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この記事でわかること ・不動産売却の3つの方法と基本的な流れ |
住み替えや相続などが理由で不動産の売却を検討している方も多いのではないでしょうか。
大切な不動産を売却するのであれば、絶対に後悔や失敗をしたくないと思いますよね。
しかし、不動産売却が初めてで馴染みがない方にとっては、何から始めたらいいのかわからず戸惑ってしまうでしょう。
不動産売却を成功させるには、まず正しい知識と、失敗や後悔を未然に防ぐためのチェックポイントを知っておくことが重要です。
本記事では、不動産売却の基礎知識や成功させるためのポイント、さらに売却するシチュエーション別の不動産売却方法をご紹介します。
これから不動産を売却したいと考えている方は、正しい知識を身につけてから売却活動を進めていきましょう。
この記事の目次
不動産売却の基礎知識と3つの売却方法

不動産売却とは、その名の通り個人や法人が所有している不動産を売却することです。
売却する際は、広告宣伝や内覧対応を実施して買主を見つけ、売買契約を締結し、不動産を引き渡します。
これらの流れは個人で実施することも可能ですが、専門知識が必要となるため、不動産会社に依頼することが一般的です。
また、不動産売却には、「仲介」「買取」「個人売買」の3つの方法があり、あなたの状況に合わせて選択する必要があります。
まずは、それぞれの特徴を比較してみましょう。
【不動産売却の3つの方法比較表】
| 売却方法 | 仲介 | 買取 | 個人売買 |
|---|---|---|---|
| 買主 | 個人 | 不動産会社 | 個人(売主が探す) |
| 売却期間の目安 | 3~6ヶ月程度 | 最短1週間~1ヶ月程度 | 数ヶ月~1年以上 |
| 売却価格の目安 | 相場に近い価格 | 仲介相場の7~8割程度 | 相場に近い価格の可能性あり |
| 仲介手数料 | 発生する | 発生しない | 発生しない |
| リスク・手間 | 内覧対応や交渉に手間がかかる | 価格が安くなる | 契約・法務・財務リスクが高い |
| おすすめな人 | 時間に余裕があり、高く売却したい人 | すぐに現金化したい人、築古・訳あり物件などを売りたい人 | 専門知識があり、親族や知人間に限定して売買したい人 |
仲介
「仲介」とは、売主と買主の間に不動産会社が介入して双方を取り持ち、売買契約を締結する売却方法です。
相場に近い価格で売却できる可能性が高い反面、買主が見つかるまでの期間は3~6ヶ月程度が目安となり、仲介手数料が発生します。
できるだけ高く売却したい人におすすめの方法です。
以下の記事では、不動産仲介業者を利用するメリットやデメリットを詳しく解説しているのでこちらもご参考ください。
買取
「買取」とは、不動産会社に直接不動産を買い取ってもらう方法のことです。
不動産会社が買主となるため仲介手数料がかからないうえ、最短1週間程度で売却が完了します。
しかし、売却価格が相場の価格よりも2~3割程度安くなるのが一般的です。
「安くても短期間で売却したい」という方におすすめの方法です。
以下の記事は、買取についてより詳しく紹介しているのでこちらもご参考ください。
個人売買
個人売買とは、不動産会社を介せずに、売主と買主が直接売買することです。
仲介手数料がかからないメリットはありますが、契約書の作成、重要事項の説明、トラブル対応、法務・税務手続きなど、不動産に関する専門知識が必須となります。
トラブルのリスクが非常に高いため、一般的には推奨されません。
以下の記事では、個人売買のメリットとデメリットについて詳しく解説しているのでこちらもご参考ください。
【6ステップ】不動産売却の基本的な流れと期間
不動産売却の一般的な流れとかかる期間の目安は次の通りです。
査定の依頼から引き渡しまでにかかる期間は、販売活動の期間によって前後するものの、3~6ヶ月程度が目安とされています。
不動産売却を検討する際は、いつまでに売却を完了させたいのかを考慮し、逆算して計画を立てるようにしましょう。

STEP1.不動産会社へ査定を依頼
不動産の売却を依頼する際は、まずWebや電話などで不動産会社に問い合わせ、査定の依頼をします。
査定には、簡易査定(机上査定)と訪問査定の2つの方法があります。
