瑕疵担保責任免責(かしたんぽせきにんめんせき)という言葉をご存じですか?不動産を売却する前に知っておいて欲しいキーワードの一つですので、知っていきましょう。

瑕疵担保免責とは?

不動産売買の契約条項には『瑕疵担保責任』(かしたんぽせきにん)というものがあります。これは不動産取引だけのものではありません。しかし、不動産取引には高額な取引となるため、問題になるケースが多いのです。

簡潔に言うと、売買成立時点では見つからなかった、見つけることは不可能だった瑕疵(問題や欠陥、不具合という雨漏りや水漏れ、シロアリ被害など)については売主側が責任を持ちます、と言うものです。

責任の取り方としては

  • 買主側からの契約の解除 買主が瑕疵を発見してから1年以内に売主に申し出れば契約の解除が出来るというものです。
  • 売主の全額負担により瑕疵を修復、改善する 同じく買主が瑕疵を発見してから1年以内に売主に申し出た場合、売主の負担により瑕疵を修復、改善しなければなりません。

契約時にきちんとした確認を双方がして明記していない場合、大きなトラブルに発展する可能性が大きいので注意が必要です。  

こんなことも・・

例えば、あなたが念願だった一戸建て住宅を、築15年の中古とはいえ仲介業者から購入したとします。契約〜決済、引き渡しが無事終わり、引っ越しをして6か月の間、何の問題もなく暮らしていたとします。

そんなある日、ふと2階の天井を見上げると何やらシミが。その前の日から雨が降り続いていました。「なんだろう・・」と思いながらも様子を見ることになります。翌朝そのシミから水滴が落ちて、その下にある買ったばかりの大型テレビが水浸しに…。 

つまり、雨漏りが発生して天井とテレビを壊したということになります。この『雨漏り』がいわゆる瑕疵(欠陥)とそれによる被害になるわけです。「住宅を購入してわずか半年で、雨漏りが発生」となると、あなたならこれをどう思いますか?

仲介業者に連絡して、雨漏りの完全な修理とテレビの弁償を売主にしてもらうよう申し出るでしょうか?

答えは契約書の中にあります。 

契約書の内容はきちんと目を通しておこう

契約前と契約時に仲介業者の宅地建物取引主任者と担当営業マンに説明を受けていたとします。「今回の不動産契約は中古住宅という事で、売主には『瑕疵担保責任』は免責が妥当です。ただし、売主の好意で3か月間はもし何かあればこちら(売主側)で責任を持ちます。」

と説明されていて、契約書にもその通り記載されていました。つまり『売主は欠陥や問題、不具合を3か月以上責任は負えませんよ』という事になっていたため、今回の入居後6か月目の雨漏りについてあなたは売主に対して、損害を賠償してもらう事は出来ないということです。

このような場合ですと、やるせない気持ちになりますよね。

今の例は、売却したい方が逆の立場で考えてみていただきたいところです。元に戻って、この話が売主側だったらどうでしょうか?ホッと胸をなでおろしませんか?契約書にきちっと瑕疵担保責任の免責事項が明記されていたのですから。 

中古物件は期限付き

ところで、みなさんはネットのオークションで何かを買ったり売ったりすることはありますか?オークションの商品説明文の末尾に大抵書かれている一連の文章があります。『この商品は中古なので神経質な方の入札はお断りします。購入は自己責任でノークレーム・ノーリターンでお願いします』

このような文章を見たり、書いたりしたことはありませんか?実はこれが『瑕疵担保責任』の免責をうたう文章なのです。

中古物件売却の場合、築年数によって瑕疵担保責任の免責の度合いが変わってくる場合もあります。築3年と築30年で同じ責任範囲では、建物は経年劣化で自然と壊れたりもろくなったりしてくるため、合理的ではないからです。

築30年の物件を売却するのに、これから先10年責任を持てと言われたら誰も怖くて売却できません。民法上では、「10年の間に買主が瑕疵を発見してから1年以内に売主に要求すれば認められる」ことになっています。しかし、これでは怖くて家なんて売れません。

なので、不動産業界では慣習として中古物件の瑕疵担保責任については期間を制限した形で記載しているのが一般的です。

もしあなたが5年以上お住まいの家(マンションも含む)を売却するなら、瑕疵担保責任は免責(責任を負わない)か長くても3か月が一般的です。先ほど説明した築年数の度合いがあってもこの程度の期間です。 

「瑕疵」とは「引き渡しの時点では見つからなかった、見つけることは不可能だった」問題や欠陥、不具合です。なので、引き渡し前によくお互いに確認してこれらを見つけ出し、改善してから引き渡すことが問題の発生を未然に防ぐ策となるのです。

中古不動産の場合の瑕疵担保責任は基本的に免責

先にも書きましたが、みなさんが売主になる様な中古不動産の場合は、不動産仲介業者は通常、瑕疵担保責任の免責条項を契約書に入れ、買主に対してもきちんと説明してくれます。基本的に個人が売主の中古不動産の場合、一般的には『現状有姿』という形態です。

読んで字の如く、「売る時の状態のまま売りますよ、その後は買った方の自己責任でお願いします。」ということです。つまりこの『現状有姿』の場合は保証期間0年=瑕疵担保責任は無い、ということになります。

