
- 不動産の物理的状況が詳細に書かれているのが特徴 所在および地番や地目、地積や登記の日付などを確認することができる 新築や取り壊しなどによって物理的状況が変わる場合は、1カ月以内に登記を済ませておかなければいけない
※流れとしては、表題部の登記を済ませてから権利部の登記をするのが一般的
不動産の権利関係が記載されている
■権利部(甲区)
- 所有権保存登記・所有権移転登記・処分の制限などが記録されるのが特徴 現在の所有者が誰で登記の目的が何であるかが把握できる
■権利部(乙区)
- 必ずしも記載されているとは限らない 抵当権・根抵当権・貸借権の設定など権利者以外の権利について記載される
※該当しない場合は記載されることがない
閉鎖登記簿は、すでに存在しない不動産または登記記録が、他の登記記録に移されている場合などの情報が記されているため、新たに情報が付け加えられることはありません。
不動産の所有者や面積などは、不動産登記簿に記載されるシステムです。しかし、何らかの理由で閉鎖されていると閉鎖登記簿になります。
閉鎖登記簿謄本の取得方法
閉鎖登記簿は、登記簿のようにコンピューター化されていないので、取得するためには不動産の所在地を管轄する法務局に出向くか、郵送で請求します。登記簿のデータがコンピューター化されていないため、オンライン請求をすることはできません。
住所と氏名を記入
↓
土地または建物のどちらかにチェック
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所在地の記入
↓
「合筆、滅失などによる閉鎖登記記録」または
「コンピューター化に伴う閉鎖登記記録」のどちらかにチェック
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請求
(600円程度の手数料がかかる)
申請書は法務局の窓口にあるので、手数料さえ持参すれば誰でも簡単に申請することができます。土地との関係性や資格も不要なので、他人でも閲覧や入手が可能です。
閉鎖登記簿と土地台帳の違い
不動産の過去の情報を知るためには、土地台帳を調べるという方法もあります。
土地台帳
↓
1960年の不動産登記法の改正によって、現在の登記簿と一元化されたため土地台帳は廃止
現在は法務局で保管されています。そのため、閉鎖登記簿と同様に法務局で閲覧したり、写しの交付を請求したりすることが可能です。ただし、土地台帳の写しの申請書はないので、登記資料の申請書の空欄に「土地台帳写し」と記入して提出する必要があります。
閉鎖登記簿と土地台帳の違いは、書類が作られた目的や発生の経緯にあります。
閉鎖登記簿
2つの書類には重複する内容が多いことから、一元化されたという経緯があります。
田・宅地・池沼・山林など、不動産登記法に定められている地目と土地台帳で使われていた地目には、共通しているものがたくさんあります。同じ場所で取得できることと、過去の土地状況がわかる点は、共通しているといえるでしょう。
閉鎖登記簿で土地の履歴を調べてみよう
宅地造成地を購入するような場合、土地の素性を調べるためには自身で閉鎖登記簿の申請書を提出し、取得するしか方法はありません。閉鎖登記簿は、不動産情報に特化しているので収集に役立ちます。
閉鎖登記簿に記載されている内容や、利用方法を知っておくことで不動産売買におけるトラブルを防ぎつつ、スムーズな取引をすることができます。ただし、情報が保存されている期間が決められているので閲覧や謄本の交付はタイミングが大切です。
建物を建てる際には閉鎖登記簿を利用して過去にどのような使われ方をしていた土地なのかをしっかりと確認しましょう。