・簡易査定:物件情報やデータを参考にして査定額を算出する方法
・訪問査定:不動産会社の担当者が現地に赴いて調査をし、査定額を算出する方法
価格を決めるうえで非常に重要となるため、必ず複数の不動産会社へ依頼し、査定結果から売出し価格を決めていきます。
また、査定時には以下の書類が必要となるため忘れずに用意しましょう。
| 書類名称 | 詳細 |
|---|---|
| 登記済権利証または登記識別情報 | 不動産の所有者であることを明らかにするための書類。法務局・オンライン申請で取得可。 |
| 確定測量図 | 土地の境界が確定していることを証明するための書類。法務局・オンライン申請で取得可。 |
査定方法の詳しい内容については、以下の記事で紹介しているのでこちらもご参考ください。
STEP2.媒介契約の締結
査定額に納得できたら、不動産会社と媒介契約を締結します。
媒介契約には、同時に複数の会社に依頼できる「一般媒介契約」と、1社のみに依頼する「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、それぞれの違いを理解し、ご自身の状況に合った契約を選択するようにしましょう。
【媒介契約の種類】

また、媒介契約時には以下の書類が必要となります。
| 書類名称 | 詳細 |
|---|---|
| 本人確認書類 | 運転免許証やマイナンバーカードで可。 |
| 建物図面 | 不動産会社が広告を作成する際に必要となる。法務局・オンライン申請で取得可。 |
| 確認済証や検査済証 | 建物が建築基準法の基準を満たしているか証明することができる書類。紛失した場合は建築会社に要問合せ。 |
| 耐震診断報告書やアスベスト使用調査報告書 | 耐震診断結果やアスベストが使用しているかどうかわかる書類。調査完了後に業者から取得済み。 |
以下の記事では、3つの媒介契約の特徴についてさらに詳しく紹介しています。
選択する際の参考にしてみてくださいね。
STEP3.販売活動の実施
媒介契約を締結した後は、販売活動を実施します。
販売活動では、不動産会社のホームページやポータルサイトへの掲載、レインズへの登録、チラシ配布、内覧対応などが行われます。
これらの活動を通じ、購入希望者を募ります。
STEP4.売買契約の締結
買主が決定したら、不動産会社を通じて買主と売買契約を締結します。
売買契約締結時には、以下の書類が必要となるのでこちらも忘れずに用意しましょう。
| 書類名称 | 詳細 |
|---|---|
| 付帯設備表や告知書 | 物件の設備や周辺環境や不具合などを記載するための書類。不動産会社から受け取り、売主が記入する。 |
| 実印 | 売買契約書に押印するために必要。 |
STEP5.決済・不動産の引渡し
売買契約の締結後は、いよいよ決済と不動産の引渡しを行います。
この際、買主から売買代金を受け取るのとあわせて、固定資産税などの売却する不動産に関する費用の精算も実施します。
決算が済み次第、買主に不動産を引き渡します。
この際にもいくつか書類が必要となります。
| 書類名称 | 詳細 |
|---|---|
| 登記済権利証または登記識別情報 | 所有権の移転に必要な書類。査定時だけでなく引渡し時にも必要。 |
| 固定資産税や都市計画税の納税通知書の写し | 税金を精算する際に必要な書類。毎年4~5月頃に郵送される。 |
| 固定資産評価証明書 | 登録免許税の計算に必要な書類。不動産の所在地の役場で取得可。 |
| 住民票の写し | 登録免許税の計算に必要な書類。役場の窓口やコンビニのコピー機で取得可。 |
| 印鑑証明書 | 役場に登録された実印であることを証明する書類。役場の窓口やコンビニのコピー機で取得可。 |
| 確定測量図や境界確認書 | 土地の境界が確定していることを証明するための書類。査定時だけでなく引渡し時にも必要。 |
| 抵当権抹消書類 | 住宅ローンが完済していない場合に必要。金融機関で取得可。 |
STEP6.確定申告
不動産を売却して利益(譲渡所得)が発生した場合は、確定申告を行います。
確定申告は、不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日の間に行う必要があるので、忘れないようにしましょう。