もし、売却を考えている、若しくは既に頼んでいる場合は、このことを必ず契約前に確認してください。仮に業者が保有し、販売する中古住宅の場合でも国土交通省の調査では約70%が2年の瑕疵担保責任の保証期間です。

中古物件というのは『誰』が、『どのように住んでいたか』は計り知れないので、その劣化状態を保証できない・・ということなのかもしれませんね。

ただ、最近は『心理的な瑕疵』という言葉もあります。それは今までの説明していた瑕疵の定義からは外れますが、例えば、その物件で自殺や殺人などがあった場合です。それを購入後知った買主が契約の解除を申し出て、『心理的な瑕疵』ということで正式に解除になったというケースもあるそうです。 

こういった死人が出たという内容は、現在は重要事項説明に記載されるべき事項なので、伏せたままでは契約は出来ませんし、もし知っていて隠していた場合は通常の瑕疵担保責任ではなく、悪意ある隠ぺいとして処理されます。

しかし、最近はこうした瑕疵の解釈が拡大傾向にありますので、売却を検討される場合は、不具合や欠陥、売却には不利になるかなと思うような情報も正直に伝えることが大事です。  

瑕疵担保責任の期間は?

個人が売り主の場合、契約で瑕疵担保責任を免責することは法律上は全く問題ありません。そして、通常個人の場合、瑕疵担保が免責の場合がほとんどです。また、免責ではない場合は3ヶ月間となっている事が多いです。

もし契約書に瑕疵担保を負わないという条文が無いと、民法の規定となり、瑕疵担保期間は「瑕疵を発見した時から1年」となり、実質的にはエンドレスとなります。このようにエンドレスの責任を売り主は負いたく無いので、できるだけ短い瑕疵担保期間を設定し、契約書にすることがほとんどです。

しかし、宅建業者が個人相手へ物件を売る場合は、瑕疵担保期間は2年以上としなければならないルールです。瑕疵箇所は購入する人も見えない箇所になりますが、売却する人にとっても見えない部分なのです。

マンションの場合

瑕疵の部分については、何か不具合が発生しても、きちんと判断する必要があります。

例えば、マンションを売却した場合。常識的には、白アリは考えにくいです。雨漏りは考えられますが、マンションの場合躯体(くたい)は共用部分になるので、管理組合の問題になります。雨漏りの場合、外から雨が侵入してくるので、必ず躯体が関係してきます。

そのため対処するのは管理組合になるということです。個人で保証する部分では、給排水管になります(専有部分の中にあるため)。ここは、各区分所有者が責任を持つことになり、必然的に売主の保証が必要になるのです。

もちろん戸建ての場合は、躯体も含め売主の保証になります。

土地にも瑕疵はある

土地でも、瑕疵はあります。昔使っていた浄化槽や基礎のコンクリートなど不要なものが地中に埋まっている場合、撤去するのに費用が発生します。この部分は、瑕疵担保責任となるので注意が必要です。

売却するなら知っておきたい「瑕疵担保免責」

売却活動しているときに、広告で瑕疵担保免責と明示する場合があります。例えば、売主が任意売却などで売却している場合には、瑕疵の保証ができないケースがほとんどです。後で瑕疵部分が発見しても、保証する費用が捻出できないからですが、その分、価格も下がるケースが多いです。

中古住宅で利用できる住宅瑕疵担保責任保険

最近では、瑕疵担保責任のトラブルも少なくありません。売主にとってはかなりのストレスになります。また、買主にとっても、安心できない買い物になってしまうので、ストレスでしょう。それでは、中古住宅の流通の妨げになります。

そんなストレス部分を取り除く方法として、保険が生まれたのです。大手の不動産会社は、販売時に最初から保険を付けて販売している会社もあります。これなら、売主も買主も安心です。何かあっても、交渉することで嫌な思いをすることもありません。

それが、住宅瑕疵保険です。

保険期間も半年、1年、2年など、選ぶことができます。売主さんの瑕疵担保責任は、3か月と売買契約書の約款に書いているので、期間は半年でもよいかと思います。ここは、売主、買主双方にメリットがあるように、保険をうまく利用することが良いでしょう。

瑕疵担保関係のトラブル事例

千葉県の戸建ての取引での例

600万円で売買締結。すると、買主から連絡が来ました。白アリが発生していると。確認すると、白アリにかなりやられています。瑕疵担保責任の期間内だったので、売主が白アリの補修、駆除など行うことになりました。

このときに、かかった費用は200万円。結局、売却活動しているときはわからず、後からわかった話です。大きな出費となる取り引きとなりました。

中古マンションでの取引の場合

バルコニーの防水シートが、少し剥がれていました。これは、現地を確認し、現象も確認しました。しかし、バルコニーは共用部分になります。これは、管理組合に打診して確認してもらい、対応をお願いしました。大規模修繕までは、暫定処置で大規模修繕時にきちんと主膳するようでした。



まとめ

このような問題が起きることが多いわけではありませんが、取引される双方のストレスになることも間違いありません。先にも述べた、保険などを上手に利用されることが良いでしょう。

  • 売り主が個人の場合は瑕疵担保責任が免責する場合がほとんど
  • 瑕疵担保責任の保険もあるので活用した方が良いでしょう。