不動産売買では、いつも多額の金銭が動きます。時には一生分の給料と言っていいほどの高額な不動産もあるでしょう。一方、土地によってはとてつもなく安い金額の場所もあります。

自分が所有している土地でも時勢により価格はさまざまで、いざ売却しようとしても何を基準にすればいいのかわからなくなりがちです。そのようなときに役に立つのが「実勢価格」です。

ここでは、この実勢価格について説明していきます。

実勢価格とは

実勢価格とは、ある土地の平均的な価値ということです。しかし、これだけではピンとこない方もいるかもしれません。実勢価格を理解するためには、バックグラウンドとして土地の価格の特性について知っておく必要があります。

土地の価格は、さまざまな要因が引き金となり簡単に変動します。オリンピックや万博、国際情勢の変化など、あらゆるイベントが複雑に関係しあって土地の価格に影響を及ぼします。このような事情もあり、土地の価格というものは一定ではありません。

なおかつ、土地にはそれぞれ特徴があり、それによっても全然値段が違うこともありなかなか相場観がつかみにくいものです。

実勢価格はその土地の平均的な価値

仮に、たばこなどであればひと箱400円程度ということが相場としてわかりやすいでしょう。これは、たばこの価格が全国一律だからです。たばこを管理している会社が限られており、その会社がたばこの相場観をコントロールしていることもあり、消費者にとってもわかりやすい値段となっています。

もしも、たばこを扱う業者がたくさん溢れかえると、A会社のたばことB会社のたばこで大きく値段が違ってくる可能性もあります。これは、たばこを扱う会社の営業状況などの要素がたばこの値段を上下させるのですが、商売の元栓となる会社の数が多いので、その分だけ変動する可能性も高くなるのです。

土地の売買とはいわば、扱う会社が増えすぎたたばこの売買のようなものです。たばこ商売の元締めが増える、つまりたばこの値段を決定できる立場の人が増えれば増えるだけ、価格の変動が激しくなり一定しないということです。こうなると、A会社で買うたばこは100円、B会社で買うたばこは500円となり、消費者が相場観を掴みにくくなります。

土地の相場観がつかみにくいカラクリはこういうことです。それでも土地の相場観を持っておきたい場合に利用されるのが、実際の売買の記録から平均値を出すという手段です。

たばこで例えれば、A会社で買うたばこは100円のときもあれば400円のときもあります。このとき、A会社で買うたばこの相場は250円ということが言えます。250円の相場で、たばこが100円の時に購入すれば得します。売る立場からすれば、相場が400円のときにたばこを売れば得します。このように各取引の平均値をだせば、全体的な相場感はわからなくても、ある限定された部分での相場観はつかめるようになります。これが実勢価格の仕組みです。

実勢価格は、過去の取引の積み重ねが多いほど精度が増し、実勢価格が安定すればするほど価格が固定しやくなるという特徴があります。

実勢価格と公示価格

ある土地の取引の結晶とも言える実勢価格ですが、不動産の売買において「公示価格」という言葉も度々使われます。

公示価格とは、国土交通省が定める公的な土地の評価額です。国が決めている土地の価値ということですが、これは標準地にしか設定されていません。国が隅から隅までくまなく土地を評価することは極めて困難であることから、このように国が認めた土地については価格が設定されています。

これは、全国どこでも金銭的な価値のある土地ばかりではないということを表しています。公示価格は、国による適正な土地の評価から価格が導き出されており、全国一律に設定されています。

実勢価格は取引の平均値から算出されますが、公示価格については価格の根拠となる条件にひとつずつ照らし合わせて算出されます。

公示価格は、実勢価格に比べて客観性の高い価格と言えます。公示価格はある年の1月1日時点の価格を基準として、毎年3月に発表されるものです。購入するタイミングが少し違うだけで売買の代金や税金が変わることも知っておくとよいでしょう。ちなみに、公示価格のおおまかな相場は実勢価格の90%程度となります。

実勢価格と路線価

路線価という言葉は、実勢価格・公示価格とならび頻繁に不動産関係で使用されています。

路線価とは道路1平方メートルあたりの土地の価格であり、相続税や贈与税などの課税を計算するために利用されます。国土交通省が定める公示価格とは違い、路線価は金融関係の流れをコントロールしている国税庁が価格を定めます。

仮想通貨にかかる税金などを取り決めるのが国税庁というイメージがありますが、国税庁の動きは不動産関係の税金にも深く関係してきます。

路線価は国税庁が価格を決める

路線価には大きく分けて2種類あり、ひとつは相続税路線価、もうひとつは固定資産税路線価です。

相続税路線価は、相続税の課税基準となる価格のことで、この価格を元に相続税が計算されます。これも国税庁が定めるものであり、全国一律の金額となります。

価格は年一回の更新で1月1日の価格を基に計算され、7月に国税庁から発表されます。仮に8月に土地を相続する場合、1月に高かった土地が8月時点で安くなっていても、相続税は土地の価値が高い状態である1月時点で計算されるため、これもタイミングが重要になります。