また、譲渡所得が発生しなくても、3,000万円特別控除などの税制優遇制度の適用を希望する場合も必要です。
確定申告の詳しいやり方については、以下の記事で詳しく紹介しているのでこちらもご確認ください。
不動産売却にかかる費用と税金・節税の知識

不動産売却では、売却によって資金が入るだけではなく、手続きへの費用や税金もかかります。
どんな費用や税金がどれくらいかかるのかを事前に把握し、売却時の出費をイメージしておきましょう。
また、不動産売却にかかる費用や税金はケースによって差はあるものの、不動産売却価格の3〜7%が相場とされています。
特に、税金に関しては、事前の知識で大きく節税できる可能性があります。
売却を決めたからといってすぐに必要になるわけではありませんが、いつでも支払えるように見通しをもっておきましょう。
不動産売却にかかる費用
不動産売却にかかる主な費用は次の通りです。
| 費用 | 支払いが必要になるケース | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産仲介業者に売却を依頼した場合 |
400万円超:(取引額×3%+6万円)+消費税 200万~400万円以下:(取引額×4%+2万円)+消費税 200万円以下:(取引額×5%)+消費税 |
| 抵当権抹消費用 | 住宅ローンが残っている場合 | 15,000円〜20,000円程度 (司法書士に依頼する場合) |
| ローン一括返済手数料 | 住宅ローンが残っている場合 | 10,000円〜50,000円程度 (金融機関によって異なる) |
| 測量費 | 隣地との境界が不明瞭で土地家屋調査を依頼した場合 |
現況測量費:10万〜20万円程度 確定測量費(立ち会いあり):50万~90万円程度 ※約100平米の土地に対した費用 |
| 解体費 | 更地にして土地を売却する場合 | 木造:4万〜5万円/坪 鉄筋コンクリート:7万〜8万円/坪 |
| その他の費用 | ハウスクリーニングや引っ越しをする場合 | クリーニングする箇所や広さ、引っ越しをするエリアや時期による |
不動産売却にかかる税金
不動産売却にかかる税金は次の通りです。
| 税金 | 支払いが必要になるケース | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 売買契約書を作成する際に必ず発生 | 1枚につき200円〜48万円(売却価格によって異なる) ※軽減税率適用 |
| 譲渡所得税 (所得税+住民税) |
不動産を売却して利益(譲渡所得)が発生した場合 |
保有期間が5年以下:譲渡所得の39.63%
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【参考】譲渡所得税の具体的な計算ステップ
前述の通り、不動産を売却して利益が発生した場合は、譲渡所得税が課されます。
譲渡所得税額は、以下の3つのステップで求められます。
1.取得費と譲渡費用を確定する
取得費:不動産の購入代金、建築費、購入時の仲介手数料、印紙税、リフォーム費用など、購入にかかった全ての費用を合計します。
譲渡費用:売却時の仲介手数料、印紙税、測量費、建物の解体費用など、売却にかかった全ての費用を合計します。
2.譲渡所得を計算する
譲渡所得は、以下の計算式で求めます。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
なお、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」や「所有期間10年超の軽減税率の特例」などの税制優遇制度を適用する場合は、この譲渡所得から差し引くことができます。
これらについては、後述します。
3.譲渡所得に税率をかけて税額を算出する
譲渡所得に上記表の税率をかけます。
譲渡所得税額=譲渡所得×税率
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【節税対策の鉄則】購入時の書類を今すぐ探そう 譲渡所得を減らすために、取得費を正確に計上することが極めて重要です。 |
【最重要】知っておくべき税制優遇制度
譲渡所得が発生しなくても、税制優遇制度の適用を希望する場合も確定申告が必要です。
特にマイホームを売却した際に適用できる主な特例は以下の通りです。
・居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除
マイホームを売却して利益が出た場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる、最も強力な節税特例です。これにより、多くの売主の譲渡所得税がゼロになります。
・所有期間10年超の軽減税率の特例
売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている場合、3,000万円控除後の譲渡所得のうち、6,000万円以下の部分にかかる税率が、通常の長期譲渡所得の税率20.315%から14.21%に軽減されます。
長期間住んでいた物件を高値で売却し、3,000万円控除を適用してもなお利益が残る場合に、大きな節税効果を発揮します。
不動産売却を成功させる!今すぐ実践すべき4つのポイント

不動産売却の成功は、単に「信頼できる業者に任せる」だけでなく、売主自身が価格戦略と内覧対策を行うかにかかっています。
ここでは不動産売却を成功させるための4つのポイントをご紹介します。
相場を調べて、査定額をしっかり見極める
売却活動を始める前に、事前に自分でも相場を調べ、売却したい不動産の適正価格を理解することが重要です。
不動産の売却相場を調べる方法は、主に次の2つです。
・「REINS TOWER(REINS Market Information)」や国土交通省の「不動産情報ライブラリ」などで、売却したい不動産と条件が似ている不動産の成約価格を調べる
・「イエイ」などの不動産一括査定サイトを利用し、複数の会社の査定額を比較する
不動産の相場の詳しい調べ方については、以下の記事でも紹介しているのでこちらも参考にしてみてくださいね。
【注意!】高額査定をする会社には気をつけよう
査定を依頼して、提示された査定額が市場相場より10%以上も高い場合、それは「売主と媒介契約を結びたいがための営業戦略」である可能性が高いです。
高すぎる価格で売り出しても、買主に見向きもされず売れ残り、結果的に大幅な値下げを繰り返すことになり、かえって安値で売却することにつながります。
このようなリスクもあるため、査定を依頼する際は、複数の会社の査定額を比較しつつ、適正な価格かどうかを慎重に見極めることが重要です。
信頼できる不動産会社を選ぶ
不動産売却がうまくいくかどうかは、不動産会社選びにかかっているといっても過言ではありません。
以下の5つのポイントに着目して、信頼できる不動産会社かどうかしっかり見極めましょう。
・広告宣伝に力を入れているか
WEB掲載やチラシだけでなく、「あなたの物件の強みをどのように訴求するか」を具体的に提案できるか。
・査定額の根拠を示してくれるか
「なぜこの価格なのか」を、過去の成約事例や地域の需要など、具体的なデータで論理的に説明してくれるか。
・取引実績が豊富であるか
売却したい物件種別(戸建て、マンションなど)や、エリアでの売買実績が豊富であるか。
・担当者の対応が迅速か
こちらの質問や要望に対するレスポンスの速さや、約束した連絡頻度を守るか。
・メリットだけでなくデメリットも伝えるか
良い点だけでなく、物件の「売りにくい点」や、契約不適合責任といったリスクについても正直に説明してくれるか。
以下の記事では、不動産会社の選び方についてより詳しく解説しています。
こちらもぜひチェックしてくださいね。
内覧時に良い印象を与えられるよう心がける
内覧は、買主が購入の意思を固める最終段階であり、売主の努力が最も報われる場面です。
内覧時には、買主の購買意欲を高めるため、以下の行動を必ず実行しましょう。
1.水回りの徹底清掃
トイレ、キッチン、浴室のカビや水垢は、内覧者が最も嫌悪感を抱くポイントです。
最低限の清掃ではなく、プロに頼むくらいのつもりで徹底的に綺麗にしましょう。
2.明るい印象づくり
室内を明るくし、カーテンや窓を開けて風通しを良くします。
特に玄関は家の第一印象を決めるため、整理整頓を徹底します。
3.「住んで良かった点」の言語化
「この時期はリビングに夕日が綺麗に入る」「近くの公園は子育てに最適」など、物件の図面では伝わらない具体的なメリットを、質問された際に答えられるよう準備しましょう。
4.プライバシーへの配慮