相続税路線価の相場としては、実勢価格の7割~8割程度とされており少し割安です。

一方、固定資産税路線価は、固定資産税の課税基準とされています。こちらは国ではなく、もう少し小さな単位である市区町村の市区町村長に決められます。東京都の場合は都知事に決定権があり、いずれも国ではなく地方が主体となって動くということです。固定資産税路線価の改定は3年ごとであり、1月1日時点での価格が基準になります。

価格の相場は実勢価格のおよそ6割~7割、約半分になるということです。

価格を比べると、実勢価格<公示価格<相続税路線価<固定資産税路線価であることから、実際の不動産取引においては、実勢価格と公示価格以外の価格から相場を判断することは難しいと言えます。

実勢価格はどうやってみる?

土地の売買取引において役に立つ実勢価格ですが、これを確認する方法のひとつとしてインターネットの使用が挙げられます。オンラインで見られる情報に、国土交通省の土地総合情報システムというサイトがあります。このサイトには一次ソースである公的な情報が記載されており、これを使用することで実勢価格を調べることができます。

対象となる取引内容は、更地・建物付き・マンションなどの3種類、対象となる土地は住宅地・商業地・工業地・その他といった4つに分類されており、それぞれ選択して詳細を調べることができます。

また、国立国会図書館のオンライン版で閲覧できる実勢価格図でも実勢価格は知ることができます。約3平方メートルごとの実勢価格が地図上で確認できるものです。国立地学協会の実勢地価図でも実勢価格を確認でき、こちらは都道府県地価調査による調査個所と価格、さらに公示価格とも比較しやすいものとなっています。

自分で調べるのであれば手間や時間を考えると圧倒的にインターネットで調べることがおすすめですが、より確実な実勢価格を調べたい場合は、直接不動産業者に確認するという手もあります。不動産業者は売買取引の最先端にあり、常にその動向を把握しています。つまり、取引の平均値である実勢価格がリアルタイムで反映されやすい環境にあるということです。

これは業者によって価格が異なるという場合もありますが、具体的に価格を知りたければこのような手段もあるということを覚えておくと役に立ちます。

実勢価格を不動産取引で活用する

実勢価格とは、ある土地の取引における平均値ということですが、実際の売買であればこの実勢価格より上下することが大半です。不動産を売る側の視点では、実勢価格より高く売りたいと考えるものでしょう。実勢価格500万円の土地で、売却しようとした時点では800万円になっていたとすれば、相場から考えると300万円高くなったということが言えます。

ただ、このように都合のいい状況ばかりではありません。時には、実勢価格500万円の土地が、売却の時点で300万円に下落しているということもあります。このときに考えないといけないこととして、価値が変動した原因があげられます。

土地が安くなるケース高くなるケースをしっかり見極められるようになりましょう

いくら土地の値段が変わりやすいといっても、変わるということ自体には必ず何かしらの理由があります。土地の値段が上がるのであれば、近隣に新しく公共施設が建つ予定でもあるのか、近いうちに大きなイベントでもあるのか、逆に下がるのであれば、その土地に何かしらごみ問題などの欠陥が見つかったか、不動産やそれに関わっている業者間で忖度があったかなど、考えられることは無数にあります。

その金額が大きければなおのこと、その原因を追究していく必要性がでてきます。

ここで成り行き任せに「土地の価格は変わるものでしょう」と考えることをやめてしまうと、いつまでも不動産取引において真贋を見極める力をつけることはできません。不動産取引では、数万円規模であれば簡単に変動することもあります。

土地が安くなるケース、高くなるケースを見極め最適なタイミングで土地を売却することができれば、十分な利益を得ることができるでしょう。

実勢価格を把握して賢く不動産を売ろう!

 土地の相場観を把握しないで売却するのと確認してから売却するのとでは大きな違いがあります。それは、相場観を調べるという過程を通して、主体的に不動産取引をしているということです。つまり、不動産取引に対する姿勢が違うのです。

不動産を取り扱う機会は、業者でもない限り多くはないでしょう。予備知識がないままに業者や買主にいわれるがままという姿勢で臨めば、気づいたときには自分の納得できない取引になっているという事態になることもあります。不動産取引で損をしないためには、自分から積極的に動いて確認するという行為が必要不可欠です。

そして、売主を思い通りに動かすような不動産業者を選ばないことです。売主に寄り添い親身になって動いてくれる、そんな不動産業者を探しましょう。納得できない不動産取引にならないよう、依頼する不動産業者選びも必要不可欠です。

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スムーズに、そして少しでも相場より高く土地を売却するためにも、事前に実勢価格を把握し信頼できる不動産業者を探しておきましょう。