家族写真や個人の趣味に関するものを一時的に片付け、買主が「自分が住んだらどうなるか」を想像しやすい環境を整えましょう。
5.瑕疵(欠陥)は隠さない
雨漏りや給湯器の故障など、物件の欠陥(瑕疵)は付帯設備表や告知書に必ず記載し、内覧者にも正直に伝えましょう。
これを隠すと、売却後に契約不適合責任を問われ、大きなトラブルに発展する可能性があります。
あなたの状況別!不動産売却で失敗しないための注意点

不動産を売却するシチュエーションによって、対応すべきリスクが異なります。
ここでは、よくある6つのシチュエーション別に注意点を解説します。
以下のような理由で不動産を売却することを検討している方は、必ずチェックしましょう。
・住み替えの場合
・相続した不動産の場合
・離婚の場合
・転勤・金銭的な問題で早く売りたい場合
・事故物件を売却したい場合
住み替えの場合
住み替えの場合は、「売却」と「購入」のタイミングを考えることが重要です。
しかし、「売り急いで価格を下げてしまう」リスクや、「二重ローンになる」リスクが伴います。
住み替えをする際は、以下の3つの方法で売却と購入を進めることが一般的です。

「売り先行」とは、先に自宅を売却してから新居を購入する方法です。
売却資金をもとに新居を選べる反面、新居が決まるまでは仮住まいが必要となります。
一方、「買い先行」は、先に新居を購入してから自宅を売却する方法です。
販売活動に時間をかけられますが、買主が見つかるまでは住宅ローンが二重にかかるため金銭面の負担が大きくなります。
また、売却と購入の同時決済を目指す「売り買い同時進行」という方法もあります。
金銭的な負担が少ない反面、タイミングを合わせるのが非常に難しく、売り急いで売却価格を値下げし妥協してしまう人も少なくありません。
どのような流れで住み替えを完了させたいかを考えておき、計画的に売り買いを進めましょう。
【参考】住み替え時のリスク解消策
売却と購入のタイミングを合わせる住み替えでは、仮住まいの発生や二重ローンなど、金銭的なリスクがつきものです。
これらの資金的な不安を解消し、スムーズな住み替えを実現するために、以下の金融サービスや売却手法が利用できます。
・つなぎ融資
売り先行で新居を先に購入したい場合に、売却代金が入るまでの間、一時的に借入ができる金融サービスです。二重ローンは避けられますが、金利は高めです。
・買取保証
不動産会社に仲介を依頼しつつ、一定期間内に売れなかった場合に、あらかじめ決めた価格で会社が買い取ることを保証するサービスです。
「売り急ぎ」や「売れ残りのリスク」を回避できます。
相続した不動産の場合
相続した不動産を売却する場合、まずは名義人を確認しましょう。
不動産は、「不動産登記簿」(登記事項説明書)に記載されている名義人でないと売却することができません。
そのため、相続の場合は事前に名義変更(相続登記)をしておきましょう。
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【注意!】相続登記はお早めに 2024年4月からは相続登記が義務化され、期限内に申請しないと過料が科される可能性があります。 |
相続人が複数いる「共有名義」の場合は、共有者全員に売却の同意を得るか、売主個人の名義に変更する必要があります。
同意が得られないと売却手続きを進めることができず、トラブルにつながるリスクがあります。
また、相続した家を空き家の状態で放置してしまうと、維持費用がかかるほか、空き巣に侵入されたり、建物が倒壊したりなど思わぬトラブルにつながりかねません。
さらに、相続した土地が活用されていない場合、固定資産税や相続税評価額が高くなり、金銭面での負担が増えてしまいます。
相続した不動産にかかる費用を抑え、トラブルを回避するためにも、なるべくスムーズに売却の手続きを済ませるようにしましょう。
【参考】売却前に税理士に相談するのも有効
相続不動産の売却は、通常の売却と異なり、税金の問題が特に複雑になります。
多額の税金が関わるため、売却前に必ず不動産税務に強い税理士に相談することが必須です。
これは、マイホーム売却で最大の節税効果をもたらす「3,000万円特別控除」だけでなく、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例など、相続特有の税制優遇制度(特例)が多数存在するためです。
相続した不動産を売却する際は、これらの特例を適切に組み合わせ、税負担を最小限に抑えるための計画を立てる必要があります。
専門家の助言を得て、思わぬ税金の支払いが発生するリスクを回避しましょう。
離婚の場合
離婚がきっかけで不動産を売却する場合は、所有している不動産が財産分与の対象になるかを事前に調べることが最も重要です。
財産分与とは、婚姻後に夫婦2人で築いた財産を離婚する際に分配することです。
現金・預貯金といった金銭だけでなく、婚姻後に購入した不動産も対象となります。
不動産を売却する場合、売却額がローンの残債額を上回る金額(アンダーローン)であれば、残金は財産分与で分けることができます。
しかし、売却額がローンの残債額を下回る状態(オーバーローン)では、原則として完済できないため、不動産を売却できません。
この場合は、預貯金などから補填しないと売却できないため注意が必要です。
また、補填が難しい場合は、金融機関と交渉し、任意売却という選択肢も視野に入れましょう。
任意売却については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
デリケートな理由で不動産を売却する際のポイント
離婚などデリケートな理由で不動産を売却する場合は、親身にサポートしてくれる担当者に依頼するのがおすすめです。
査定額だけでなく、不動産会社の担当者の対応や人柄も比較することが、安心して不動産を売却するための鍵となります。
当サイトが提供する不動産一括査定サービス「イエイ」では、複数の不動産会社を簡単に比較することができます。
信頼できるパートナーを探したい方は、ぜひご活用ください。
転勤・金銭的な問題で早く売りたい場合
「転勤で急いでいる」「収入が減って生活が苦しい」など、時間的・金銭的な問題が理由で不動産売却を考える場合は、買取を検討しましょう。
買取は仲介と比較すると、売却価格が相場よりも安くなってしまうものの、短期間で現金化することができます。
そのため、「すぐにまとまったお金がほしい」というケースには最適な手段といえるでしょう。
しかし、急な転勤の場合は、今後戻ってくる可能性も含め、賃貸にするのか売却するのかを判断し、不動産会社と相談しながら今後の方針を決めることをおすすめします。
どの手段を選択する場合でも、必ず売却を進める前に売却方針をしっかり考えることが重要です。
事故物件を売却したい場合
事件や事故、孤独死などで事故物件となってしまった不動産を売却したいと考えている方もいるでしょう。
このような物件は、亡くなった状況によって事故物件に該当するか決まります。
・告知義務がないケース
病死や老衰の自然死、日常生活での転倒事故などによる不慮の死が起きた物件の場合は、原則として買主への告知義務はありませんが、売却価格が1~2割程度安くなる傾向があります。
・告知義務があるケース
自殺が起きた物件の場合は3割前後、他殺など心理的な嫌悪感を与えやすい事件が起きた物件の場合は5割前後と、通常の売却価格よりも大幅に安くなる傾向があります。
【注意!】告知義務がなくてもトラブルに発展することがある
売却時に買主への告知義務がないケースであっても、「人が亡くなったことを告げずに売却したことがきっかけでトラブルに発展することもある」ので注意が必要です。
トラブルを避けるため、曖昧にせず、事実を正確に告知することが重要です。
不動産会社と相談し、専門家の意見も仰ぎながら告知内容を確定しましょう。
【参考】事故物件を売却する際の対処法
事故物件の売却は、大幅な価格下落が見込まれる可能性があります。
少しでも下落を抑えるためにも以下の対処法を検討するのが有効です。
・ハウスクリーニングやリフォームを行い、物件の状態を改善する
・家を取り壊して土地だけで売り出すことを検討する
・事故物件の取扱に慣れた専門の買取業者に直接買い取ってもらう
以下の記事では、事故物件の売却方法についてより詳しく解説していますので、こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。
不動産売却に関するよくある質問(FAQ)

ここからは、上記で解説しきれなかった不動産売却に関する細かい疑問点についてご紹介します。
不安な点を解消し、安心して不動産売却を進めていきましょう。
不動産を売るタイミングっていつがいいの?
不動産はどのタイミングでも売ることが可能です。
しかし、時期や築年数を考慮することで、スムーズかつ高い金額で売れやすくなります。
・時期
企業の新年度、学校の入学式が始まる前の1月から3月頃の時期は、新生活に伴い新しく家を購入する人も多く、この時期を狙って不動産を売却するとスムーズに売れやすい傾向があります。
・築年数
できるだけ高く売却したいのであれば、築年数も考慮しましょう。
不動産は、築年数が浅ければ浅いほど高く売れやすい傾向があります。
国土交通省が公表したデータによると、築後20年前後で木造の戸建住宅の査定価格が0円近くになってしまうという結果も出ています。

出典:「中古住宅流通、リフォーム市場の現状市場の現状」-国土交通省
この結果から読み取れるように、不動産の売却を検討しているのであれば、「今が一番高く売れる時期」と捉え、できるだけ早めに売却に向けた行動に移したほうがよいでしょう。
不動産の査定にお金はかかるの?
不動産の査定には、不動産会社が行う無料の査定と不動産鑑定士が行う有料の査定の2種類があります。
しかし、個人で不動産を売却するのであれば、不動産会社が行う無料査定で十分です。
不動産鑑定士による査定は、法人間で不動産取引をする際や裁判所に提出するための証拠が必要な際に行われることが多いです。
そのため、ただ不動産がどれくらいの価格なのか知りたいだけであれば、まずは不動産会社の無料査定を依頼しましょう。
不動産会社による査定が無料で受けられる理由については、以下の記事で解説しているのでこちらも参考にしてみてくださいね。
不動産が売れないときはどうすればいいの?
不動産の売却完了までにかかる期間は、一般的に3~6ヶ月程度と言われています。
しかし、6ヶ月を経過しても全く売れる気配がない場合は、不動産会社の販売活動や、価格設定に問題がある可能性が高いです。
不動産会社の販売活動に問題があるかもしれない具体的な例として、以下のようなものが挙げられます。
・「レインズ」や不動産情報サイトに物件情報が掲載されていない
・上記サイトの掲載内容が充実していない
このような問題があった場合、不動産会社に「もっと宣伝してほしい」などとあなたの意見を伝えてみることをおすすめします。
もし、不動産会社の担当者と考えが合わない場合は、別の担当者に変えてもらったり、媒介契約期間満了後に、別の信頼できる会社に切り替えたりするのも有効です。
また、価格設定を見直す際は、売り出し価格を相場の5~10%程度値下げることを検討しましょう。
まとめ|信頼できる1社を見つけ、売却を成功させよう

安心してスムーズに不動産売却を進めるためには、不動産売却の基礎知識や、成功させるためのポイントを正しく理解しておくことが大切です。
これから不動産を売却することを検討している方は、売却前に改めて本記事の内容を理解してから、信頼できる不動産会社に売却を依頼しましょう。
また、安心して依頼できる不動産会社を見つけるためには、複数の業者に査定依頼をして、しっかりと比較することが極めて重要です。
この比較こそが、「高すぎる査定」に騙されず、本当にあなたの物件を売ってくれる最適な1社を見つける鍵となります。
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